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マッドセガール工業幼稚園  作者: ポテろんぐ
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渡辺と寝てない自慢

 園長室に行くと髭男は珍しく、似合わない深刻な顔をしていた。


「昨日の昼過ぎにシゲさんがギックリ腰で入院してしまってな。電撃町でウンコを拾うボランティアが、実はいない状態なんだ」

「つまり?」


 渡辺と蓬田、竜二の声が重なった。


「今朝、ワルモンのチワワが道端にしたウンコを挟みまくって、現在、電撃町の四分の一が縄張りになっている状態らしい」


 渡辺達が恐れていた事が起きた。


「なんで、昨日のうちに言わねぇんだ!」


 渡辺がキレた。


「……だってお前らの教室に行ったら、蓬田に追い返されたんだもん!」


 渡辺と竜二が蓬田を見た。時間を聞くと、ちょうど「犬なのに猫をかぶる」の下であった。


「くそっ! これだから役所仕事はダメなんだ! 連絡が遅い!」


 渡辺は蓬田が怖いので、髭男のせいにした。決して、無駄なつまらないお経のような説明のせいではない。髭男のせいなのだ。

 髭男を怒鳴っている渡辺の横で、蓬田がボソッと「ごめん」と言っていた。渡辺は聞かないことにした。


「このままでは、明日にも電撃町は全てアフリカオセロチワワの縄張りと化してしまう」


 もはや、猶予は無い。

聞けば、街にはウンコの見張り用のエリザベスちゃんの手下の犬がウロウロしている。エリザベスちゃんは縄張りの中で生活している犬を手下にしているそうだ。


 渡辺は甚平の帯を締め直した。


「どうもこうも、正々堂々と真っ向から潰してやるだけだ。そのオセロ対決で俺は勝つ!」


 渡辺の答えに、髭男は顔をしかめた。


「お前はマッドセガール市警に敗北している。新入りで連敗でもしようものなら、見切りをつけられ、退学生から追放かもしれん。それでもやるか?」

「当たり前だ。目の前の壁から逃げる男に頂点など取れるか!」


 髭男は渡辺の言葉にフッと笑った。


「良く言った。その往生際のワルさは、お前の武器の一つだ。相手は強敵かもしれんが、負けるんじゃないぞ」

「あぁ」

 渡辺は、蓬田と竜二に「行くぞ」と指示を出し、園長室を後にした。すでに、戦闘モードに入っていた。

 その日は授業が終わったら、渡辺は家に帰って寝る事にした。スグにでも戦いに行きたいところだったが、蓬田のせいで丸一日寝ていないのだ。


 コンディションは万全じゃないと戦えない。


 朝起きたら、街の半分がエリザベスちゃんの縄張りになっていた。


 これは失敗ではない。寝ないといけなかったからしょうがない。


 前向きな失敗。


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