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5話 初めて勝ちました

2人の血が着いたシーツを川でプカプカ浮かべてから朝の日課の鍛錬に移る。

鍛錬はいつもやっていたことだ。


「よろしく頼む」

「来いよワイト」


対面で組手の構えを取るリザードマン。

5分後剣を杖代わりにしていたのは俺だった。


「お前ほんと弱いな」


負けた。

俺だけ武器を持っていたのに負けた。


Sランク武器にSランク防具を付けて何もつけてない奴に負けた。


「俺はシエラにも負けるぞ」


口元の血を拭いながらふっと笑って答える。


「お前は戦闘絶対向いてないからな」


かかかと笑うリザードマン。


「弱いけど素敵!」


訳の分からないことを言ってルゼルが横まで来た。


「私が守ってあげるから大丈夫だよ!ワイト!訓練なんてやめよう!」

「やめていいのか?」

「いいよ!甘えていいんだよいっぱい!」


甘やかしてくれそうなルゼル。

もう諦めようかな。


俺は自分の戦績を0勝10000敗の大台に乗ってから数えていない。


勝てる気がしない。

誰にも


「やめるよもう」


剣と防具を脱ぎ捨てる。


「向いてないんだなってもう再認識したから」


この先も別に戦いなんて野蛮なことをしなきゃいくらでも生きていけるだろうしな。

それに俺にはそんな力がある。


「これ、やるよ」


そんな俺にリザードマンが剣を渡してきた。

持ち手に引き金がついてる。


「何だこれ?」

「フレアブレードってもんだ。引き金はまだ絶対に引くなよ」


リザードマンがそう言うとルゼルが反応した。


「こ、これフレアブレードなの?!」


そう言って俺の持つ武器をジロジロ見つめてくる。


「す、すごい!こんなの貰っちゃったの?!ワイト!これリザードマンの種族しか装備してなかったすごい武器なんだよ?!」


そう言われても分からない。


「使い方教えてやる。あの木で試し斬りしよう」


俺はリザードマンに言われたように少し離れたところで剣を振り、木に当たる瞬間に引き金を引く。

ドォォォォォォン!!!!!!!!


剣が火を吹いた。

いや、爆発した。



その爆発で俺の体は反射的に飛び退いていた。

説明を受けて爆発するとは聞いていたけどここまでなのか。


「どうよ。フレアブレードはよ」


そう言われて更に説明を受ける。

バクハツセキという石を使用して爆発を起こしているらしいが、鉱石が使い捨てなせいで1度使う度に補充しないといけないそうだ。


そのコストの重さでマイナー武器になっているらしい。


「でもお前ならコストが重くても用意できるんじゃないか?お前向きの武器だと思うが」


俺は少し考えて口を開いた。


「もう一度対戦してくれないか?」

「いいぜ」


5分後


「はぁはぁ……」

「す、すごい!武器変わっただけなのにワイトが勝った!!!!!ていうか!隕石が落ちたみたいに地面が抉れてるんだけど!」


俺に飛びついてくるルゼル。


「も、もう使いこなしやがんのかよ……開発者の俺らリザードマンでも使いこなせないやつばっかなのに」


かかかと笑うリザードマン。

リザードンマンの特徴である全身を覆う鎧のような鱗も吹き飛んでいた。


火力は正義という言葉を聞いたことがあるがまさにそうか。


「これで何勝何敗だよ?ワイト」

「は、初めての一勝だ。1勝10000敗くらい」

「勝利の味ってのはどうよ?」

「悪くないな。癖になりそうだ」


ブレードに鉱石を補充する。

ブレードに文字が出てくる。


【補充を行いました。元のバクハツセキ×999。現在のバクハツセキ×949】


確かにコストが重いな。

鉱石の数で威力をコントロールするらしいけど基本的にそれでも重い。


「ほんとに貰っていいのか?それより、ほら。回復アイテム。付き合ってくれてサンキュー」


リザードマンに回復アイテムを渡す。


「お前は俺の命の恩人だ。ブレードなんてくれてやるよ俺は使ってないしな」


そう言って笑いながら去っていくリザードマン。


「すごいよワイト!フレアブレードを使えるなんて!」

「そ、そうなのか?」


俺にはよく分かんないけど。

でも、これで俺も多少は戦えるようになったっぽい。


「今なら普通の剣でもスライムに勝てそうだ」

「え?スライム?」


3時間後俺はスライムにボコボコにされて家に戻ってきていた。


「す、スライムに負ける人初めて見た……」

「フレアブレードなら勝てた。信じてくれ絶対勝てたから」


そんな言い訳をしているとサーシャが帰ってきていたようで声をかけてくる。


「戻ったよ。勇者はやめれた。2人ももう勇者パーティのメンバーじゃない」


そう言われて喜ぶ2人。

それからサーシャは俺を見た。


「どうしたの?その傷」

「スライムにボコられた」

「す、スライムに?だ、大丈夫?」


俺によってきて頭を撫で始めるサーシャ。


「まぁ……痛かったでしょう?可愛そうに……」


リリアも寄ってきて胸を押し付けながら頭を撫で始める。

わざとやってんのか?リリアは。


「そうそう。ワイト。今日は村に買い物に行ってきたのですが、ついでに良くない噂を聞いたのですよ」


リリアがそう口を開くとサーシャに目をやった。


「私からも報告がある。どうやら私達の反応が消えた事から新しく勇者パーティが結成されたらしくてね」

「えー?もう結成されたの?早くない?」


ルゼルの言葉はもっともだな。


「もしかして候補が何人もいて反応が消えたら直ぐに結成出来るようにしているのかもしれないな」


そう思う。


「何それ私たちのこと使い捨ての道具だったってことなの?」


ちょっと怒ってるらしいルゼル。

こういう場合は暫く自由にさせておくのが1番飛び火しないだろうし


「じゃあ俺先に寝てるからね」


後はもう好きに文句を言ってもらう事にしよう。

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