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創世のファンタジア  作者: 冴村 彰
5/7

第四話 「ちぃ先生とだるま先生」

三話の修正終わりました。


文字数少な目ですが、しばらくは更新していくつもりです。

「失礼いたします。」

「失礼いたします。」

ひとみとレイラがそう言って客間に入ると、縁側に腰をかける二人の老人がいた。

一人の背の低い小柄で温和な顔つきの老人は、紺色の品の良い着物を着ている。

もう一人の老人はかなり大柄な体で顔が丸くて目が糸のように細い。

着ている着物はつぎはぎだらけだが、清潔感があってみすぼらしさはない。

どちらがちぃ先生で、どちらがだるま先生かはすぐに見てわかる。



「お久しぶりです。嘉納先生。藤原先生。」

レイラは畳の上に座り直すと、そう言って手をついて頭を下げた。

「おや?レイラちゃん。久しぶりだね。」

ちぃ先生はレイラに微笑みかけながら言った。

「はい。元気にしております。」

レイラはそう言って笑った。

「藤原先生。お久しぶりです。」

レイラはそういって頭を下げた。

「久しぶりだねレイラちゃん。ますます綺麗になっているね。」

だるま先生はそう言ってにっこりと笑った。


ちぃ先生こと「嘉納小太郎」は嘉納一刀流の14代目の頭首である。

今年で59才になるが、見た目はもう少しばかり若く見える。

嘉納一刀流は代々、大和王国の剣術指南役を仰せつかっており、全国津々浦々に門下生がいるが、現在は息子の嘉納大護に跡目を譲り、都の南にある伏水(ふしみ)の町で小さな道場を開きながら、一人で隠居生活を楽しんでいる。



だるま先生こと「藤原博道」は小野田一刀流の使い手で、今年て57才になる。

小太郎とは付き合いが長く、よきライバルでもあり、無二の友でもある。

いつも継ぎ接ぎだらけの着物を着てはいるが、髪も整っていて清潔感があり、年の割には肌つやも良く、なんとも福々しい姿である。

体重100kgを超える体には似つかわしくないほどの剣の使い手であり、名前こそ知られてはいないが、その実力は折り紙付きで、剣術の腕前は小太郎と競り合っているほどだ。

いつもニコニコとしており、怒るという事を知らない。


今は都の南にある、八幡(やわた)の千徳寺という山の中腹にあるお寺で、一遍住職と二人で住んでおり、寺の中に小さな道場を構え、そこで近所の子供達に、無償で剣術を教えている。

若い頃は全国を巡って旅をしていたそうで、今でも時折、気が向けばどこかに旅に出るらしい。

一時期はランドール王国で剣術指南をやっていたが、その時のエピソードを語ろう。



今から10年前、大和歴238年の話である。

当時ランドール王国では、剣術指南役を探していた。

小太郎の息子の大護がランドール王国に剣術指南として赴いていたのだが、いかんせんまだ21才の若者である。

いくら剣術の実力があろうとも、ランドールの猛者達を相手にするには若すぎた。

大護から話を聞いた小太郎は博道に相談した。

「ひろさん。ランドールに行ってはくれんか?」

小太郎はストレートに話を持ちかけた。

「ランドールですか…。」

博道はそう言うと腕を組んで悩み始めた。

「わしが行ければいいのだが、立場上そうもいかない。助けてやってはくれんかね?」

「いやいや、大ちゃんは我が子も同然です。私の弟子でもありますしね。問題はそこではありません。」

博道は頭を捻りながら言う。

「何が問題かね?」

「ランドールに和菓子はありますか?」

博道は真剣な顔で小太郎にそう尋ねた。

「向こうにも大和の料理人がいるよ。毎日嫌というほど食べてくれればいい。」

小太郎はそう言って笑った。

「それはよかった。これで安心してランドールに行けますよ。」

博道もそう言って笑って返した。



それから5年。

博道はランドールに渡り、大護と共にランドールの兵士に剣術を教えた。

レイラも博道から剣術を教わっており、レイラは博道の弟子になる。 

そう。レイラに和菓子の味を教えたのは、他ならぬ博道なのだ。

毎日稽古のあとに和菓子を食べさせてもらえば、好きにもなれば詳しくなるのも当然だろう。ミリアもその一人ではあるが。



ミリア(姫様)はお元気かな?」

「はい。相変わらずです。」

「それは何より。訓練生達には気の毒かも知れないなぁ。」

「そこは先生を見習って欲しいんですけどね。」

「愛情があるからこそだよ。」

博道はそう言ったが、地面にキスをさせるような訓練を愛と呼べるのだろうか?


「そうだと良いのですけど。あ、先生方に母から預かり物があります。」

レイラはそう言うと、持ってきた荷物の中から何やら取り出した。

「これが嘉納先生の分で、これが藤原先生の分です。」

「おぉ!これはランドールクッキーじゃないか!」

小太郎は嬉しそうにクッキーの箱を2つ受け取った。

博道は小さな木箱を一つ受け取ると、蓋を開けて中を見た。

中にはひとみが見たこともないような、白くて綺麗な花が一輪入っているだけだ。

『え?わざわざランドールから、クッキーと花を一輪だけを持ってきたの?』

ひとみは驚いた。

博道は細い目をさらに細めながら花を見ている。


「嘉納先生はランドールクッキーがお好きですものね。」

レイラは笑っている。

「うむ。わしとひろさんも好きだが、死んだ母上とお春の大好物でなぁ。二人でよく、嬉しそうに食べていたんだ。」

小太郎は目を細めながら懐かしそうに言った。

「お春さんて、嘉納先生の奥様の?」

レイラが小太郎に尋ねた。

「そうじゃ。母上とお春は本当に仲が良くてな。わしよりも親子のようだった…。今頃父上と三人で、お茶でも飲んでいるだろう…。」

「明日は私と千徳寺に行きましょう。一遍住職も待っておられますし、何よりお春ちゃんが待っておられますよ。」

博道がそう言うと小太郎が言った。

「そうじゃな。帰りに京玉堂の三笠でも買って、千徳寺にお邪魔するとするか。せっかくだし、ランドールクッキーを食べながら、みんなでお茶にしようではないか。」

「いいですね。」

博道は笑ったその時

「失礼いたします。」

襖の向こうからお幸の声が聞こえた。

大チョンボをやらかしました。


かなり前の草稿を使いましたので、話に誤差がありました。


今後はちゃんとチェックしていきたいと思います。



        m(_ _)m     冴村 彰

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