リキとライ
コビ国の第3王子リキと第4王子ライが
現れた。
ヨナの騎士学校同期の彼等が伝えたのは
戦乱の影であった。
九龍大陸の最も東にある、ヨトの国に
シン帝国が進駐した。
ヨトの国は無血開城したのか否か、
リキとライ、それにヨナはヨナの父である
領主イナの元に向かう。
「お!次期領主様が妹に蹴られているぞ!」
声のする方に目をやると龍に跨ったリキが
笑っていた。
(…いやなタイミングで来たな…)
「これはこれはコビ国の第3王子殿いかが
なされたかな?随分暇そうですが…」
「いやいや!小川のほとりで昼寝する
次期領主様ほどではありません!…」
「…フフフ…フハハ!!」
2人は高笑いした。
ちょうどその時、後ろからもう1人龍に
に乗って男が現れた。
「お!カヨちゃんこんにちは!お嫁さん
に来る気になった?」
「ライ…お前にだけは絶対カヨを嫁にやら
ない…」
「何でだよ!ヨナを義兄さんって呼んで
やってもいいぞ」
「それが一番嫌だ」
コビ国の本妻の3番目の息子リキは、
黒髪の短髪に、日焼けした引き締ま
った身体を持つ、騎士学校でも成績
が良かった文武両道な男だ。
性格も、思いやりがあり悪くない。
噂によると、性格が最悪で求心力の
ない第1王子と病弱な第2王子より、
リキを王にした方が良いとリキを支持
する派閥が国内にはいるらしい。
精悍な顔立ちは女性にも人気があり、
カヨも実はリキの事が好きだったり
する。
ライは、王に仕える平民のメイドが産んだ
子供、茶色の髪に日焼けした肌に整った
顔立ちで、いつも女と見ると声を掛けて
いた。
女を惹きつける為に身体を鍛えていると
豪語する奴だが、実は母親が身分の違い
で差別されないように必死に努力して
国に価値有る人材であるように影で努力
する努力家であった。
ただその反動か、女に対してはとても
だらしがない。
騎士学校では何人の女を取っ替えひっ
かえしていたのであろうか。
王位を継承する事は恐らく無いが、第4
王子である。
この2人は同い年だから意気投合してい
るのか、昔からいつも2人でいる。
2人とも付き合っていて気持ちの良い男達
だった。
騎士学校ではいつもつるんでいた仲間
であり幼馴染である。
「2人ともどうしたんだよ、どっかに
視察かい?」
「いや…領主殿に会いに来た」
「親父に?リキ…?何があった?」
「ヨナもカヨちゃんもまだ言うなよ…実は
シン帝国の軍勢がヨトの国に入った。」
「戦が始まったのか?!そんな兆候は何も
…!」
「まだ戦ではない、ヨトの国に5万近い
軍勢が水揚げされたそうだ」
「ヨトの国が…シン帝国の軍隊を?同盟
か?」
「まだ分からん、とにかくヨナも来てくれ」
「おお、分かった…」
リキの手をとると、リキの龍に跨った。
「カヨ、すまんが先に帰る」
「兄様…はい、分かりました」
ヨナ達が龍に乗って走り去ると、カヨは
陽気なあの2人と、ふざけている兄が
一瞬で真剣になった事に不安を感じて
いた。