ヨナ
九龍大陸にあるコビ国の領主の息子ヨナは、
シン帝国にある騎士学校を卒業し、母国に
帰っていた。
厳しい環境から帰ったヨナは、仕事をする
気も起きず屋敷を抜けだし川のほとりで
昼寝をする平和な日々を過ごしていた。
神が世界を作ったと言われた時から
1000年
世界は4つの大陸に分かれていた。
九匹の龍が護ると言われる、豊かな土地と
山々が連なり海に囲まれた九龍大陸
周りを海で囲まれ、地下資源はないが豊か
な土地と九龍大陸より広い国土を持つ
ミリア大陸
世界最大の広さと、地下資源に恵まれた
アナ大陸
世界の北側に位置する人の住むには厳しい
環境の地域が少ない北の大陸
農耕と魔法の文明を築いていた世界は、
ミリア大陸で興った「科学の文明」により
徐々に変わりつつあった。
世界で一番小さい九龍大陸は、東よりヨト
の国、ゴクチ国、コビ国、ヒョウの国が
あり、最後の戦乱から150年、平安な
時代を過ごしていた。
「ヨナ兄様!また屋敷を抜け出したのね!」
水色の髪を持つ少女が小川のほとりで
寝そべる男に声を掛けた。
「…う、カヨか…屋敷は嫌だ…」
「また、そんな事言って!ヨナ兄様は
騎士学校卒業してからずっとそんなじゃ
ない!」
「早く帰りますよ!仕事!兄様、これ
から農地の視察に、御親兵の訓練でしょ!」
親父に無理矢理、ミリア大陸にあるシン帝国
の騎士学校に留学させられてから早3年、
やっと卒業したのに、ゆっくりする間も
無くこれかよ…
先輩からしばかれつつ騎士に必要な心構え
から武道、戦術から貴族に必要な学問や
マナーやしきたりまで教わったけど…
田舎で畑耕しつつ領民として暮らした方が
性に合ってるし、こんな田舎の領主の息子と
しては、別に留学なんか必要なかったんだ…
そう思案しつつ、寝返りをうつとカヨに
背中を蹴られた。