魔法の発露
夜にヨナとフミは剣を交える。
フミが強くなりたい理由、戦士になりたい
理由に共感したヨナは、魔法には魔法で
応える事にした。
「短剣両手に、スピードを活かした戦い方
か…魔法はどうやって使っている?」
「…ヨナか…、体を強くするのに使っている
よ」
「聞いたよ、何故戦士になりたいか。君が
魔獣に襲われた時、君の母上が君をかばって
逃がして犠牲になられたと」
「…その直後に魔法が使えるようになった
んだ、笑っちゃうよね」
「…だから強くなろうとしているのか、
自分が強かったら母親を守れたんじゃない
かって」
「…それもある…でも一番許せないのは母親を
見捨てて逃げた自分だから」
「なるほどな…」
「…俺と手合わせしないか?」
そう言うとヨナは地面に落ちていた枝を
拾った。
「…いいけど、怪我して後悔しないでよ」
そう言うと、フミの身体から薄く青い光
が発していた、魔法の力を発している。
2人の会話が止まり一瞬の静寂が訪れた
刹那、フミが一気に間合いに入った。
しかし、ヨナに避けられ木の枝がフミの
短剣を抑えていた。
訳が分からない様子のフミは一気に下がり
間合いをとった。
「魔法!?使えるのか?!」
「いや、君みたいな魔法は使えないよ」
フミが姿勢を低くして飛びかかると今度
はヨナに正面から押さえられた。
ヨナの腕には刺青のような模様が、赤く
浮き出ている。
その瞬間、フミは後方に蹴り飛ばされた。
「ふぐうっ!!」
フミは自分が下がるよりも早く衝撃力のある
蹴りを放っていた事に驚いた。
「さっきまでなかった赤い刺青…?」
「魔法を使いこなせないから、封印している
んだ」
次の瞬間、フミはヨナを見失った。
目の前で一瞬消えたのだ。
とっさに気配のする方向に木剣で突くと、
ヨナが刃のギリギリを避けて木の枝が
喉元に当たっていた。
「…負けた」
フミは剣を下ろした。
「魔法を使いこなせないってどう言う事?」
「…なんと言えばいいのか、俺の家は元々
龍騎士の一族で魔法を使える素質はあった
のだけど…」
「龍騎士!?凄い!!龍を使役して魔法を
操り騎士として戦うんでしょ!?」
「それは大昔の話で、今はそんな人いない
よ、少なくとも曾祖父の代からは誰も魔法
を使えなかったんだ」