何回やっても何回やっても鬼が倒せない桃太郎マン
気が付いたらもう無限に同じステージにトライしている俺の名は、桃太郎マン。ロボット工学の権威、お爺さんとお婆さんによって作られた正義の心を持ったロボットだ。
時は20XX年、あまりにも酷い就労の実態が暴露されアジア圏から我が国への技能実習生の供給が完全にストップしてから幾星霜。第一次産業は深刻な人手不足となり、気軽に搾取できる人材がいなくなった代わりとして、俺のような無限に働かせても平気な産業用ロボットが開発されたってわけだ。シテ……コロシテ……。
「待ってろよ、鬼マン。俺がこの正義のきび団子バスターでお前を必ず倒してやるからな!」
俺の中にある良心回路が正義の心で燃え上がる。
「そして不倫略奪愛NTRおセッセの果てに悪に堕ちたお婆さんが本来は平和利用目的で開発されたロボット達を改造して生み出した悪のロボット軍団は全員、この正義のロボット桃太郎マンが必ず倒してやるからな! そういう風にプログラミングされているから俺にはどうあっても逆らえないんだ!」
決意を新たに俺は鬼マンのステージを進む。
「おっと、通常のジャンプでは飛び越えられない崖だ。こういう時はサポートロボットを呼び出して攻略だ! 来い、イヌ!」
説明しよう。正義の心をプログラミングされたこの桃太郎マンには頼もしい仲間がいるのだ。イヌ、ゴリラ、キジの三体のサポートロボットがそれだ。
中でもイヌは背中に強力なスプリングを仕込んだ足場が設置されていて、踏みつけるとびよよ~~~んと高くジャンプできるってわけだ。通常のジャンプで越えられない崖をクリアしたり高い場所に置かれているアイテムを獲得するのに必須の頼れる相棒だ。
「ワンw」
アホ面したイヌが颯爽と登場。こいつは何故か語尾に草生えているが俺の頼れる相棒だ。
「よーし、イヌ、頼むぞ。今回は単に崖を飛び越えるだけじゃない。天井を見ろ、ウニみたいな刺々しいトラップが配置されているだろ。あれに触れると一発で死亡するからな。うまく勢いを調整して俺を飛ばしてくれよな、相棒」
「ワンww」
「よし待ってろよ、鬼マン。俺がこの正義のきび団子バスターでお前を必ず倒してやるからな!」
いざ、行かん!
俺はイヌの背中に飛び乗った!
バイーーーーーーン!
犬が足場を最大出力で射出!
調整無し!
「バッ、おいオラ、イn」
◎
◎ ◎
◎
◎ ◎ ◎ ◎
◎
◎ ◎
◎
気が付いたらもう無限に同じステージにトライしている俺の名は、桃太郎マン。ロボット工学の権威、お爺さんとお婆さんによって作られた正義の心を持ったロボットだ。多分もう30回くらいリトライしている気がするが、俺の良心回路はミスした記憶を消去するようにプログラミングされているので実際のところ何回ミスしたかわからないんだ。
時は20XX年、あまりにも酷い就労の実態が暴露されアジア圏から我が国への技能実習生の供給が完全にストップしてから幾星霜。第一次産業は深刻な人手不足となり、気軽に搾取できる人材がいなくなった代わりとして、俺のような無限に働かせても平気な産業用ロボットが開発されたってわけだ。シテ……コロシテ……。
「待ってろよ、鬼マン。俺がこの正義のきび団子バスターでお前を必ず倒してやるからな!」
俺の中にある良心回路が正義の心で燃え上がる。
「そして不倫略奪愛NTRおセッセの果てに悪に堕ちたお婆さんが本来は平和利用目的で開発されたロボット達を改造して生み出した悪のロボット軍団は全員、この正義のロボット桃太郎マンが必ず倒してやるからな! そういう風にプログラミングされているから俺にはどうあっても逆らえないんだ! シテ……コロシテ……」
決意を新たに俺は鬼マンのステージを進む。
「おっと、通常のジャンプでは飛び越えられない崖だ。なんとなく嫌な予感がするが、こういう時はサポートロボットを呼び出して攻略だ! 来い、イヌ!」
説明しよう。正義の心をプログラミングされたこの桃太郎マンには頼もしい仲間がいるのだ。イヌ、ゴリラ、キジの三体のサポートロボットがそれだ。
中でもイヌは背中に強力なスプリングを仕込んだ足場が設置されていて、踏みつけるとびよよ~~~んと高くジャンプできるってわけだ。通常のジャンプで越えられない崖をクリアしたり高い場所に置かれているアイテムを獲得するのに必須の頼れる相棒だ。
「ワンw」
アホ面したイヌが颯爽と登場。こいつは何故か語尾に草生えているが俺の頼れる相棒だ。
「よーし、イヌ、頼むぞ」
「ワンワンw」
「今回は単に崖を飛び越えるだけじゃない。天井を見ろ、ウニみたいな刺々しいトラップが配置されているだろ。あれに触れると一発で死亡するからな。うまく勢いを調整して俺を飛ばしてくれよな」
「ワンワンwww」
「いいか、全力でバイーーーーン! するなよ? ほどほどに調整するんだぞ?」
「ワンwwwww」
「フリちゃうからな!?」
「ワンwwwwwwww」
「草増えてる気がするがまぁイケるやろ……。よし待ってろよ、鬼マン。俺がこの正義のきび団子バスターでお前を必ず倒してやるからな!」
いざ、行かん!
俺はイヌの背中に飛び乗った!
バイーーーーーーン!
◎
◎ ◎
◎
◎ ◎ ◎ ◎
◎
◎ ◎
◎
俺の名は、桃太郎マン。ロボット工学の権威、お爺さんとお婆さんによって作られた正義の心を持ったロボットだ。なんだかわからないが人生が嫌になってきた。
時は20XX年、あまりにも酷い就労の実態が暴露されアジア圏から我が国への技能実習生の供給が完全にストップしてから幾星霜。第一次産業は深刻な人手不足となり、気軽に搾取できる人材がいなくなった代わりとして、俺のような無限に働かせても平気な産業用ロボットが開発されたってわけだ。
産業用ロボットには良心回路を呼ばれる、人間に絶対に反抗できないようなプログラムが組み込まれている。どこが“良心”やねん! シテ……コロシテ……。
「待ってろよ、鬼マン。俺がこの正義のきび団子バスターでお前を必ず……」
「ワンw」
「……まだ呼んでへんねんけど? 何で出てきたん?」
「ワンw」
アホ面したイヌが颯爽と登場。こいつは何故か語尾に草生えているが俺の頼れる(?)相棒だ。
「お前、な。ええ加減にせぃよ。さすがの桃太郎マンさんも良心回路のコードが切れるで?」
「ワンワンw」
「出力調整せぇよ?」
「……くぅーん」
イヌは何故か悲しそうな顔をして俺に背を向けた。
「おい、何やねんその態度は!? なんや俺が悪いみたいやんけ……」
「くぅーん……やっぱり僕なんか桃太郎マンに必要とされてないんだ。いない方がいいんだ」
「唐突に流暢に喋り始めたなコイツ」
「さよなら……正義のヒーロー」
「ま、待てや! 崖から飛び降りんなや! 俺が悪かったって!」
「ワンwwww」
「ってそっちのテンション戻んのかーい! 切り替え早いな!」
イヌが尻尾を振り振りしながら俺に背を向ける。さぁ、乗ってけよと俺を誘う。
「頼むでホンマ。全力でバイーーーーン! はアカンで?」
「ワンwwwww」
「フリちゃうからな!?」
「ワンwwwwwwww」
「ちゃうからな!!?」
いざ、行かん!
俺はイヌの背中に飛び乗っ……とフェイントをかけて手で足場を叩いた。
バイーーーーーーン!
「やっぱりワザとやっとるんやないかい!」
俺は良心回路を鬼にしてイヌを崖下に突き落とし、
川
川
川
川
川
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/ | クウーン・・・
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|▼ / ヽ
ヽ人__ / / ヽ
ヽ___ / / ヽ
|_正夫/ ヽ
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キジに乗ってボスステージ前まで運んでもらいましたとさ。
本作を読んで腹筋がティウンティウンしちゃった方は、このページの下部にある☆をティウンしてくださると作者の良心回路がトゥンクします。