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さまざまな短編集

好きな複葉機

作者: にゃのです☆

 前の戦争が終わってからちょうど百年という大きな節目を迎えた今年。

 私は複葉機で空を飛んでいた。

 発端は数か月前に来た一本の電話だった。

 

「突然すみません。私、航空自衛隊広報課の末広(すえひろ)と申します」

「はい」

上堂(かみどう)様のお電話でよろしかったでしょうか?」

「はい。私が上堂です」


 自衛官と名乗る人物は明るい声で続ける。


「実はですね。数か月後の航空祭にぜひとも出ていただきたいと思いましてお電話させていただきました」

「いきなりですね」

「すみません。上堂様が現在再現している飛行機に関することで目に留まったのとこちらの基地が元々、訓練基地として前大戦で使われていた経緯でオファーさせていただこうと決まりまして」


 確かに私が住む近くに空自の基地はある。今では防衛の要ともなり訓練基地としても継続している基地だった。だから、好きな航空機が様々な種類が見れるという理由でここに引っ越してきたというのもある。

 ついには自分の手で飛行機を一機作り上げるほどに。

 もちろん妻や子供は呆れている。

 そんな中でのこのオファーだ。二つ返事でオーケーを出した。

 

 最初はエンジンの調整、強度、操作を点検して実際に飛ぶのかわからなかった。

 だが、今日こうして飛べているのは紛れもない事実だ。


「上堂さん。どうしてこの複葉機だったんですか?」


 前で操縦してくれている空自のパイロットが無線で質問してくる。


「それは、どの飛行機よりもこいつが好きだった。こうして後ろで乗っけてもらえて飛んでいることに感動しているんだ」


 コクピットは狭い。風は強い。だが、百年前まではこの複葉機で戦闘機に乗るために訓練していた若者たちがいたのだ。

 こいつの名は九三式中間練習機、通称“赤とんぼ”

 橙色に塗られた機体が小さい頃から好きだった。

 乗れた経験は本当に貴重な経験だ。


 こうして自分の航空際も無事に終わった。


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