第7話 政治の無い世界
小説【18禁惑星ちきゅきゅ】第7話 政治の無い世界
イタオとズラ子は、いつもの場所で待っていると、1人の男の子が駆け寄って来た。
タッタッタッ…
男の子「オーイ イタオ〜」
イタオ「やぁ! え〜と… え〜と… う〜んと…」
男の子「まさか… 僕の名前を忘れたのかい? ノブオだよ!」
イタオ「も、もちろん覚えているとも! ノブオのことは片時も忘れたことなどないよ(汗)」
男の子「( ̄ー ̄)ニヤリ 引っ掛かったな… ホントはヒロキだよ。アハハ…(笑)」
イタオ「う… ハメられた…」
ズラ子「( *´艸`)ププッ」
ヒロキ「みんなが、イタオたちは人の名前を覚えられないと言っていたから、ちょっとカラかってみたんだよ(笑)」
イタオ「そうなのか… 騙されたよ… ハハハ…(笑)」
ズラ子「私たちの星では、エネルギーでお互いを認識し合うから、名前とか顔とかは、あまり重要視されてはいないのよ。それでみんなの顔や名前が、中々覚えられないだけなの(笑)」
イタオ「名前や顔なんて、人の本質とは何の関係も無いものだからね。オレたちの世界では本質のみを見るし、本質にしか興味が無いんだよ」
ヒロキ「そうなのか〜 やっぱり星によって違うものなんだね〜 今度からイタオたちと会う時には、胸に名札を付けておくように、みんなに言っておくよ(笑)」
イタオ「そうしてくれると、非常に助かる^^;」
ーーーーーーーーーー
ヒロキ「ボクは将来政治家になりたいんだけど、 それでノーテンキ星の政治経済を学びに連れて行ってほしいんだよ」
イタオ「ノーテンキ星には、政治も経済も無いんだよ…」
ヒロキ「!?(゜〇゜;)ええっ?」
イタオ「でも、政治も経済も無い世界を知ることが、政治経済のある世界を理解することに役に立つと思うよ。本来は政治も経済も必要無いことに気付くからね」
ズラ子「そうね! 人が幸せに暮らすのに必要なのは政治でも経済でもなくて、政治にも経済にも支配させない世界を作ることだからね」
イタオ「本当に必要なことは、もっと本質的で、もっと実質的な事柄なんだよ。ちきゅきゅでは、本当に大切なものが、それとスリ替えられてしまっている…」
ヒロキ「ん〜 よく分からないけど、とにかく行ってみたい!」
イタオ「了解! こっちはいつでもOKだよ」
ヒロキ「じゃあ、次の日曜日にお願い」
ーーーーーーーーーー
日曜日…
イタオ「では、出発進行~」
………………
ズラ子「さぁ! 着いたわよ」
ヒロキ「ちょっ、ちょっと待ってよ! どうでもいいけど、ボクの回ではずいぶんと省略されていないか?(笑)宇宙船に乗るシーンとか、覚醒する小部屋のシーンとか…」
ズラ子「きっと、作者が手抜きをしているのよ…フフフ…(笑)」
ヒロキ「???」
作者「( >д<)、;'.・ヘクシッ」
イタオ「では、早速始めようか。さっきも言った通りに、この星には政治は無い。でもあると言えばあると言えなくもない」
ヒロキ「( ´・д・)ン?」
イタオ「君の住むニポポンは、たしか議院内閣制だったね?」
ヒロキ「うん! そうだよ」
イタオ「この星のシステムは、あえて言えば、直接民主主義に近いかな〜」
ヒロキ「あぁ カルフォル○ア州にある制度だね」
イタオ「いや、あれとも違う。あれは多数決制だよね? この星には多数決というものすら存在しない。多数決とは一見、公平に見えるけど必ず勝者と敗者に分かれるから、進化した世界では絶対に採用しない制度なんだよ」
ズラ子「誰一人、敗者など出さない制度を作ることが真の勝者であり、真の政治なのよ。ちきゅきゅとは、この辺の認識が根本的に違うわね」
ヒロキ「じゃあ多数決じゃなかったら、どうやって意見をまとめるんだい?」
イタオ「それは簡単なことだよ。誰も意見なんか、まとめないんだから」
ヒロキ「え?(゜〇゜;)」
イタオ「意見とは、まとめるものではなくて、叶えるものなんだよ。1人ひとりの意見や希望や願いを全て、可能な限り実現させるように努めるだけでいいんだよ。多数決では誰かが得をして、誰かが我慢をしなければならない。誰一人我慢をしなくても済むようにすればいいだけ」
ズラ子「これが1人ひとりが、主権を持った本当の意味での民主主義なの。少数切り捨てではなくて、1人足りとも切り捨てないのが、真の民主主義というものなのよ。つまり、多数決をやめれば全員が勝者になれるということ。それに所有の無い世界には利害関係でモメることも無いから、誰もが全体の喜びと幸福のためのアイデアを出すものなの」
イタオ「うん。 だから争いも競争も起きないし、富や権力が偏ることも無い。だから、支配も搾取も起きずに平和に暮らせるんだよ」
ヒロキ「なんか、ちきゅきゅとはあまりにも違うシステムなんだね」
イタオ「うん… 大きな違いはシステムや習慣、常識、価値観、この辺りかな〜」
ヒロキ「今、ボクの中の常識が、ガラガラと音を立てて崩れていくよ…」
ーーーーーーーーーー
ヒロキ「今日はどうもありがとう! 政治や経済の勉強をたとえ何年やったとしても気付かなかったことを学ぶことが出来たよ!」
イタオ「ヒロキなら、きっといい政治家になれるよ! 応援してるからね!」
ズラ子「そうよ! その時にはちきゅきゅとノーテンキ星で、公的に密な交流が可能になるようにしたいわね! 元々は同じ星に住む仲間だったのだから」
つづく…