第2話 似て非なる世界
小説【18禁惑星ちきゅきゅ】第2話 似て非なる世界
家に帰れない2人は、親に見つからない山奥で、宇宙船泊をしていた。
ズラ子「私たち、もう1ヶ月も山奥暮らししてるのよ! そろそろ飽きてきたわ!」
イタオ「うむ… 確かに山奥じゃイタズラをする相手もいないし、娯楽も無いもんな〜」
ズラ子「そろそろ家に帰ってみる? それともまた他の星に行く?」
イタオ「よし! ではもう一度ちきゅきゅに行ってみようぜ!」
ズラ子「あそこは危ないわ! また、いきなり戦闘機で襲ってくるかも知れないでしょ!」
イタオ「その時は、その時だよ」
ズラ子「じゃあ、行こう」
イタオ「お前には、信念というものは無いのか!(笑)」
ズラ子「(*ノ>ᴗ<)テヘッ✧」
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ズラ子「また瓶三を見に行くの?」
イタオ「いや、今度はちきゅきゅの文化を見学しようと思う」
ズラ子「あんな野蛮な星の文化を?」
イタオ「うん… 確かに野蛮な人たちもいるだろうけど、もっとよく知らないと適切な判断は出来ないよ」
ズラ子「ふむ…」
イタオ「大人たちは、ちきゅきゅのことをロクに調べもせずに野蛮な星だと決め付けて18禁指定しただけかも知れないよ。それにオレたち子供の目線で見ないと、見えないものもあるんじゃないかと思う」
ズラ子「なるほど…」
イタオ「結論を出すのは、相手を充分に理解してからすべき事だと、オレは思うよ」
ズラ子「おお! イタオがマトモな事を言っている! どしたの? なんか変な物でも食べた?」
イタオ「え〜と… 今朝はズラ子の作った野菜炒め… その前はズラ子の作った麻婆豆腐…
更にその前はズラ子の食べ残したカップ麺… 更にその前はズラ子の拾ってきた… 更にその前はズラ子の……」
ズラ子「もういいよ!(笑) 全部私のせいかよ!」
仲が良いのか悪いのか分からないおバカな2人を乗せた宇宙船は、再びちきゅきゅに向かって飛び立って行った。
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イタオ「よし! 見えてきた 今度は最初から不可視化してから大気圏に入ろう。そうすれば見つかりはしないだろうから」
ズラ子「おお! イタオにも学習能力があったのね」
イタオ「そりゃ〜 少しくらいはあるよ(笑)」
ズラ子「だって、いつもイタズラをして怒られてばかりいるくせに」
イタオ「お前もな(笑)」
………………
ズラ子「私、お腹空いた〜 ちきゅきゅの料理を食べてみない?」
イタオ「うん! 賛成。では、とりあえずニポポンに向かおう」
………………
2人は、ニポポンにあるファミレスの1つに入っていった。
店員「いらっしゃいませ〜」
ズラ子「あれ? ここは、ロボットもいないし、セルフサービスでもないみたいね」
イタオ「うん、どうやら人間が働いているようだね。まだ労働というものが残っている文明なんだろうね」
ズラ子「かわいそう… ( ;∀;)ウルウル」
席に着くと、店員さんがメニューを持って来た。
店員「ご注文が決まりましたらお呼び下さい」
ズラ子「ん? 見て! イタオ! 私たちの星と同じ料理がたくさんあるわ! どういうこと?」
イタオ「ホントだ〜 野菜炒めに麻婆豆腐… ラーメンまである… もしかしたら… ちきゅきゅとノーテンキ星は、何らかの接点があるのかも知れないね」
ズラ子「大人たちは何か隠してるのかな〜 だから18禁指定しているのかも知れないわね」
イタオ「うむ… 何か言えない事情があるのかも知れない…」
ズラ子「でもメニューに違和感を感じなくていいわね。私、パフェ。イタオは?」
イタオ「オレはケーキ」
2人は店員さんを呼び、注文をした。
………………
イタオ「おお! きたきた」
ズラ子「はむ… 美味しい♪」
イタオ「うん! ウマい。味はノーテンキ星と変わらないね。やっぱり、この星とは何か繋がりがありそうだ」
………………
イタオ「じゃあ、そろそろ出ようか」
イタオ/ズラ子「ごちそうさまでした〜」
店員「お会計は、ご一緒でよろしいですか?」
イタオ/ズラ子「???」
店員「合計1800円になります」
イタオ「おかいけい?」
店員「はい、1800円になります」
イタオ「それは何のことでしょうか?」
店員「1800円お支払い下さい」
イタオは、コンピューター端末で調べてみた。
ピポパ…
イタオ「ズラ子! どうやら、お金とかいう謎の紙を出さないといけないらしいぞ…」
ズラ子「何それ?… 意味分かんない…」
イタオ「もしかしたら、この星では対価を要求する習慣があるのかも知れない」
ズラ子「なんでまた、そんな面倒くさいことをするの?」
イタオ「分からないけど、遅れた世界では対価というものがあると、大人たちに聞いたことがある。ただの都市伝説かと思っていたが…」
ズラ子「…………」
イタオ「え〜と。お金持っていないんですけど」
店員「ちょっと、お待ち下さい」
店員は、店の奥に入って行った。
店員「店長〜! 無銭飲食です!!!」
イタオ「なんかヤバそうだ! 今のうちに出よう!」
ズラ子「うん!」
2人は、急いで店から出た。
………………
イタオ「ふぅ〜 ここまで来ればもう安心だろう」
ズラ子「ハァハァ… 食べたばかりで、全力疾走はシンドイわ(笑)」
イタオは、コンピューターで詳しく調べてみた。
ピポパ…
イタオ「え〜と、コンピューターによると、この星では何をするのにもお金というものが必要らしい」
ズラ子「なぜ? 何のために? 紙キレなんて何に使うの? もしかして、この星では紙を食べるの?」
イタオ「いや、どうやら所有という習慣が、まだ残っていて、物を交換するための引き換え券のような意味合いらしい…」
ズラ子「バカじゃない? そんなことをしているから労働が無くならないのよ! 同情して損した! そんなの、ただの自業自得じゃないのよ! ちょっと考えれば、そのくらい分かるでしょ!」
イタオ「うん… 所有と対価という原始的な習慣が無駄な労働の根源だということに、まだ気付いていないんだろうね…」
ズラ子「ここまで見た限りでは、豊かで便利そうな文明なのにね…」
イタオ「うむ… 文明のレベル自体はノーテンキ星と大した差は無さそうだ… 違うのはシステムや習慣なのかもね。それが不便で面倒くさいことを生み出してしまっている原因なんだと思う」
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イタオ「文明とは、最初は物々交換。やがて所有という概念が無くなり、共有になっていくものなんだよ。そうすれば、貧困や物の不足が無くなり、全ての人に行き渡ることに気付くからね。そして、無駄な生産が無くなると同時に、無駄な労働も無くなるということ。つまり、全ての人にとってのメリットになる。でも、この星では違う進化の道を辿っているみたいだね…」
ズラ子「さすが歴史オタク。詳しいわね(笑)」
イタオ「一度、ノーテンキ星に戻って大人たちに聞いてみよう。何か隠していることがあるはずだから」
2人はノーテンキ星へと帰って行った。
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イタオ「到着〜 よし! 早速、親に聞いてみるから、また後でな〜」
ズラ子「バイバイ~(^_^)/~」
………………
イタオ「父ちゃん。ただいま〜」
父「コラー! 父ちゃんのパンツにマヨネーズを塗ったのはお前だろう!」
イタオ「それはオレじゃないよ! オレが塗ったのはメンソレータムだもん!」
父「やっぱりお前か! バカめ。誘導尋問に引っ掛かりおって。まだまだ子供だな! ガハハ…(笑)」
イタオ「う… しまった… 最近は父ちゃんも腕を上げたね! ハハ^^;」
父「ああ お陰さんでな(笑)」
イタオ「そんなことより、父ちゃん! ちきゅきゅとノーテンキ星って、もしかしてルーツは同じじゃない?」
父「お前、ちきゅきゅに行ったのか? あそこには行ってはいけないと言ってあるだろ!」
イタオ「もう行ってしまったものは、しょうがないだろ! それより何か隠してることがあるでしょ? オレはそれを知りたいんだよ。なぜ、ちきゅきゅとノーテンキ星では、多くの共通点があるんだい?」
父「……… そうか… 知ってしまったのか… では話そう…
つづく…