第1話 序章
小説【18禁惑星ちきゅきゅ】第1話 序章
イタオ「 まいったな〜 (/´△`\) イタズラがバレて、家を追い出されてしまったよ…」
ズラ子「私も追い出されちゃったわ… おまんじゅうの中に、ワサビを大量に入れておいただけなのに… それだけのことで家を追い出すなんてヒドイと思わない?」
イタオ「それは、やり過ぎだろ!(笑)」
ズラ子「じゃあ、アンタは何をして追い出されたのよ」
イタオ「オレは父ちゃんの育毛剤の中身を、脱毛剤に入れ替えておいただけだよ」
ズラ子「アンタの方がヒドイじゃないのよ! キャハハハ(笑)」
イタオ「( ´∀`)ハハハ」
ズラ子「でも、どうしよう… お家に入れてもらえない…」
イタオ「うん… 仕方ない… ほとぼりが冷めるまで、どこかの星に旅行でも行こうか?」
ズラ子「アンタはいつも家を追い出されると、親の機嫌が直るまで他の星に避難するわよね」
イタオ「大人は時間が経てば、忘れてしまう生き物だからな。ハハハ…」
ズラ子「でもどこの星に行くの?」
イタオ「プレアデス系や、シリウス系などの5次元帯域の惑星は、ほとんど行ったことがあるから、まだ行ってない星がいいな」
ズラ子「たとえば?」
イタオ「3次元帯域にある【ちきゅきゅ】はどうだい?」
ズラ子「あそこはダメよ! 18禁惑星だから、私たちの年齢では、まだ行ってはいけないと、大人たちに言われているでしょ!」
イタオ「それは知ってるけどさ〜 ダメと言われると余計に行ってみたくなるのが人の性ってもんだろう」
ズラ子「じゃあ、行こう」
イタオ「お前、前言撤回するの早くね?」
…………………………
こうして、ちょっとおバカなイタズラコンビを乗せた宇宙船は【ちきゅきゅ】に向かって飛び立って行った。
ーーーーーーーーーー
ズラ子「わぁ〜 見えてきたわ!」
イタオ「中々キレイな星じゃないか〜」
ズラ子「小さくて、青くてカワイイ感じの星ね」
イタオ「うむ。でもなんで18禁指定されているんだろうね」
ズラ子「さあ… きっとイタオのようなイタズラ坊主が、たくさんいる惑星なのかも知れないわね。キャハハハ(笑)」
イタオ「お前に言う資格は無いと思うぞ(笑)」
2人は、しばらくのあいだ、ちきゅきゅ上空からの眺めを楽しんでいた。
すると突然、一機の戦闘機が現れ、機銃掃射をしてきた。
ダダダダダダッ…
ズラ子「キャーーー! 何これ? いきなり攻撃してくるなんて信じらんない!」
イタオ「マズいな! 一旦、不可視化してやり過ごそう!」
イタオは、宇宙船の周波数を変えるボタンを押した。
ポチッ
イタオ「ふぅ… 危なかったな! でもこれでもう、向こうからは見ることも触ることも出来ないから安全だよ」
ズラ子「なんで、いきなり襲ってくるの? 私たちはまだ何もイタズラしていないってのに! (`ヘ´) プンプン」
イタオ「でも、これでなぜこの星が18禁指定されているのかの理由が分かったね」
ズラ子「危険な惑星だということ?」
イタオ「うむ。相手を知ろうともせずに、いきなり殺そうとしてくるなんて、他の星ではあり得ないことだよ。でも中には、治安の良い地域もあるかも知れないから、コンピューターで調べてみよう」
イタオはコンピューターで、この星のデータを検索してみた。
ピポパ…
イタオ「コンピューターによると【ニポポン】という国は比較的安全らしい」
ズラ子「どれどれ?」
ズラ子はコンピューター画面を覗き込んだ。
ズラ子「年間の自殺者数3万人… 行方不明者数8万人… 凶悪犯罪の検挙率10%… ちょっと! なにこれ? これがこの惑星では治安が良いっての?」
イタオ「うむ… 他の国はもっとヒドイということだろうね…」
ズラ子「なんてことなの…」
イタオ「この星の人間とコンタクトを取るのは、やめておこう。あまりにも危険過ぎる…」
ズラ子「うん… なんか笑えなくなってきた…」
イタオはコンピューターで、この星の霊長を検索した。
ピポパ…
イタオ「コンピューターによると、この星の霊長はクジラ目だそうだ。愛の度数700以上がゴロゴロいる種族だそうだよ」
ズラ子「700か〜 それなら安心してエネルギー交流出来る数値ね!」
イタオ「うん。せっかく来たんだし、クジラ目とコンタクトを取ってみようか」
ズラ子「そうね! そうしましょ」
2人の乗る宇宙船は、海の中へと潜っていった。
ズラ子「わぁ〜 とてもキレイ 色鮮やかな熱帯魚がたくさん泳いでいるわ」
イタオ「うん! ずっと見ていても飽きないほど、キレイな世界だね!」
ズラ子「でも、クジラさんは見当たらないわね」
イタオ「よし! もう少し深い海域まで潜ってみよう」
…………………………
イタオ「あ! いたいた! デカっ!」
ズラ子「何この大きさ? この星のクジラさんはサイズが桁違いなのね!」
イタオ「うむ。この宇宙船よりも大きいね」
ズラ子「私、ちょっと怖い…」
イタオ「じゃあ、もう少し小型のクジラ目を探してみようか。この星ではイルカと呼ばれているらしいけど」
しばらく進むと、1頭のイルカが見えてきた。
ズラ子「あ! いたいた! カワイイ♪」
イタオ「よし! じゃあ話し掛けてみようか。コンピューターによると、彼らは通信能力が発達してるから、テレパシーで会話出来るそうだよ」
…………………………
イタオ「こんにちは! イルカさん!」
イルカ「こんにちは! まぁ珍しい! あなた達はこの星の人ではないわね?」
イタオ「なぜ分かるのですか?」
イルカ「私たちの祖先は、元々はシリウス系からやって来た宇宙種族なの。だから他の星の人は、すぐに見分けがつくのよ」
イタオ「そうなんですか〜」
イルカ「もう地上には、行ってみた?」
イタオ「いえ、まだ行ってません。上空にいる時に、いきなり機銃掃射されたので、陸はやめて海の中に来たんです」
イルカ「まぁ! それは大変だったわね! この星では領空侵犯とか難癖を付けて、いきなり攻撃してくるから、充分に注意してね。本当は、お空は誰のものでもないのにね」
イタオ「はい!」
ズラ子「でも、海の中はキレイだし、平和そうだし、とても良いところですね」
イルカ「ええ… 確かに陸地よりは、遥かに安全ではあるわね… でも近年は海洋汚染が深刻で、以前よりは住みにくくなってきてるのよ…」
ズラ子「そうなんですか…」
イルカ「ところで、あなた達はどこの星からやって来たの?」
イタオ「僕たちはD34宇宙にある【ノーテンキ星】からやって来ました」
イルカ「あぁ… あの能天気な人が多く住む惑星ね。あ! 失礼(笑)」
イタオ「いえいえ(笑) 本当のことですから ハハハ…」
イルカ「観光で来たの? それとも移住が目的?」
イタオ「う〜ん 見学かな…」
イルカ「そうなんだ〜 ではゆっくり見学していってね!」
イタオ/ズラ子「ありがとう御座いました!」
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イタオ「やっぱり、イルカさんは善良だね〜」
ズラ子「うん。でもどうする? もっと見学する? それとも帰る?」
イタオ「う〜ん。せっかく来たんだし、話のネタに今度は悪も見てみたいな〜」
ズラ子「陸地は危険だと、さっきイルカさんに言われたばかりでしょ!」
イタオ「そうだけどさ〜 危険と言われると余計に見てみたくなるのが、人の性ってもんだろう」
ズラ子「じゃあ、行こう」
イタオ「お前、ホント前言撤回が早いヤツだな(笑)
ズラ子「でも比較的安全な国にしてね」
イタオ「分かった。じゃあさっき検索したニポポンに行ってみよう」
ピポパ…
イタオ「コンピューターによると、ニポポンで一番邪悪なのは瓶三一家というカルトマフィアのボスらしいよ… なんと!愛の度数12しか無い」
ズラ子「たった12? 寄生虫レベルじゃないのよ(笑)」
イタオ「うむ。でも総理大臣をやっていて、今は国会で答弁中らしいよ。行ってみようか」
…………………………
2人は不可視化して、国会議事堂に入って行った。
…………………………
イタオ「お! いたいた! あれがそうだね。翻訳機を使って聞いてみよう」
瓶三「私は立法府の長でありまして… デンデンが、セイゴで、ガイチテキでございます」
イタオ「(゜Д。)あん!? 翻訳機を使っても、何を言っているのかサッパリ分からん(笑)」
ズラ子「アハハ、翻訳機から煙が出てきたわよ(笑)」
イタオ「翻訳機まで困らせるとは、さすがニポポンで一番の悪だね(笑)」
…………………………
イタオ「じゃあ、そろそろ帰ろうか?」
ズラ子「うん。でもなんだかんだ言っても、結構楽しい星よね」
イタオ「うん! またそのうちに来てみようか」
2人は母星のノーテンキ星へと帰っていった。
数日後……
トゥルルル トゥルルル
ズラ子「イタオから電話だわ! ピッ もしもし…」
イタオ「すまないが、今晩お前んちに泊めてくれないか? また家を追い出されてしまった…」
ズラ子「また? ホント懲りない人ね〜 泊めてあげたいところだけど、実は私もついさっき家を追い出されたばかりなの(笑)」
イタオ「お前もかよ!(笑) 今度は何をやらかしたんだ?」
ズラ子「ケチャップの中身をタバスコに変えておいただけよ。それをバアちゃんが食べてしまってヒーヒー言ってたわ(笑)」
イタオ「それは、やり過ぎだろ(笑)」
ズラ子「じゃあ、アンタは何をしたのよ?」
イタオ「オレはトイレのウォシュレットを改造して、水流を10倍にパワーアップしておいただけだよ。便所から父ちゃんの悲鳴が聞こえてきて傑作だったぞ。ウギャーって(笑)」
ズラ子「アンタの方が、ヒドイじゃないのよキャハハハ(笑)」
イタオ「( ´∀`)ハハハ」
ズラ子「じゃあ、今度はどこに避難するの? 火星? それとも金星?」
イタオ「いや、もう一度ちきゅきゅに行ってみよう」
つづく