87話 悪霊退散!
お城で国王陛下への謁見を待っている。なんだかんだで時間が掛かるらしい。
その間に、この国の王女からの依頼を受けたりして、時間を潰している。
その王女、2日程俺の家に泊まったりしていたのだが、さすがに飽きたのか、3日目は泊まらなかった。
俺も数日ぶりにベッドで寝た。
――そして次の日の朝。
朝起きて、アネモネがパンを焼き、プリムラがスープを作る。ベルが花壇で鳥を獲ってきてくれた。
そして、皆で朝食を食べ終わるとまったりとしている。
俺はコーヒーを飲みながら、ベルの漆黒で滑らかな毛皮にブラシを掛ける。
「なぁ旦那、国王陛下に会えるのはいつになるんだろうな」「遅いね」
「解らん。でも、普通に街で宿屋に泊まってたら、宿代で大変な事になるな」
プリムラの話では――謁見を申しこんで一旦地元へ帰る。そして謁見の日時が確定するとお城から手紙がやってくると言う。
「普通はそうなんだろうな。でも、俺は国王陛下から手紙で直接呼び出しを受けたわけだし……」
「ケンイチが召喚獣を使ってやって来たので、あまりの登城の早さに混乱しているのでは?」
普通は、馬車でやって来ると数週間かかるらしいからな。
「まさか、数日で王都に来るなんて思ってみなかったにゃ」
「ありえますわ」
さて、王女からはゴースト退治がどうのと言われていたが、そんな事が出来るのか?
食後のコーヒーを飲みながら、悩んでいると――王女がやって来た。
しかも、ドライジーネに乗って。だが王女は地面を蹴っていない。いや、そもそもこのドライジーネはプリムラの身長に合わせたサイズなので、背の低い王女では足が届かないのだ。
だが、ドライジーネは前に進んでいる――歩くぐらいの速さだが。
よくみると前輪の上に何かドラム状の物が取り付けられている。それが回転力を生んでいるようだ。
元世界でも、自転車に取り付けできる後付けのエンジンやモーターを見た事があったが、それに類似している。
「ケンイチ! これを見てみよ!」
「お早うございます、リリス様。地面を蹴らなくてもドライジーネが動いておりますが、魔法でしょうか?」
「この筒が魔道具で、回転力を生む仕掛けらしいぞ」
「このような魔道具を作れる魔導師が、お城にいらっしゃるわけですね」
「うむ! カールドンといってな、魔道具の製作を得意としている変わり者じゃ」
王女が変わり者っていうぐらいだから、かなりの変わり者なのだろう。しかし、こんなモーターのような魔道具があるって事は、中々侮れないな。
「このような魔道具はよく見られる物なのでしょうか?」
「よくは知らぬが、カールドンの話では、これで紐などを巻き上げて、扉を開閉したりするらしい」
へぇ~、そういえば自動ドアがあるなんて話を聞いたな。これが元か。
なるほどな――こういう物があるなら、俺の車やら重機を見ても魔法で動くと信じて疑わないわけだ。
デカいゴーレムなんて、巨大ロボットだしな。
「リリス様、こういう物がありますなら、箱に4つ取り付ければ、乗って移動する物が出来まする」
俺は、アイテムBOXに入っていた4輪のカートを取り出した。プリムラが露店へ荷物を運ぶために使っている物である。
これに魔道具のモーターを取り付ける事を提案する。
「おおっ! 確かに!」
アイテムBOXから、スケッチブックと鉛筆を取り出すと、モーターから車軸を伸ばして、後輪を動かす――ミニ四駆のような構造を描く。ついでに並行リンクを使ったステアリング機構もサービスだ。
「このような形になります」
「む! 其方、絵も中々達者じゃのう」
「恐れ入ります」
王女が、メイドを呼んで俺の描いた絵を渡した。
「これを、カールドンの下へ」
「かしこまりました」
メイドさんが一礼して、奥へ消えていった。
「それでの、ケンイチ」
「はい、なんでございましょう」
「我が母も、昨日の菓子を所望での。チョコと申したか」
「ええ? あれでございますか?」
「まだ、在庫はあるだろうかの?」
俺は、シャングリ・ラから昨日と同じゴ○ィバのチョコを購入した。
「金貨2枚でございます」
「おおっ! 助かる! 我が母は、ちょっと気むずかしくてのう……怒らすと大変なのじゃ」
「もしかして……先に王女様が美味しい菓子をお食べになられたので、ご機嫌が斜めになってしまわれたとか」
「まぁ、そんなところじゃ」
しかし、娘にお菓子を食べられたからといって、不機嫌になるのもちょっと……。
だが俺の怪訝な表情に、王女が気がついたようだ。
「何か変かえ?」
「いいえ」
「妾は母の実の娘ではないからの、実の親子と少々違うところもあるやもしれん」
「これは気付かず、申し訳ございません」
「構わぬ。別に仲が悪いわけでもないしの」
どうやら、王女は亡くなった側室の娘らしい。そして、いまのところ王女が唯一の子供なので、国王から溺愛されているようだ。
親子というか、歳の離れたライバルのようなものか。
「一応、其方にも言っておく。いずれ会うとは思うが、我が母を怒らすではないぞ? 無理難題を押し付けてくるようなお方ではないが、怒らすと面倒じゃぞ?」
「はは、肝に銘じまして」
そして、話はゴーストの話になった。
「本当にやるのでございますか?」
「メイド共がうるさくてな」
「それでは少々お願いがございます。ゴーストの気配を察知出来るのは、家人の獣人と森猫だけでございますので、彼女達のお城への立ち入りを許可してください。勿論、監視をお付けになって構いませんので」
「承知した」
しかし、ゴーストってどうやって祓うんだろうな。
シャングリ・ラでその手の電子書籍を漁って、ペラペラと捲ってみる。おおっ、悪霊退散の呪文が載っているじゃないか。
――ノーボータリツハラボリツシャキンメイシャキンメイタラサンダンカエンビイソワカ――らしい。
そして悪霊退散といえば、漫画やアニメによく出てくるのは聖水ってやつだが……。
諸外国の聖水は泉等の水を儀式によって聖水化するんじゃなかったか。でも、そんな儀式は出来ないぞ?
日本式で言えば、お神酒か……要は日本酒だよな。そして清めの塩か。
日本酒に塩を溶かしたら、効き目が倍増しないだろうか? ちなみに、アルコールに塩は溶けないが日本酒は殆ど水なので解ける。
「聖水か……」
一応、シャングリ・ラで『聖水』を検索してみる。『お嬢様○聖水』っていう怪しいのがヒットしたが、これは違うよな――酒らしいが……。
だが、ページを捲っていくと――『聖水』がある。また何か怪しいグッズだろうか?
商品説明には、『聖職者の祝福を受けた水です』と書いてある。
マ ジ で ?
さすが、シャングリ・ラ、なんでも売っているな。
嘘か本当かは判らないし、元世界の宗教の聖水が、この世界のゴーストに効くかも解らないが、物は試しだ。
よし、日本酒+塩にこいつを混ぜてみよう。和洋折衷で聖水をパワーアップだ。
まずは聖水を撒くための道具を買う。4L入るプラ製の白いタンクがついている噴霧器を1800円で購入。
手動でポンピングして蓄圧、除草剤を撒いたりする時に使う物だ。俺も除草剤を撒くのに使っていた。
噴霧器を開けて日本酒と塩を入れ、シャングリ・ラで購入した聖水とやらを投入してよく撹拌する。
そして噴霧器の取手を掴んでポンピングする。こいつで内部を加圧するためだ。
「ケンイチ、それはなんなのじゃ?」
「これは、噴霧器でございます。そして中には浄めの聖水を入れました」
噴霧器の持ち手のところについているトリガーを引いて、聖水を出してみせる。
「おおっ! これは便利じゃのう」
「ドライジーネの魔道具を作った方なら、複製出来るかと」
「しかし、妾がこれを持っても、使い方が浮かばぬ……」
まぁな。この世界には農薬も除草剤もないだろうし――いや、木酢液ぐらいはあるだろうか。
「それでリリス様、いつから始めましょうか?」
「たった今からじゃ!」
王女は暇なのか、俺達について城内を一緒に回ると言う。それに除霊の結果が、どうなるか興味もあるようだ。
「リリス様、効果がないかもしれませんので、予めご了承くださいませ」
「妾も無理難題を申している自覚がある故、大丈夫じゃ」
王女を筆頭に獣人達とベルを引き連れて歩く。アネモネは俺の後ろにいる。
プリムラはお留守番だ。どうやらゴーストが怖いらしい。
皆と一緒に、お城の内部へ――と思ったら、外側の廊下で既に反応があるらしい。
獣人達とベルが廊下の片隅を見つめている。
「あの角にいるのか?」
「そんな気配がするにゃ」「ああ、こっちを見ている感じがする」「にゃー」
皆が同じ意見なので、マジでいるのかもしれない。俺や王女の後ろを付いてきているメイドさんや、護衛の騎士には全く見えていないようだが。
俺は噴霧器のノズルを目一杯に伸ばし、電子書籍のアンチョコを開いた。
「悪霊退散! ノーボータリツハラボリツシャキンメイシャキンメイタラサンダンカエンビイソワカ!」
とりあえず自作聖水を噴霧器でぶっかけてみる――霧状の聖水が天井へ向けて発射された。
これで、本当に効き目あるのか?
「何語じゃ?!」
俺の怪しげな呪文に、王女とギャラリーがざわついている。
「あ、いなくなったにゃ!」「旦那、なんか消えたぞ?」「にゃー」
マ ジ で ?
本当かよ。
「すごーい!」
いや、アネモネ、実はあまり凄くないから。
「面白い! ケンイチ、次じゃ! こちらへ来るが良い!」
次に向かったのは、メイドさん達の詰め所。メイドさんがキャッキャウフフしている所だ。壁に鍵が付いた小さな扉がずらりと並んでいる。
心なしか、いい匂いがする気がするのだが、あまりクンカクンカしていると、変態だと言われる可能性大なので自重する。
だが、元世界のロッカールームというよりは、昔の銭湯の脱衣所みたいな感じだ。鍵も木製の木札を使っているらしい。
ガラス窓が入っている明るい部屋であるが、常に何かに見られている感じがして、メイドさん達も長居したくない場所らしい。
ここに常駐しなければならないのに、得体のしれない物が居るかもしれない――となれば業務にも支障が出るだろう。
今回のこのゴースト退治も、メイドさん達のたっての願いらしいからな。
「ここは、どうだ? 何か、いそうか?」
「ここは、私でも解るかも……なんか居たくない感じがする」
アネモネもそう言うのだが、確かに明るいのに、なんとなく不気味な感じがしないでもない。
くるくると部屋を見回していた獣人とベルであったが、その視線が部屋の片隅で止まった。
沢山並んでいる小さな扉の付いた棚の隅――壁との隙間があるのだが、そこを2人と1匹がじ~っと見つめている。
再び呪文を唱えながら、噴霧器で聖水を噴射する。すると――獣人達の視線が移動して、天井に張り付いた。
皆が一様に同じ動きをしているので、やはり何かいるという事なのだろう。
再び、天井へ向けて聖水を噴霧した。天井から、日本酒の水菓子のような匂いが漂ってくる。
「はぁ~いい酒の匂いだぜ」
「だめだぞ。仕事が終わったら飲ませてやるからな。それよりどうだ? まだ何か感じるか?」
「うにゃ、いなくなったにゃ」「にゃー」
本当に効いているのか? 彼等を信じるしかない。
「何か圧迫感がなくなった気がする」「視線を感じません」「本当だ! 凄いかも!」
ええ? 本当にか? プラシーボ効果じゃないのか?
どうもピンとこないが、獣人達とベルの意見も一致しているので、偶然とは言いがたい。
その後も、王女に引っ張られて、お城中をあちこちへ――だが徐々に廊下の装飾が立派になってきている。
廊下には赤い絨毯も敷かれているし……。
「おいおい、旦那――俺達がこんな場所に入ってもいいのかよ。獣人が入れるような場所には見えないぜ」「ウチもそう思うにゃ」
「まぁ、王女様が一緒だから平気だろうよ。お城の中に入ったと、飲み屋で自慢できるぞ?」
「誰も、こんなの信じちゃくれないよ」
そう言われれば、そうかもしれない。平民でお城の中に入ったなんてな――普通じゃ考えられないらしいからな。
王女が最後に訪れたのは、青と金糸で覆われた大きな天蓋がついたベッドが鎮座する部屋。
壁の装飾も金で覆われていて、どう見てもタダの寝室ではない。壁際に設置された棚の上には装飾が施された大きな花瓶などが置かれている。
「わぁ、綺麗な部屋」
アネモネが、思わずそんな言葉を漏らすような部屋だ。
「あの~、ここは普通の寝室じゃないですよね?」
「ここは、我が母の寝室じゃ」
「ええ? それじゃ王妃様の?」
「その通りじゃ」
「そんな場所に入ってしまって、大丈夫なんですか?」
「妾が一緒じゃから、大丈夫だ」
王女の話では――王妃様が、身体の不調でもないのに寝付きが悪く、悪夢にうなされる事などが多いと言う。
「それじゃ、ここにも何かがいるって――」
俺がそう言いかけたのだが、既にベルがじっと、ある一点を見つめていた。
その視線の先にあるのは、大きな花瓶。青い釉薬を使った模様で覆われており、金色の細工も見事だ。
「ベル? これか?」
「にゃー」
俺が花瓶を持つと、ベルの視線も花瓶に付いてきた。
一応、聖水もシュパシュパしてみたのだが、効き目がないようだ。
「リリス様、この花瓶が原因のようなので、どこか違う場所へ移すか、処分なさった方が良いと、王妃様に進言していただいてよろしいですか?」
「そうか、あい解った」
これで、俺の御役目は終了となった。本当に、こんなのでいいのかね?
「其方には随分と世話になったのう。何か褒美を取らせるぞ」
「褒美……というと?」
「何でもよいぞ。また金貨か?」
う~ん、なんでも金貨じゃ――他に何か良い物はないかな? 王家なら魔導書があるかもしれないが。
「リリス様、お城に魔導書の類は……?」
「魔導書か……魔導書はないが、魔法に関する書籍なら多少はあるぞ」
おおっ! 魔法の本か、それは貴重かもしれない。
「それを閲覧させていただくというのは……?」
「う~む――其方達なら、いいだろう。ついてくるがよい」
獣人達とベルは家に戻らせて、俺とアネモネでお城の書庫へ向かう。
王女によって案内されたのは、お城の外れにあった小さな部屋。だが、見上げると天井が高く、3階建て分ぐらいの高さがある。
4面が本棚で埋まり、天井まで本が沢山詰まっていた。細い足場と階段を登って、高い本棚を行き来する仕様のようだ。
「おおっ! こりゃ凄い」
「よいか、読むだけじゃぞ? 持ち出しは厳禁じゃ」
「承知いたしました」
「妾も子供の頃から、ここによくきたものじゃ」
今は昼前だから、4時間程時間がある事になる。
王女は2~3、注意事項を言うと、その場から立ち去った。監視の人間が来るようでもない。
「チャ~ンス! アネモネ、魔法関係の本を探せ」
「うん!」
信用していただいた王女には申し訳ないが、コピらせてもらう事にする。言いつけ通りに、本を持ち出すわけではないので、問題ないはず。
アイテムBOXからテーブルを取り出した。
「本を探してどうするの?」
「本を複製する」
「複製?」
アネモネには何の事かわからんだろうが、要は本のデジタル化だ。シャングリ・ラには、本をデジタル化するための自炊用のスキャナが売っている。
蛍光灯スタンドのような形をしていて、下に本を広げて置くと、取り込んでくれる文明の利器。
取り込むだけ取り込んで、後でじっくりと読めばいい。
そのドキュメントスキャナという商品を購入する――1万8000円。そしてこいつを使うためには、接続するパソコンが必要だ。安い中古のノートPCでいいだろう。
金はあるが、高価な物は異世界では必要ないだろう。10万円ぐらいの物を購入した。
落ちてきた、スキャナとノートPCをテーブルの上にセッティングする。
「なにそれ?」
「アネモネ、こっちはいいから、君の読みたい本を探しなさい」
「うん」
ノートPCを立ち上げて、USBでスキャナを接続すると、使用可能になった。試しに、近くにあった本を取り込んでみる。
取り込んだ画像がノートPCに表示された――成功だ。
これで、じゃんじゃん取り込めばいい。
よし、俺も本を探そう。
「これなんて良さそうだぞ? ゴーレム製作の基礎と応用」
「これも面白そうだよ――召喚技術の歴史と、実用例」
「大陸魔法体系――」
「呪文構築基礎編、応用編、実用編――全3巻」
「禁呪に至る病」
「防御魔法の黎明期」
俺とアネモネで30冊以上の本を集めた。この大陸の歴史等も、おもしろそうなのだが、なにせ時間がない。
急いで、実用に値する物だけを優先的に取り込まなくてはいけない。
「アネモネ、本を開いてこの魔道具の下に置いたら、合図してくれ」
「解った――はい!」
「よし、ポチッとな」
一瞬で画像が取り込まれる。普通のスキャナはヘッドがウィーンと動くのだが、こいつは簡単にいえばデジカメのようだ。
PCのリターンキーを押すと、シャッターが切られる。
本は分厚いのだが、羊皮紙で1ページの厚みがあるので全部でも数十ページしかない。
紙の本もあるのだが、やはり元世界の本に比べると1ページが分厚い。
「へぇ~、本が魔道具の中に入っちゃうんだね!」
「そうだ、そして家に帰ってから、じっくりと読めばいいってわけだ」
「でも、これって悪い事だよね?」
「そうだな……だから、王女様には内緒だよ」
「うん!」
まぁ、バレなきゃOK。アネモネも悪い事だと理解しているようだが、好奇心には勝てないようだ。
本当は俺が諫める立場なのだが、そんな俺も好奇心には勝てないでいる。
王女の言うとおり、本は持ち出していないからセーフ――であろうと、勝手な解釈をする。
ははは、こんな手段で持ち出すとは、お釈迦様でも気がつくめぇ。
これらは多分、貴重な本ばかりだろう。街の本屋や道具屋で買ったら、いくらになるか解らんし――。
そもそも、門外不出の品ばかりで、もう2度とお目にかかれないかもしれない。こんな機会を逃す手はない。
アネモネと2人で協力して合計35冊の本をPCへ取り込んだ。
本を元の場所へ戻し、道具とテーブルをアイテムBOXへ収納する。結局4時間程篭っていた計算になる。
そして、書庫から出ると外には黒いショートヘアのメイドさんが1人待っていた。
「あっと、ずっと外で待っていらしたんですか? 私達のために申し訳ない」
「いいえ、これも仕事ですから。お二人共、本がお好きなんですね」
「ええ、まぁ……ははは。それにしても貴重な本ばかりで、眼福でございました」
「値段が付けられないような貴重な本が多いんですよ」
やっぱりそうか――まさか、その本をコピーしてたとは言えん。
メイドさんが書庫の中に入ると、本を確認している。
「入れる場所が違っている本がありますが、後で直しておきます」
「おっと、恐縮です。とりあえず沢山持ちだして、かたっぱしから読んでいたものですから」
このメイドさんも本が好きなようで、メイド兼司書をしていると言う。どこにどんな本があるか全部把握しているから、本が持ちだされれば一発で解るわけだ。
俺達はメイドさんに連れられて皆が待つ家に戻る事にした。
そろそろ飯の時間だ。ミャレーとニャメナが首を長くして待っているだろう。
11月10日 アラフォー男の異世界通販生活2 発売!





