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53話 蜘蛛の卵の味は?


 ダンジョン――というよりは、一本道の洞窟だったが、そこに巣食っていた洞窟蜘蛛という大物を退治した。

 最初に俺たちが相手にしていたのはオスで、奥の住処には更に大型のメスが控えていたのだが――。

 俺は新しい相棒――コ○ツさんのパワーを持って、これを粉砕。

 戦利品をアイテムBOXへ入れて、水晶がある場所まで戻ってきた。


「俺は、ここで水晶を掘っていくから、お前等は先に帰ってもいいぞ。この魔道具はうるさいから獣人達にゃキツイと思うし」

 まだ昼前だ時間はたっぷりとある。


「それじゃ、ウチは先に帰っているにゃ」

「ミャレー、プリムラに皆は無事だと伝えてくれ。ニャメナはどうする?」

「う~ん」

「私はここにいる!」

 アネモネは俺と一緒にいるようだ。


「いいのかアネモネ? 岩を掘るだけだぞ?」

「いいの!」

 腰を下ろした彼女がヘルメットを脱ぐと、一緒について来ていたベルが横に丸くなった。

 掘削音がかなりうるさいと思うが彼女の大きな耳で大丈夫かな?

 彼女の傍らに水と猫缶を出してやる。


「それじゃ、俺も一足先に戻るよ」

 ニャメナも戻る事にしたようだ。そりゃ、この暗い中じゃ彼女達が出来る事が何もないからな。

 獣人達と別れて、俺は発電機を回して電動ハンマで水晶を掘り始めた。

 いくら派手に掘っても、もう奥からは何もやって来ない。そりゃそうだ、俺達が退治したからな。


 そのまま3時頃まで掘り続けて、結晶の半分程が露出した。この結晶をまるごと掘り出して、高額査定をもらう作戦だ。

 こんなチマチマとやっていると昔のテキ屋であった、カタヌキを思い出すな。


「さて、残りは明日だな。そろそろ帰るか」

「うん」

「こんな所に居てもツマランだろ?」

「いいの! ケンイチと一緒にいたいの!」

「そりゃ、アネモネがいいって言うのなら、いいんだけどな」

 洞窟内にオフロードバイクを出して、アネモネをリアシートに乗せると、洞窟内を走り始める。

 後ろを見てないが、森猫もついて来ているだろう。


「おっと忘れるところだったぜ」

 洞窟の入り口へ放置したままだった方向探知機の親機を回収。結局、一本道の洞窟だったから、これの必要はなかったな。


 そのまま洞窟を出ると湖まで一直線――水際を走り帰宅した。

 明日いっぱい掘削をすれば結晶が取れそうだしな。バイクで帰った俺達をプリムラが出迎えてくれ、飛びついてきた。


「ケンイチ! よくご無事で!」

「ミャレーとニャメナから無事だって聞いてただろ?」

「でも……」

 そっと、プリムラの柔らかい金髪をでる。見れば涙目じゃないか。

 まぁ確かに、あのメス蜘蛛はヤバかったけどな。その苦戦の様子を、獣人達から聞いたのかもしれない。


「にゃー」

 ベルが俺の下にやって来た。


「よしよし、ありがとうな」

 彼女の毛並みの良い毛皮をでてやる。


「そうだ、プリムラにも大蜘蛛を見せてやるよ」

「え?」

 俺は、アイテムBOXからメスの大蜘蛛を取り出しプリムラの前へ出現させた。

 洞窟内では暗くてよく解らなかったが、白い甲殻はキラキラとした結晶のような物で覆われているようだ。

 それが陽の光に反射して、この全体の見た目にそぐわぬ程に美しい。


「……ひぃ……」

 目の前に現れた大蜘蛛を見て、プリムラの顔がみるみる血の気を失い――その場で昏倒した。

 俺は慌てて、崩れ落ちる彼女を支えたのだが――。


「おい、プリムラ! 大丈夫か?」

 慌てて、大蜘蛛をアイテムBOXへ入れ直すと、彼女をお姫様抱っこして家に戻る。

 部屋にベッドを出すと、そこにプリムラを寝かせた。


「ふう……焦ったぜ。こんなに驚くとは」

「旦那、そりゃ普通の人間が森に入って、こんな大物に出会う事は滅多にないからねぇ」

「ああ、もしかして、この一帯にデカい魔物が少ないのは、この蜘蛛に食われてたせいかな?」

「あり得るね」

 部屋に椅子を出して、ニャメナと話をしていると、ベッドで横になっていたプリムラが目を覚ました。


「うん……」

「プリムラ、大丈夫か? 悪かったな驚かせて」

「あ、あんな巨大な魔物を仕留めたのですか……?」

「ははは、まぁな」

「全く――旦那が、あんな鉄の化け物を操れるなんて思ってもみなかったぜ」

「ケンイチは調教師(テイマー)ですのよ」

 それを聞いたニャメナが膝を叩いた。


「ああそれで、森猫も懐いているんだな」

「懐かない魔物もいるけどな」

「あの蜘蛛でも、操れるのかよ?」

「さてな、時間を掛ければ或いは……意思の疎通が出来ないから無理かな?」

「全く、信じられないよ」

 だが、ミャレーとニャメナに聞いても、あの蜘蛛が金になるかどうかは不明だと言う。


「魔物の甲殻は貴重なんだろ? 魔法を弾く鎧だと……」

「あんなデカブツを処理出来りゃいいけど……ギルド次第だな」


 倒れたプリムラは大丈夫そうなので、外に出て検証をしてみることにした。

 検証――何をするのかというと、蜘蛛の卵だ。

 アイテムBOXから大きめのステンレス製のボウルを出し、その中へ毛玉のような蜘蛛の卵をいれる。

 サッカーボールぐらいの大きさがあるから結構デカい。


「旦那、何をするんだい?」

「中身を見てみようかと思って」

「うえぇぇ! 正気かい?」

 ニャメナが露骨に嫌そうな顔をするのだが――中身はどうなってるのか、俺は気になるんだがな。


「何をしてるにゃ? ふぎゃ?!」

「なになに?」

 アネモネは平気のようだが、獣人達はちょっと混乱しているようだ。


「アネモネは平気なのか?」

「私も中身を見てみたい」

「中から蜘蛛が出てくるかもしれないぞ?」

「それじゃ、私が魔法で燃やすから!」

 随分とたくましくなったものだ。ボウルに入っている蜘蛛の卵に包丁で切れ込みを入れる――。

 すると、中から流れ出すクリーム色のドロドロとした液体。


「残念、中身は蜘蛛の姿じゃなかったな。もしかして、メスが産んだ直後だったのかも」

 卵の殻も虫糸で出来ているようなので、川で洗ってから干す事にした。川でじゃぶじゃぶと洗い、ジェットヒーターを出して温風を当てて乾かす。

 その間に、俺が自ら実験台になってみよう。


「旦那、一体何を……?」

 ニャメナが恐る恐る聞いてくるのだが、説明しても解らんだろう。

 先ずはpHペーハ試験だな。シャングリ・ラでpH試験紙を買う――紙が巻いてある物で200円だ。

 紙を引き出すとオレンジ色なので、そいつを卵の中身に漬ける……変化なし――という事は中性だ。

 アルカリや酸性だったりすれば、色が変わるわけだ。サイトでは、こんな物も売ってるのだが、何に使われているのだろう――と評価欄を見てみる。

 ははぁ、熱帯魚の水質を管理するために、pHペーハー試験紙が必要なようだ。

 卵の中身が中性って事は酸性で鉄が溶けるとかじゃないわけか。一応、ボウルをステンレスにしたのは、腐食耐性重視のためでもあるのだが。


「それじゃ、ちょっと食ってみるか」

 アイテムBOXからカセットコンロとお玉杓子を出して、ほんの少し卵の中身をお玉に塗って加熱する。

 クリーム色の中身が直ぐに固まり、薄いシート状になる。

 ふむ――見た目は普通の卵を焼いたような感じなのだが……。


「ぱく」

「ひぃぃ!」「ふぎゃ?」

 うるさい獣人達は放置して、少しだけ口に入れてみた――が、変な味はしないし、旨味もあるようだ。

 ――というか、結構美味い。

 これでしばらくして、腹が痛くなったりすれば毒が含まれている事になるのだが。

 卵の中身ってのは、身体が構成される前のタンパク質がドロドロの未分化の状態なので、この段階で毒って事はないと思うのだが――一応念のためだ。

 時間を置いて大丈夫であれば、さらに食う量を増やしてみる事にする。


「旦那、正気かい?」

「ああ、まぁな。お前たちに食わせたりはしないから心配するな。ははは」

 獣人達は耳を閉じて尻尾を股の間に入れている。見るからに完全にテンションがダダ下がっている状態だ。


 その後、そのまま夕方になったが腹の具合はなんともない、明日はもう少し食う量を増やしてみようと思う。

 あまり無茶して七転八倒したりすると皆に迷惑が掛かるからな。慎重に事を運ばねば。

 まぁ、そこまでして無理に食う事もないような気もするが、せっかくのファンタジーらしい食材じゃないか。

 ジビエとかスローライフっぽいしな。何より日本人なら、食えるのか? 美味いのか? とても気になるじゃないか。

 外で夕飯の準備をする。スープはプリムラが用意すると言うので任せてしまう。彼女はすっかりスープ作りの名人だ。

 

 皆で食事を取った後――闇夜の中で、家からちょっと離れた場所にアイテムBOXから小屋を出した。

 そして中には液体を分ける魔道具を設置。

 何をするのかというと――大食らいの大型重機を買ってしまったので、燃料が大量に必要なのだ。

 調子に乗ってデカいのを買ってしまったが、あのコ○ツさんの燃料タンクは400Lぐらい入るからな。

 ユ○ボとコ○ツさんの大きな違いは、なんといってもその大きさ。

 アームを振り上げた高さは、ユ○ボの4mに比べて、コ○ツさんは9m以上と倍以上違う。

 重量も、ユ○ボは4tトラックにも積める3t程だが、コ○ツさんのほうは――以前聞いた話だと20t前後と超重量級。

 シャングリ・ラにはもっとデカイ重機も売っているのだが、寸法的には、この重機の1.5倍の大きさぐらいならなんとかなりそうな感じではある。


 俺は、その大物が食らうための大量の燃料を生成する仕掛けを作った。

 魔道具の上の器に水位センサーを取り付けて、油面が下がったら電動ポンプで追加の油を汲み上げるカラクリだ。

 これで連続してバイオディーゼル燃料が大量に作れる。

 さて、油を入れる容器だが、浴槽がいいかな? シャングリ・ラで浴槽を検索すると、青色のジャンボタライというのを見つけた。

 容量は120Lある。これなら余裕だ。

 シャングリ・ラで一番安い植物油を探す――キャノーラオイル1.5Lで400円の物があった。

 120Lって事は、こいつが80本あればいいって事か。

 これがガソリンなら、こんなやり方はかなり危険だが植物油やディーゼル燃料(軽油)なら大丈夫だろう――と思う。

 小屋の外へ出て、キャノーラオイルを80本購入すると、次々と1.5Lのペットボトルが降ってきた。

 

「はは、こりゃすげぇ量だな。これでもコ○ツさんのタンクの約1/3かよ」

 1人でペットボトルの封を切って、油をドボドボ入れていたら、ニャメナがやって来た。


「旦那、また変な事をしてるのかい?」

「ああ、あの鉄の召喚獣の餌を作っているんだよ」

「これって油だろ? 餌って油なのか?」

「まぁな。でも、普通の油じゃ言う事を聞かないから、色々と手間が掛かるんだよ」

「これって錬金術だろ? 旦那って本当に魔導師なんだな」

 だが、いつもの彼女の様子とちょっと違う。俺の事を警戒しているようだ。


「普通の魔導師とはちょっと違うけどな――って何をビビってるんだよ。お前みたいな威勢の良い女でもビビるのか?」

「そりゃ俺だって、怖い物ぐらいあるさ。あんな鉄の化け物と戦って勝てるはずないだろ?」

「操っているのは俺だから、俺を倒せば消えるんだぞ?」

「そりゃ、そうだけどさ」

 何かしおらしくなって、もじもじしているニャメナが可愛いので撫でてやると、ゴロゴロと喉を鳴らしている。


「後で可愛がってやるから、この油を青いタライへ入れてくれ」

「解ったよ」

 だが、すぐにミャレーもやって来たので、それどころではなくなってしまった。

 とりあえず、油は全部入れた。動作チェックもして、油面が下がれば電動ポンプが動くのも確認済みだ。

 こいつに、アルカリとアルコールを投入して、エステル化させる。

 それを魔道具へ通せば、バイオディーゼル燃料が出来るって寸法だ。

 これで順調にいけば、朝起きた時にはタップリとコ○ツさんのご飯が出来上がっているだろう。


 ------◇◇◇------


 ――次の日。

 小屋を覗いたらバイオディーゼル燃料が目論見通りにたっぷりと出来上がっていた。装置は上手く作動したようだ。

 プラ製のジャンボタライごとアイテムBOXへ入れる。要らないグリセリンと不純物はステータス画面のゴミ箱へ入れてしまう。

 よしよし、これでどんどんバイオディーゼル燃料を作ろう。

 大型重機を買ってしまったのは仕方ないし、せっかくあるのに利用しない手はないからな。


 プリムラが貴族の所へ向かうというので街まで送っていこうとしたのだが、ニャメナが背負っていくと言う。

 まぁ、彼女の店はしばらく休業だ。今日は荷物も無いしな。ニャメナに任せてしまおう。

 俺もやる事がある――昨日の続きで蜘蛛の卵を、もう少し多めに焼き醤油を掛けて食べてみた。

 卵の白身のような黄身のような変わった味だ。これでマヨネーズが作れるかもしれないな。

 これで昼間までに身体に異変が起きなければ、ほぼ大丈夫だろうと思う。


 さて、俺がやる事は――。

 洞窟にあった水晶の掘り出しだな。

 蜘蛛はアイテムBOXへ入れておけば腐る事もないから後回しだ。

 俺がバイクで洞窟へ向かおうとしたら、アネモネも一緒にいくというので、ヘルメットを被らせリアシートに乗せる。


「洞窟の中なんてツマランだろう?」

「ケンイチと一緒がいいの!」

 まぁ断る理由もない。敵もいないのが解っているので、そのままバイクで洞窟内まで乗り込むと掘削作業を続ける。

 けたたましい掘削音が響く洞窟内。ふと作業を中断し、後ろを振り返る。

 LEDの明かりの中でアネモネが日本語の本を読んでいる。大分日本語を覚えたようで、簡単な漢字も読めるようになっている。

 この世界で日本語を勉強しても役には立たないと思うんだがな。だが、本人のやる気があるのに、削ぐのは得策ではない。

 それに、言語を習得する時は、多言語を一緒にやった方が効率が上がるような話も聞いたことがあるし。


 再び掘削を続けて、昼過ぎには巨大な結晶を掘り出す事に成功した。

 長さ1m高さ50cm程のどらやき型――皮の部分が岩で中の餡が水晶だ。

 ゴツゴツとした岩から何枚も薄皮を重ねたような縞模様が続き、その中に薄青く光る結晶が美しい。


「綺麗!」

「綺麗だよな」

 早速、シャングリ・ラの買い取り査定へ突っ込んでみる。


 【水晶原石(大型) 査定金額2200万円】


「おおっ! コ○ツさんの代金を回収したぜ」

「コ○ツさん?」

「あの黄色い鉄の召喚獣の名前だよ」

「小さい方はユ○ボさんだよね?」

「そうそう、ははは」

 俺が、ユ○ボを連呼していたので、覚えてしまったらしい。


「それじゃ、馬なしで動く荷車さんは?」

「あれは、キ○ンターさんだな」

「へぇぇ」


 水晶を掘り出したので、ここにはもう用はない。

 アネモネと一緒にバイクで家に帰ると、プリムラ達も帰ってきていた。


「プリムラ、貴族様の様子はどうだった?」

「カメオを、とても喜んでおいででした」

 販売価格は金貨35枚(700万円)である。そして、カメオを卸した俺の取り分は金貨17枚。

 普段より高いが、やはり横顔が夫人に似ていたのが効いたらしい。

 貴方様のため特別にあつらえた逸品ですよ――などと言われたら、コロリといくだろう。

 やっぱり貴金属を売った方が金にはなるよなぁ。だが、この国の金貨をシャングリ・ラに入れるのは、なるべく避けたい。

 だが、貴族との販売交渉の席でも、彼女の店に嫌がらせをしている無頼達の話は出なかったようだ。

 やはり頼み事をするなら、もうちょっと恩を売るか良い取引材料がないとな。


 プリムラが帰ってきたので飯にしよう。

 皆はいつものスープとパンだが、俺はちょっと冒険をしてみようと思う。

 蜘蛛の卵を使ったマヨネーズだ。昨日、毒味で食べる量を増やしたのだが何ともないので、これは安全という事だろう。

 材料のリンゴ酢とオリーブオイルをシャングリ・ラから買う。

 ボウルに2つを入れて、ハンドミキサーで撹拌する――が当然混ざらない。水と油は混ざらないからな。


「旦那、何を作るんだ?」

「まぁ、お前達は飯を食ってろ」

 しかし、ここに蜘蛛の卵を入れて、混ぜると――白く乳化して固まる。これが、マヨネーズだ。


「ペロ」

「うえぇぇ、なんか食ってるぞ」

「うにゃ~」

 獣人達がうるさいが無視だ。う~ん、ちょっと淡白だな。少しダシの素と砂糖を入れよう。


「再び、ペロ――おおっ! こりゃ美味い!」

 これは、シャングリ・ラで売ってる市販のマヨネーズより美味いぞ。色は白っぽくてマヨっぽくないけどな。

 さて、これを使って何を作ろうか……ここは、簡単にサンドイッチはどうだ。

 いつも食っている訳ありパンをアイテムBOXから取り出して、半分に切る。そこに、レタスとハム、そしてマヨネーズとケチャップを入れる。

 そうそう、ピクルスも入れた方が美味いか? ちょっと入れてみよう。


「完成だ! 一口、パクッ! 美味い! 美味すぎる! これぞ、異世界の味」

「異世界?」

 サンドイッチを頬張りながらつぶやいた俺の独り言だが、それを聞いていたアネモネが、不思議そうな顔をする。


「まぁ、こっちの話だ」

「ケンイチ……私も、それを食べてみたい……」

「アネモネも挑戦してみるか、ほら」

 恐る恐るサンドイッチを口にしたアネモネであったが、一口食べて声を上げた。


「美味しい! これ美味しいよ! パンの中に色んな物が入ってる!」

「そうだろう」

 俺は、獣人達の方をチラ見するのだが、彼女達は顔を背けて手を振っている。

 プリムラの方は――背中を向けてしまった。まぁ、無理に食わせる必要はない。


 これは、異世界ならではの珍味だな。

 普通に玉子焼きや、茶碗蒸しを作っても美味いかもな。


 こりゃ、面白い食材が手に入ったな。

 

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