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48話 ロードナイト


 俺たちが組んだ足場を使って崖の上へ上ると、そこには手付かずの薬草やキノコが豊富に生えていた。

 やはり、人が足を踏み入れていない土地には獲物が豊富にあったのだ。

 午前中は薬草の捜索に力を入れて、50本近い薬草を手に入れた――大漁だ。

 

 昼飯には早速、採ったノビキノコを使って料理をしてみる事にした。

 キノコパスタが良いと思ったのだが、この世界の人間には長いパスタの人気がない。マカロニにも拒否反応を示していた。

 多分、類似の食べ物がないせいだと思うが……四角いのや蝶々型のパスタなら大丈夫かもしれない……。

 だが、嫌がっているのに無理に食わせる必要もない。彼らにも食えて、美味い物を作れば良いのだ。

 

 そこで餃子にしてみた。

 小麦粉を練って、中に肉を詰めた料理がこの世界にもあるらしいので、これなら拒否反応は出ないだろう。

 餃子の皮から作るのは面倒なので、シャングリ・ラから買う。


「ケンイチ、それは何ですか?」

「う~ん、小麦粉を練った物を薄く延ばした物だよ。これに肉や野菜を詰めて焼くんだ」

 肉は臭みを取るために牛乳に浸けておいた熊肉を使う。皮の中に閉じ込めて焼くので、アルコールに漬けた物は合わないだろう。

 それをひき肉にするために、ひき肉マシーン――ミンサーを買う、2500円だ。


「アネモネ、手を洗ってから、肉をこいつに入れて、取っ手を回してくれ」

「回すとどうなるの?」

「肉が潰れて出てくる」

「解った!」

 川で手を洗ってきたアネモネが、ミンサーに肉を入れて一心不乱にハンドルを回している。


「すごーい! おもしろーい!」

「プリムラは、この野菜を刻んでくれ。なるべく細かく」

「はい……これは?」

「葉っぱを食べる野菜だよ」

 俺がアイテムBOXから取り出したのは白菜。やっぱり餃子と言えば白菜だろう。ウチの実家はキャベツを入れたりしてたが。

 出来上がったひき肉に塩――それと中華ダシを少々投入。そして今回の主役ノビキノコを刻んで入れてよくタネを練る。

 野菜を刻んだり練ったりするのはフードプロセッサーでも良いのだが、人手があるのだから手伝ってもらった方がいい。

 ただ、こういう時に獣人は役に立たない。手伝わせると毛が混入してしまうからな。

 

 そして出来上がったタネを皮に包むのだが、ここでシャングリ・ラの出番だ。

 餃子包み器なる物が700円ぐらいで売っているのだ。これを2つ購入して、アネモネに手伝ってもらう。


「アネモネ、この薄い皮に出来上がったタネを入れて、周りに溶いた小麦粉を塗る――そしてペタンと閉じる。ほら完成だ。出来るか?」

「うん、出来る!」

 2人でペタペタと餃子を作りつつ、プリムラにはカセットコンロと鉄板で焼き始めてもらう。

 だが、焼きあがった餃子を獣人達がつまみ食いをしている。


「うみゃー!」

「こいつは、美味いねぇ! 全く熊肉がこんなに美味い料理になっちまうんだから……」

「こらこら、つまみ食いをするな。何個分けるのか解らなくなるだろう」

「ふみゃ」

 俺の言葉に、ミャレーが慌てて手を引っ込めた。

 焼きあがった餃子は〆て70個。これだけあれば十分だろう。残ったらアイテムBOXへ入れれば良い。

 餃子だけだが――餃子の皮は小麦粉だし炭水化物で、肉と野菜も入っている。これだけでほぼ完全食だ。


 タレは――俺は醤油とラー油だが、この世界の人間は醤油が苦手のようなので、塩とマヨネーズを出してみた。

 マヨネーズは邪道かもしれんが、ソースよりはマシなのではあるまいか。

 しかし、餃子を醤油以外で食えと言われた事がないからな。だが、ソースと辛子で食ってる奴も見たことがあるような……。

 肉に練り込んだ塩でも、それなりに味は付いているのだが。


「美味しい!」

「あふっ! 中から肉汁が……」

 皆、マヨネーズを付けて食べているようだが、アネモネとプリムラにも好評だな。

 どれ俺も1つ――うん、熊肉だが餃子にしても、そんなに違和感はないな。こういう料理ですと言えば、こういう料理だ。

 それに、一緒に入れたキノコがいい味を出している。これはマジで美味いキノコだな。

 元世界で言えば、ホンシメジ級だ。


「皮をもっと厚くすれば、スープに入れても良いな」

「それは美味しそうですわ。私の店でも売ってみないと」

「でも、それだけ手間が掛かるぞ?」

「街で人を雇って、手伝わせれば良いのです」

 さすが商売人だな、俺は1人で何とかしようって考えてしまうのだが、最初から人を使う前提で商売の予定を立てている。


「ケンイチ、料理の際に粉を入れているようなのですが、あれは何ですか?」

「海に生えている海藻や、魚の干した物を砕いて粉にした物だよ。あれを入れると味に深みが出る」

 旨味と言っても解らないだろうからな。


「にゃー! それで、肉料理なのに、魚の味がしたりするのにゃ」

 ミャレーはカツオダシの味に気がついていたようだ。

 

「けど、実際に魚の干物をスープに使ったりするのは結構難しい。長く煮込んだりすると魚臭くなってしまったりするからな」

「美味しい料理を作るのは優れた知識と手間暇が掛かるものなのですね」


 皆で美味しく餃子を食べた後、午後の作業に入る。

 アネモネとプリムラは崖の上で薬草探し、ミャレーとニャメナは森の中の探索。

 そして俺は、崖の途中にあるオレンジ色の岩の調査に乗り出した。


 足場の天辺から1m程の所に黒い地層が斜めに走り、その中に鮮やかな色の塊が点在している。

 オレンジ色と言っても、ミカンのような色ではない。ずっと赤みが掛かって深い色合いだ。

 先ずは、崖と足場の間に少々隙間が空いているので、それを埋めるために板を貼った。

 そして掘り出した石が下へ落ちないようにブルーシートをガムテープで崖に貼り付ける。


 さて、どうやって掘削するか――。


 普通に電動ハンマで良いだろ。道路工事等でダダダ! とコンクリートを砕いたりしているあれだ。

 しかし、ハンマなのかハンマーなのか――メーカーによって呼び名が違うのか、それとも何か登録商標なのか?

 シャングリ・ラを検索すると色々と売っているが、日○製の5万円の物を購入してみた。

 大は小を兼ねる。鉱石を掘り出すとなれば少々大型の方が良いだろう。

 そして、アイテムBOXからディーゼル発電機を取り出した。さすがに、こいつを動かすのにモバイルバッテリーはパワー不足だ。

 この発電機も、すぐにお払い箱かと思ったのだが殊の外役に立っている。こいつの実力を少々侮っていたぜ。

 電動ハンマを発電機へ繋いで、リコイルスターターを引っ張ると、一発でエンジンが始動した。

 しかし、相変わらずうるさいエンジンだ。


「さて、行ってみるか……」

 ハンマを構えて、トリガーを引く――動き出したのだが振動に力がない。しかも動き出しが悪いこともあるのだ。

 発電機もエンジン全開になっている――こりゃ容量不足だな。つまり発電量が足りていない。

 これって、並列運転が可能なのだろうか? 最近の発電機であれば、物を並列に繋いで容量をアップする事が出来る。

 シャングリ・ラで以前買ったページを探してみた――が、無い!

 ページそのものが無い。こりゃ売り逃げか? ったく、これだから彼の国製は……。

 これじゃ故障したり、ハズレを引いたら、そこで終了じゃないか。

 仕方ない、もう一つのガソリン発電機を使おう。こちらは日本のY葉製で並列運転も可能な2kw出力の大型だ。

 こいつなら大丈夫だろう。ガソリンは2スト用の混合燃料しかなく、少々白い煙を吐くが問題ない。

 無論、長期的には問題が出るかもしれないが。

 そうだ、あの液体を分ける魔道具で混合燃料から2ストオイル成分を抜けないかな?

 そうすれば、普通のガソリンとして使えそうなのだが……。


 ディーゼル発電機をアイテムBOXへ収納して、仕切り直す。


「よし! 行くぞ!」

 発電機を回してトリガーを引くと、勢い良くハンマが振動を始めて岩を次々と崩していく。


「なになに?!」

 崖の上からアネモネが覗きこんでいる。


「ケンイチ何をしているの?」

「ここに綺麗な石があるから掘ってるんだよ」

「後で見せてね」

「ああ」

 数分で、拳大の濃いオレンジ色の石が転げ落ちた。そして、透き通った石を天にかざす――。


「結構綺麗だな。しかし、こんな色の宝石ってあったっけ?」

 こんな時はアイテムBOXへ放り込む。こいつに名前があれば、画面に表示されるはずだ。

 ――そして、画面に出てきたのは【薔薇輝石】


「薔薇輝石? ナンジャラホイ?」

 それ以上は解らない。こういう時は、シャングリ・ラだな。鉱石関係の電子書籍を物色する。

 これが良いか――【カラー図鑑、サルでも解る鉱石&宝石の本】


「ポチッとな」

 早速、電子書籍を開いて、薔薇輝石を調べてみる事にした。

 何々……薔薇輝石ロードナイト、ケイ酸塩鉱物の一種でマンガン鉱床に産出する。

 へぇ、こんな石があるのを初めて知ったよ。知る人ぞ知る石なのか? もしかして貴重?


 こんな時も簡単、シャングリ・ラの買い取り査定へ入れて見れば良いのだ。


「どれどれ……?」

 【査定・買い取りしますか?】

 よろしくお願いしますよ――ポチッとな。


 【査定結果】【薔薇輝石 買い取り値段20万円】


 20万円? マジで? こんな石が? いや、これが宝石なら、原石の大きさとすればかなり大きい。

 むしろダイヤモンド等に比べたら安いかもしれん。ダイヤやルビーでこんな大きさの原石があったら数十億円だろう。

 しかし、金になる事は解ったし、これ1個で電動ハンマと発電機の元が取れた事になる。

 いやまてまて、まだ慌てる時間じゃない。この足場の元も取らない限りは安心は出来ないじゃないか。

 だが、オレンジ色の石はまだまだある。これは、ひょっとして楽勝か?


「これって当然、原石の大きさがデカい方が査定が高いだろうな……よし!」

 電動ハンマを駆使してなるべく大きな原石を取れるように、作業を開始した。

 長足場の上を安全帯を付けたまま電動ハンマを振り回して、あっちへこっちへ――。

 ここがすっかり地上から9mの高さだと忘れている。

 そのまま夕方まで作業を続行して最初の石より二回り大きい原石と、それよりちょっと大きめの原石を掘り出した。


 シャングリ・ラの査定結果は――40万円と60万円。


「よっしゃー! 元は十分に取った」

 しかも、この石でチャージすれば、シャングリ・ラ・ブラックホールに、この世界の金を入れずに済む。

 見た所、炭色の地層の中に埋もれている感じなので、他の黒い所も掘り返せば、まだあるかもしれない。

 これは、大々的に掘削した方が良いか?

 油圧ブレーカを搭載した大型重機を買えばもっとガンガン掘れるぜ。


 いや――待て待て。何でも重機で解決させるのは止めようと、自ら戒めたばかりじゃないか。

 デカい重機を買って掘り出したのが、これだけだったらどうする?

 しばらく、これで様子を見るとしよう。

 辺りが暗くなり始めたので、上にいるアネモネとプリムラに声を掛ける。


「おお~い、そろそろ飯にしよう」

「は~い!」

 彼女達が上から階段を降りてきた。


「ほらアネモネ、これが石だ」

 俺は最初に掘り出した拳大のオレンジ色の石を彼女に見せた。


「あ~綺麗!」

「これで、どのぐらいの価値があるのですか?」

 商人のプリムラは値段が気になるようだな。


「解らない――街へ行って、道具屋の婆さんにでも聞いてみるか」

 シャングリ・ラの査定は20万円だったが、この世界での値段はいくらなのか? 例えば、金貨数枚とかなら、街で換金した方が効率が良いという事になるな。


「ミャレーとニャメナは? どこへ行ったんだ?」

「わかんない」

「まぁ、彼奴等は夜目が利くんだ。暗くなったら戻ってくるだろう。それまでに飯の用意をするか」

「うん!」

 皆で足場を降りて、家に帰ってきた。

 外でスープを作り、テーブルの上に、いつものパンを出す。

 メインディッシュは、ブランデーに漬けた熊肉のステーキだ。


 鉄板で焼きながら、豪快に火を付けてアルコールを飛ばす。


「わぁ!」

 立ち上る炎にアネモネがたじろぐ。いやいや、君の魔法の方が凄いから。

 ただ魔法を使っている時は一種のトランス状態なので、あまり感情の変化がないらしい。

 それ故、自分の炎に驚く事もないと言う。

 肉を焼く匂いに誘われてきたのか、暗闇の中からベルがやって来た。

 ――と、いう事は、あいつ等も帰ってくる頃だろう。


「にゃー!」

「おお~い!」

 ほら、帰ってきた。


「遅かったな、どこまで行ってたんだよ」

「かなり奥まで行ってきたよ。旦那の言うとおり、このデカい棚はどこにも繋がってないね。魔物もまるっきりいない」

「にゃー! でも、鳥はいたにゃ」

「そりゃ、鳥は空を飛べるからなぁ。崖は関係ないだろう」

 2人共、鳥を3羽ずつ仕留めたようだ。青や白や色とりどりの鳥を手に持っている。


「ケンイチ、街へ売りに行くまでアイテムBOXに入れてにゃ」

「場所があったら、俺のも入れてくれ」

「ああ、いいけど、でもメシ代として1羽徴収するぞ」

「それぐらい構わないよ。街じゃ普通の金を払っても食えないような飯ばっかりだし」

「ケンイチ! これも見つけたにゃ」

 ミャレーが差し出したのは、少々緑掛かった小さな卵。ウズラの卵より少し大きい。


「卵?」

「これにゃ、コッカ鳥っていう、高級食材になるにゃ」

「1個どのぐらいするんだ?」

「多分、銅貨2枚(2000円)以上しますわ」

 この卵の事は、プリムラも知っていたようだ。

 そりゃ高いな。こんな小さな卵が1個2000円か――ちなみに、この世界では卵1個200円ぐらいな。

 コッカ鳥の親鳥も、かなり美味いらしい。ミャレーがしばらく巣に張り付いて待っていたらしいのだが、気取られたようで親鳥は帰ってこなかったようだ。


「ケンイチ、この卵もお願いにゃ」

「まぁ、割れたら大損だからな」

 卵は5個、全部で1万円か――しかし、これは売値だ。卸値は5千円ぐらいだろう。


「なんじゃこりゃ!」

 熊肉のステーキを食った、ニャメナが叫んだ。


「どうした? 口に合わなかったか?」

「逆だよ、美味すぎるんだけど。でも、なんだろうこの香りはワインじゃないだろうし……」

「ああ、熊肉の臭いを消すために漬けた酒の匂いだよ」

「酒?! 旦那、ちょいと頼みがあるんだけど」

「なんだ?」

「今日の獲物を全部あげるから、その酒を飲ませてくれないかな」

「ああ、少しだけならいいぞ」

 俺は、カップを出すと、アイテムBOXから出したブランデーを半分だけ注いだ。料理に使うので、1本1000円ぐらいの安いやつだ。


「かなり強い酒だから、注意してな」

「おお、いい香り!」

 そして、ニャメナがブランデーを一口含むと黙った。


「どうした?」

「ああもう、俺はこんな贅沢をして、街で暮らすのが辛くなっちまうよ。こんなの味わっちまったら、街で飯が食えないじゃないか」

「自分が不幸なのを知らないってのは幸せなんだぜ」

「とほほ……」


「にゃぁ! 美味いにゃ! ニャメナじゃないけど、熊肉がこんなに美味くなるにゃんて」

「美味しいね」

「これだけで、高級店が開けますわ」

「俺は興味がないから、プリムラが料理を教えて誰かにやらせればいい」

「けど、ケンイチが持っている美味しいお酒がないと……」

「酒造りは専門じゃないから、どうやって作るのかは解らないなぁ。けどワイン煮なら出来るな」

「でも、あのワインも貴族が飲んでいるような上等な物ですよ?」

「ああ、ノースポール男爵も、そう言っていたな」

 プリムラと話していると、ニャメナが絡んできた。


「もう! どうしてくれるんですかぁ、こんな美味い物知っちゃ街に住めませんよぉ!」

「俺のせいじゃないだろ。こいつ、絡み酒か?」

 抱きついてくる彼女を引き離そうとするのだが、獣人のパワーで掴まれたら逃げられない。


「ふぎゃー! 離れるにゃ!」

「別に盗ったりしないよぉ。飯だけ食わせて、近くに住まわせてくれればいいんだから」

「まぁ、プリムラの護衛として、ニャメナは必要だな」

「ぎゃー! こいつは信用出来ないにゃー!」

「そんな事はないだろ、なぁプリムラ?」

「ええ、とても正直な方ですよ」

「ぎゃー!」

 ミャレーがうるさいが――彼女は俺が作る料理と酒が目当てのようだ。護衛や狩り手としても優秀なようだしな。


「プリムラが良ければ、俺はいいんだが」

「そうですわね、ニャメナさんの目当ては料理と酒のようですし」

 プリムラの目が、俺の方を睨んでいるのだが――別にニャメナに興味はないぞ。

 嫌なら断ればいいと思うが、彼女としてもニャメナは欲しい人材なのだろう。

 女で腕の立つ護衛ってのは中々いないからな。男の護衛だと余程の人物でなければ信頼がおけないだろうし。


「この家は、もういっぱいなので、離れの小屋で寝る事になりそうなんだが、それでいいか?」

「別にいいですよ~寝るだけですし、雨風凌げればぁ。今、借りてる部屋だって屋根裏で狭いネズミの住処みたいな所だしぃ」

 ニャメナの呂律が少々怪しい、ブランデーが回っているようだ。


「解った、それで良ければいいぞ。飯は保証する」

「やったぁ!」

「ふぎゃー!」

「ミャレー、別の場所に寝るって言ってるんだからいいだろう?」

「あみゃみゃみゃ……」

 ミャレーが尻尾をブンブン振り回しているのだが、これはイライラしているのだろう。


 だが、あの小屋で彼女がうん――と言うかな?

 すでに辺りは真っ暗だ。小屋を出して準備したりするのが間に合わないので、ニャメナの住処を用意するのは明日にする事にした。

 飯を食い終わって後片付けをすると、家の中へ入りプリムラは明日の料理の準備を始めた。


「ケンイチ、熊の肉ってまだありますか?」

「ああ、まだまだタップリとある」

 何せ、肉だけで数百kgだからな。毎日1kg食っても1年近く掛かる。


 ミャレーは、ニャメナと俺との間に入って、彼女を近づけまいとして威嚇を繰り返している。

 そんなに警戒しなくても。


 明日は、プリムラと一緒に街へ行って溜まっている獲物を換金したり、道具屋の婆さんの所でオレンジ色の石の値段を聞いてこようと思う。

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