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44話 ファイヤーボール!


 新しい住人、プリムラが増えた。

 正直これでいいのか悩んでしまうが、彼女の決意は堅いようだ。

 実家にいれば何不自由なく暮らせるし、貴族への輿入れも決まっていたというのに、このオッサンのどこがそんなにいいのだろうか?

 全く解らん。

 歳が近い俺からすると、娘に捨てられてしまったマロウさんが不憫だ。


 さて、住民が増えたとなると、色々と不都合が出てくる――先ずは風呂だ。

 夕飯を食べた後、皆に風呂の話をする。


「風呂は皆でいっぺんには入れないので、2回に分けて入ろう。アネモネとミャレー、そして俺とプリムラだ」

「私もケンイチと一緒に入る!」

「ウチもにゃ!」

「おいおい、お湯が足らないんだよ。もう少し大きい風呂を作れればいいんだが……」

 シャングリ・ラを検索すると、プラ製の湯船は売っているが風呂釜はガスしかない。

 昔は薪の風呂釜とかもあったんだがなぁ。

 お湯を沸かしてプラの湯船に入れるのなら、ドラム缶風呂と変わらんしな。


「う~ん――そうだ! ドラム缶をもう一つ出して沸かせばいいんだ。それなら皆で入ってもお湯がなくなる事はないだろう」

 早速、シャングリ・ラからドラム缶風呂をもう1つ購入して、ブロックを積んで釜口を作る。

 俺1人の時は、ドラム缶を乗せるのに苦労したが、今は力持ちのミャレーがいるので楽々。

 一緒に持てば楽々だし彼女1人でも平気なぐらいだ。ここは、すぐ隣に川も流れているので水にも困らないしな。

 アイテムBOXから電動のポンプを出して、ホースを繋げると川から水を汲み上げる。


 水が入ったら早速、火を入れて風呂を沸かす。設置した温度センサーが適温を教えてくれる。

 1時間程で、ブザーが鳴ったので風呂に入る準備。

 風呂の洗い場はすでにモルタルで製作済みで、排水も塩ビパイプで川へ流れるようになっている。

 浄化していない垂れ流しではあるが、俺たちだけの生活排水ぐらいであれば平気だろう。

 台所から出る排水は以前作った沈殿槽を設置して、上澄みだけを流すように細工済み。


 前の場所からもってきた風呂には、入るためのプラットフォームが設置されていて屋根もあるが、新しい方は何もない。

 アイテムBOXから脚立を出して、ドラム缶に角材を渡して湯船に浸かる。


「私もそっちに入る!」

「ウチもにゃ!」

「こらこら! 分けた意味ないだろ。皆でこっち入ってどうする――その前に3人は無理だ」

 一緒に入ると言ってうるさいので、アネモネだけ入れてやる。


「そろそろ、1人でお風呂に入れるようにならなきゃな」

「や!」

 俺とアネモネが湯船に浸かっていると、裸になったプリムラが内股になって胸と股間を隠して、モジモジしている。


「プリムラ、隠してないで風呂に入ったら?」

「だ、だって恥ずかしいですし……」

「それじゃ、プリムラだけ1人で風呂に入る事にする?」

 俺にそう言われて覚悟を決めたのか、プリムラがもう一つの湯船に脚を入れた。彼女は何回かこの風呂に入っているので慣れたものだ。


「こちらの風呂にも上り台を作らないとなぁ――」

 風呂の最後は、ミャレーにお湯をぶっかけまくって泡を流して終了。

 風呂あがりは、ジェットヒーターで髪の毛を乾かすのもいつもの光景だ。

 だが、その光景の中にも金髪の女が1人増えた。


 ------◇◇◇------


 ――次の日。


 俺はアイテムBOXに大量に入っている熊肉の食い方を、朝から模索していた。

 先ずはカレーだろう。

 叩いた肉を牛乳に一晩漬け込み、油で炒める――それをカレーにしてみた。

 そして試食――。


「ふむ……いいんじゃね? 確かにクセはあるが結構美味いぞ」

 これは、アイテムBOXへ入れて保留にしておく。女性陣が苦手のようなら俺の飯にすればいいからな。

 

 続いて、肉を叩いてハーブとスパイスを摺り込み、焼き肉用はブランデーに漬け、煮込みならワインに漬ける。

 肉をマリネしている間に畑仕事をこなす。

 牙熊によって、かなり荒らされてしまったが半分ぐらいは何とか無事だ。無事な苗を集めて植え直した。

 畑仕事の後、料理を再開。

 ブランデー漬けはステーキにして、ワイン漬けはポトフにする。


「おお……これは上品かもしれん――実に洋風料理だ。それなりにクセはあるが普通に食える味だな」

 時間がある時に大量に漬け込みを作ってアイテムBOXへ入れておけばいい。

 とりあえず夕飯に、出来たカレーを3人に食わせてみた。


「美味しいよ!」

「美味いにゃー!」

 アネモネとミャレーがカレーに、ぱくついている。2人には熊カレーは評判が良さそうだ。

 しかし、カレーばっかり食っててよく飽きないな――と、言いつつ俺も食ってるが。

 やはり、異世界でもカレーは正義か。


 プリムラが俺とアネモネのご飯をじっと見ている――何回か俺の家へやって来て、米は見ているのだが彼女は未だに食おうとしない。


「それは美味しいのですか?」

「麦と似たような物だよ。ここら辺では麦を煮たりして食わないのか?」

「病気の時の食事として、麦を砕きドロドロに煮て食べる事はありますが……」

 麦の粥か――不味そうなイメージはあるが、麦飯自体はそんなに食えない程不味くはない。

 俺がガキの頃は、金がなくて麦飯って事はあったんだが、今は健康ブームか何かは知らんが麦飯の方が高いからな。

 だが異世界の麦と、俺が食った元世界の麦とでは色々と異なるかもしれん。


「それは美味いのか?」

「……」

 プリムラに麦粥の事を聞いても返事がない、やはり不味いようだ。


「まぁ、それと似たような物だよ。機会があれば食べてみればいい」

「……」

 だが彼女からの返事はまた返ってこない。未経験の食べ物なのと、麦粥が不味かった記憶からなのか警戒しているようだ。

 それでも、カレーの味には満足しているらしい。


「あの臭い肉が、こんなに美味しくなるなんて!」

 プリムラもカレーを食べて驚いている。カレー自体は俺の所で何回か食べているからな。


「まぁ、少々肉のクセはあるが結構美味いよな。それに臭さで言ったら他の動物の肉だって、それなりに臭みはあるし」

「ケンイチにかかれば、どんな肉も素晴らしい料理に変わってしまうのですね」

「そんな大袈裟な。でも、美味しく食べようとすると手間暇は掛かるもんだ」

 この場合、牛乳代や酒代が掛かるし、スパイスやハーブも必要だ。だが、ジビエ(狩猟肉)を食うってのはスローライフっぽくていいな。


「野菜も苦くなくなるにゃ~まるで魔法にゃ~」

「そういえば、市場に売っている野菜なのに、苦味やえぐみがありませんね」

 プリムラが野菜の味にも気がついたようだ。


「ウチは教えてもらったにゃ~。かまどの灰で煮るにゃ~」

 ミャレーは得意気に種明かしを始めた。


「灰で?」

「野菜や山菜に含まれる苦味を灰汁にひたす事によって中和出来るんだよ。煮なくても一晩浸けておけばいいんだ」

「前にも言いましたが、ケンイチはまるで賢者様です」

 こんな事で賢者などと言われると、尻が痒いぜ。


「苦い木の実とかも食えるようになるが手間が掛かってな。他に食うものがあるから、そこまでしなくてもいいわけだし……」

 もしかして魔法でアク抜きとかも出来るのかもな。


 晩飯の後、勉強しているアネモネの横で魔導書ってやつを開いてみる。


「ふむ――何々……」

 色々と書いてあるようだが――要は全身を巡る魔力を一箇所に集めて顕現させるって事らしい。

 そんな事が出来るのか? イマイチ不明だが……。

 このファイヤーボールって魔法だと、指先や掌に集めるって事になっているが。

 論より証拠、やってみるか。

 

 身体の中を巡る――巡る――巡るって、そんなの本当にあるのか?

 どうも何回試しても、それらしい物が俺には感じられない。

 一応、呪文らしきものも魔導書には書かれているが、呼び水みたいな物で、熟練すれば詠唱も必要なくなるようだ。


「我が内なる力から生み出されし灼熱よ目前の敵を焼き尽くせ憤怒の炎(ファイヤーボール)

 うわ、中二っぽい。だが何も起きない。

 婆さんが言っていたように俺に魔法の才能がないって事なのか?


「ケンイチ、その本を見せて」

 アネモネが魔導書を見たがっているので、見せてやる。

 う~む、使えないとなると高い買い物だったな。


「プリムラ、魔導書の類ってすぐに売れる物か?」

「ええ、魔法を使えなくても、収集している方もいらっしゃいますし」

 ああ、なるほど。コレクターがいるわけか。それなら、すぐに売れるかもしれないな……。

 俺が役に立たない魔導書を売るかどうか迷っていると――。


『我が内なる力から生み出されし灼熱よ目前の敵を焼き尽くせ』

 俺の隣で、魔導書を読んでいた、アネモネの前にザワザワと煌めく青い光が集まり始めた。


「おっ、ちょっと待て! アネモネ!」

 だが、彼女はトランス状態のようで俺の言葉は聞こえていないようだ。

 そして、集まってきていた光は、突然炎にその姿を変えた。

 

憤怒の炎(ファイヤーボール)!』

 彼女の咆哮と同時に火の塊が撃ち出されて、家の壁を真っ赤に覆い尽くした。


「おわぁぁぁぁ! 消火器! 消火器!!」

「ふぎゃぁぁぁ!」

「きゃぁぁぁ!」

 俺は急いでシャングリ・ラを検索すると、最初に出た消火器を選択して【購入】ボタンを押した。購入したのは3つだ。

 ドスドスドス!! という音と共に落ちてきた消火器を掴むと、黄色いピンを抜き黒いレバーを握ってホースを火に向けた。

 勢いよく噴射されたピンク色の粉が部屋中に舞う。

 

「俺の真似をして、残りの物を使ってくれ。その黄色いのを抜いて、黒い取手を握ればいい!」

「こうにゃ?! ふぎゃぁぁぁ!」

 勢い良く出た消火剤にミャレーがビビったようだ。


「こうですか?!」

 意外とプリムラは冷静だ。やはりマロウさん譲りなのか、肝が据わっている。

 3人で消火剤を掛けまくり何とか炎は鎮火した。

 消火器のピンク色の粉で覆われてしまった家の壁だが、かなりの範囲で黒く焦げてしまった。

 だが、表面が焼けただけで中まで火は通っておらず炭化もしてない。

 火炎の瞬発力はあるが持続力はあまりないようだ。

 だが、この炎で包まれれば気管や肺の中を焼かれて致命傷になる。さすが魔法――恐ろしい。


「ご、ごめんなさい……」

 アネモネが自分のやってしまった事に驚いて、ぷるぷると震え放心状態になっている。

 いや、怒るよりも――。


「すげぇぇぇ! 凄いぞアネモネ! 魔法が使えるんだな!」

「これなら、牙熊も仕留められるにゃ」

「でも、この魔法で焼いたら、買い取ってもらえないぞ?」

「にゃ! そうだにゃ」

 固まっていたアネモネだったが、その場で横に倒れこんでしまった。


「おい、どうした!?」

 顔が真っ赤なので額に手をやるが――熱がある。


「多分、魔力酔いだにゃ。初めて魔法を使った子供なんかがなるにゃ」

「ケンイチ、ベッドに寝かせましょう」

「そうだな」

 皆で寝られるようにダブルベッドを買ったが場所を占領するので、いつもはアイテムBOXへしまってある。


「看病するなら小さいベッドの方がいいか」

 アイテムBOXから最初に使っていたシングルベッドを取り出し、お姫様抱っこでアネモネをそこへ寝かせた。

 しかし――彼女の体重がかなり重くなっているな。

 俺と初めて出会った時に比べて、二回りぐらいデカくなっている気がする。

 この年頃は成長期だからな。1年で15~16cmぐらい伸びる奴もいるし、1ヶ月に1cm以上も大きくなるって事だ。


 タオルと桶を出して、水を注ぐ。


「ミャレー、魔力酔いってどのぐらいで治るもんだ?」

「大体は一晩で治るって話だにゃ、熱が下がらないなら、魔法に詳しい人に見せた方がいいかもにゃ」

「魔法に詳しそうと言うと――あの婆さんか」

 皆で交代しながら、おでこに濡れタオルを乗せる――ああ、熱○まシートを買えばいいのか。

 シャングリ・ラで検索してボタンを押す。


「ポチッとな」

 すぐに商品が落ちてきた――12枚入りで500円だ。

 パッケを破いてシートの保護紙を剥がすと、アネモネの頭に貼る。


「それは、なんにゃ?」

「おでこが冷える魔法だ。ミャレーは毛があるからダメだと思うぞ」

「ふみゃ~」

 試してみたいのだろうが、ちょっと無理だろう。毛皮が邪魔でシートが肌に密着しないからな。

 それを見ていたプリムラがそわそわしている、試してみたいらしい。


「そら」

 シートを剥がして、プリムラのデコに貼る。


「ひゃ! あ――本当に冷たい」

 おでこに貼ったシートを上目で見ようとしているのだが、自分のデコが見えるはずがない。


「ずるいにゃ!」

「皮膚に直接貼らないとダメなんだよ。ミャレーの毛を刈ってもいいのか?」

「にゃんて事言うのにゃ!」

 獣人の自慢は美しい毛皮。それ故、毛が抜けてハゲが出来たり、毛を刈られたりするのが最大の屈辱らしい。


「それじゃ諦めろ」

「ふみゃ~」

「それより、この粉を片付けよう。これが水を吸ったりすると、えらい事になるから」

「どうなるにゃ?」

「こびりついて取れなくなるんだよ。乾いている今のうちだ」

「解りました」

 皆で、消火器の粉を片付けてから、アネモネの看病を交代ですると熱は朝までには下がった。

 何ともないようで良かったな。医者もろくにいない世界だから、怪我や病気には気をつけないと。


 ベッドの上で寝巻き姿のアネモネは、ちょっと元気がないようだが大丈夫そうだ。

 だが、食欲がないと言う。高熱で消耗したのだろう。

 そのために俺はシャングリ・ラである物を検索した――あった、値段は650円だ。

 なんか昔懐かしいパッケージなのだが、昔から変わってないのだろうか?

 しかし随分値上がりしたもんだな。昔は100円ぐらいで買えたような記憶があるんだが……。


「病中病後と言えば定番はこれだな――桃缶」

 俺がガキの頃は、病気の時は桃缶かリンゴだったんだが、めっきりこいつを食べる機会はなくなったな。

 俺自身も30年ぶりぐらいじゃないか? それぐらい、食った記憶がない。

 桃缶を見つめ郷愁に浸っていたのだが、重要な事に気がついた――缶切りが無いじゃないか。

 再びシャングリ・ラを検索する。これまた昔懐かしい3徳缶切りが未だに売っている。1個500円だ。


 ギコギコと缶切りで缶を開ける。今はプルトップでパッカンだからな。やっぱりこの儀式がないと缶詰を食う気がしない。

 小皿が無いので、カップに桃を入れてアネモネに渡す。


「何? これ……」

「果物を甘く漬けた物だよ。病気の時に食うんだ」

「……ぱく……凄く甘くて美味しい!」

「にゃ~! 美味いにゃ? ウチも食べたいにゃ!」

 ミャレーがアネモネのベッドの周りをウロウロしている。


「ダメダメ、病気の人しか食っちゃダメなんだ」

「ふにゃ~! ウチも腹が痛くなったにゃ~!」

「腹が痛いんじゃ物を食っちゃダメだろう」

 俺はシャングリ・ラから、正露丸を検索して購入した。ちなみに正露丸の商標権は一般化しているとの判断から消滅しているらしい。

 落ちてきた正露丸の蓋を開けてミャレーに嗅がせる。


「ほら、腹痛いなら、この薬を飲め。薬草を固めた物だ」

「ぎゃ~っ! なんにゃ、その臭いは! 鼻が曲がるにゃ~! 腹が痛いのは嘘だにゃ!」

 彼女は毛を逆立てて、部屋の隅で小さくなってしまった。


「ははは! この果実漬けは、蓋を開けてしまったので皆で食おうか」

 臭い正露丸をアイテムBOXへいれて仕舞い、テーブルを出して皆のカップを出して桃缶を分けて食う。


「ふにゃ! う、美味いにゃ! ちょっとリンカーに似ているかもにゃ」

「あ! これは美味しい! とても甘いですね。凄く大量に砂糖が使われているのでは?」

「そうそう砂糖漬けだな。塩に漬けても保存できるけど、甘くしてもそれなりに保存が利くんだ。リンカーの砂糖漬けとか美味そうだな」

「でも、これでは貴族ぐらいしか食べられません……」

「まぁ、そうだな。この国では砂糖も専売らしいからな」

 皆で桃缶を食うのだが、食欲がないアネモネでも桃缶は食えるようだ。


「アネモネは今日1日寝ていろよ」

「もう大丈夫だよ」

「ダメダメ。ふう――俺は床と壁を直さないとな」

「ご、ごめんなさい」

 アネモネがベッドの上でカップを持ったまま縮こまる。


「気にするな。それより、アネモネが魔法を使えたってのが凄いぞ」

「多分、その才能があったのでしょう」

「プリムラ、魔法の勉強って出来るのか? 例えば、学校とかはあるのか?」

「王都に大学がありますよ。それを卒業すれば聖魔導師になれます」

「おおっ! 凄い! アネモネ、学校へ行きたいなら、行かせてやるぞ? 女子寮とかもあるんだろ?」

「ありますが、王侯貴族や大店の子息が多いので、一般から入学すると苦労が絶えないようですよ」

「ああ、まるで絵に描いたような……」

 正にテンプレ。だが、アネモネにそんな気持ちはないらしい。


「ケンイチと離れるのは嫌」

「まぁ、無理にとは言わないよ。でも行きたくなったら相談してくれよな」

「うん」

「魔法が使えるなら、女でも食うには困らないだろう?」

「ええ、色々と仕事がありますからね。でも、炎の魔法だけでは――逆に戦闘等に駆り出されてしまうかもしれません」

「なるほどな~」

 しかし、魔法が使えるとなれば、他の魔導師に金を払って魔法を教えてもらうとか、魔導書を購入するとかで持ち魔法の種類を増やす事が出来ると言う。

 無論それにも――但し才能があればと注釈は付くが。


「あ! この魔法って風呂を沸かすのに使えないかな?」

「ええ? ぷっ! あはは! 憤怒の炎(ファイヤーボール)でお風呂を沸かすなんて初めて聞きました」

 プリムラが、腹を抱えて笑っているのだが――。


「うん、元気が出たら挑戦してみる」

 アネモネがやる気を出してるぞ。これは期待が出来るかもな。

 成功すれば、風呂を沸かす時間が大幅に短縮出来る。


 スローライフに相応しい魔法の平和的利用法だ。


 

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