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30話 金を山分け


 野盗の首をアイテムBOXへ入れて、俺達はダリアの街へ帰ってきた。

 獣人のニャケロがトラックの上に上り、首を高らかに掲げて勝利宣言をかました。


 さて、勝利宣言をしただけでは終わらない。

 冒険者ギルドへ入って、討伐を成功した事を報告しなければならない。

 だが観客が何故かざわついている。どうも見るからに上等な白いブラウスを着た綺麗どころが同行しているのが気になるようだ。

 野盗の下で囚われの身だった彼女達だが、悪党共のお気に入りが残った結果で中々の美人揃いだ。

 それが身体を石鹸で洗い髪をまとめ――身だしなみを綺麗にして並んでいるのでは、嫌でも野次馬達の気を引く。

 ひときわ大きな身体を持つ、アリッサにも好奇の目が向けられているようだ。


 集まる住民達に構わず、総勢15人の冒険者達がギルドへ入っていく。

 ニャケロが手に持ったままの生首をカウンターの上にドスンと置いた。


「ひいいいいっ!」

 目の前の白目を剥いた血も滴る生首に、受付の女の子が飛び上がった。そりゃ当たり前だ。もうすこしデリカシーってものが無いのか?


「おらぁ、野盗の親玉――シャガの首だ。存分に見分しやがれってんだ」

「こ、ここに置かれてもこまりますぅ~」

「これだけの獲物だ、お前らも徹夜でやりやがれ! ハハハ!」

 なんだか、ニャケロの奴はギルドに鬱憤でも溜まっているのか?

 逃げ惑う女の子達に代わって男の職員が出てきた。

「あの、首はどのぐらいあるのでしょうか?」

「え~と……じゅう……じゃねぇや――え~と、旦那! いくつだった?」

「シャガの首を含めて52だ」

「そう! それだ!」

 獣人は指で数えられる10以上になると、全くダメだ。まれに計算が出来る獣人もいるようだが、滅多にいないと言う。

 職員の前に騎士爵様が歩み出た。


「ノースポール騎士爵だ。ギルドマスターに会いたい」

「これは騎士爵様。ここでしばらくお待ち下さい」

 騎士爵様は、この件に貴族が関わっている事をギルドマスターに報告するのだろう。


「ケンイチ殿。私は明日にでも、ここを治めているアスクレピオス伯爵に会いに行ってくる」

「貴族が絡んでいる事を、ご報告なさるのですね?」

「そうだ」

「そちらは騎士爵様にお任せいたします。相手が貴族であれば、我々平民には手出しが出来ませんし」

「任せよ」

 

 ニャケロは徹夜で仕事をしろと言っていたが、本当に今から見分を始めるようだ。

 慌ただしく職員が走り回り、ギルドの備品であるランプ等が集められていく。

 だが、さすがにギルドの建物内に生首を並べるわけにもいかず、いつも魔物や動物の解体に使われている処理施設が選ばれた。

 

 血と臓物の匂いが染みこむ建物内に、首が52個――俺のアイテムBOXから出されて並べられた。


「あ、あの……首がまだ温かいんですけど……」

 慣れない作業に女子職員達は及び腰だ。


「首を落としてすぐに、あの旦那のアイテムBOXへ入れて持ってきたからな。出来たてのホヤホヤよ」

「こんなホヤホヤ要らないですぅ」

「何言ってやがる。腐ってドロドロや、塩漬けでしわくちゃの首より余程良いだろうが」

「へへ、悪党の首もこれだけ並ぶと壮観だな。こいつがシャガの野郎か。確かに悪そうな面をしているぜ」

 以前、俺の持ち込んだ獲物を解体してくれた口髭と傷だらけの職員は、この手の仕事は慣れっこのようで平気な顔をしている。

 職員総出で手配書との照合が始まった。勿論、この世界には写真等は無いので、皆が似顔絵と犯罪者が持つ特徴とを照らし合わせて見分が行なわれる。

 だが、一緒のパーティに騎士爵様がいてくれて遥かに信憑性が上がった。

 やはり地位の高い人がいると物事がスムーズに運ぶ。そうでなければ、これが違うあれが違うと難癖を付けられて、金が減額される事もあると言う。

 ニャケロがギルドに少々負の感情を持っているのはそのせいなのだろう。

 身分が低いし、知能もあまり高くない――という事で足元を見られる事も多いらしい。酷い話だ。


 見分している最中に俺はやることがない。通りに停まっていたトラックをアイテムBOXへ収納する事にした。

 突然、目の前から消える鉄の化物に集まった住民達は驚きの声を上げる。

 一応、アイテムBOXへ仕舞ったのではなく、召喚獣の召喚を止めたから消えた――という事にしている。

 信じようが信じまいが、これで押し通す事にした。

 プリムラさんとマロウさんは皆に頭を下げまくった後、馬車で帰宅した。色々とあったんだ、親子水入らずで自分の家でゆっくりとしたいだろう。


 首が並べられた現場に戻ると、背の高い痩せた男が加わり現場を仕切っている。緑色の法衣らしきものを着て、少々長めの焦げ茶色の頭と、顎には薄い髭が生えたナイスガイ。

 どうやら、この眼光鋭い男がギルドマスターらしい。


「師匠、話を聞いてまさかと思いましたが、年寄りの冷水は程々に」

「何を言うか。わしゃまだまだやれるぞ? 今回の討伐で見なおしたじゃろ? それにの、色々と発見もあった事じゃし」

「その発見というのは?」

「内緒じゃ。弟子だからとて、何でも教えてもらえると思うたら大間違いじゃぞ?」

 ええ? ギルドマスターの師匠って……。


「爺さん、結構凄い人だったんだな」

「ホホホ、見直したか?」

「まぁな」

「それでの、後で頼みがある」

「世話になったし俺に出来る事ならな」

 

 騎士爵様だけじゃなくて、ギルドマスターの師匠ってのが同行していたんだ、この討伐の真偽について、もう疑いを挟む奴はいないって事だ。

 全部の首が見分されて間違いなくシャガ一味の物と確認された。

 だが、この場で金の支払いがされるのではない。何しろ大金で、金庫にも金が入っていないだろう。


 内訳は――。

 シャガの首 金貨100枚(2000万円)

 幹部の首  金貨50枚(1000万円)×10人 合計金貨500枚(1億円)

 手下の首  金貨25枚(500万円)~10枚(200万円)×41人 合計金貨825枚(1億6千500万円)


 ギルドからの賞金 金貨100枚(2000万円)

 マロウ商会が掛けた賞金 金貨100枚(2000万円)

 国からの報奨金 金貨100枚(2000万円)

――――――――――――――――――――――――

  総額金貨1725枚(3億4千500万円)

  1人あたり金貨115枚(2300万円)


 ――の稼ぎである。

 これプラス、敵のアジトから奪ってきた諸々の物資がある。これ等の売却代金も均等に分けられる予定だ。


 だが――。

「わしの稼ぎは、お前さんにやる。その代わり、あの金属の板をもう一枚くれ。そちらのほうが貴重で金では買えん」

「爺さんがそう言うなら、それで良いが」

 特殊な金属を触媒に使って、魔法のブースター代わりに使えるとなれば、確かに金では買えないアイテムだ。

 この世界には、俺がシャングリ・ラから取り寄せた分しか無いからな。

 アルミが存在しないというこの世界――もしかしたらアルミの原料であるアルミナがあるかもしれないが、あれを精製するのは電気を大量に食う。

 この世界風に電撃の魔法等で代用出来るかもしれないが、そう簡単ではないだろう。


 爺さんの分も合わせて4600万円の稼ぎか――命がけで戦ったのだから、このぐらいはもらってもバチは当たらんよな。

 見分が終わると、すでに辺りは真っ暗――普通の住民達は一杯飲んで、寝始めている時間帯だ。

 だが、デカい出来事があったので、未だにギルド前では野次馬の人だかりが出来ている。

 娯楽に飢えているので、こういうのはすぐに飛びつくようだ。

 暗くなったギルドのカウンター前の広間で、皆で打ち合わせと金の計算をする。

 獣人達は勘定も計算も出来ないので、あたふたしているのだが、爺さんや騎士爵様がいるのだから大丈夫だと言い聞かせる。

 広間の壁際にある椅子には、敵のアジトから連れてきた女達と――眠っているアネモネを抱いているアマナがいる。

 そこに、1人の女性がズカズカと入ってきた。

 紺のスカートに白い粗末なブラウス――この世界で標準的な服装だが小さな前掛けをしている。

 少々小太りだが痩せれば美人そう。

 その女性は、マッチョの下へ直行すると、いきなり男の頬を殴った。


「オカトラ! 新婚だってのに、いきなり女房を未亡人にするつもりかい!」

「あいたぁ! セルリア、ちょっと皆が見ている前で勘弁してくれ」

 どうやら、マッチョ――オカトラと言うらしい。彼女は、こいつの女房のようだ。


「あたしに何の相談もなく!」

「お前に相談したら反対するに決まってるだろ?」

「当たり前だよ! このトンチキ!」

「ええ? お前、女房に黙って参加したのか? そりゃ怒るに決まってるだろ」

「はは、面目ねぇ」

 もう一度手を振り上げた女房の前で、借りてきた猫のようになるオカトラ。トラなんて付いているのに、マジで猫だろ、そりゃ。

 だが、女はオカトラに抱きついて泣き始めた。


「金なんか入ったって、あんたが死んじゃ何もならないじゃないか!」

「すまねぇ……」

「悪いと思ってるんだね?」

「そりゃ、もちろん思ってるさ」

「それじゃ入った金は全部、あたしにおよこし!」

 女が顔を上げると、オカトラを睨みつけた。


「そりゃないぜ、セルリア」

「お黙り! どうせ、あんたに金を持たせたって、あっという間に使い込んだ挙句、無一文。また危ない橋を渡ろうとするに決まっている!」

「そうそう! その通りだよ。女房に金を持たせた方が良いよ。男が金を持つとろくな事に使わないんだから」

 話を聞いていたアマナの茶々が入る。


「勘弁してくれよぉ……」

 マッチョな身体を小さくして泣きが入るのだが、尻に敷かれているようだから、こりゃ無理そうだな。


 打ち合わせの結果、色々と道具を用立ててくれて、美味い飯も食わせてくれた――ということで、皆が俺に分け前をくれるようだ。

 中々義理堅い連中だな。俺としても断る理由もないので、ありがたくもらっておく。

 金がいくらあっても困る事はないからな。アイテムBOXにいれておけば、重くもないし安全だし。

 その金額は金貨5枚(100万円)~10枚(200万円)、14人で合計で金貨80枚(1600万円)程になった。


 全部で6200万円の稼ぎだ。

 それと、俺の出したアイテムについて、他言無用とすることをお願いした。

 だが、これだけ派手に暴れたんだ、噂が広まるのは避けられないだろうな……。


「アマナ、お前は討伐に加わってないが、金貨5枚ぐらいで良いか?」

「ええ? 要らないよ、そんなもの。あたしゃ、まったく働いていないじゃないか。怖い思いもしてないしさ」

「だが、色々と手伝ってくれたじゃないか……それじゃ、金貨1枚(20万円)ぐらいなら受け取ってくれるか?」

「そりゃ、まぁ……料理の用意も手伝ったし、この子の面倒もみたいし、そのくらいならもらっておこうかね?」

 アマナに金貨を渡す。アネモネは、とりあえずアマナの家に泊まるようだ。

 一緒にいた女達にも、金貨を1枚ずつ渡す。


「いいんですかい? 金貨なんかいただいて……」

「職を探すのにも、寝床を探すのにも金がいるじゃないか。良いからもらっておけって」

「そりゃ文無しですからねぇ。ありがたく頂戴いたしますよ」

 女達は金を受け取ると、宿を探すようだ。


「困った事があれば、アマナかあそこにいる爺さんを頼れば良い。この街で顔が広いからな」

「任せておきなって」

 俺は、この街に――というか、この世界に来たばかりの新参者だからな。


 さて、すでに門は閉まってしまった。俺も泊まる所を探さないとダメだが――最初に泊まった宿で良いか。

 表には、まだ人が沢山いる。ギルドの裏口から出て通りをてくてくと歩いて宿屋を目指す。

 もうすでに夜空にはグラニュー糖をぶちまけたような星空。

 

 10分程歩き、アザレアがいる宿屋に到着した。


「こんばんは、泊まりたいんだが、部屋は空いてるかい?」

「ケンイチ! ケンイチらしい人が、鉄の化物に乗って野盗の討伐へ行ったって聞いたんだけど?!」

 宿屋の食堂で酒を飲んでいた連中が一斉にこちらを向いた。


「ああ、違う違う、人違いだから」

「なんだぁ、そうだよねぇ」

 無論、大嘘である。大金が入るって事を知られたら、皆にたかられるからな。

 話を聞いていた客達も、また酒を飲み始めたのだが――アザレアが急に抱きついてきて、上目遣いで俺を見てくる。


「ねぇ、あたしを愛人にしてくれるって約束は覚えてるぅ?」

「いや、全く覚えてないな」

「酷い! あたしの事遊びだったのね!」

 見るからに嘘泣きだ。


「まぁ、お前も小遣い稼げたし良かったじゃないか」

「……ケンイチはもっと、お人好しかと思った」

 彼女は独自の嗅覚で――俺が金を持っている事を嗅ぎつけたんだろう。もしかして討伐が成功したのは、俺だと解っているのかもしれない。


「ハハハ、ごめんな~俺は悪いオッサンだから。ほら、お釣りはお前の小遣いにして良いから」

 この街へ来てから色々と世話になってるアザレアにゃ悪いが、小四角銀貨1枚(5000円)を渡して2階へ上がる。

 色々とアイテムもくれてやったし、その義理も果たしているだろう。


 俺がいつも使っていた部屋が空いていたので、そこに泊まる事にした。朝飯は無しだ。

 疲れていたので、そのままベッドに倒れ込む。

 だが、疲労困憊していると中々ぐっすりと眠れない。うつらうつらしていると、ドアが開いた。

 燭台を持ってオレンジ色の光の中に立っていたのは、アザレアだ。


「おい、アザレアか。俺は疲れてるんだよ」

 俺のその言葉を聞いたはずなのだが、アザレアが服を脱いで毛布の中へ潜り込んできた。


「今月は稼ぎが少ないんだよ。先っぽだけで良いからさぁ」

「何言ってんだお前、先っぽだけで金を取るのか?」

「じゃあ、奥まで入れる?」

 埒が明かないので、結局やることにした。

 だが、事が終わってスッキリしたせいか快眠する事が出来たのだが――。


 しかし、これで良いのか?

 全くスローライフっぽくないのだが。


 ------◇◇◇------


 ――次の日。

 ベッドでアザレアがまだ眠っているが、そのままにして宿屋を出るとギルドへ向かう。

 冒険者ギルドへ到着すると、すでに皆が集まっていた。何故か女達も一緒でアマナとアネモネもいる。

 騎士爵様は昨日の話通りに、この地を治めている伯爵様とやらに会いに行ったらしい。

 これから野盗のアジトで集めた物を売りに行くのだ。


 皆は宿屋や自宅で飯を食ってきたらしいので、俺はアイテムBOXからパンを出して齧りつつ後をついていく。

 ワイワイと皆で話しながら通りを歩くのだが――。

 金が入ったら、やってみたい事を口々に皆が夢を語る。


「贅沢や無駄遣いすると、あっという間に金が無くなるぞ?」

「そうなんだよねぇ、中々上手くはいかないよ」

「金持っていると、怪しい人間が金に集ってくるしな」

「本当に碌なもんじゃないよ」

 アマナも小金を稼いで転落していった奴らを沢山見ていると言う。

 ここら辺は、どこの世界でも一緒のようだ。

 美味い話なんて物は無いって事だ。本当に美味い話は誰にも言わない――俺のシャングリ・ラみたいにな。


 皆で話し合いをして、武器や防具などは出発の際に装備を揃えた武器屋で売ることにした。

 それに野盗達が旅の商人やら、キャラバンから分捕った物が多いので、良い品物が多い。

 盗賊1人当たりから剥ぎ取った装備を15万円相当として15×52人で780万円――。

 結構な金額だ。商人の中には、この剥ぎ取りで財を成した連中も多いと聞く。

 店に到着すると、店員に建物の裏手へ案内をしてもらい、52人分の武器や防具をアイテムBOXから取り出した。


「こ、こんなにですか?」

 店員が山積みになった武器と防具に目を見開く。


「ここは大店だから、このぐらいは大丈夫だろ? しばらく在庫に困らなくなるぞ」

「し、しかし……」

「買い取ってあげなさい」

 奥から出てきたのは、ここの主人だ。

 恰幅がよい体型に紺色の上下――目が細くスキンヘッド。例えるならば大仏様か。


「ここら辺一帯で荒稼ぎしていた野盗の武器と防具だ。良い物が多いぜ。お買い得だろ?」

 店の主人が色々と調べているようだが、見た目にも良い物が多い。

 人の血を吸いまくって、使い込まれている物が多いが、それで価値が落ちる事も無い。

 何故ならば、それだけ実戦で使っても壊れないと証明されているからだ。

 プロの中には、この手の物を好んで使う奴もいると言う。

 車で言えば、慣らしが終わって当たりが出てきた――といったところか。

 

 武器屋での売却が終わり、次の店へ向かう。


 シャガが集めていた絨毯やら陶器やら宝剣やら――そういった高価な物はマロウ商会に買い取ってもらう。

 こういう物は買う相手が貴族や金持ちだから、客層が全く違う。

 家具やらは爺さんの道具屋で買い取ってもらえば良い。

 それと、悪党のアジトには金貨も100枚程あった。そいつも皆で山分けだ。

 

 そして全ての売却が終わって、その総額は――金貨178枚(3560万円)

 15人で山分けして1人当たり金貨11枚(220万円)。端数は女達にやることにした。そのほうが後腐れなくて良いだろう。

 ギルドからの金は支払いに少々時間が掛かるらしい。


 金を分けた後、ギルドからの金を受け取る日に皆で集まる約束をした。

 皆と別れると、やっと森にある自宅へ脚を向けたのだが――。


 俺の後を何故か女達が付いてくる。

 アネモネも一緒だ。


「おいおい、何で俺の後を付いてくるんだ?」

「あのぉ、こんな事を頼めるのは旦那しかいないと思ってぇ――皆で相談したんだけど……」

 話を聞けば、住む所と仕事を見つけるために金を節約したい。それで俺の家へ泊まりたいと言う。


「皆の話では、自分の家を持っているの、旦那だけみたいですし……」

「ええ? 俺の家は小さいぞ? 11人も寝られるかな? それでも良いのか?」

「はい、雨風しのげりゃ、それで良いです」

「アネモネはアマナの所が良いんじゃないのか?」

「……ケンイチの食事の方が美味しかったから」

 イカン、餌付けをしてしまったか。


「旦那ぁ! 畑があるなら、オラがやるっぺ。任せてくんろ!」

 そう言って、アリッサがポニーテールを揺らして、言うのだが――。


 マジですか?

 

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