20話 プリムラさんのお風呂
森が暗くなる中、マロウ商会の娘――プリムラさんが俺のスローライフの拠点を訪れた。
しかし、何もかも出しっぱなしである。もちろんユ○ボも……こりゃ拙い。
「プリムラさん、こんな所に供も付けないで魔物に襲われたらどうします?」
「魔物は――ケンイチさんが住んでいるので大丈夫なのでしょう?」
そりゃそうだ。だが当然の如く、プリムラさんがパワーショベルに気がついた。
「ケンイチさん。あの鉄の塊は……?」
「いやぁ、その~そう! あれは私の忠実なる下僕、召喚獣でして」
「ええ? 召喚ですか? ケンイチさんは魔法も使えるのですか?」
「ええ……まぁ。申し訳ないのですが、この事はご内密に」
「もちろんですわ。ケンイチさんは大切な取引先ですから。それに――ケンイチさんは不思議な方だと思っていましたけど、その秘密が1つ明かされましたわ」
う~ん、ちょっと弱みを握られてしまった気がするが――まぁ、プリムラさんなら大丈夫だろう。
悪意があるなら、とっくに仕掛けてきているはずだからな。
重機のエンジンに火を入れて、実際に動かしてみせる。
クルクルとまわって、アームを振り上げる。
「まぁ! 本当に言う事を聞くのですね! ――という事は、ケンイチさんは調教師でもいらっしゃる?」
「う~ん、そういう事になるんでしょうかねぇ」
俺は、パワーショベルをアイテムBOXの中へ収納した。
「素晴らしいですわ」
「もう一度お願い致しますが、この事はご内密に」
「そうですわね。この事が王侯貴族の耳にでも入れば――」
絶対に利用するだけ利用して、後はポイって感じになるだろう。冗談じゃねぇ。
「そうなるのは絶対に避けたいのです」
「マロウ商会としても、せっかくの取引先を王侯貴族に取られてしまっては悔しいですから。それに王侯貴族の方々は取るだけ取って何も保証してくれない方ばかりですし」
やっぱりそういう感じなのか。それで言う事を聞かないと死刑だとか言い出すんだろ――やだやだ。
隣の帝国って国は凄い魔法使いだとバレると、強制的に帝国魔導師として軍へ徴発されるらしい。
うわぁ、そんなのは勘弁してもらいたいですわ。
「しかし、プリムラさん。おそらく門が閉まってしまいましたよ」
「ええ、そうですわね」
「まさか、ここにお泊りになる?」
「あら、ケンイチさんはお優しい方だと思っておりましたが、女の私に森の中で野宿しろと?」
「あの、ベッドが一つしかないのですが?」
まぁ、ベッドをシャングリ・ラから買えば良いのだが、そういう事ではないのだ。
「構いませんわ。買い付けで長期旅行などをすれば、男の方と雑魚寝も普通ですし」
大店になる前は馬車一つで国中を買い付けで旅をした事もあるらしい。中々、逞しいな。タダの金持ちのお嬢さんではないって事か。
本人は泊まる気満々だし、まさか取引先のお嬢さんを放り出すわけにもいかない。丁重に、おもてなしをしなければ。
家の方へ案内しようとしたのだが、プリムラさんが家の外にあるドラム缶に気がついた。
「あれは?!」
何か宝物を見つけたように彼女の目が煌めく。
「あれは風呂ですよ」
「お風呂?!」
彼女が慌てて風呂へ走ると、水の入ったドラム缶を隅々まで観察している。
「この鉄の筒に水を入れて、下で火を焚くと風呂になるんです」
「是非入ってみなくては!」
「ええ? あの、お風呂に入るって事は裸にならないとダメなんですが」
「もちろんですわ。実際に使ってみなくては良い商品かどうか解りませんでしょ?」
「良いのですか?」
「はい、私は――ケンイチさんを信じてますから」
いや、信じるとかそういう問題では無いのだが……まぁ大切な取引先のお嬢さんに手を出すほど愚か者ではないと思ってくれているのだろう。
それに当人が風呂に入りたいと言うのであれば断る理由も無いしな。
そうと決まれば温度センサーを設置して火を焚く。
「それは?」
「お湯の温度を測る――まぁ、魔導具です。これは非売品なので悪しからず」
お湯が沸くのには1時間ぐらい掛かる。
家の方へ案内しようとすると、彼女は俺から離れて家の方へ走っていく――だが何かに驚いて飛び退いた。
「きゃぁ!」
慌てて家の前へ向かうと、そこには黒い森猫が香箱座りをしていた。もう暗くなっていたので完全に保護色になっている。
いつの間にやって来ていたんだ。プリムラさんの相手をしていたので、全く気が付かなかったな。
それとも、もっと前からいたのか?
「なんだお前か。身体は良くなったのか?」
彼女の黒光りする身体を撫でると頭をすり寄せてくる。そして目の前には彼女が捕らえたと思しき白い動物が――。
ウサギかな? だが、ふさふさの白い毛皮をした獣の頭には角が生えている。
「それは角ウサギですわ」
角が生えているからツノウサギか――解りやすい。森猫は、そのウサギを軽く咥えると俺の前に差し出してくる。
「なんだ、俺にくれるってのか?」
そう言って彼女の顎を撫でると喉をゴロゴロと鳴らしている――全く猫だな。
獲物に触るとまだ温かい。だが今はどうしようもないな、とりあえず後回しだ。
角ウサギをアイテムBOXへ収納すると、シャングリ・ラから猫缶を買って開けようとした。
――すると、森猫が立ち上がり階段を上ると玄関の前に座る。
「はいはい」
扉を開けると彼女がするりと家の中へ吸い込まれた。猫は流体である――なんて話があるが、本当に流れるようにするっと入るな。
「あ、あの森猫は」
「怪我をしたのを助けてやったんですよ。お礼を持ってきてくれたのでしょう」
彼女からすれば、どうせお前は獲物も捕れないんだろうから私が恵んでやるぜ――ぐらいの感覚かもしれないが。
「さすが調教師ですわ。森猫と仲良くなるなんて」
「あいつを捕まえて、ギルドへ差し出さないで下さいよ」
「もちろん、そんな事はしませんわ」
プリムラさんと部屋に入ると、ガソリンランタンを点ける。
「小さくても素敵な部屋ですわ――まぁ!」
プリムラさんが、ベッドへ駆け寄ると羽毛布団に抱きついている。
「これは? 羽布団ですよね?」
「ええ、そうですよ」
「これも、うちへ卸していただけますか?」
プリムラさんが羽毛布団を抱いたまま俺の目を見つめてくる。
「それは、あまり数が無いのですが、よろしいですか?」
「はい、もちろんですわ」
恐らく羽毛布団なんて使えるのは貴族様だけだろう。それならば、あまり数は多くなくて良いはずだ。
プリムラさんと話をしていると、森猫が俺の身体へ巻き付いて何かをアピールしている。そして部屋の角へ行くと俺の顔を見るのだ。
「ああ、解った」
俺は彼女が使っていた毛布を取り出すと、床に敷いてやる事にした。ついでに猫砂も必要だろう。
アイテムBOXへ仕舞ったままだった猫砂がいっぱいに入ったプラの箱を出した。1回も使っていないので、ここで用を足すかどうかは解らないが、床でされると困るからな。
ついでに森猫の食事も用意もする。猫缶を2缶、皿に開けてやると彼女は嬉しそうに食いついた。
「なんだか随分と仲がよろしいように見えますけど」
「森猫に嫉妬されても」
「そんなのじゃありませんわ!」
羽毛布団を抱いたままプリムラさんが横を向いてしまうのだが、そんな様子を見ると、ちょっと幼さが残っているようにも見える。
俺の目がおっさん視点だから、そう見えるのか? 俺ぐらいの歳だと、彼女ぐらいの歳の女性と付き合ってもロリコンだと言われる――マジで。
60の爺が40の女性と付き合ってもロリコンだと言われる。
森猫は飯を食い終わると、俺の敷いてやった毛布で丸くなっている。彼女も今日はここにお泊まりのようだ。
風呂はまだ沸かないので飯にしよう。
風呂を待っている間に簡単に出来るもの――という事で、インスタントカレーにした。
カセットコンロでお湯を沸かし、レトルトパックを温める。
「これは?」
「食い物を温めているんです。これも非売品です」
「非売品が沢山ありますのね」
「申し訳御座いません」
パックのご飯も見せたのだが、米を見たプリムラさんの反応が宜しくない。
食べた事が無い物なので拒否反応があるようだ。まぁ無理に勧める事も出来ないので、俺もパンにする事にした。
温めたカレーを皿に盛り、後はパンと牛乳と野菜ジュース。
しかし、ご飯がだめだと日本食はダメな物が多いな。ミャレーは醤油もダメだったしな。
「この香辛料の料理は辛いですが、とても美味しいですね」
プリムラさんは、カレーにパンを浸けて食べている。この世界のパンは固いので、こういった食べ方が普通だ。
「香辛料が安くなれば、こういった料理も流行るんですけどね」
「徒党を組んで値段を釣り上げても、結局市場が狭くなって儲ける機会を損失していると私も思うのですが……」
これは、バコパというスパイスシンジケートの事を暗に批判しているのだ。
「この冷たい野菜のスープも美味しいです」
「それは飲み物代わりに飲むものなんですが。野菜だけだと、とても飲めないので、果汁も入っているんですよ」
「野菜と果物だけで、こんなに美味しいスープになるなんて――本当に変わった食べ物が多いです」
夕飯を食い終わると、風呂に仕掛けた温度センサーが適温を教えてくれる。
「なんですか?」
「お湯が沸いたんですよ。本当にお風呂に入るんですか?」
「もちろんです」
アイテムBOXから、LEDランタンを出して外へ行く。
「そ、それは魔法のランプでしょうか?」
「まぁ、そんな感じの物です」
「……」
プリムラさんが何か考えごとをしている。ヤバい品物を売ってくれと、せがまれると困るなぁ。
しかし、せっかく森の中まで来てくれたのに、もてなさないのも人としてどうなのよ? ――って感じだしな。
いや、プリムラさんは聡明な人だ。きっと解ってくれる――人はそれを希望的観測と言うが。
風呂場を囲っている板にランタンを掛けて、板で風呂をかき混ぜ手を入れる――いい湯加減だ。
「ここには水が入っているので、温度を調節して下さい。お湯を使う時は、この手桶で」
俺が水の入ったポリタンクを指さして、実際にレバーを倒して水を出して見せる。
「この容器も非売品なんですよね?」
「もちろんです。それでは私は家にいますので、何かあれば呼んで下さい。ここに石鹸も置いておきますので」
「あ、あの! ちょっと……」
「なんでしょう?」
「ここにいてくれないと、1人だと怖いのですが……」
「それじゃ、この板の陰にいますので」
彼女を見ると、それでも心配そうな顔をしているのだが、まさか堂々と素っ裸になるシーンを凝視するわけにもいくまい。
いや凝視する必要もないのだが。それでも見て良いと言うなら見るだろ。だって男の子だもん。
シュルシュルと衣擦れの音が暗い森の中に溶け込む。本当に静かなので音がよく聞こえる。
静かな場面でシーンという単語を使ったのは、かの漫画の神様らしいのだが、本当にシーンという言葉が当てはまる。
風でもあれば、枝同士が擦れ合うざわざわという音が森中に響くのだが。
「あの、ケンイチさん、いらっしゃいますか?」
「はい、いますよ~。 お湯に入る時は、浮かんだ板を踏みながら入って下さい。火炙りになっている底は熱いですから」
「解りました」
まるで夜中に1人でトイレに行けない女の子のようだ。
板越しに、チャプチャプとお湯に浸かる音が聞こえてくる。
「大丈夫ですか? 入れそうですか?」
「だ、大丈夫です」
なんとか風呂に入れたようだ。
「あ、あの!」
「なんでしょう?」
「お風呂に入っているので、こちらへ顔を出していただけませんか?」
「いいのですか?」
「はい」
まぁ彼女がいいと言うのだからいいのだろう。風呂の前へ行くと、プリムラさんが肩までお湯に浸かっていた。
今更、女の裸にどぎまぎするような歳でもないからな。
「湯加減はいかがでしょう」
「とても良いです。こんなに簡単にお風呂へ入れるなんて……」
貴族式の風呂だと石で風呂を作って、ボイラーを作って、配管を作って――と大変な事になり、最低でも数千万円は掛かるらしい。
彼女の顔は真っ赤だが、お湯で赤いのか、それとも恥ずかしくて赤いのか、それとも両方か。
「恥ずかしいのなら陰に隠れていますが」
「いいえ、ここにいてくれないと……」
「そんなに怖いのなら、次の機会にするとか他の選択もあったでしょう」
「いいえ、商売というのは機会を逃すと一生巡り合わない事もありますから」
元世界には一期一会って言葉があったが、この世界にはあるんだろうか?
「しかしなぁ――良家のお嬢さんが見ず知らずの男の前で裸になるとは、いかがなものなんでしょうかねぇ」
ちょっと嫌味っぽい言い方だが、プリムラさんの強引さも気になる。
それだけ俺の持っている商品が魅力的なのかもしれないが。
「マロウ家は成り上がりの商人で良家でもなんでもありませんわ。それに、ケンイチさんも見ず知らずではありませんし」
彼女に、アイテムBOXから出したタオルを渡すと、気持ち良さそうに首の周りを拭いている。
「私が悪人だったらどうします?」
「獣人を助けて、森猫を助けるような方が悪人だとは思いません。普通は怪我した森猫を見つけたら止めをさして、ギルドへ持ち込むでしょう?」
「そりゃ、そうだ」
ミャレーから色々と聞いたようだな。彼女が身体を洗うと言うので再び板の陰に隠れる。
洗っている音を聞くと髪も洗っているようだ。石鹸で髪を洗うとゴワゴワするんだよなぁ。
「プリムラさん。髪の毛を洗ったなら、この薬品を髪に付けて、少し経ってからお湯で流してください」
アイテムBOXから、リンスのボトルを渡す。
「どうやって出すのでしょう?」
「ああ、頭を押すと出ますよ」
「……でました!」
彼女が喜んでいるような声が聞こえてくるのだが、姿が見えないので何をやっているかさっぱりと解らん。
さて、シャングリ・ラを開いて、新しいバスタオルとバスローブを買うか。
それと髪を乾かすための、ジェットヒーターを準備する。獣人のミャレーの毛皮を乾かす時に使ったのと同じ物だ。これなら彼女の長い髪もすぐに乾くだろう。
プリムラさんがお湯から出る音が聞こえてくるので、準備した物を渡す。
「プリムラさん。拭き布とローブです。汗が引くまでそれを着てください」
「まぁ、この手触り! これも非売品なのですか?」
どうやら、タオルの手触りが気になるようだ。獣人達は全く気にしなかったのだが、さすが商人といったところか。
「う~ん、それは若干数なら卸しても宜しいかと。 ローブを着ましたか?」
「はい」
金色の髪を濡らし、白いローブから赤く染まった白い肌がチラリと露出している彼女は、まるで森の中の妖精だ。
ちなみに、この世界の服は全部右前になっているので、女性だからといって左前に着る事はない。
彼女の前にジェットヒーターを出して点火すると、ゴウゴウという音と共に温風が吹き出してくる。
「これで、髪の毛を乾かして下さい」
「こ、これは魔法ですか?」
「プリムラさんが私のことを信用して下さるから、私も秘密の魔道具を沢山見せているのです。全部、他言無用で願いますよ」
「解っております」
黙って髪の毛を乾かしている彼女だが、何かを考えているようだ。
恐らくは俺の持っている数多くの未知のアイテムについてだろう。
プリムラさんの事を信用してはいるが、その信用が崩れるような事があれば、ここから撤退する事も考えなくてはいけなくなる。
俺は、この街が気に入っているので、そうならないようにと願うのだが。
家の中に入り、ベッドの縁に座る彼女にフルーツ牛乳を差し出す。
「美味しい……これは? 牛乳ですよね?」
「牛乳を果実の汁で割った物ですよ」
「こんな物まで――それに私の髪の毛がサラサラに……。いつも石鹸で髪の毛を洗うと、ゴワゴワになってしまうのですが」
「髪に付ける薬品をお渡ししましたでしょ?」
「あれのお陰ですか……」
彼女は、フルーツ牛乳が入ったカップを握りしめて何かを言おうとしている。
「これだけの商品があれば、ダリア――いえ、この国一の商人になる事も可能だと思うのですが」
「ああ、私はそんな事は望んでいません。静かに暮らして美味い飯が食えるぐらいの稼ぎがあれば良いのです」
「……」
「私の趣味をお見せしましょう」
俺は、アイテムBOXからスケッチブックを取り出すと、プリムラさんに広げて見せた。
「これは、ケンイチさんがお描きに?」
「ええ、こういうものを静かに描いたり、色んな物を作るのが趣味なんですよ。それに必要な分の稼ぎがあれば良いわけでして」
「宮廷画家に、なれるのでは?」
「はは、まさか」
いい機会なので、ローブを着たプリムラさんの姿をクロッキーさせていただく。
沈黙する2人の間に鉛筆が紙を擦る音がしばらく響いた後、出来上がった作品を彼女に見せると驚いたような表情を見せる。
「これを、いただいてもよろしいですか?」
「もちろん、どうぞ」
彼女はスケッチブックを胸に抱きしめている。
それを横目に見ながら、俺はシャングリ・ラから安いパイプベッドを取り寄せた。ベッドが9000円で、シングルのマットが2700円だ。
森猫が丸くなっている対面の角にベッドを移動させると、マットと敷き毛布をアイテムBOXから取り出す。
プリムラさんには新品の寝間着を用意した。上からすっぽりと被るタイプのワンピースタイプで裾にフリルがついている――色はピンクだ。
彼女が着替えている間、俺は後ろを向いているのだが――横を見ると森猫が何か言いたげにじ~っと俺を見つめている。
「今日はもう寝ましょう」
ランタンに手を掛けた俺に、プリムラさんが頷く。
今は恐らく午後8時頃だが、この世界は暗くなったら寝て、明るくなったら起きる。
灯油も蝋燭も高いので、あまり夜更かしする人もいない。夜更かししているのは金持ちだけだ。
「おやすみ」
「おやすみなさい」
暗くなった部屋――ベッドの上で俺はシャングリ・ラについて考えていた。
こいつには、かなり大きな問題点がある。シャングリ・ラに入金する金額が多大になったらどうなるか?
サイトの取引に制限が無いとすれば、それは金を無限に吸い込むブラックホールと言える。
金さえ入れれば凄い物がじゃんじゃん買える。王族などに取りいれば、数十数百億の取引でも可能になるだろう。
だが、ブラックホールに入れた金は戻ってこない。いずれは国の金が底を突く。
そうなれば、国を襲うのが経済の破綻だ。俺は国を滅ぼした張本人としての責を負うだろう。
それとも次々と国を滅ぼしながら逃亡生活を行うか。
それ故、個人的に使う程度の金額しか取引が出来ないのである。
この世界にある無価値な物で、シャングリ・ラから金を吐き出させるか、チャージが可能になれば、それも防げるのだが……。
何か上手い方法を考えなければ。