チクショー!またキャラクターが暴れ出しちゃったよ!どうすんのこれ!?
「ちくしょおおお! またコイツか! なんでお前がヒロインの隣で焼き鳥食ってんの? ただの説明役Aって設定だったじゃん!」
そう言って、ハンケチーフを噛み締めて悔し涙を流したこと、ありませんでしょうか。
物語を書いていると、思うようにストーリが進まないということは、往々にして起こり得ることだと思います。
初期設定が甘かったり、ツマンネ病にかかってしまったりと、その原因はいくつか考えられますが、ここでは「キャラクターが暴れ出す」と言う内容について言及していきたいと思います。
キャラクターが暴れ出す。
というと、読み手の方々には疑問符が浮かぶかもしれません。
何言ってんだ。お前が書いてるんだから、そんなことなるわけねえじゃん、と。
はい。おっしゃる通りでございます。
ただですね、えぇ、何と申しますか。
手綱を握れていないとでも表現いたしましょうか。
親戚のお兄ちゃんから貰ったLV100カイオーガが、トレーナーの言うことを聞いてくれない、あの感覚です。
いわば、作者の技量が足りてないわけですね。
通常、物語を書く際は大雑把に(私基準ですが)、
①大まかな構想(誰が何してどうなる物語なのか)を練る。
②世界観、用語、キャラ設定、裏設定を考える。
③章毎のストーリーを考える。
④章毎の細かい設定を考える。
⑤話別に分割してストーリーの展開を考える。
⑥書き始める。
といった手順を踏み、きちんと決めた通りに物語を動かしていくかと存じます。(とは言え、私の場合はひとつの章を完結させることすらできておりませんが笑)
ただ、実際に書き始めてみると、登場人物が作者の思うように動いてくれないことがあるのです。
例えば、ヒロインの容姿、心の清らかさなどを第三者視点で描くために(個人的には、神様視点よりもこっちの方がワクワクするので)、脇役を用意したとします。
この場合、彼が暴れ始めるとどうなるのでしょう。
実際にあったパターンを元に、簡単な例を挙げてみたいと思います。
今回は短いお話なので、上記の手順は簡略化します。
なんだか雑な気もしますが、その辺りはご愛嬌で。
**作者の頭の中**
①
シーンの構想:チンピラに襲われていた村人Aが、偶然通りかかった主人公とヒロインに助けられる。
②
世界観:剣と魔法の世界。よくあるやつ。
キャラ設定
主人公:魔王討伐を目指している。面倒事が嫌い。役割「今回は特になし」
ヒロイン:魔法の達人。魔王に恨みを持っている。でも、困ってる人は見過ごせない優しい性格。役割「村人Aを助ける」
村人A:脇役。役割「ヒロインを第三者視点で描くためだけの噛ませ犬」
チンピラ:チンピラ。役割「村人を襲ってヒロインに倒されるだけの噛ませ犬」
魔王:今回は登場しない。役割「空気」
⑤
話の流れ:
(1)村人Aがチンピラに襲われている。
(2)そこに偶然、主人公一行が通りかかる。
(3)急いでいたため主人公は見過ごそうとするが、ヒロインは村人Aを助けに飛び出す。
(4)チンピラ撃退。
(5)村人Aが救出される。
(6)村人視点でヒロインの清らかさを描いてシーン終了。
それでは、脇役が謀反を起こしたパターンとして、実際にどんなものがあったのか、例を挙げてみましょう。
**例**
『パターン①』脇役の独白が長くなりすぎて、尺が丸ごと持って行かれる
これが一番多い気がします。タイトルの通り、上記の(6)に該当する村人視点のお話が長くなりすぎて、尺を持って行かれるパターンです。
そもそも、視点変更自体、読者の混乱を招くため下策であると言われているのに、これが起きるともはや何の話だったか分からなくなります。
一番酷い時で、噛ませ犬の独白で4000文字くらい持っていかれて、せっかく書いたのに、泣く泣くボツにした経験があります。
『パターン②』脇役の過去編に突入する
パターン①の進化系です。脇役に感情移入してしまうとこうなります。
ちなみに、今現在、拙作のひとつの更新が滞っている一因でもあったりします。
なんか気が付いたら追憶編に突入していて、もう訳が分かりません。まだ掲載していないのがせめてもの救いです。
『パターン③』脇役がヒロインに好意を持って、主人公一行に乱入する
書いてるときはいいんですよね、これ。「やっぱこっちの方が良くね? おっし! 変更だ!」と言う感じで書き殴りまして、後で読み返して絶望するパターンです。
「おい。なんでお前ここにいんの? あ、俺が書いたんだった」ってなります。
『パターン④』脇役が第二の主人公に成り上がる
パターン③が進化するとこうなります。
そんな馬鹿なと思った方もいらっしゃるかもしれませんが、これも実際にありました。
自慢ではありませんが、拙作「SILVER HUNTER」の第二の主人公はもともと脇役でした。(なろうでは、まだ彼の登場シーンが未掲載ですので、ご覧になることは出来ませんが)
『パターン⑤』お前なんてクビだ!
どうにもならなくなった時の最終手段。悲しいかな。現実はそんなものです。
このように、いざ書き上げてみると、思ってたのと全然違う結末になっていることが多々あります。
実際には例文ほどあからさまではありませんが、だいたいこんな感じです。
上記の症状に陥ると、
「修正→他の部分で整合がとれなくなる→修正→別の部分で整合がとれなくなる」
の無限ループが発生し、ストーリーが進まなくなります。
思うように物語が進まないと、なかなかどうして、モチベーションを維持するのは辛いものです。
こんなとき、皆様ならどうしておりますでしょうか?
私の場合、いったん作品から離れて、他のことをやったりしています(そんなことだから作品がエタルのだけれど)。
個人的な意見ではありますが、動かそうとするキャラクターの個性が強くなれば強くなるほど、作者に求められる技量が高いものとなっているように感じます。
ですから、時にはキャラクターを解雇するのも止むを得ない事なのかもしれません。
執筆って難しいですね。
と、散々愚痴のようなものを書き殴っていた私でございますが、なんだかんだ言っても、やっぱり執筆は楽しいです。
もし、私のような症状に陥っている作者様が、このエッセイを読んで「自分以外にもこんな酷い人がいるんだww。なんだかホッとした」と思っていただければ、こんなエッセイでも書いた意味はあったと思います。
もし、何か思うところなどございましたら、気軽に感想欄に書いてくださればと思います。
最後に、ここまで読んでいただき、本当にありがとうございました。