滅びの聖女
ある呪文を唱えたら滅びちゃった世界のお話です。
とある世界の王宮にて。
「おお!聖女召喚は成功したぞ!」
1人の少女が聖女召喚という儀式のために召喚された。
王族以下貴族、召喚に関わった魔導士なども一斉に歓喜に湧いた。
「聖女様!この世界をお救いくださいませ!」
この世界を救うことができる聖女を召喚したのだから求めるものは世界平和。
だが…
「は?…バル◯」
一夜にして世界は崩壊した。
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あぁ、君達ようやく気がついた?
は?ここはどこで貴様は?と
随分と横柄で傲慢だねぇ。まぁ別にいいけど。
ここは神界で僕は神の一柱。
あぁさすがに驚いた?
さっきまで聖女召喚ができてこれで世界が救われるって思ってたんだもんね。
ん?自分達の世界は女神だった?
あぁ、うんそうだよ?
なのに何故って?
しかも何故神界に皆、召喚されてるのかって?
確かに君達の世界をコントロールしてたのはあの駄女神…だった。
うん、だった、そう過去形。
だってその駄女神も君達の世界も崩壊しちゃったから。
そう、滅びたんだよ。一瞬にして。
だがら皆ここにいるんだ。
で、一応流石に説明がいるかなって思って。
まぁ神の気まぐれかな?別にそのまま消滅させても良かったけど、一応罰をその魂に刻み込んでから消滅させた方が良いかなって思ってさ。
罰?消滅?ははははは!混乱してるねぇ。
そうだよ。君達は自分達で召喚した聖女によって滅びたんだ。
滅びの呪文によって。
意味わかんないよね?でも純然たる事実。
あの世界はもうどこにも存在しない。
聖女のせい?魔女だったのか?
別に彼女はどちらでもなかった。
ただたまたま言ってしまった言葉が世界の滅びに繋がっただけ。
原因は君らの世界で何百年かかってもたどりつけないであろう、文明が進んだ世界から召喚と言う名の誘拐を企てたことだ。
違う?そんなことない?
君らにとっては重要な儀式だけど、呼ばれた側からすれば君らの事情なんてどうでもいいことなんだよ。
そして聖女として呼ばれた彼女からすれば誘拐でしかないんだよ、国単位いや世界単位での。
まぁそんなこと急に仕出かしたら呼ばれた側が滅びろ!って思っても仕方ないよね?
君らだって逆の立場になったらそうなるよ。
しかも聖女という名の搾取なんだし。
何故滅びの呪文を知っていたのか?
別にこの世界の滅びの呪文なんて彼女は知らなかったよ。
でも彼女の世界に伝わる有名な物語に、その呪文が出てくるだけ。
そう、物語の中の呪文。
つまりは幻でしかない、彼女にとっては。
でも不測の事態に対して悪態ついても不思議じゃないよね?
たまたまそこで放ったのが滅びの呪文だったわけ。残念だったねぇ。
君らには理解できないとは思うけど、彼女の世界では
“その滅びの呪文を一斉に大人数で呟く”
という娯楽があったみたいなんだ。
そう、娯楽。
娯楽でしかないけど、それがその世界の記録になるくらいに有名な言葉だった。
何故そんなこと?さぁねぇ。娯楽だもん。
娯楽がこの世界よりもいっぱいいっぱい存在するから、それに特に意味のないんだよ。
だって娯楽だし。
そしてあの駄女神、なんでか知らんけど滅びの呪文をこの世界に対して有効にしてた。
面白いと思ったのか何かを真剣に考えた結果なのかもう誰にもわからないけどね。
精神は完全に消滅しちゃったから。
もしかしたらもう女神としているのに飽きちゃったのかなぁ?
もしくは他の世界から召喚しないと保てない世界に絶望してたのか。
出来る限り原因突き止めて君達に託せば良かったのにねぇ。すぐには無理でもどうにかなったかもしれないのに。
飽きてたなら他の世界の神々に相談してみたら良かったのに。
…だからアイツ駄女神なんだよ。
そういえばアイツ、世界が滅びても自分は大丈夫って思ってたのかな?
自分で壊したらまだ良かったのに。
自分で責任持って消滅させたらまだマシだったのに。
結局は女神の資格なかった奴なんだろうねぇ。巻き込まれた君達にはその点では同情するけど、異世界からの拉致監禁及び搾取は普通に犯罪だからね。
君らは世界単位の犯罪者集団だから同情の余地はなかったかも。
驚いてるけどさ、君ら自身や君らの大事な人がある日突然どこかに拉致されたらどうする?
犯罪に巻き込まれてたらどうする?
憤りを感じるよね?怒りと憎しみを感じるよね?
それを君達は、君達の世界は、それを数十年の周期で何度も繰り返しやっちゃってるんだよ。
たまたま君達が生きている時に今回のことが起こったけどね、それ以前に起こっても不思議じゃなかった。だからいずれは消滅してたよ。
生きた世界が生まれた世界が悪かったと諦めてね。
そうそう、最後の聖女となった彼女は元の世界に戻して、君達とのやり取りは夢の中の出来事として認識してるから。
アフターフォローはきちんとしておかないとね。
ボクはアイツとは違うからさ。
あ、君達の行く末なんだけどさ、1つの世界消滅しちゃって急に大量の魂が溢れてる状態なんだよね。
君らの概念に輪廻転生ってあったっけ?
あぁ、一応あるのか。
魂が浄化されて新しい生を与えられると。
でもなぁこの世界の人間ってだけで、他の世界から搾取し続けてきた罪深い生き物と化しちゃってるからねぇ。
多分高等生物には確実になれないと思ってね。
意思疎通ができる人間やそれに近い生物なんて絶対に無理だよ?
生まれたばかりの赤ん坊にも酷な話なんだけどさ、こればかりは仕方ないんだよね。
あ、そうそう!あの駄女神。
確かに女神として意識や精神?はなくなったし、神としての存在?は無くなったけど。
でも腐っても女神だったから残滓みたいなのは残ってて、それは永久の監獄に入れられて孤独と痛みを与え続けられるみたい。
痛みは…魂がすり潰される感じかな。
孤独は感じるかわからないけど、浄化もされず輪廻転生もなくずっと痛みが与えられる形になってる。
まぁもう残り滓状態だからそれがどれだけの罰になるのかわからないけど、そのままにもできないし、浄化なんて誰もしたくないからこうなっただけかな。
まぁとりあえずしばらくこの地で浄化と言う名の罰を受けてね。
じゃないと君達の魂にこびりついている良くないものが他の世界に拡散されちゃうからね。
まぁ生まれたばかりの赤ん坊とかは短時間で削ぎ落とされると思うけど、それ以外はその者の生き方とかによるかなぁ?
あ、王侯貴族とか召喚に関わったやつは漏れなく多く濃くこびりつちゃってるから、時間かかるけど頑張ってね。
痛みの感じとしては身体の皮を剥ぐような脳みそが削ぎ落とされるような感じみたい。
人間の感覚的には。
そうやって浄化で脳みそを削ぎ落としちゃうから、次に生まれてくるとこは考えることのない本能で生きるもの、遺伝子に全てが組み込まれて管理されるものになるんじゃないかな?
考える脳がなくなっちゃうからその方が本人に取っても良いだろうしね。
考える脳みそがないのに考えないと生きていけないんじゃねぇ。
まぁとりあえず頑張ってねー。
バイバイ。
召喚系はやっぱりその世界を管理する奴が悪いんじゃないかなって思うんですよね。
馬鹿どもに無駄な力と方法を与えて放置するなって思うんですよね、




