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初めての喧嘩
冷蔵庫の中のゼリーを、玲が食べた。 静が食べようと楽しみにしていたやつを。
静「玲、それ……私のだよ?」
玲「えっ、うそ、知らなかった……」
静「名前書いてたでしょ?」
玲「ご、ごめん……」
小さなことだった。でも静は拗ねてしまい、リビングでソファに丸まってしまう。
玲はどうしようか迷ったあと、小さな袋を持ってきて静の隣に座った。
玲「はい。買ってきた。……コンビニ3軒、まわった」
静は驚いた顔をして、袋を受け取る。
静「……ちょっとやりすぎ。でも、ありがと」
玲「怒ってる?」
静「うん。でも……ちょっとだけ」
玲「じゃあ、これで許して?」
玲がそっとキスを落とした。 それは、ごめんのキス。 だけど――どこか嬉しそうな静の顔に、玲も救われる。
喧嘩は、少しずつ「一緒に生きている証」になっていった。