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新しい日常
夕暮れ。 バイトから帰った静が、エプロン姿でキッチンに立っていた。
玲はいつものようにリビングでぐでーんと横になっている。
静「玲、サラダ混ぜてー。あとドレッシング!」
玲「えー、面倒くさ……いや、やります」
玲は立ち上がると、文句を言いながらも慣れた手つきでサラダを仕上げる。
玲「ほら、やったよ。えらい?」
静「うん、えらいえらい。今日のご褒美に、チューしてあげようか?」
玲「……馬鹿」
静が笑うと、玲も釣られるように笑った。
その笑いは、昔と違ってやわらかい。 誰かを傷つけるものじゃなく、 ただふたりでいられることの尊さを確かめるためのものだった。