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夢にまで見た光景
第4話 夢にまで見た光景
駅から徒歩7分。ちょっと古いけど、日当たりのいい2DK。 玲の部屋と静の部屋はそれぞれ独立している。けれど――
静「こっち、玲の部屋じゃないよ?」
玲「知ってる。でも……今日はこっちがいいの」
入学式を終えたその日の夜。 玲は静の布団に潜り込んできた。
静「……隣にいると、やっぱり安心する。変だね、何もしてないのに」
静は少しだけ笑って、玲の髪をなでる。
玲「変じゃないよ。私も安心する。……玲の体温、落ち着くんだ」
心が壊れそうなほど寂しかった“あの時”とはもう違う。 今は、静けさの中に、確かな愛情が流れていた。