表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
契焔の剣  作者: 零銀
2/5

剣を握る理由

時は遡り



ゼルギスの家は、王都から遠く離れた小さな村にあった。

彼の父、ゼノンはかつて「最強の武人」として名を馳せた男。

だが、今は剣を捨て、畑を耕して息子と静かに暮らしていた。


「なあ父さん、俺にも剣を教えてくれよ」

そう頼むたびに、ゼノンは首を振った。


「お前は剣など握らなくていい。知恵こそが力だ」


そう言って、戦術や歴史、言葉の使い方を教えてくれた。

ゼルギスはそれを吸収し、優秀な兵を育てる目的で国が開催する村対抗の模擬戦で軍師役を任されると、相手チームを圧倒した。

しかもゼルギスの村には他の子供が居なかったこともあり、急遽編成された他の村との合同チームであった。


だが、それを知ったゼノンは口を閉ざし、その後一切戦術の話をしなくなった。


(なぜ……俺の力を、認めてくれない?)


数年後ゼルギスは12歳になった頃。

武王とまで称された王が体を悪くした。それを好機と見た隣国がじわじわと圧力をかけてきた。


やがて、戦乱の気配が王国に広がる。

ゼノンは再び剣を手に取り、戦場へと向かった。


「待って、父さん……!」


ゼルギスの呼びかけにも応じず、父は背を向けたままだった。


そして、数ヶ月後。隣国を退けたミザール王国だったが被害は大きく復興にはかなりの時間がかかるとされていた。

また父ゼノンはあれ以来戻ってくることはなかった。



「お前は正しい選択をしろ」


その言葉だけが遺された。


ゼルギスはそのとき、まだ一度も剣を握ったことがなかった。

だが、彼は決めた。


(俺は兵士になる。自分の手でこの国の未来を守るために)

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ