剣士の覚悟
剣をテーマにした王道ストーリー
朝靄の中、城の尖塔が静かに陽を受けていた。
七国のひとつ、ミザール王国。
この日、王都シルスにて、ひとりの若き女が王として戴冠する。
その名は——セナ・アルディオ。
七国中、唯一の女性の王の誕生である。
一部の国民、貴族たちはその王を認めておらず、国の行く末を心配する声を漏らす者も少なくなかった。
女が王にふさわしいわけがない。そんな貴族たちの不平不満は戴冠式の朝にも消えぬままだった。
それでも、セナは正面を見据えて玉座へと歩み出た。
その背は凛として、美しかった。
そして王位継承の証である宝剣を手にしたセナは堂々とした態度で国の発展を約束すると皆の前で宣言した。
だが貴族たちは誰一人、反応を返さない。その場には、冷たい沈黙だけが満ちていた。
その静寂を切り裂いたのは、一人の男の声だった。
「この命、この剣。すべては王の御意のままに!」
声はホールに轟き、重く、深く、響いた。
この国の将軍の声であった。
それは、単なる忠誠ではない。
この国の兵士たちは、今なお王家に忠を誓い、どの国の軍にも引けを取らぬ実力と誇りを持っていた。
だからこそ、衰退の最中にあっても、どの国もミザールへの侵攻をためらっていたのだ
その声に圧倒された貴族たちは無意識に拍手をしていた。
そんな中、ひとりの兵士が彼女の前に跪く。
鎧の下、彼の拳は固く握られていた
「命に代えて、貴女をお守りします」
それはただの形式でも、誓いの言葉でもなかった。
その瞬間から、彼の人生は剣と共に、彼女に捧げられたのだ。
まだ知らぬ。
この誓いが、後にどれほど重くなるかを。
第一話読んでいただきありがとうございます。
1作品目ということもあり、足りない点もあると思いますが精一杯書き続けるので読んでいただけると嬉しいです。