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はじまり
新人類、という単語を初めて聞いたのは、確か小学校に入ってすぐのころ。自室に設置されていたテレビのニュースで知った。
裕福であった我が家は、当たり前のように子供部屋にもテレビが設置されていて、両親との番組争いが起こらないようになっていた。番組争い、というくらいだから、俺は普段からアニメやバラエティしか見ないでいた。だから、初めてニュースを見たあの日に放映されていたことは、よく記憶に残っている。
難しい言葉が多用されていたが、おおまかな内容はなんとなくわかった。
新人類と呼ばれる人間がいること。彼らは、普通の人間よりも身体能力に優れていること。
内容としては至極単純なものであるが、その直後に流されたVTRを見て、そのニュースはより脳に焼き付けられた。
ただの人が、軽々と一軒家を飛び越えたり、銃弾を撃ち込まれても平然としていたり。
当時の俺は、一目散に駆け出し、リビングで叫んだ。「お母さん、人が!」
ちょうど同じニュースを見ていた母親はこちらを振り返り、すました顔で、「すごいわねぇ」とだけ言った。
その母の態度に、少しだけがっかりしたのも覚えている。