コロッケ・ウォーズ
私は以前食品スーパーに勤めていました。そこはディスカウント寄りのお店で、我が惣菜の目玉は、一個39円(税込)三個100円(税込)のコロッケでした。
どうしてそんなに安く出せるのか?
まぁ、大方予想はつくでしょうが、業者さんが持て余したB級品を出してたのですね。
製造過程で崩れてしまったものが混ざってる。何だかへんてこりんな味―里芋コロッケやら、ぼっかけコロッケ―色々ありました。
で一番の人気を誇ったのはチーズコロッケでした。ただ当たり外れがあり、チーズがちょびっとしか入ってないのに当たった事があります。
二番目がクリーム系のコロッケ。
滅多に入荷しない貴重な代物で、カニ、コーン、エビ、明太子などがありましたねー。
でタイトルに〈ウォーズ〉とつけてますからね。戦いがあったのですよ。
私が勤めていたのは支店で、本店の惣菜でもコロッケを出してました。ところが本店は大型冷凍庫が狭いそうで、うちの店舗に何日かに一回取りに来る。そうすると。容赦なく、良いものばっかり持っていくんです!
向こうは男性三人で、大きいものもバンバン運べる。一方こちらはパートのおばちゃん(私も含む)が「っ…重い!!」言いながら運んでますから(B級品なんで、大きなビニール袋に入ってる場合が多い)、敵は膂力にものを言わせ、かっぱらっていく(当時の心境として)。ならば!と、私達は結束し、台車に良い感じのコロッケを集め、大きな紙に『○○店在庫』と主張しておきました…。
賢明な皆様方、お察しですね?
それごと、持っていかれたんです!
その悪行に流石の我々もキレて、上司に進言しました。
更に持っていかれないよう、他の商品の影に隠す、という技を繰り出しました。
仕掛けてきたのは向こうです。
死守するのだ!チーズコロッケを!
勿論、全部独り占めするなんて意地悪はしません。
ちゃんと残しておいてあげましたよ?
もうひとつの戦いはよその店舗への、提供。惣菜がない店舗に、コロッケやら巻き寿司やらお弁当やら、作ってたんですね。
上司が言ったんです。
「○○店に渡すの、里芋とかそういう感じのコロッケで良いよ」
そうしたら。
正式にクレームきました…。
上司「良いやつ(チーズとか)と半々にしてやって」
我々「仕方ない、チーズコロッケとカボチャコロッケにするか…」みたいな感じで、毎日考えてました。
前日に大型冷凍庫から在庫移動してくる時点で、「明日はあれとあれにしよう」みたいな。
私自身が腰を痛めてしまって、お医者様から「冷やすのは良くないよ」と言われ、いまの職場に移りました。
行ってないんですよね…。別に普通に行ってもいいんですけど。
でも思うんです。戦いはきっといまも続いてる…って。