パノラマ
注意事項1
起承転結はありません。
短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。
「ではそれでお願いします」
という訳で私は暫く喫茶店に居座る事となった。店員さん、無理言って申し訳ない。事の発端は私がタラコパスタを注文したところまで遡る。
どうしてもそこのタラコパスタが食べたくなった。他のファミレスでは無い、そこのタラコパスタが。他に列を成したパスタには目もくれず、一心に呼び鈴を押した。
「タラコパスタ一つ」
「申し訳御座いません。其方、11時からの商品となっておりまして……」
互いに束の間の沈黙が流れ始める。今は何時だったか。確か店を入ったのが10時半。そうなると今は注文不可という事か。脳裏で別のものを頼んで、退席を考えた。他にも美味いものはあるし。しかし先に口を開いたのは相手であった。
「11時以降でしたらお出し出来るのですけども……」
「あ、ではそれでお願いします」
無理言って申し訳ない。暫く座席お借りします。私は注文を受けてくれた相手に軽く会釈し、窓の外を眺めた。そこには愛らしいパノラマの世界が広がっていた。
駅が見える席へと案内された為、人の動きが良く見える。何だか自分が巨人にでもなったようだ。ミニチュアになった人々が急ぎ足で駅へと向かって行く。ホームには数分置きに電車が到着し、人を吸っては吐き出していた。視線を下に向けると、手乗りサイズに化けた車が走り回っている。
何だか模型作りに熱心になる人々の気持ちが分かる気がした。自分で作った、自分だけの世界。ただ眺めるだけで愛らしい。神にでもなったように創造するのも破壊するのも思いのまま。
模型と違う所はただ一つ。私自身で手を加えられない事だろう。思い思いに動いている。今を生きている。そして……この場所から離れたら、もう私の世界では無くなってしまう。私も模型一部になってしまう。
「お待たせ致しました。タラコパスタです」
「有難う御座います」
若い女性の声でふと現実に引き戻される。注文していた物が出来上がったのだ。時間を確認すると、11時3分。プロの技を見た気がした。でもそれに甘んじる事は絶対に止めておこう。この世界はパノラマでは無いのだから。
パノラマネタも面白いので、幻想奇譚で本格的に書いてみたいです。
自分が神様だったらどんな我儘も言えるけど、此処はそうじゃない。自分が作ったパノラマの世界で生きてない。
だから、次からは甘えないようにしよう。
という思いの元、書いてます。
プロの技について
出して良い時間なら、ピッタに出してもえぇんじゃろ?
という、お待たせしない精神。
それをプロの技と称してます。
時間ピッタに熱々出せる逆算能力、見習いたいと思います。
(常に計画倒れ起こして、投稿してる人)
今回は渡の友人のあの子だと思います。
用もないのに長居をするのに罪悪感覚えるタイプです。
立ち食い店とかもよく利用してそうな。(お供したい)
故に長居OKな喫茶店でもさっさと席を立ってしまいそうですね。