第90話 朝活配信 その6
【登場人物】
川崎ばにら DStars3期生 ゲーム配信が得意
青葉ずんだ DStars特待生 グループ最恐VTuber
羽曳野あひる 雑談配信が得意
【シチュエーション】
ずんだ家でDStarsメンバーの朝活配信を視聴中。
◇ ◇ ◇ ◇
ばにら「……別に、普通の雑談配信では?」
「あひる先輩なにかしてますっけ?」
ずんだ「よく見なさい」
「さきゅ先輩の朝活配信にはなかったものが」
「あひるの配信にはあるわ」
ばにら「はにゃ?」
「そんなこと言われても……」
「もしかして、画面端で踊ってるダチョウの絵ですか?」
ずんだ「違うわよ!w」
「ほら、あひるの背後をよく見てみなさい――」
「今、話している会話の内容と、その英訳が表示されてるでしょ?」
ばにら「……ほんとだ」
「あれ、全然気がつかなかった」
「こんなのあひる先輩やってたんだ」
ずんだ「あひるはフリートークつよつよで」
「誰とでも会話を合わせられるコミュ強なんだけど」
「逆にテーマトークだと話が発散しがちなのよね」
「それを避ける為に、あえて最初に」
「『今からこれを話しますよ』と『話す内容(英文)』をまとめてるの」
「ようは相当準備して朝活配信してるのよ」
ばにら「ひぇ……」
「トーク力おばけだから、自然にこなしてるのかと思ってた」
ずんだ「言ったでしょ、努力の人だって」
「あひるは事務所に入るまでは、ガッチガッチの箱入りお嬢様で」
「VTuberどころかオタ知識もない娘だったの」
「そこを、努力と根性と体当たり」
「あと、育ちの良さからくる学習能力の高さで適応したのよ」
「だからあの娘の配信には『できるようになる工夫』が詰まってるの」
「もっとちゃんと、先輩の配信を分析しなさい」
「ボーッとしてるだけじゃ、技術は盗めないわよ?」
ばにら「な、なるほど……」
「というか、あひる先輩がお嬢様って話、ガチなんですか?」
ずんだ「ガチよ」
「まぁ、華族とか財閥令嬢ではないんだけれど」
「芸能界にも顔が利く、芸事をやってる家の娘さんよ」
「私と同じで、いろいろあってVTuberをやってるけれど」
「普通だったら親に辞めさせられる人間よ」
ばにら「……逆に何があったバニなんですか?」
ずんだ「そこは詮索しないの」
「私の件で懲りたでしょ?」
ばにら「……はい(スン)」
「しかし、普通に喋っているように見えて」
「周到な準備をしてたんですね、あひる先輩も……」
ずんだ「ぽめシャも同じよね」
「ニュースのサムネイルとかちゃんと作ってる」
「朝活配信に必要なのはそういうマメさよ」
ばにら「なるほどバニな」
「これは素直に勉強になったバニ」
ずんだ「最初の話に戻るけど」
「あひるのトーク力の源はこのたゆまぬ研鑽と研究」
「トークつよつよを目指そうと思うなら」
「あんたもしっかり見て勉強しなさい」
ばにら「はい!」
◇ ◇ ◇ ◇
あひる「それじゃ、次の話はね……これ」
画 面「ずんだとばにらと楽屋で一緒になった話」
『(英語)公式番組の収録で一緒になりました……』
あひる「みんなさぁ『ずんばにてぇてぇ』ってよく言うじゃん」
「いやいや、言うてそんなの百合営業でしょ」
「たいしたことないでしょ」
「とか、思うじゃん?」
「実は、公式番組の収録で……」
◇ ◇ ◇ ◇
ばにら「あ、ちょっとあひる先輩!」
「許可なくその話をしないで!」
ずんだ「なに勝手に話してるのよ!」
「確かに楽屋裏で、二人でお弁当のおかず交換したけど!」
「別にそんなの先輩と後輩じゃ普通でしょ――!」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
楽屋&メンバーの前でもてぇてぇしちゃうくらい緩んでる二人。
もうこれ、事務所のメンバーに隠すのは不可能なのでは……?
そしてDStarsの盛鴎外だから冗談で済むけど、割とヤバイのでは……?
おもいがけずガチ百合がバレそうになったずんだとばにら。二人の行方が気になる&もっとてぇてぇ見たい方は――月並みになりますが応援&評価などよろしくお願いいたします!