第665話 四阿遍史郎のささやかな誠意 その1
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【登場人物】
川崎ばにら DStars3期生 ゲーム配信が得意
種子島かりん DStars4期生 FPSつよつよ陰キャV
たたたたた ばにらのリスナー らいおんらーめんの店員
青葉ずんだ DStars特待生 グループ最恐VTuber
石清水しのぎ DStars3期生 おっぱい侍太郎
【シチュエーション】
お夜食も終わり帰宅準備をはじめるばにらたち。
このまましっぽりと別れることになるのか……?
◇ ◇ ◇ ◇
かりん「それじゃ、ばにらちゃん、ずんだ先輩、しのぎ先輩、らむ」
「あと、たたたたた! またね、ばいば~い!」
しのぎ「あぁっ! 女の子の夜の一人歩きは危ないけんね!」
「ばにらっちょ! 隊長、ちょっとかりんちゃん送ってくるんよ!」
「それじゃばいびーだよぉ! またごはん行こうねぇー!」
たたた「まいどありがとうございやしたー!」
「またのお越しをお待ちしておりまーす!」
ら む「ぺい! ぺいぺいぺい! またいらっぺい!」
ばにら「ばに。騒がしい打ち上げだったバニ」
ずんだ「一応、反省会の予定だったんだけれどね」
「誰かさんがラーメン屋にいきたいって、うるさく言うから」
ばにら「だって美味しかったでしょ? たたたたたさんのラーメン!」
「一度、美月さんに食べてもらいたかったんですよ!」
ずんだ「…………んもう!」
「そういう風に言えば、なんでも許すと思ったら」
「大間違いなんだからね……まったく!(てれてれ)」
ばにら「それじゃ美月さん」
「私はまたこれから、事務所に戻らなくちゃなので」
ずんだ「本当に大丈夫? Bちゃんにいじめられてない?」
『ちょっとばにらさん、暇してるなら手伝ってくださいよ』
「みたいに言われていいように使われてない?」
「あの子、ワーカーホリックなんだから、まともに相手しちゃダメよ」
ばにら「大丈夫バニですよ」
「Bちゃんの危険さは、ばにらが一番よく分かってるバニだから……!」
ずんだ(これ、もうすでになにかやらされた後って感じだわね……!)
【事務所前に到着するばにらとずんだ】
ばにら「それじゃ、美月さん。今日は楽しかったです」
「またお邪魔させてもらいますね」
ずんだ「…………その、やっぱりさ」
「うぅん、いいや。なんでもない」
「おつかれ、花楓。ゆっくり休みなさいよ」
「アンタの声を楽しみにしているリスナーが」
「世界にはいっぱいいるんだから」
ばにら「はいッ!!!!(いい返事)」
【ばにらだけ事務所の中へ……】
ばにら(美月さん、最後にいったいなにを言おうとしたんだろう)
(例の事件があってから、なんだかそわそわしてるんだよね)
(もしかして……同棲しようっていうお誘いとか?)
(えぇ~! もし本当なら、どうしよう!)
(美月さんと同棲だなんて!)
(美月さんて料理はあんまりしないから)
(私がいろいろ作らなくちゃなんないんだろうなぁ)
(よし! 今からお料理センターへ通って練習しよう!(ふんす))
???「ばにらさん、ちょっとよろしいですか?」
ばにら「びひゃぁっ⁉ だだだ、誰バニですか⁉」
???「あはははは! そんな驚かなくてもいいじゃないですか!」
「ここでこうして、貴方に会うのは二回目なんですから!」
ばにら「……って、あれ? 高峯さん?」
高 峯「はいそうです」
「四阿遍史郎のお得意先にして相談役」
「浮気調査から刑事事件まで、なんでもおまかせあれのスーパー探偵」
「高峯愛さんでございますよ」
ばにら「その節はどうもお世話になりました……」
「って、もしかして今日は四阿さんからのメッセンジャーですか?」
高 峯「お、察しがいいですね! 話がはやくて助かりますよ!」
「いかにもいかにも、今日は遍史郎さんの使いです」
「前回、あんな喧嘩別れになってしまいましたが」
「不祥事を起こしたのは遍史郎さんですからね」
「そのお詫びが、ぜひにもばにらさんにしたいとのこと」
ばにら「お詫び、ですか?」
高 峯「ということで、預かってまいりましたよ」
「こちら四阿遍史郎が都内に持っている某マンション」
「その……マスターキーでございます」
ばにら「ま、マスターキー⁉」
高 峯「それと遍史郎さんから言づてです」
『今のご時世、VTuberがばらばらに住んでいるのはまずい』
『このアパートを君に預けるので、どうか有効に使って欲しい』
『なに、私も芸能の道を生きる人間だ』
『後進のためになにかできることがあるというのなら』
『喜んでやらせてもらおうじゃないか』
『ということで、一旦、美月のことは水に流してくれ』
「とのことです」
ばにら(なっ、なっ、なっ……!)
(なに考えてるバニか! あのおっさんは!)
(まったくもってやることが非常識バニよ!)
(もーっ! こういう加減の分からないところ、誰かさんにそっくり!)
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
よく、社長が愛人にマンションをプレゼントするとか、家を建ててあげるとかありますけど、それを素でやる四阿遍史郎さん。そういう古い風習が、嫌な人だったはずなんだけれども、どうしてまた自分がそれに染まってしまうのか……。
これもまた古い習わしが強く残る文化のせいということか。
いや、単に四阿さんが天然ボケってだけかもしれませんね。
反目しているようだけれど、やっぱり根はどこかの誰かと同じなのかもしれません。
ということで、ひさしぶりのシリアスターン。ばにらちゃんに接近してきた高峯愛。もちろん、鍵を渡すだけで話が終わるはずもなく。ここからちょっと、四阿さん&ずんさんのお話になっていきます。もうちょっと、こっち方面のお話も読みたかったという方は――ぜひぜひ応援・評価・フォローなどなどよろしくお願いいたします。m(__)m




