第204話 生駒すずは四人いる その5
【登場人物】
生駒すず DStars1期生 JKお狐VTuber
川崎ばにら DStars3期生 ゲーム配信が得意
青葉ずんだ DStars特待生 グループ最恐VTuber
【シチュエーション】
深夜。お酒も飲み終え、お風呂にも入り。
ベッドに寝転がりながら、寝る前の配信チェック中のばにらとずんだ。
◇ ◇ ◇ ◇
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捕捉 生駒すずの四回行動
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現役JKオキツネVTuberの生駒すずは、その異常なまでの配信への熱量で、V界隈で知られている。それを端的に表したのが、『生駒すずの四回行動』だ。
つまるところ、「一日に四回配信をする」という意味なのだが――これがどれだけすごいことかおわかりいただけるだろうか? 一時間、ぶっ通しで喋り続けるだけでもしんどいのにそれを四回である。さらに、同じ内容では視聴者が飽きてしまうので、配信の内容も変えなくてはいけない。強靱な喉、豊富な配信のネタ、なによりも配信への情熱がなければできない――まさに離れ業である。
それを、生駒すずは息をするように頻繁にする。
まさにVTuberの申し子――。
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ばにら「すごすぎでしょ、すず先輩!」
「昨日も深夜まで配信して、さらにこれでしょ!」
「いつ寝てるんですか?」
ずんだ「ショートスリーパーだからね」
「本人も言ってたけど、三時間寝れば元気になるんだって」
「って言っても、流石に配信前に1時間は仮眠を取るらしいけど」
ばにら「配信ごとに1時間……」
「ってことは、一日平均して7時間は寝てるんですね」
「なんだ、心配した割りには健康的な生活だ」
ずんだ「まぁねぇ」
「なんだかんだでVTuberは身体が資本だから」
「壊れるような働き方をしてたら、長く続けられないわよ」
「すずが4回行動できるのは工夫のおかげ」
「逆に、配信しなくなったら、7時間とか普通に寝るんじゃない?」
「あぁ、そう言えば旅行でも、普通に寝てたわね……」
ばにら「なるほどなぁ」
「うーん、けど、私にはちょっとマネできないかなぁ」
ずんだ「真似しなくていいわよw」
「これはすずの特技であって、アンタのは特技はまた別なんだから」
「自分の長所をそれぞれ伸ばしていけばいいの……ね?」
ばにら「…………はい(ちょっと含みのある顔)」
ずんだ(花楓、さては4回行動できないか考えてるな?)
(別にそんなの、リスナーは求めてないのに)
(けど、なんでもやろうとするのが花楓のいい所よね)
ばにら「しかし、なんですず先輩はここまで配信に熱心なんですかね?」
「若い子は動画配信より、Tiktokやインスタとか」
「そういうのやりたがるイメージがあるんですけど?」
ずんだ「さあ、なんでかしらね」
「長いこと一緒にいるけれど、聞いたことなかったわ」
「割と古いネタにも詳しいし」
ばにら「…………」
「もしかして、すず先輩って妖怪じゃないですよね?」
「JKに取り憑いたキツネの妖怪……とか?」
ずんだ「アンタもそういう冗談とか言えるのね」
「って、そんなわけあるかーい!(背中を叩く)」
す ず「あーっ! いい感じで脱出の準備が整っていたのに!」
「残念、最後の最後で狩られてしまいました……!」
「しょんぼりきーつね(しょぼん)」
ぱるけ「んごんごんご! すず先輩、ざまーないンゴですねぇ!」
「まぁ、『雪山人狼』初プレイなのに、よく頑張った方ですよ!」
「けど、今回は私たち、トレイター(人狼)の勝ちンゴよ!」
す ず「くっそー! 次は負けないよ、ぱるけちゃん!」
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コメント
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:ナイスファイトすずちゃん!
:初プレイでここまで残れたんだから上出来!
:次で勝ちに行こう!
:メンタルリセット大事!
:しかし、だいさんじじゃなくて、DStarsでもやれないかな?
:↑それな
:なんだかんだでDStarsはメンバー少ないからなぁ
:四期生が入れば、こういうゲームもできそうだけど
:4期生マダー?
:社長が来年に活動開始とかアナウンスしてたような
:もういっそ、インドネシアの子も混ぜて……
:そうだ、アメリカ組も混ぜよう
:英語できない奴らが大変なことになるぞ
:また、ばにーらイングリッシュが炸裂するのか
:ウミングリッシュもあるぞ
:ノーワイアーイグジストヒア(棒)
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☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
4回行動にはそれなりのからくりがあった。
集中して作業するときは、作業前に仮眠を取るのは効きますよね。
ただ、確実に身体には悪そうですが……。(白目)
ということで、すずちゃんの4回行動の謎が分かった所で――今回はここからが本番。次回、おそるべき刺客が、ばにらたちを襲う。どうなるんだと気になる方は、ぜひぜひ評価・フォロー・応援コメントなどよろしくお願いいたします。m(__)m




