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 ———冥狂落坂の攻略4日目、1月11日の4時過ぎ。

 光苔のおかげで洞窟内は明るいがずっと光り続けているので、今が朝なのか夜なのか分かりにくくて少々困る感じ。

 第14避難所から出てからも銀の夜明け団は、ゴーレム軍団の榴弾砲擬きによる砲撃を受けつつもどうにかこうにか抜け道へ到着。暗くて狭い道を通りながら第15避難所へ辿り着くことが出来た。

 分厚く重いフルアーマーを脱いで、お風呂に入ったり昼食を食べたりとか数時間休んだ彼女らはいよいよ、【キメラの鏡がある冥狂落坂の最深部】の挑戦を始める。

「なんか色々とズルをした感じだが……」

「私はズルなんかしてないぞ!」

「そうだそうだ! ジルがそれでいいって言ったんじゃないか」

「そうだな、時間もない事だしさっさと始めるか……」

 アースホールの次は暫く洞窟が続いて、第15避難所はその壁際にあり、そこから出て更に歩いた3人は広い空間へと辿り着く。

「なにも無い所みたいだが、キメラの鏡はどこにあるんだジル?」

「どんなモンスターか知らないが早く戦わせてくれよ」

「本音では逃げたい癖に勇ましいなお前ら。直ぐに造るからそこに座って待ってろ」

「直ぐに造るだと?」

 訳が分からず疑問で頭が一杯な2人は、言われた通りに近くのベンチへ座るとモンスターが造られるまで大人しく待つ事にする。

「モンスターを造るのは久しぶりなんだ、上手くいくといいんだが……」

 羊皮紙を金属の輪っか束ねたノートの様な物を、影から骨蛇を使って取りだ出したジルはパラパラと捲りつつ何かを調べ始める。

「材料、材料っと。妖殺のサキュバスクイーン、炎帝オーガ、ケルベロス闇極、スリーヘッドドラゴンG……どれにするかなぁ」

「名前を聞くだけで凄いように感じるのは私だけか?」

「団長だけじゃないと思うぞ」

 後ろに座っている2人を横眼でチラチラと伺いつつ、ノートのページを捲りながらジルは「彼奴らは弱いしなぶつぶつ……、闇帝ならぶつぶつぶつ……」と呟く。

「私は言いたい事があるんだが」

「我慢してくれよ団長」

 そして暫く考えたジルは、「炎攻撃に弱い氷剣の骸骨キングにするか。此れならレヴィシア達でも倒せるはずだ、たぶん」と造るモンスターを決定した。

「たぶんって何なんだジル?」

「たぶんはたぶんだ、倒せなくても俺の所為じゃないからな」

「倒せなかったらブラックウェディングはどうするんだよ」

「諦めろってか、倒せなかったらお前らは死……後で考える」

「後で考えるって何をだジル!」

「後だよ後、考えるのは後でいい。えーーと次は……」

 【贄の間】と呼ばれるこの空間、その奥の壁際には石で作られた台座があり、ジルはその上に影から取り出した材料を並べていく。

「ミスリル合金シルバーライトで作った骸骨セットだろ、それから武器と盾、魂石を置いて後なにが必要だ……そうそう」

 何を考えるのか材料を並べ終えたジルは、影から骨蛇でナイフとコップを取り出すと座っている2人の所へ戻ってある物を要求していった。

「ちょっと頼みがあるんだがレヴィシア」

「何だジル?」

「処女の血を分けてくれないか? 悪霊を作るのに必要なんだ」

「なぜ怒る、手を少し切るだけでいいんだが……」

「ジルはどうして私が処女だと思うんだ?」

 銀髪の女性がスッと手を上げるとフェニックスガルーナが現れて、「怒らなくてもいいだろうが、処女の血の方が弱いんだが黒龍の血にするぞ」とジルは方針を変える。

「団長」

「なんだ副団長、私になにか文句でもあるのか?」

「文句なんてない。ジルはいい判断をしたよな」

「私もそう思う戦いがいがありそうじゃないか」

「【氷剣の骸骨キング改】はコルドナイトメア以上に強いからな、覚悟しとけよお前ら」

 あははは、わはははと男女は冷や汗を流しつつ高笑い。本心では嫌だなぁと思うが逃げる道はなく、誇り高い革命戦士らしく覚悟を決めた彼女らは、口を閉じると真顔になって武器の点検を始めたりする。

「黑龍の血液100㎜L、此れに魂石ライフコアを浸けて材料は揃ったと後は……」


「キメラの鏡を使うのか? 見当たらないようだがどこにあるんだジル」

「こうするんだよ」

 台座の側には小さな穴の開いた石柱が1つ建っていて、そこに鍵を差し込んだジルが捻ると音を立てながら奧の土壁が2つに割れ始める。

「戦闘で壊されると嫌だから装甲壁で守ってるんだ、ただの土壁に見えるが内側はオリハルコンの分厚い装甲板だぞ」

「合わせ鏡は冥界への道を開く」

「よく知ってるな新政」

 ジルの前には高さ数mにもなる巨大な鏡が3枚並んで立っている。その内の左右2つは合わせ鏡になっていてお互いを映し合い、鏡を覗くと∞の闇が広がってどこまでもどこまでも引き込まれて行きそうな、気味の悪い景色が広がっていた。

「合わせ鏡を見つめるなよ、冥界に魂を引き込まれて現実に戻れなくなるからな」

「冗談だろジル?」

「冗談ではない此れは本当に危険な装置なんだ。呪文呪文っと……」

 ジルは骨蛇を使って分厚い魔導書を影の中から取り出した。その骨蛇に支えさせつつページを捲らせるジルが、包帯の巻かれた両手を前に伸ばして何やら唱え始めると、左右にある鏡から黑いガスが流れでて台座の上にある材料へ集まり始める。

「冥界の瘴気を使って魂の錬成をするとかさすが神だな」

「ただの錬成ではない。〇×▽※÷……」

 ジルの唱える呪文は新政には理解できなかった、ルーン魔法か? 聖神族や魔神族だけが使える呪文かも知れない。何だか分からないがジルが唱える呪文に合わせて、黒い霧に包まれた材料は浮かび上がると、3枚目の鏡の方へと移動して行って中に吸い込まれる。

「魔水鏡かそれ!」

「イッエーーース、よく見とけよ此れが伝説級のお宝キメラの鏡だ」

 両脇のと違って鏡のように見えるが中央のは鏡ではない。

 キメラの鏡の淵にあるオリハルコンの装飾には、複雑なルーンがびっしり書き書き込まれており、その中央は液体でも気体でもない、柔らかくも固くもない奇妙な魔力が集まって鏡のように湛えられている。

「何が凄いのか私には全く分からないんだが……」

「全ての物体はエーテルで作られているんだが、分かるかレヴィシア?」

「全然わからない」

「そこからかよ……」

 《物体を分解していくと分子から原子になり、電子や素粒子になって最後はエーテルになる此れが魔導士の基本常識。エーテルとは色のない純粋なエネルギーあり、全ての物資の元になる【起源物質】。

 【エーテルは宇宙の広さの分だけあるので事実上、無限に存在する。】

 このエーテルに気温や圧力、ねじれとか様々な条件を与えると様々な物質、つまり炎とか金属や水へ変化するのだ。魔法とはエーテルをどう加工して使うかと言う話で、エーテルと対になる存在、反物質のダークエーテルも存在している。》

「ここまではいいかレヴィシア? 」

「何となくだが……」

 新政が説明をしている間もジルの呪文は続いて行き、材料が吸い込まれたキメラの鏡の表面に複雑な呪文が表示され始めた。

「魔水鏡はエーテルを超圧縮し半粘性状にして集める魔術道具なんだ」

「キメラの鏡には龍脈・自然界からエーテルを取り込んで、それを半永久的に維持する機能が付いている」

「それで?」

「キメラの鏡に取り込まれた物体は分厚い高魔力で包まれた状態になって、そこへ呪文を送り込むと好きに改造できるようになる。物質を魔法でエーテルまで分解したり、石を金に変えたりとか魂も造れるんだぞ」

「魂もとか嘘臭いんだが……」

「全ての物質はエーテルから作られる。それさえあれば金を作ったり新しい生命体を創造できたりして、これを錬金術・錬命術って言うんだが分かるかレヴィシア?」

「あ〜〜私にも何となく分かって来たぞ」

 隣の男に顔を向けつつふんふんと首を振り続けていたレヴィシアは、ようやく納得できたようで「でもそれって新政、神の領域になるんじゃないのか?」と聞くと、2人の前にいるローブ姿の男は

「俺は神なんだぞレヴィシア。0から全ての設計図を唱えると大変なので、色々な材料をキメラの鏡に放り込んで氷剣の骸骨キング改を錬成しているんだ」と締め括る。

「なるほどなるほど」

「神が行う錬命術をこの目で見られるとは思わなかった……」

 理屈は分かったが今一ピンとこないレヴィシアに対して、新政はジルの行動を見逃すまいと注視している。そうこうしていると漸くモンスターが完成し、キメラの鏡からジルの魔力で引き出されたそれは贄の間の中心付近に配置された。


「……準備はいいかお前ら?」

「いつでもいいぞ」

「よくないぞジル」

「副団長ーーーーーーーーーーーー」

「やればいいんだろやれば。嫌だなぁ……」

 キメラの鏡は閉じられた装甲板によって守られ、暫く時間を置いて意識が覚醒した骸骨キング改は動き出そうとするも、ジルの高魔力に抑えつけられて地面で藻掻いている。

 その骸骨キングを前後で挟み込みながら、銀の夜明け団は戦いの合図を待つ。

「気を引き締めろよお前ら! 氷剣の骸骨キング改を解放するからな」


 前に突き出していた右手を降ろしてジルが魔力による拘束を解くと、骸骨キング改はゆっくりと起き上がり始めた。《飾り気は無いが兜から籠手に鉄靴、がっしりと太い骨までシルバーライト製の骸骨は、光に照らされると銀色よりも白に近い感じの色で輝く。》

「何か凄く高そうなモンスターだな」

「普通に買うと材料費だけで十数億リムは掛かる高級品だ」

 《ボッと聖白銀の骸骨が燃え上がる、全身を包んだ青白い炎は【氷炎】と呼ばれる魔法だからこそ可能な冷たい炎で、触れたものを凍り付かせる恐ろしい炎だ。》

「ギッギギ……」

 気味の悪い声を上げつつ、腰の鞘から聖白銀シルバーライトの剣を抜いた骸骨キング改は、360度周囲を見回して敵の品定めを始める。

 骸骨がこの様に動くのは、即斬り掛かる筈のレヴィシアが二の足を踏んだから。高位魔族にも全く臆さず、【炎爆の戦乙女】等と帝国に恐れられる彼女だが、骸骨キングから感じた高い魔力の波動に躊躇って動けずにいた。

 (何なんだこのプレッシャーは……)、ジル程ではないが背筋が凍るような悍ましさを感じたレヴィシアは思わず後退してしまう。

 (何だと!)その行動に一番驚いたのは新政だった。レヴィシアは頭はあまり良くないがその動物的な直感は信じるに値する、新政はこれが神の試練なのだと改めて思い直してどう戦えばいいのかと真剣に考え始める。

「いつまで固まっているつもりだレヴィシア、迷わずに突っ込め!」

「くそっイグニスソード!」

 (レヴォリューションレッドがあればもっと)と、レヴィシアは悔むが悔やんでも始まらない。分からない相手に対して今できる全力を、オリハルコンの長剣にありったけの魔力を注いで刀身の倍位に伸ばした魔法剣を、彼女は上段に構えて気合を入れなおす。

「行くぞ! だぁりゃーーーーーーーーーーー」

「コールディンブレード」

 敵に合わせて氷炎魔神の剣を発動した骸骨キング改は、攻撃を正面から受け止める。聖白銀の魔法剣は相手のよりも出力が高くて、ガスバーナーの様に青白い炎を噴出させながらイグニスソードを押し返して行った。

「嘘だろふ、副団長ーーーーーーーー」

 レヴィシアは両手持ちのロングソードなのに片手剣へ押し戻され、自分と敵の魔法剣が眼前へジリジリ迫って来ると堪らずに声を上げる。

「このっハイサンダースネーク!」

 団長の求めに応じて新政は雷魔力で作った鞭を背後から叩きつける。それは太さ十数㎝になる彼にとって最大出力の攻撃だったが、関節を無視して曲がった左手の盾に軽々と防がれ、ならばと変化させた攻撃にも骸骨キング改はしっかり対応してみせた。

「うわぁっ」

 骸骨が剣を引くと全力だったレヴィシアは、前へ倒れ込むような形で崩される。その前方に空いた隙間へ骸骨は倒れ込んで前転しながら、敵を拘束しようと新政が横に振った魔法の鞭を躱していく。

「ケタケタケタケタ……」

 笑えない筈の骸骨が笑う、笑ってないだろうがレヴィシアと新政には、立ち上がって自分達を見たモンスターの顔がそう見えたのだ。

「骸骨の分際でーーーーーーーーーーー」

「よせ団長!」

 へらへら動いてケタケタと笑い、貶された様に感じたレヴィシアは、再度イグニスソードを構えて突撃するもやっぱり防がれてしまう。剣を軽くいなされて右側へ倒れ込もうとする彼女に、骸骨キング改がコールディンブレードを振り下ろそうとすると、援護をする新政から攻撃魔法が飛んで来た。

 新政が放った【上級のサンダードラゴン】を、骸骨キング改は左手に持った聖白銀の盾で易々と防ぎつつ、【アイスヴォルフ・デスボム】をお返しにと撃ち返す。

「溜め時間なしに特級魔法を使えるのか!」

 ひえーーーと新政は大慌てで逃げだし、その様子を眺めながら(イグニスソードは暫くやめよう、防がれる所か押し返されて死にそうになったし……)と団長は考える。

「くそっ」と炎爆の戦乙女は言葉を吐き捨てた。

 攻撃魔法は殆どが通じそうになく、斬り合っても負けるし、(此奴は強い普通に戦えば殺される)と彼女は確信する。(何とか敵に隙を作ってそれから……)とレヴィシアは悩むのだが、考えるのは苦手なので離れた所にいる男へ大声で案を求めた。

「どうにかしてくれ副団長」

 分からなくなると新政に話を振って対策を要求する、彼女にとって此れはいつもの事だが側にいる優男に聞いても無駄だった。なんせ……

「どうにかって言われても困る。俺は武器しか持ってないし対策なんて立てようがないから早く逃げたいんだが……」

「使えない男だな」

「しょうがないだろ! 団長こそ何かいい案は無いのかよ」

 バラけてると戦えないので、2人は集まりながらモンスターと向き合う。じりと迫る骸骨キング改から後退しつつ距離を取り、警戒態勢を取っていると剣を鞘に納めたモンスターは両手をすっと天に上げた。

「アイスヴォルフ・デスボム」

「なんだと!」「ちょっと待てぇぇぇ」

 高位魔族との戦いで一度見た大きな氷狼魔法、フェニックスガルーナが上級なら此れはワイトキングが使ったような、溜め時間を必要とする特級魔法になる。その魔法を骸骨キング改は溜め時間なしで左右の手に作って見せたのだ。

 敵の氷狼魔法がレヴィシア達の前で重ねられると、魔力共鳴現象によってアイスヴォルフ・デスボムは通常より拡大しつつ、アイスヴォルフ・ツインデッドになる。氷魔法で作られた双頭の狼はドラゴンより大きくて……

「ムリムリムリムリムリ」

「フェニックスガルーナW、副団長!」

「撃ち負けるって団長! このっサンダードラゴンスリーだ」

 新政は逃げたかったが交戦的な団長は応じてしまい、悲壮感を出しつつも覚悟を決めた男は無理を承知で、サンダードラゴンWを作ると根性でもう一体追加する。

「ぐはっこのぉ……」

「そこまでだ戦いを止めろ!」

 両者の戦いを離れた所から眺めていたジルが突如声を上げた。フレイムガルーナに匹敵する上級魔法を3つも同時に使った新政は、その反動で身体に激痛が走って口から血を吐きつつも歯を食い縛り、文字通り命がけの対抗策を取ろうとしている。

 だがそれでも届かない、レヴィシアのダブル魔法に新政の3発を合わせても、氷剣の骸骨キング改が放とうとする攻撃魔法には届きそうになかったのだ……


「――――いいのかよ此れで」

「まだ戦いの途中なんだが」

 ジルの指示を受けて戦いを止めた2人の下には、彼の高魔力に抑えつけられた骸骨キング改がいて地面で悶えている。レヴィシアと新政は面白くない、気分は良くないがそれを顔に出さないように抑えながらジルの話を聞いていた。

「魔神の直衛モンスターは魔王以下の戦闘力を持っている。話した通りにこのモンスターもそれと同等以上の力を持つが、お前達が戦うにはまだ早過ぎたようだな」

「魔王以下の実力だと……」

「たった2人で勝てる訳無いだろ!」

「お前達は上級に手こずるレベルだしな。だが闇帝は! 1人でこのモンスターを倒せるんだぞ簡単にな」

「嘘だろ」

「嘘ではない、闇帝は魔神に逆らえるだけの実力がある数少ない人間の1人だ。その圧倒的な力で前ヴェルラ王家とコアナイツを一掃し、聖神ルーザを追い出してサイレントオーを造った英傑なんだぞ」

 氷剣の骸骨キング改程はまだ本気を出してない、あの程度に手こずるお前達では闇帝にはかすり傷一つ与えられないだろうとジルは言うが……

「ジルはやけに闇帝に詳しいな」

「理由が知りたいなぁ」

「闇帝を倒すまでは教えられない、教えられないがどうしたものか……」

 (2人に伸びしろはある、ソウルウォーターを与えて鍛えれば強くなるが、彼女らを鍛えるには時間が足りなさ過ぎだ。今回は諦めて次を考えるか? しかしそれだと間に合わない可能性が……)

 白みがかった銀色の骸骨を見下ろしながら、両腕を組んだジルは(もっと早く手を打って新しい英雄を作るべきだった……)とか悩み続けている。

「ジル」

 (人の世界へ直接干渉するのは良くないが、あの2人はそれなりに役に立つ。うーーーーむしかしレヴィシアでいいのか? 彼女は恐らく……)

「返事をしろジル!」

「どうしたお前ら?」

「どうしたじゃないだろ、ジルはいつまで悩んでいるんだよ」

 棒立ちの男が悩み始めて20分程が過ぎようとしていた。地面に抑えつけられている氷剣の骸骨キング改は抵抗を諦めたのか大人しくなり、2人と1匹は神が答えを出すのをただじっと待ち続けている。

「俺にも立場ってもんがなぁ、しかし許すわけにはいかないし……」

「立場? 何を許さないんだ?」

「意味が分からないぞジル」

「いずれ分かる時が来る。お前らは革命に命を懸けられるらしいが、知識と言うか政治とか所詮は……困ったなぁどうしよう」

「何をそんなに困るんだ?」

「まぁいいかやってから考えよう」

 ?????? 頭に?がたくさん浮かんでいる銀髪の女性と優男。此れで神の試練は終わりにするお前らは合格したぞとかジルは言い始め、影から取り出した魔法石に骸骨キング改を封印した彼は、他の2人を連れて第15避難所と引き返して行くのだった。

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