表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
赤毛の魔術師と義眼の錬金術師  作者: 佐々木雄太
第1章  赤毛の魔術師
3/3

 少女を尾行していた四人組の男達は、少女の姿を失う。

「あの野郎。どこに行きやがった⁉」

「いい獲物だったのに…くそっ!」

 男達は、ナイフや銃を手に持っている。

(やはり、そうでしたか。どこに行っても治安は悪いものですね…)

 少女は姿を現し、男達の後ろに立つ。

「さて、あなた達の覚悟はできていますか?」

 少女は、男達に話しかける。

「いたぞ‼」

「この野郎! どこに隠れていやがった⁉」

 男達は少女を囲む。

「はぁ…幼気な少女を四人で囲みますか…。あなた達には、プライドというものがないんですか?」

 少女は、ため息を漏らす。

「プライド? そんなの知らねぇーな」

「おい、殺さずに捕らえろよ…」

 男達は、戦闘態勢に入る。

 少女は、周囲を警戒する。

「分かりました。私は手加減してあげますので、全力で掛かってきた方が身のためですよ」

「ふざけやがって!」

 男達は、一斉に襲い掛かってくる。

 少女は、まだ、動きを見せない。

(おじけついたか…?)

 あと少しで少女を捕らえられる。

 だが、その瞬間、少女の周りに風が吹き荒れる。

 男達は宙に浮き、吹き飛ばされる。

 風は止み、少女は平然と立っている。

「こんなもんですか…力の差がありすぎますね…」

 フードが取れ、少女の顔が姿を現す。

 赤毛の長い髪に綺麗な顔立ち。黒いスカートに白い服装。十代くらいの少女が、男達を見下ろす。

「てめぇは一体…何者だ⁉」

 リーダーの男は、怯えながら問いただす。

「魔術師ですよ」

 少女は答えた。

「魔術師…その赤い髪…まさか‼」

「はい。そのまさかですけど…」

 リーダーの男は、焦った表情をする。

「〈赤毛の魔術師〉リーシャ・エインフェルトかぁあああああ!」

「「「ええええええ!」」」

 男達はその名前を聞いて、立ち上がり、後退していく。

「そんなに驚かなくてもいいでしょう。たかが、魔術師ですよ」

 リーシャはそんな男達を見て、ため息を漏らす。

「さて、これからどうしますか? まだ、やりますか?」

 リーシャは、杖を突き付ける。

「に……」

「に?」

「逃げろぉおおおおお! あんな化け物とやり遭っても、命がいくつあっても足らねぇ‼」

 と、リーダーの男が叫ぶと、男達は逃げ出す。

「はぁ…。情けない人たちですね…」

 リーシャは逃げる男達に向けて、魔法を唱える。

「〈バインド〉!」

 男達の動きが止まる。

 リーシャは、男達の方へと近づいていく。

「ひっ⁉」

 リーダーの男は、小さな悲鳴を上げる。

「そんなに驚かなくても殺したりはしませんよ」

 リーシャが言った。

「私の質問に答えてくれますか?」

「な、なんの質問だ?」

 リーダーの男は息を呑む。

「このルーニアにある謎の遺跡についてご存じですか?」

「あ、ああ…。あの変な遺跡のことか…?」

「はい」

「一度だけ入ったことがあるが…深いところまでは入ったことはないな。不気味悪くて、すぐに引き返してしまったよ…」

「そうですか…。他には何かありましたか?」

「そうだな。変な文字とかが、壁に彫ってあったな」

 男はリーシャの質問に、素直に答える。

「なるほど…。ありがとうございます…」

「ふぅ……」

 男は命拾いしたと思った。

「でも、あなた達は犯罪ですので、ギルドに連絡させていただきます」

「この女‼」

 リーシャは近くの電話ボックスに行き、お金を入れ、シャハタルの本部に連絡し、男達を連行するように伝えた。

「あ、言って置きますけど…。それを無理に外れないようになっていますから…。逃げようとしても無駄ですよ」

 リーシャは、男達に忠告する。

 それから一時して、ルーニアの警察が来る。

 リーシャは男達を引き渡した。

 ようやく本来の目的に戻ろうとしたリーシャは、腕時計を確認する。

 時計の針は、三時半を指していた。

(もう、こんな時間ですか…。太陽はまだ、沈んでいませんが…今日はここまでのようですね)

 リーシャは、今日、泊まる宿を探し始めた。


   ×   ×   ×


 一方、その頃、ロイは——

「さすがに三日間の列車の旅は…キツイ…」

 ロイは、列車の席から移動し、仮眠室で横になっていた。

 列車は、シャハタルに向けて走り続ける。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ