死神とエマ・スコルディー
現在アンシュー学園の大広間では新入生や教師たちが集まり入学試式をやっていることだろう。きっと今頃は校長のありがたいお話を聞きながら睡眠を行ったりこれからの学園生活に思いを馳せているのだろう。
さて、僕は入学式を遅刻したそのままの勢いでサボることにする。入学式をサボることは問題ないのだが、とりあえず自分のクラスを探さないと行けない。そんなことを思っていると後ろから人の気配がこちらに近づいているのを感じた。
「あの~、すいません」
声をかけてきた主は同じ学年と思われる女子生徒だった。ちなみにこの学園はリボン、ネクタイの色が学年に反映されるので、僕に話しかけてきた女子生徒が同学年だという事はすぐに確認することが出来た。
「はい、なんでしょうか?」
「あの、私と同じ新入生の方ですよね?」
「そうですよ」
「良かった~、私と同じで遅刻してる人がいて」
「ちなみに、クラスはどこですか?」
「私はSクラスです」
「あー、それじゃあ一緒に教室に行きませんか?僕もSクラスなんですよ」
どうやら彼女は僕と同じで初日から遅刻をしてしまったらしい。そして初日から遅刻したことをヤバいと焦っていたところで同じ赤色のネクタイをした同級生を見つけたため、話しかけてきたらしい。ちなみに、今年の1年生を表す色は赤色で、2年生が青、3年生が緑という分け方になっている。
そんな彼女の名前はエマ・スコルディーと言って貴族では無いらしい。そんなエマは長い銀髪に可愛らしい顔立ち、プロポーションも抜群で、なかなかに男子受けしそうな少女だ。ただし、纏う雰囲気はちょっとドジっ子な感じだ。まぁ、入学式に遅刻してきた理由が凄く可愛い猫を追いかけたら道に迷ってしまったということなので、雰囲気とかではなくドジっ子なんだろう。
そんなエマと僕は自分たちの教室を発見できたので指定された席に着くことにした。うん、何とか教室を見つけることが出来て良かった。お互い席に座ったところでエマの方から話しかけてくれた。
「あの、ストラード君はどうしてこの学園に来たんですか?」
「暇つぶしっていう理由と一度ぐらい学園に通って見ようかなって思ったからかな」
「暇つぶしですか……」
「エマはどうしてここに入ったんだ?」
「私は良い職業について両親を安心させるためです。この学園の卒業生の進路は良いところが多いですし」
「なるほど、進路と親孝行か」
ふむ、どうやらエマは良い進路について親を安心させたいらしい。しかし、Sクラスに入ることが出来るということは彼女自身もかなり優秀なのだろう。ちなみにエマは僕の暇つぶしという言葉を聞いたエマは若干クビを傾げていたし、この王国最高峰のアンシュー学園に通う理由としては珍しいのだろう。
まぁ、実際は勇者と勇者召喚に成功したこの国に興味があると言う理由なのだが……そんなことを馬鹿正直に話すわけにはいかない。とは言え、暇つぶしというのも学園に興味があったというのも本当なのだが。