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友和くんの冒険

作者: 奈月ねこ

ひだまり童話館「にょろにょろな話」参加作品です。

 友和くんは急がなければいけなかった。あと少ししか時間が残されていないだろうから。

 流れが速い川だが、友和くんは必死に上を目指して泳いでいく。


 少し前のこと。川の女神さまが現れたのだ。皆の所へ。上流へ行けば運命の相手に出会えると。しかし期限付き。上流へ行くほど川の流れも速い。もしかしたら命を落とすかもしれないけれども。

 そんな女神さまの言ったことは本当のことかわからず、また、上流へ行くという危険をおかすのを皆は嫌がった。でも友和くんは違った。上流へ行けば運命の相手に会えるとの言葉を信じた。友和くんは皆に比べて小さくひ弱だった。だから友和くんが上流へ行くと決めたことに皆は驚いていた。

 でも、だからこそ友和くんは川の上流へ行くことに決めたのだ。ひ弱だと言われることにも耐えられなかった。「運命の相手を見つけるんだ!」友和くんの決意を皆は笑っていたが、冒険は始まった。他の仲間は同じ場所にとどまることにしたらしい。

 でも一人ではなかった。同じく女神さまの言葉を信じた仲間が上流へ一緒に行くのだ。友和くんの友達の佳英ちゃんだ。二人で上流を目指す。にょろにょろと。

 女神さまからは期限が決められている。友和くんは運命の相手に出会えると信じて泳ぎ続ける。

 危険をおかすのだ。女神さまに言われた通り早くしないと自分の命が終わってしまうかもしれない。二人は懸命ににょろにょろと泳ぐ。時には岩にぶつかり、時には渦に巻き込まれた。それを二人で助け合いながら、必死に泳いだ。

 どれだけの時間が経ったのだろう。女神さまに言われた時間には間に合うのだろうか。

 すると、穏やかな池のような場所へ到達した。女神さまに言われた期限のうちに。二人のにょろにょろは終わったのだろうか。

 二人が顔を見合わせていると、二人の姿が変わっていく。黒かった体が綺麗な緑色に。二人は上流でおたまじゃくしからカエルへと変わったのだ。

 ひ弱だと言われていた友和くんは立派なカエルになった。喜んで跳び跳ねる友和くん。佳英ちゃんも跳び跳ねていた。ふと二人はお互いを見た。見つめ合う二人。二人はお互いの姿を見て恋に落ちた。これが運命? ああ、だから一緒に上ってきたんだ。女神さまの言ったことは本当だった。

 二人は危険をおかして協力しながら川を上ってきた。だからこそ絆も強かった。

 ふと上を見ると、花びらのようなものが舞い降りてきた。まるで女神さまか祝福するかのように。

 二人は笑い合った。そんな二人はこれからこの綺麗な川で仲良く暮らしていくことでしょう。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 企画よりお邪魔します。 友和くんと佳英ちゃんだったので人間の子供なのかなあと思っていました。にょろにょろ泳ぐのがちょっと不思議だなあと思っていたら、なんとカエルさんでしたか! それはにょ…
[良い点] 友和君っていうから、佳英ちゃんっていうから、ヒトの子どもかと思いながら読み始めて、途中でハテ? 川を遡ってるってことは、鮭? いや、にょろにょろしてるから、ヘビ? お前誰だよー!w って…
[良い点] 歯切れがよく力強い文体で、冒頭、流れに逆らってぐんぐん泳ぐ少年の姿を思い浮かべながら物語に飲み込まれました! ところが……あれ? 魚かな? きらきらした清流に泳ぐ流線型の魚を思い浮かべ、や…
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