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白と悪魔と  作者: りあん
第三部 繋がる命と共存の悪魔
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ep83.仇の夢

「小娘、久しぶりだな。まさかこうして会えるとは」

「ジハ………!?」


 ホワイトの目の前に立つジハ。

 ホワイトの身体は震えていた。


「っ…なんで…どうして…夢を見なくなる薬を飲んだはずなのに…!」

「なんだ?亡霊でも見たような顔をして。いや…実際亡霊なんだがな。ハッハッハ!」

「っ…!」


 ホワイトがジハから距離を取ろうとする。


「待て待て。警戒されるのも無理ないがせっかく再開したのだ、話をしようじゃないか」

「っ…戻れ…目を覚ませ私…!」


 ホワイトが自分の頭を軽く叩く。


「なんだ、そんなに私と話すのが不服か?」

「早く…起きて…!」


 ホワイトが自分の頭を叩く。


「早く起きて…と言うとここはお前の夢の世界か」

「っ…!」


 ジハが歩いて近付く。

 ホワイトが走ってジハから離れる。


「起きて…早く…私…!」


 ホワイトが走り続けながら念じる。


「っ…そうだ…あの薬の副作用…!」


 ホワイトがバールの言葉を思い出す。


「ぐっすり眠りやすくなる副作用付き…まさか今の現実の私は…ぐっすり寝てて…!」

「………小娘」


 ジハがホワイトの方へ走り出す。


「っ…!」


 ジハがホワイトに追い付く。

 ホワイトはジハに腕を掴まれてしまう。


「っ…!離して…!」


 ホワイトが腕を振り払おうとする。


「まぁまぁ、少し話そうじゃないか。そしたら離してやる」

「っ…あなたに話す事なんて…」

「小娘…私は今、お前の腕を掴んでいる。その意味が分かるのか?」

「っ……」

「大人しくしないと、その腕吹き飛ぶぞ?まぁ夢の中だから例え吹き飛んだとて、現実には影響が行かないから無駄なんだろうがな」

「っ……!」


 ホワイトの身体は震えていた。

 ここで腕を吹き飛ばされてしまうと、現実世界にも影響が起こってしまう…

 ホワイトは恐怖していた。


「夢の中だし、興味本位で吹き飛ばしてもいいんだが」

「辞めて…!」


 ホワイトが大きな声を出す。


「分かった…話すから…お願い…腕だけは…辞めて…!」

「………」


 ジハがホワイトの腕を離す。


「っ…」

「まぁ腕を吹っ飛ばすとは言ったが、この空間ではどうも魔力を上手く使えないようでな。へし折るくらいしかできんのだよ」

「…魔力を上手く使えない?」

「あぁ。生前の時にルキから魔力を奪われた影響だろうか。或いは――」

「…!ルキから魔力を奪われた…?どういう事…?」

「さぁ、私にもよく分からないのだよ。ルキはあの研究所の爆発に巻き込まれて死亡したはずだった。だが奴は生きていた。生きて…私の元に帰ってきて、私を殺したのだ。魔力を奪うナイフで私を刺し…その後は分からん」

「っ…そんな事が…」

「兎にも角にも…私は何故ここに来たんだ。そして何故お前がいるんだ小娘」

「っ…それは…私にもよく…」

「そういえば、私が魔力の根源を手にした際にお前は…妙な魔力を使ってたな。もしやそれが…この現象を引き起こしてるのだな?」

「っ…!」


 ホワイトが驚いた表情をする。

 ホワイトの顔を見てジハがニヤリと笑う。


「図星みたいで助かるよ。お前は嘘をつくのが下手みたいだな」

「………」


 ホワイトが黙り込む。

 そして、少し間が開いた後にホワイトが話し始める。


「…ジハは…何が目的だったの…?」

「ん?」


 ジハがホワイトの方を見る。


「あなたはネオカオスのボスとして…世界の改変を行おうとした…完全な存在になったはずのあなたのその願いはラッシュ師団によって打ち砕かれた…でも…メタリーやフェクトは世界の改変はついでって言ってた…その意味…どういう事?」

「ふむ、お喋りな子供達だ」

「答えて…!」

「答えたところで何になる?お前の母親が戻るとでも?」

「っ…」

「お前の母親は強かったが、その積極性故に私に殺されたんだ。私を止めるという愚かな行動にわざわざ…」

「…お母さんを、馬鹿にしないで…!!」


 ホワイトが大きな声を出す。


「おっとすまない、怒らせてしまったかな?私の目的についてだったね。私はね…本当は家族が欲しかったんだよ。

「は…?家族…?」


 家族という言葉…母親を奪った人間が目の前にいるホワイトにとって、ジハが吐くべき言葉ではないとホワイトは思っていた。

 ホワイトの心から怒りが湧き出る。


「私だってメタリーが普通に生まれてきてくれたら助かったんだ。私がわざわざ出向く必要も無くなる。それなのにメタリーは普通に生まれなかった。私や妻のせいだ」

「…まるでメタリーが異常みたいな言い方。メタリーの事…そこまでしか思ってなかったなんて…!メタリーだって…形はどうであれあなたの大事な家族でしょ…!」


 ホワイトがジハを睨み付ける。


「…偉く怖い顔だな。さっきまでの怯え具合は何処に行ったんだ」

「あなたは人のみならず…自分の家族すらも侮辱して…一体何が…何があなたを…!」

「……」

「普通に生まれなかったからってたった一人の娘…どうして愛せなかったの…!?どうして…!」


 ホワイトがそう言うと、ジハがホワイトの首を掴む。


「っ……!?」

「それ以上喋るな、首を絞めるぞクソガキ」

「っ…離…し………」


 ホワイトがジハの腕を振り払おうとする。

 ジハがホワイトの首を絞める。


「ゲホッ…」


 ホワイトが吐血する。


「…はぁ」


 ジハがホワイトから手を離す。


「っ……はぁ…はぁ…はぁ…うぐっ…」


 ホワイトが呼吸を整えようとする。


「メタリーは愛していたよ、ネオカオス四天王としてはな…」

「っ…はぁ…はぁ…」


 ホワイトが胸を押さえる。


「…メタリーの何が異常だったの…?」

「ん?」

「メタリーは…あなたに似て…残虐な人に育ってたけど…あなたの性格を遺伝したって考えれば理解はできなくはない…」

「ふむ」


 ジハが腕を組む。


「メタリーはそれでも…あなたをパパと言って…あなたを誰よりも信頼してたはず…何処が異常だったって言うの…?」

「色々あるんだよ、小娘」


 ジハが目を逸らす。


「その色々を聞きたいの…メタリーは何故…そんなに…!」

「はぁ」


 ジハがため息を吐く。


「メタリーは私と妻の間でちゃんと生まれた。そこまでは普通だよ」

「…そこまでは?」

「これ以上は喋っても無駄だろう」


 ジハがそう言うと、ホワイトのいる方と逆の方向へ歩き出す。


「っ…何処に…!?」

「お前と喋るのも飽きた。お前と喋ると疲れる」

「っ…あなたの真の目的…聞けてない…あなたは一体…!」

「本当は家族が欲しかった、さっきも言っただろう。これ以上は何も言わない。さらばだ小娘」

「っ…待っ…」


 ジハがその場からいなくなる。


「ジハ………」


 ホワイトが拳を握る。


「…家族が欲しかったって…どういう意味なんだろう…?」





 ――それから数時間後…ホワイトは目を覚ます。


「…!」

「お、起きたかクソガキ」

「……バール先生」


 ホワイトが起き上がる。

 そこにはバールが立っていた。


「ったく、お前が寝てる間に全部の授業が終わったよ。ぐっすり眠りやがってよぉ。まぁ俺の薬のおかげだな、はっはっは!」


 バールが高笑いする。


「……バール先生、ひとつ聞きたいことが…」

「あぁ?なんだ?」

「私……夢を見てました…」

「は?あの薬飲んで夢を見ただぁ?そんな事有り得る訳…」

「……」

「まぁ、有り得ないなんて事は有り得ないか。ただ…その様子だと夢は見たがぐっすりは眠れたみたいだな。少し瞳孔がいつもより開いてるように見えるぜ」

「っ…そんな事が分かるんですか…?」

「教師であり研究者の俺に見抜けないとでも?」

「っ…流石ですよ…バール先生…」


 ホワイトがバールの目を見る。


「それにしても…もう来るなって言ったのにバール先生から会いに来るなんて…」

「うるせぇ。いつもガキ共が帰る度にもう来るなっていつも言ってんの。いつの間にか定着しただけだよ、バーカ」


 バールが舌を出す。


「…先生酷い…」

「冗談だって。もう来るなはまた来いって合図だ」

「分かりづらいですよ…」


 ホワイトがベッドから降りようとする。


「っ…!」


 ホワイトが腹を押さえる。


「あぁ?どうした腹なんて押さえて」


 バールがホワイトの顔を見る。


「はぁ…はぁ…大丈夫です…」


 ホワイトが腹を押さえながら目を逸らす。


「あぁ?その表情、怪我してんだろ?見せてみろ」

「ちょっ…セクハラですよ先生…」

「そうだな、セクハラだな。まぁ…別に見なくても分かるんだよ」

「…先生に私の何が分かるんですか…?」

「お前の腹に銃弾を撃ち込まれたような傷ができてる事くらいなぁ」

「っ…!?」


 ホワイトが驚いた表情をする。


「それ…サザナ先生に…!?」

「あぁ?サザナの姉御とは今日特に目立った事は話してねぇ」

「だったら…何故…!?」

「研究者として、教師として、色んなクソガキ見てきた大人を舐めるなよ、クソガキ」

「っ…」


 バールが頭を掻く。

 バールもまた教師の鑑だった。生徒の悩みくらい見通せるくらいには鑑だった。


「まぁ話したくねぇなら話さなくていいが」

「………」


 ホワイトが黙り込む。


「魔力か?」

「…!どうして…それを…」

「今の時代、何か事件だの異変だのがあれば大体は魔力のせいだろ?お前は自分の魔力の影響で自分によくない現象が起きている。例えば…夢の中で攻撃されているとか…」

「っ…どうしてそこまで…」

「飽くまで推測だ。いきなり夢を見なくなる薬を貰いに来る奴なんて大抵夢に関する魔力を持ってるし大抵その悩みを持ってんだよなぁ。夢に関する魔力を持ってる生徒なんて何人も見てきたし、お前もその一人ってだけだ」

「バール先生…」


 ホワイトがバールの顔を見上げる。


「俺はサザナの姉御のみならず色んな奴から危ない人だの言われてるけどよぉ…仮にも教師やってんだよなぁ。研究をしつつも生徒の面倒を見るくらいには俺はちゃんと教師やってんだよ。仕事舐めるなよクソガキ」

「…ありがとうございます」

「あぁ?クソガキって言われてお礼をするとか、お前ドMちゃんか?」

「いや…そうじゃなくて…バール先生も…ちゃんと先生として…私を見てくれてたんだなって…」

「んなくせぇ事言うんじゃねえ、クソガキ」


 バールがホワイトの額にデコピンする。

 ホワイトが額を押さえる。


「いでっ…何するんですか…」

「うるせぇ、さっさと帰れクソガキ。サザナの姉御に頼まれて俺がわざわざここまで来て起こしに行ってんだよ、感謝しろ」

「え…サザナ先生が…?」

「なんでも…助けを求めてる人がいるから仕事が終わったらすぐに行動に移りたいだとよ。誰の事かは知らねぇが」

「…!」


 ホワイトは目を光らせていた。

 恐らく…自分のために行動を起こしてくれている、そう思っていた。


「なんで俺がサザナの姉御の依頼を受けなきゃいけねぇんだ。なーにがホワイトさんを起こしてきて欲しいだ。知らねえよ眼鏡胸デカ女、俺だってこの時間研究に回してぇのによぉ」

「眼鏡胸デカ女…」

「あの姉御には丁度いいネーミングセンスだろ?」

「…否定できないくらい凄いから困る…正直羨ましい…」

「さっ、話は終わりだ。帰った帰った。もう来るなよ」


 バールがホワイトの背中を押して外に出そうとする。


「…バール先生」

「あぁ?」

「…また、たまに来ます」

「だから来るなって」

「たまに来たら…また薬を分けて下さい」

「まぁ、それはいつでも歓迎だ。じゃあな、もう来るなよ」




 学校の外に出るホワイト。


「…もう来るなよとか言っておきながら…」


 ホワイトが振り向く。

 振り向いた先にはバールがホワイトに手を振っていた。


「…なんでわざわざ外に出て私の方に向かって手振ってるんだろ、あの人…。その時間…研究に回したいんじゃなかったのかな…?」


 ホワイトが苦笑いする。


「…さてと…仮眠するつもりがぐっすり寝てしまったから…どうしよ…」


 ホワイトが携帯を確認する。

 携帯には特に連絡も入っておらず、時刻だけが映っていた。


「誰からも連絡はなし…か。まぁミカはあの後仕事を真っ当してそうだし…ジン君やロキ君やシェールさんはサキュアの復興で忙しい…ナギサさん達はそもそも…カルム師団だから目的が違うし…」


 ホワイトが携帯をしまう。


「そういえば…」


 ホワイトが指を咥えて考え始める。


「…繋命でルキやメタリー…ジハと会うようになってきたけど…お母さんとはもう一度会えないのかな…?」


 ホワイトが首を傾げる。


「あ…でも…サザナ先生は相手の魔力が弱ってしまっていると会う事が難しくなったりって言ってたっけ…それに私はジハとの戦いで繋命の魔力を使い過ぎたってお母さんに言われてたし…。強大な力の代償って…そういう事…?」


 ホワイトの口調が早くなる。


「いやでも使い過ぎた代償だとしてもお母さんの魔力が弱っているとは限らないし私の魔力があの時弱まってお母さんとの繋がりが弱くなってるとか…或いは最近死んだ人の方が出てきやすいとか…?」


 ホワイトが腕を組む。


「繋命って…難しい…」


 ホワイトが下を向く。


「お母さん、私こんな重い物…背負える覚悟が…」


 ホワイトが拳を握る。

 ――繋命を背負う覚悟、今のホワイトにはまだ持ち合わせていなかった………

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本編のスピンオフである
悪魔に堕ちて悪魔と結婚した太陽
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