ep80.謎の魔力と夢
今回から第三部!
第三部の一話だし少しだけ長めに行きます!
第三部も是非お付き合いください!
「ホワイト」
「う…うーん…」
「ホワイト、起きて」
「…うーん…ジン…君?」
ホワイトが目を開ける。
「お、起きた」
「…!?」
ホワイトの目の前には元ネオカオスの暗殺のルキが立っていた。
「ルキ…!?」
「久しぶり。私の事…忘れたなんて言わないわよねぇ?」
「っ…!」
ホワイトがルキから距離を取る。
「……!」
ホワイトの周りには真っ白な世界が広がっていた。
「何…ここ…!?」
「そっか、これがあなたの魔力のせいなのね」
「え……?」
ルキがナイフを右手に取り出す。
「っ…!ルキ…!」
「ここで会ったのも何かの縁ね。ここで…あなたを殺したらどうなるかしら?」
「まっ…待って…!私には何がなんだか…分からないの…!ちょっと待って…!」
「…待って、何になるの?」
「っ…!」
ホワイトが麻酔銃を取り出そうとする。
だが、いつも付けている腰の箇所に麻酔銃は無かった。
「あ…あれ…麻酔銃が…ない…!?」
「それならもう既に貰ってるわよ」
ルキは左手にホワイトの麻酔銃を持っていた。
「っ…!その麻酔銃…返して…!」
「敵に素直に武器を返す馬鹿が何処にいるのかしら?」
「っ……」
ホワイトが後ろ歩きでルキから距離を取る。
「…!」
ホワイトがルキの首元に斬られたような跡を見つける。
「首の傷…斬られたような跡…」
「…見ないで」
ルキが首の傷を手で隠す。
その傷はかつてスピアに憑依されていた時、ナギサに斬られていた時の物だった。
「あの女にやられた奴…許せない。まさかこの世界の私にすら影響するなんて…」
「待って…その傷…まさかあの時の…!」
「…そう、あの時私に憑依してた可能の災い諸共…私は死んだの。可能の災いとやらは咄嗟に自身の魂を本来の肉体に移して九死に一生を得たようだけれど」
「可能の災い…スピアの事…!」
「ジハの残存魔力にあいつの魂がいたから…私は死んだの…!あいつには約束を破られて…!」
「っ………」
「…さっきも言ったけれど、ここで会えたのも何かの縁。あなたを…ホワイトを…殺してやる…!」
ルキがナイフをホワイトに向ける。
「っ…!」
「死になさい!」
ルキがナイフを投げる。
「っ…!」
ホワイトが反応に遅れる。
ホワイトの額にナイフが当たりそうになる…
「ルキ……辞めて…!――」
「ホワイト…?」
「…!」
その瞬間、ホワイトが気が付くと目の前にはミカが座っていた。
「あれ、ミ…カ…?」
ホワイトとミカは電車の中にいた。
「あ…えっと…電車…?」
「今…ルキって言った…?」
「…!」
ホワイトが驚いた表情をする。
「…まさか今の…全部…」
「…なんか、ホワイトが寝ちゃった後、急に魘されているような感じになって…それで…」
「え…寝ちゃってた…?魘されているような感じって…」
「まさか気付いてない…?」
ミカが首を傾げる。
「…夢を見てたの。ルキが私に…ナイフを投げてきて…それで…」
「ルキが出てくる夢…か」
ミカが腕を組む。
「…まぁ、自分を恨んでいる奴が夢の中に出てくることはあたしもあるわよ。ネオカオスの下っ端とか…最初は慣れなかったけれど、次第に慣れてくるわ」
「そういうものなのかな…」
「そういうものよ。あたし以外にもジンとかロキとかも…そういうのあるんじゃないかしら」
「…そっか」
ホワイトが胸に手を当てる。
「…ごめん、ミカに心配させちゃった」
「大丈夫。けれど…ホワイトにもそういう夢を見る時が来るようになっちゃったのはちょっと辛いわね。あなたは特に…優しい子だから…」
「………」
ホワイトが窓の外を見る。
「…恨みを買った相手が出てくる夢…か………」
――ラルの街に着くホワイトとミカ。
「着いたわね」
「また帰ってきたね、このラルの街に…」
ホワイトが辺りを見渡す。
「確か…魔力学校はこっち!」
ホワイトが走り出す。
「ホワイト、走ったら転んじゃうよ」
「もう…あの頃と違って子供じゃないよ」
「あはは、冗談だよ」
ミカが走ってホワイトについていく。
「…着いた!」
ホワイトとミカの目の前には魔力学校の校門が立っていた。
「校門…今までずっと基地生活だったからなんか新鮮かも」
ミカが辺りを見渡す。
学校の方には魔力学校の生徒が多くいた。
「…色々な生徒がいるのね。必ずしも月神の族や太陽神の族の者だけって訳もないみたいだし」
「うん」
「…部外者だけど入っていいの?」
「私はたぶん大丈夫だと思うけど…ミカはどうだろ…」
「…うーん」
ミカが腕を組む。
「…あたしは一旦別の所に行くわ。ブランさんとルーナさん…彼らにジーナの話を聞きに行くのがあたしの目的だし。ホワイトはホワイトで…先生に会って繋命の事について聞きに行って、二人の目的が果たされたら連絡する…それでいい?」
「分かった。後でまた連絡するね」
「ん」
ミカがその場を離れる。
ホワイトがその場に一人残される。
「…さてと」
ホワイトが校門の方へ歩き出す。
「"エストレージャ魔力学校"…久しぶりだなぁ…」
暫く歩いて…ホワイトが学校の前まで着く。
そしてホワイトは一つの疑問に気付く。
「…あれ、卒業生の場合…どうやって挨拶すればいいんだ…?」
ホワイトが首を傾げる。
「えっと…うーんと…あれ…どうするんだっけな…」
「おや、そこにいるのは…」
「あ…」
ホワイトの傍には中年の男性が立っていた。
「ホワイト君…!」
「リュジョン先生…!お久しぶりです…!」
ホワイトが頭を下げる。
ホワイトの目の前には教頭だったリュジョンが立っていた。
「あの頃と同じく律儀な所は変わりませんね」
「そ…そんな事…」
「それにしても…3年前の卒業生のホワイト君が来るって事は…何か用事があるって事ですか?」
「あ…えっと…サザナ先生に会いに…!」
「サザナ君か…彼女なら今授業をしている最中のはずだ。授業が終わったら呼ぼうか?」
「あっ…お願いします…!」
ホワイトが頭を下げる。
「うむ、それまで生徒達と話してくるといいぞ。君の魔力はもしかしたら彼らの勉強の参考になるかもしれないしなぁ」
「あ…そうですか…?分かりました…!」
ホワイトが生徒の方へ寄る。
――それから数分後…
生徒に魔力を教えるホワイト。
「それで…この魔力は例えば蜂とかに体内に入れられた毒とかを魔力で感知して成分を判断して…それに耐性を付ける薬を作る事が…」
「すごーい!」
「やっぱ卒業生は違うんだなー!」
「あ…あはは…凄くなんてないよ…」
ホワイトが苦笑いする。
ホワイトの元にリュジョンがやってくる。
「ホワイト君、サザナ君の授業が終わったぞ」
「あ、今行きます」
ホワイトがリュジョンの元へ歩き出す。
「失礼します…!」
ホワイトが部屋に入る。
「久しぶり、ホワイトさん」
ホワイトが部屋に入る。
そこにはホワイトのかつての担任教師であるサザナがいた。
水色の長い髪に赤い眼鏡。まさに美人教師という言葉が相応しい女性だった。
…後、ホワイトも見惚れる程の豊胸の持ち主だった。
「…あら、大きくなったね、ホワイトさん」
「サザナ先生…!今もここで教師をなさってて…嬉しいです…!」
「私も、まさかまたこういう場で会えて嬉しいわ」
サザナが笑顔になる。
「座っていいわよ、そこに」
「あっ…はい…!」
ホワイトが席に座る。
「あ…」
「ん?」
「結婚…なさったんですね」
ホワイトがサザナの左手薬指に付けている結婚指輪を見る。
「あ、そうなのよ。ずっと付き合ってた彼氏と…2年前くらいにね」
「…いいなぁ」
ホワイトがサザナの指輪を見続ける。
「…私が卒業した後、授業の方はどうですか…?」
「そうね、教える事は増える一方だわ…。例えば魔力の根源とか…ネオカオスの件とか…」
「ネオカオス…」
魔力の根源やネオカオスという言葉は魔力学校にも知れ渡っていた。
それほど彼らがこの世界に与えた影響は大きかった。
「魔力の根源に関しては妹がよく調べてるから、それの資料をたまに貰っては授業の参考にさせてもらっているけれど」
「妹…魔力の根源を調べてる…?あれ…その人…何処かで…」
「もしかして、会った事あるかしら?ナギサっていう妹がいてね」
「…!ナギサさんが…!?」
ホワイトが驚いた表情をする。
サザナはナギサの姉だった。
「そう。なんでも今はカルム師団とやらの団長をやってるみたいね。まさかあの子が団長にね…」
「…サザナ先生、ナギサさんのお姉ちゃんだったんだ…」
ホワイトがサザナの豊満な胸を見る。
ナギサの面影を感じる。
「通りで…」
「ふふっ、あなたの惚れやすい所も変わらないわね」
「あっ…その…ごめんなさい…女性同士とは言えセクハラですよね…ごめんなさい…!」
ホワイトが顔を赤くしながら謝罪する。
「いいのよそんなの。正直旦那も昔はそれが好きで私と付き合ってたらしいし…。それよりあなたが私に会いに来た目的は…こういう世間話をしに来た訳ではないでしょ?」
「あっ…そうでした…えっと…」
ホワイトの身体が硬くなる。
目の前にかつての教師がいる事に少し緊張していた。
「そんな硬くならなくてもいいわよ、ホワイトさん」
「…もしかしたら、先生が知ってる…かもしれないっていう事なんですけれど…」
「私が知ってるかもしれない事?」
「その…繋命って言葉に聞き覚えはありますか…?」
「…!」
サザナが眼鏡に指を当てる。
「……知ってるわ。あなたのお母さんから…その魔力について色々聞かせて貰ったわ」
「…!」
ホワイトが驚いた表情をする。
ホワイトが立ち上がる。
「それっていつ…どこで…!?」
「あなたが在学中の際に…あなたのお母さんから放課後に色々聞いてたの。あなたが身に秘めている繋命よいう魔力に関して…」
「…そう…でしたか…」
ホワイトがゆっくりと座る。
「私が魔力を詳しく感知できる魔力を持っているのは在学中に話した事あったよね?」
「…あります。けれど…私が在学中には繋命の話は一切…」
「そう、あの時は…いえ、今も繋命に関しては不可解な事や…危惧される事が多いから…まだ幼かったあなたにそんな大きな使命を背負わせるのは嫌だったの…」
「…!」
「だから…あなたのお母さんと私だけの秘密にしてたの。卒業後も…」
「…そうだったんですね」
ホワイトが自身の胸に手を当てる。
「今なら…あなたに伝えてもいいわね。あなたのお母さん…リュンヌさんから教えて貰った繋命の謎について…」
「お母さん…繋命の…謎…!」
ホワイトが息を吞む。
「聞かせて下さい…!」
「良いわ」
サザナが繋命について話し始める。
『繋命』は血の繋がりを持つ者だけが持つ魔力。
そして…自身の本来持つ魔力とは別の魔力。
そして、一度触れた者と夢を介して会う事ができる魔力。
しかし、繋命を所持している者の力が弱いうちは死した人としか会う事ができない。力が強くなれば生きている人とも会える。
そして…この魔力は基本女性にしか引き継がれない。
「そっか、だから先に生まれたお兄ちゃんには引き継がれず私に…」
ホワイトが息を吞む。
そして繋命はもう一つ、繋いだ命の数だけ強くなる力。自身の本来持つ魔力を強化したり、身体能力も強化できる。
だが当然この魔力も万能って訳じゃない。
触れた者と夢を介して会う力…会う相手の魔力が影響しやすい影響か、相手の魔力が弱ってしまっていると会う事が難しくなる。
「相手の魔力が弱ってしまっていると…会う事が難しい…」
「そう…自分の魔力が弱いだけならまだしも、相手の魔力も弱ってしまっていると…ね」
「…なるほど」
「リュンヌさんから聞いた情報は以上だわ」
「…ありがとうございます」
ホワイトが頭を下げる。
「…そっか、相手の魔力が弱ってしまっているから…お父さんに会うのが難しい…って事…か…」
「お父さんに会うのが難しい…?どういう事…?」
サザナが首を傾げる。
「あっ…えっと…先生には教えてなかったですね…お父さんとお母さんの事…」
ホワイトが拳を握る。
「…お母さんは…ネオカオスによって…命を落としました…」
「…!?」
「…そして、死に際にお母さんがお父さんを庇ったけれど…お父さんはネオカオスの魔力の影響か何処か遠くへ飛ばされてしまい…行方不明に…」
「…そんな事が…」
サザナが口に手を当てる。
「それと…お兄ちゃんも…ネオカオスによって…」
「っ………」
「だから今は…私と…生きてるかもしれないお父さんだけが…」
「…そう…だったのね……」
サザナが顔を下げる。
「…ネオカオス…今はもう…解散に追い込まれたって聞いたわ。ラッシュ師団のおかげかしら?」
「…はい。そのラッシュ師団に…私も入ってます」
「ホワイトさんも…ラッシュ師団の一員として…もしやお母さんの仇討ちのために…」
「…はい」
「…そう」
サザナが腕を組む。
「………」
ホワイトがサザナの腕を見る。
「世間的にはネオカオスのボスのジハは…魔力の根源の暴走によって死亡ってなってたけれど…ちょっとだけ真相が知りたいわね」
サザナが指を咥える。
「お母さんの仇、もしやあなたが討ったの?」
「…はい」
「繋命の魔力に覚醒したから?」
「…はい。…え?」
「そう、良かった」
サザナが安堵する。
「ジハが死亡という情報が世間に流れる前…あなたのと近い魔力をこの学校から感じ取ってね…。もしかして…と思って」
「…サザナ先生には何でもお見通しですね」
「ふふっ」
サザナが小さく笑う。
「それで、あなたは今はお父さん…ソレイユさんの事を探しているという訳…か」
「…はい。あ…そうだ…それで先生に頼みたい事があって…」
「私に?」
「はい…先生の魔力でお父さんを…探して欲しいです…!」
「私の魔力で…なるほど?あなたのお父さんの魔力を…」
「魔力を詳しく感知できる先生の魔力ならきっと…お願いします…!」
「…そうね」
サザナが腕を組む。
「…いいわよ。ただ…三つ程問題があるわ」
「三つ…」
サザナが指を出す。
「一つ目…ソレイユさんの魔力は…太陽神の族としての魔力が強くてこのラルの街からだと特定がかなり難しい事…」
「あ…確かに…この街には沢山の太陽神の族の方が住んでいるから…」
「二つ目…これは私自身の問題だけど、私は教師としての仕事があるから、基本的にラルの街を出るのは休日しか不可能。でも…旦那との時間も取りたい場合もあるから休日でも必ず探すのに協力できる訳じゃないこと…」
「…そう…ですよね…先生もプライベートの時間くらい…欲しいですよね…」
「そして三つ目…私達の問題にはなるけれど…」
「先生の…ん?先生…達…?」
「…ここ」
サザナが自身の腹に手を当てる。
「…!まさか…」
「そう、私は今…新しい家族の命を授かってるの。今はまだ一か月も経っていないけれど、身体は大事にしたい。だから…危険な事には巻き込まれたくはないわ」
「………先生」
ホワイトが顔を上げる。
「…先生が子どもを授かってるなら…私はそんな先生に大変な思いをして欲しくない…だから――」
「協力するわ」
「だから今回は…え…?」
ホワイトが首を傾げる。
「可愛い元生徒の為だもの、協力できる範囲でなら…助けてあげたいわ」
「………!」
「一つ目の問題…重く言ってしまったけれど、ソレイユさんの魔力…あなたの物とも似ているからそれを手掛かりに追えるかもしれない。二つ目に関してはあまり解決策はないけれどね」
「先生…!」
「遠い目標になるかもしれないけれど…協力できる事は協力するわ…!」
「サザナ先生…ありがとうございます…!!」
ホワイトが頭を下げる。
「いつでも連絡取れるように私の連絡先教えておくわね。えっと…今は師団の通信機を使ってるのかしら?」
「あ…それも使ってますけど、一応ラッシュ師団のとは別で携帯を持っているのでこっちで…!」
「承知したわ」
ホワイトとサザナが携帯を取り出す。
二人が連絡先を交換する。
「…サザナ先生」
「どうしたの、ホワイトさん?」
「今度…旦那さんとの馴れ初めとか…聞かせて下さい…!」
「え?いいけれど、どうしたの急に?」
「あっ…えっと…その…」
ホワイトが顔を赤くする。
サザナがホワイトの顔を見て察する。
「あ、分かった。さてはホワイトさん好きな人が…」
「うっ…違います…!先生がどんな感じで出会ったか知りたいだけです…!」
違わなかった。ホワイトには好きな人がいた。
ホワイトは好きな人とどう出会ったかを知りたかった。
「いいわよ、色々終わったら聞かせてあげる。その代わり…あなたのも聞かせてね?」
「…!はい…!」
ホワイトが笑顔になる。
「久々に話せて私も楽しかったわ」
「私もです…!」
「さて、私はちょっと溜まってしまった仕事があるから一旦失礼するわ。また何かあったら連絡ちょうだい」
「あ…分かりました!」
「それじゃまたね、ホワイトちゃん」
「はい…!」
――魔力学校を出るホワイト。
「…えっと…」
ホワイトが携帯を取り出す。
「ミカに連絡しなきゃ」
ホワイトがミカに通話する。
「…もしもし、ミカ?」
「ん、終わった?」
「…うん。先生に会えたし…先生からお父さん捜索の協力も得られた」
「お、良かったじゃん。流石ホワイト!」
「いや…そんな事ないよ…先生が良い人すぎるだけ」
ホワイトが苦笑いする。
「…ミカの方は?」
「あたしの方は…収穫なし。ブランさんとルーナさんは今旅行に出かけてしまっているみたい…」
「…そっか。まぁあの二人…旅行好きだしなぁ…」
「ふーん…。まぁいっか。今日は…もう遅いし何処か泊まって明日また行動しようか」
「分かった、じゃあ私の実家でいいかな?」
「ホワイトの実家?あたしは良いけど…ホワイトはいいの?」
「まぁ…私にとっては今は無料で泊まれる静かな宿みたいな感じだし…そこで休んで明日行こう」
「…ん。分かった」
二人が合流する。
ホワイトが歩きながら考え始める。
「流石に家の冷蔵庫…空っぽだよなぁ…」
「…仮に何かがあったとしても2年も置いてある食品を使うのは危険よ」
「うーん…じゃあ夕飯は外食でいいか」
「ホワイトって案外てきとうなのね…」
「ラルの街には色々なお食事処があるから、ミカにも食べて貰いたいだけだよ。私の手料理よりかは…いいかなと思う」
「ん、じゃあそのうちの一つ、教えて貰おうかしら?」
「いいよ。ついでに先生から聞けた繋命の謎について色々話したい」
「ん、了解」
それから外食を済ませ…ホワイトの実家に入る二人…
「…また来ちゃった、実家に」
「二度目の…いや、三度目のお邪魔します」
「何もないところだけど、ゆっくりしてって」
「ん、何もないところの方があたしにとっては好きかな」
「そっか、なら良かった」
ホワイトがミカの方を見て笑顔になる。
「…ホワイト、本当に笑顔が増えたよね」
「え?」
「ラッシュ師団入ってから暫くは…ずっと絶望してたり怯えてたような感じだったからさ…」
「…皆のおかげだよ。皆がいたから…私は今こうして生きているし、皆が生きてるから…私も元気を貰えるの。ミカのおかげで…今の私がある…!」
「そっか、なら良かったけど」
ミカがホワイトの顔から目を逸らす。
「ミカ?」
「…なんでもない。こっち見ないで」
「え、酷い…」
ミカの顔は赤くなっていた。
ミカは少し照れ臭かったのだ。
「…さて、今日はもう寝ましょう。明日は…どうする?」
「明日はそうだな…先生の協力も得れたからラルの街から出てお父さん探し…かな」
「…まぁ、そっか。長い旅に…なりそうだね」
「…うん。けれど…お父さんに再開してこの長い旅が終われば…ジン君とも…」
ホワイトがジンの顔を想像する。
ホワイトの顔が赤くなる。
「…ん、どうしたの?」
「…なんでもない」
「そっか。そういえばさ…さっきの外食中に聞いてた話だけど、繋命は生きている人とも会う事ができるんだね」
「あ…うん」
「どういう原理…なんだろうね?」
「え?」
ホワイトが首を傾げる。
「繋命そのものが夢を介して人と会う能力って事だけど、その"夢を介して"ってワードが気になる」
「…うーん、普通にそのままの意味なんじゃないかな…?」
「そうじゃなくて、死んだ人なら兎も角…生きてる人とも会うには生きてる人も寝てないと行けないって言うか…」
「あ…そういう事…?」
「お互いが夢を見ている状態で…夢を介して会うって解釈をしてるんだけど…そういう訳ではないのかな?」
「あー…どうなんだろう…?まだ私は力に完全に目覚めれてないみたいで…生きている人と会うのは難しいのかもしれない…」
「んー、まぁそうだよね。難しい事言っちゃってごめん」
「いや、大丈夫。私の未熟さが生んでる問題だし…」
「何れ分かる事になるのかしら…?」
ミカが腕を組む。
ミカとホワイトが天井を見る。
「…難しい事はまた明日考えましょう。今日はもう休んで…明日出発しましょう。おやすみ、ホワイト」
「うん、おやすみミカ」
ホワイトとミカが眠りにつく。
「妹ちゃーん」
「う…うーん…」
「ねぇ、妹ちゃん、起きてよ。ねぇねぇ」
何者かがホワイトを揺する。
「…誰…私を起こすのは…?」
「おはよ、妹ちゃん」
「…!?」
ホワイトの目の前には元ネオカオスの絶壁のメタリーが立っていた。
「メタリー…!?」
「あははは!お久しぶり!」
メタリーが笑顔でホワイトを見る。
ホワイトの周りには真っ白な世界が広がっていた。
「…!いや…これは夢だ…私の夢の中でメタリーが出ているだけ…現実に影響は…」
ホワイトがそう言うと、メタリーが銃をホワイトに向ける。
「っ…!」
「ねぇ、裏切者の妹ちゃん。ここはどこ?」
「どこって…ここは私の夢の中…だからここは…」
「へぇ、そっか。じゃあさ…」
メタリーが銃をホワイトの腹に目掛けて撃つ。
「っ…!?」
「夢だから苦しくないよね?」
「がはっ…」
ホワイトが吐血する。
「あははは!血吐いた!そんな苦しかった?」
「はぁ…はぁ…何この…」
ホワイトが自身の腹を押さえる。
ホワイトの腹から血が垂れる。
「夢のはずなのに…凄く…ゲホッ…」
「私もさ、自分が撃たれる夢は見た事あるんだよね。撃たれる夢ってさ…なんか独特な感触になるよね?夢では撃たれてるのに目が覚めたら現実には何もなくて…でも、起きてから少しの間撃たれた感触って言うかで身体の震えが止まらなくてさ…面白いよね?」
「っ……」
「ねぇ、妹ちゃん。君はここが夢って言ってるけど…本当なのかな?」
メタリーがホワイトの唇を指で軽く掴む。
「っ…何を…」
「だって、夢にしては…出来過ぎじゃない?」
メタリーがホワイトの左胸に銃口を突き付ける。
そして、いつでも殺せるように引き金を指まで持っていく。
「何を…言って…」
「本当にここが夢だとしたら、今ここに映っている光景がもっと乱雑でてきとうな感じになっているはず。けれどこんなに鮮明に描かれている」
「…!」
メタリーの言う通り、何もない真っ白な世界ではあるがかなり安定しており、明るい世界だった。
夢にしてはあまりにもはっきりしすぎていた。
「それに私は実際あなたに後ろから撃たれて心臓を貫かれ死んでる。そして私はそれを覚えている。これが何よりの証拠でしょ?」
「…まさか…これが…繋命の…」
「けいめい…なにそれ?」
「しまっ…」
ホワイトが口を塞ぐ。
「そっか、そういえば君は女神族の魔力の一部を所有してるんだっけ?それがけいめいってやつか!」
「っ…!辞めて…!」
ホワイトの目から涙が出る。
「でもさ、被害者は私なんだよ?」
「被害…者…何を言って…」
「何もない所…あの世って奴なのかな?意識があるかすらも分からない世界…いや、世界かすらも分からない場所に行って…でも急に私は魔力でここに呼ばれてこの世界に閉じ込められたんだよ」
「っ…!」
「これって私の方が閉じ込められた被害者で、あなたは閉じ込めた加害者なんじゃないの?」
「っ…そんな………」
メタリーが怒りで銃を震えさせる。
「まぁ、君にまた会いたいって気持ちはあったけどね。パパの計画の邪魔になったり、裏切者の妹をしていたりで私が直接殺したくなるくらい憎い相手だし。生き返りだろうが来世だろうがなんだろうと…どんな方法で会おうとまた会って…今度こそ殺したいって気持ちは死んだって分かった後もずっとあった」
「っ………」
「漸くこれで私の空っぽになりかけた気持ちは埋まる。ここで君を撃って殺して…その後はどうしようかな?」
メタリーがホワイトの胸倉を掴む。
「辞めて……」
「いや、ここで殺しちゃったら私はどうなるんだろ?またあの世って奴に移動して…でも、そもそも死んでるからなぁ…」
「辞めて………!」
「まぁ、そんなのどうでもいいや。君を殺せれば…なんでもいいや!」
「辞めて…!!!」
ホワイトが目を覚ます。
「っ…!?」
ホワイトが過呼吸になる。
恐ろしい夢から目覚めた後のホワイト。真っ暗で一人目を覚ます。
「はぁ…はぁ…はぁ…何…あの生々しい夢…これが…繋命の力っていうの…?」
ホワイトが右手で自身の腹を抑え、呼吸を整えようとする。
「っ………!?」
ホワイトは右手に何かが付くのを感じる。
「え…な……に…これ…?」
ホワイトの右手には血が付いていた。
「血…?なんで…兎に角電気を…」
ホワイトが起き上がろうとする。
だが、ホワイトの全身に痛みが走る。
「うぐっ…痛い…なにこれ…」
ホワイトが腹を押さえる。
「っ………まさか…」
ホワイトが部屋の電気を付ける。
「………!?」
電気を付けて映った光景…
ホワイトは腹から血を流していた。
「こんな怪我…この位置…まさか……」
ホワイトの一つの考えが頭によぎる。
「――…夢で受けた攻撃が…現実にも…!?」
後書き~世界観とキャラの設定~
『サザナ』
…ホワイトがかつて魔力学校に通っていた時の担任。水色の長い髪に赤い眼鏡と、まさに美人教師という言葉が相応しい女性。
そして、ホワイトも見惚れる程の豊胸の持ち主。どう考えても作者の趣味。
『繋命で見たルキとメタリー』
…ホワイトの持つ謎多き魔力である「繋命」がホワイトの意思に反して二人に会わせた。
繋命の世界で出会った二人は間違いなく本人であり、メタリーの持つ銃が現実世界のホワイトにまでも影響を与えてしまった。




