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白と悪魔と  作者: りあん
第二部 可能と不可能の根源
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ep50.愉快な団長

 ――駅に着く五人。


「着いたぞ」

「ここは…?」

「ここは『カコウの街』の駅だな。カコウの街は自前の火の魔力や近くの活火山の魔力を利用して鍛冶屋など火を扱う仕事が栄えている場所だ。そして、カルム師団の基地がある場所の最寄り駅だ」

「へぇ、鍛冶屋。武器作るのが趣味なあたしは将来ここに住もうかしら」


 ミカが周りを見渡す。


「私は…あんまり住みたくないかも…煙は苦手…」


 ホワイトが口を抑える。

 カコウの街…近くに活火山があり、その魔力を利用した人々が住んでいる街。鍛冶屋と言った火を扱う仕事が栄えている場所だった。多くの武器はここで作られ、色々な街に送られたりすることもある。

 カルム師団の基地がある場所の最寄り駅のある場所でもあった。


 そして…その活火山は…


「そして、あそこに見える山があるだろう?」


 ランスが指を指した方向には黒い煙を出している巨大な山があった。


「アレは一体なんなの?何やら天辺からは黒い煙が出ているようだけど…」

「アレこそランス山脈。カコウの街の魔力源とされている活火山だ」

「ランス山脈…え?団長と名前一緒じゃ?」

「そう、俺と同じ名前の山だ。流石に偶然だとは思うが」

「ふーん…」


 ランス山脈…活火山の名前だった。

 偶然にもランスという名前が被っていた。

 そして…


「巷ではあそこにもうひとつの魔力の根源があるという噂だ」

「は?」


 ミカが疑問を抱く。

 魔力の根源があの活火山に眠っている…そう考えられていた。


「そして、それを管理しているのもカルム師団…という訳だ」

「へぇ…まぁ活火山だし…活火山にも魔力があると考えると…納得が行くわ」

「だが未だに魔力の根源の発見には至ってない。さて、本題のカルム師団の基地へ向かうぞ。こっちだ、着いてこい」


 ランスが歩き始め、四人が着いていく。




「着いたぞ」


 五人が歩いて20分、カルム師団の基地が目の前にある。


「かなり歩くじゃん…街の中にある訳じゃないのね…」

「あぁ。カコウの街は基本的に暑苦しい場所だ、それが苦手な奴への配慮として街の外に配置されている」

「なるほど…」

「さてと…お前達ちゃんと団服着てるよな?」


 ランスがシェールを除く三人を見る。


「…よし。これなら無断で入っていいだろう」

「遂にご対面ね」


 ランスが扉を開ける。


「失礼するぞ」






「中は…ラッシュ師団の基地と似てるわね」

「あぁ。奴等が俺の基地のレイアウトをパクったからな」

「え、そうなの?」

「あぁ。まぁ多少ナギサの趣味は入っているだろうが」

「ふーん。あ、ほんとだ。なんか絵が描いてある」


 ミカが壁を見ると海の様な絵が大きく描かれていた。


「海の絵…」

「この基地から少し歩くと海がある。ナギサは海が好きだからたまに遊びに行ったり、基地の中でこうやって壁に絵を描き出す芸術家…でもあるんだ。まぁ火山灰が含まれた海水だからあんま入るのはお勧めしないがな」

「へぇ…なんか…その…凄いわね。団長とは別の意味で…」

「まぁ、一応ここのトップだしな」


 ランスがそう言うと、カルム師団の団員とすれ違う。


「よ、俺だ」

「…!ラッシュ師団…それに…ランス…!」


 カルム師団の団員がランスを睨む。


「…今日はナギサに用がある。あいついるか?」

「団長室にいますが…あの方は丁重に扱ってくださいね?」

「分かってるって」

「…チッ」


 カルム師団の団員は舌打ちをしてその場を去る。


「…なんか、団長に対して嫌な感じ見せてたけど?」

「気にするな」

「いや…気にするわよ」

「ミカちゃん、ランス君はカルム師団に嫌われてるのよ」

「馬鹿、それを言うんじゃねえシェール」

「え?嫌われてるの?」

「…知らねえ。いつの日か嫌われ始めた。こちらとしては友好的な関係を築いてるはずなんだがな…」


 ランスがため息を吐く。


「…珍しい、ランスさんのため息」

「…行くぞ。こっちだ」




 ――団長室の前に立つ五人。


「ここだ」


 ランスがノックをする。


「失礼する」


 ランスが扉を開ける。


「…失礼します」


 四人が声を揃える。


「ナギサ、来たぞ」

「はーい」


 団長室の中にはナギサと呼ばれる女が座っており、その隣に一人の男が立っていた。


「ようこそ、カルム師団の団長室へ。私はラッシュ師団の君達を歓迎するよ」


 ナギサは足を組んで五人の方を向く。


「…女が足を組むのを辞めろ、ナギサ」

「えー、だって楽じゃん?」

「楽とかそう言う話じゃねえ、ちゃんと座れっつってんだ」

「はいはい」


 ナギサが足を組むのを辞め、立ち上がる。


「スタイル良くて…綺麗な人…」


 ホワイトがナギサに見惚れている。

 カルム師団団長のナギサ…水色の長い髪に紺色の綺麗な瞳をしていた。

 スタイルが良く、メリハリのある身体を持つナギサ。そして…ホワイトはナギサの持つ大きな胸に見惚れていた。


「君、褒めてくれてありがとね。君も可愛いよ?えっと…名前は…」

「っ…ホワイト…です…」


 ホワイトの顔が赤くなる。


「ホワイトちゃん。で、そっちの背は低いけどおっぱいが大きい女の子と…なんか怖い男の子は?」

「あたしはミカ。…なんか前にも聞いた事あるような台詞が…」

「俺はジン。ラッシュ師団の戦闘団員だ」

「なるほど、ミカちゃんとジン君。私はナギサ、見ての通りカルム師団の団長です。で、こっちがルド」

「ルドと言う。宜しく頼む。今は二代目の副団長やらせて頂いている」


 ルドが頭を下げる。

 カルム師団副団長のルド…藍色の髪にオレンジ色の瞳を持っていた。

 背も高く、ランスやシェールと違った頼れる副団長という雰囲気を醸し出していた。


「ルド君にナギサちゃん、久しぶりね」

「うん、シェールちゃんも久しぶり。と言っても、そんなに経ってないと思うけどね」


 ナギサとシェールが再会を喜んでいた。

 そして、ランスがナギサに話し始める。


「一つ聞かせろ、ナギサ」

「…何?」


 ランスとナギサの目付きが変わる。


「スピアマウンテンの魔力の根源について何か分かった事はあるか?」

「君に何か話せる事があるとでも?」

「と言う事は、見つかってないんだな?」


 ランスとナギサがお互いを睨み合う。


「え…ちょっと…どういう感じ…?」

「あぁ…あのね…あの二人…実は結構仲悪いのよ…」


 シェールが小声で話す。


「え?」

「あの二人…割と犬猿の仲って言うか…」

「え…最悪じゃないですか…」

「ちょっと…!」


 ホワイトがランスとナギサの間に入り込む。


「ちょっ…ホワイトちゃん!?その二人の喧嘩には関わらない方が…」

「二人とも…喧嘩は良くないと…思います…」

「…ホワイト。別に喧嘩はしてないぞ?いつもこんな感じって言うか――」

「ホワイトちゃん、君…」

「ひえっ…」


 ナギサがホワイトに近付く。


「…!お前…ホワイトに手を出す気…――」


 ナギサがホワイトの脇腹を触る。


「ひゃうっ…変な所触らないで下さ…」

「…可愛い」

「…え?」

「…ん?」

「可愛いー!!」


 ナギサが大声を出し、ホワイトに抱きながら頬擦りをする。


「…!?」

「ホワイト!?」

「ちょっ…ナギサ…さ…痛い…いや…柔らか…違う…辞めて…下さい…」


 ホワイトがナギサを振り払おうとするが、ナギサの力が強くて離れない。


「可愛いー!え!ランス、こんな可愛い子いつからラッシュ師団に入れてるのー!?めっちゃ可愛いじゃん!もしかして第三の彼女!?」

「第三の彼女とか言うな。こいつは…2年前に訳あってラッシュ師団に入った」

「へぇ。どんな訳?どんな訳?教えて教えてホワイトちゃん!」

「ちょっ…と…離して…下さい…うぅ…なんか触り心地いい…」

「いいでしょこの触り心地、もっと私の頬を」

「落ち着け、ナギサ」


 ルドがナギサの服を後ろから掴む。


「あっ」

「彼女が嫌がってるだろう。ホワイトさん、うちの団長が失礼致しました」

「…いや…大丈夫ですけど…今度ラッシュ師団に入った時の話…ナギサさんにしますね」

「うん、君とはいっぱい話してみたいな。そっちの二人も…ね?」


 ナギサがミカとジンの方を見てウインクする。


「…気が向いたら」

「…俺も」

「…ナギサ、俺達はお前がカルム師団団員にした立ち入り禁止の指示でスピアマウンテンに入る事を禁じられてる。せめてスピアマウンテンで何かあったか教えてくれないか?」

「うーん…教えてもいいけど。でもなぁ…ランスだしなぁ…」

「…俺じゃ不服か?」

「うん」

「即答かよ」


 ランスがため息を吐く。


「カルム師団以外を立ち入り禁止にしてる理由…君にも分かるはずだよ」

「俺にも?」

「うん。特に君には入ってもらいたくはないかな」

「…嫌いだからか?」

「そうじゃないけど、似てはいるかも」

「なんだよそれ」


 ランスがそう言うと、ホワイトが話し始める。


「…ナギサさん、私からちょっと聞きたい事が…」

「ん、どうしたの?」

「その…立ち入り禁止にしてるのは分かりました。協力関係にあるラッシュ師団も通さない理由も…ナギサさんには考えがあるからそうしてるのだと思ってます」

「ホワイト?」


 ランスがホワイトの方を見る。


「私が聞きたいのは…ナギサさんが私のお父さんに会った事があるかどうかを知りたくて…」

「君のお父さんと、私が?」

「その…左腕が黄色く輝いてる…そういう感じの人に心当たりはありませんか…?」

「左腕…輝いてる…君のお父さん…か」


 ナギサが考え始める。

 だが…


「ごめんね、そんな人に心当たりはないや」

「そんな…」

「でも、左腕じゃないけど…右腕が闇に覆われているかのような人なら何年か前に出会った事あるよ。その時、私もかなりお世話になったんだ」

「…!」


 ホワイトが驚いた表情をする。


「それって…もしや月神の…」

「その人は当時の私よりちょっと年上くらいの見た目をした綺麗な女の人だった」

「え…女の…」

「そう。その人の訃報を聞いた時は…凄く悲しかった」

「…!訃報…もしや、その人の名前は…!?」

「リュンヌさん。惜しい人を…亡くしたよ」

「…!?」


 ナギサの衝撃的な言葉に…ホワイトが口元を両手で覆う。


「あの人は…カルム師団を作った後にかなりお世話になってさ」

「それ…私の…お母さん…です…」

「…え?」


 ナギサがホワイトの顔を見て唖然とする。


「私のお母さんは…カルム師団とも関わりがあったんですか…!?」

「…!」


 真実を確かめたいがために、ホワイトはナギサの顔を見つめる。

 ホワイトの母リュンヌは果たして、カルム師団とも交流があったのか………

後書き~世界観とキャラの設定~


『犬猿の仲…?』

…ランスとナギサはかつて恋仲であったが、とある事件をきっかけに別れる事に。

その後、笑顔の再会とは言えない再会を果たし、現在もそのギスギスが続いているという事である。


ただお互いに「不幸になって欲しくない」という思いはあるようである。

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本編のスピンオフである
悪魔に堕ちて悪魔と結婚した太陽
も連載中!
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