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白と悪魔と  作者: りあん
第二部 可能と不可能の根源
51/271

ep49.もうひとつの師団と根源


 ――晩餐が終わり、翌日の朝…


「ミカ」

「ん、おはよ」


 ミカとジンが起き上がる。


「ホワイトは…まだ寝てるか」


 ホワイトはミカの隣で寝ていた。


「そうね。まぁ昨日の晩餐でホワイトにしては珍しくはっちゃけてたからもう少し寝かせよっか」

「そうだな」

「…そういえば、ジン」

「ん、どうした?」

「ロキの事…どう思ってる?」

「ロキの事?」


 ジンが疑問を抱く。


「まぁ、信頼のおける仲間って感じだな」

「そう」

「なんでロキの事を?」

「…いや、別に」


 ミカが目を逸らす。

 そして、ジンが察する。


「もしかしてお前…ロキの事…」

「…いや、そういう事じゃないけど」

「ふーん…?」


 ジンが少し微笑む。


「…何よ」

「別に?」

「そういうアンタはホワイトの事…どう思ってるのよ?」

「大事な人だ。殺し屋だった俺に手を差し伸べてくれた人だ。それは変わらない」

「異性として好きとかはないの?」

「っ…」


 ミカの言葉にジンが言葉を詰まらせる。


「…ホワイトにだって好きな人がいるはずだ。例えば…ラッシュ師団に入る前に好きだった男とか」

「へぇ」

「…なんだよ」

「いや?あたしはホワイトの彼氏の有無を知ってるけどどうしようかなーって?」


 ミカがジンの方を見て笑う。


「…!」

「教えてあげてもいいけどなー。でもどうしようかしら?」

「…教えてくれ。金は出す」

「別にお金はいらないわよ」

「…じゃあ、タダで教えてくれ」

「いいけどさ、それってホワイトの事が好きって事?」

「…それで何が悪い?」


 ジンが顔を少しだけ赤くする。


「いや、青春してるなって。なんだかんださ、アンタ達付き合ってなかったから」

「それはラッシュ師団とネオカオスのいざこざがあったから…付き合うとかそういうのは…兎に角教えてくれ…ホワイトに彼氏は…いるのか…?」


 ジンがミカの方を見る。


「いないわよ」

「…マジか」

「ネオカオスの件も終わったし、今がチャンスよ」

「そう…なのか?」

「そうよそうよ」


 ミカがジンの背中を叩く。


「いでっ…叩くなよ…」

「ほらほら、早くしないと取られちゃうぞー?」

「…いや、まだ駄目だ」

「なんで?」

「ホワイトの…父さんを見つけるまではこの気持ちは伝えない」

「…ふーん」

「だから…ホワイトの父さんを必ず見つけて…ホワイトに…」

「…アンタはラッシュ師団に入ってから人を思いやる心ができたみたいね」

「別にそれは…でも…ホワイトを傷付けたくないとは思ってる」

「そう。ふふっ…」


 ミカがジンの方を見て再び笑う。


「…なんだよ」

「いや、面白いなって」

「…怒るぞ」

「応援してる」

「…そいつはどうも」


 ミカとジンが会話しているのを、ホワイトは寝ているふりをして聞いていた。


「………」


 ホワイトの顔は赤くなっていた。






 ――数分後…ホワイトも起き、食堂で話し合う三人。


「さてと、どこに向かいたいホワイト?」

「うーん…正直手掛かりが全くないんだよね…昨日行った実家に何かしら手掛かりがあったら良かったんだけど…誰も実家に帰ってる気配も無かったしなぁ…」

「…そうね。そうなると…行く場所はないのかしら…」

「あるとしたら…魔力の根源があった場所…とか?」

「魔力の根源…スピアマウンテンの事かしら?確かに世間的にも魔力の根源は知れ渡ったけれど…今は別の団体によって閉鎖されてるわ」

「別の団体?」


 ホワイトが首を傾げる。


「ラッシュ師団じゃなくて、別の団体が管理しているのよ。知らなかった?」

「え…知らなかった…どういう団体なの?」

「『カルム師団』という名前の団体よ。各地の魔力について追っていて、ネオカオスに関しても多少触れてたみたいけど、今は魔力の根源を中心に各地の魔力の柱を探っては管理している団体よ。団長はナギサという名前の女の人らしいわよ」


 カルム師団…ミカの言う通り、各地の魔力について追っている団体だった。

 現在は魔力の根源があった場所、スピアマウンテンを中心に各地の魔力の柱を探っては管理している団体だった。


「へぇ…女の人で団長を…凄いなぁ…。でも魔力の柱の管理…か。大変じゃないのかな?」

「どうなんだろう。あたしは知らないけど、団長ならなんか知ってるんじゃない?」

「ランスさんなら?」

「元々ラッシュ師団が探ったスピアマウンテンに今カルム師団が管理しているって事は、ラッシュ師団とカルム師団の間で何かしら関わりはあるはず」

「なるほど…」


 ホワイトがそう言うと、ランスが現れる。


「俺の話をしてたか?」

「…!ランスさん…!」

「おはよう、三人共。お前達には休暇を与えたのに食堂を使うとは、よほどこの師団の飯を気に入ったと見た」

「そりゃ…ここの食堂は安いし時間によっては無料…味も良いし食べない理由がないわよ」

「ははっ、ホワイトは何がお気に入りだ?」

「えっと…カレーライスがお気に入りです」

「そうかそうか、まあ一番の人気メニューだしな」

「それに…なんとなく…お母さんが作ってくれたカレーの味に似てるから…」

「…そうか」


 ランスが腕を組む。

 ミカが話し始める。


「…そうだ、丁度いいや。団長、聞きたい事があるんだけど」

「聞きたい事?なんだ?言ってみろ」

「その…カルム師団って一体…何なの?」

「あぁそうか。第一の魔力の根源に近付いたお前達には詳しく話してもいい権利があるな」

「第一の?」


 第一という言葉に、ミカが首を傾げる。


「あぁ。魔力の根源はな…もうひとつあると推測してる」

「…!?」

「えっ…」

「なん…だと…?」


 三人が驚く。

 ランスの言う通り…魔力の根源は…もうひとつあると推測されている。


「驚くのも無理ないだろう。カルム師団が魔力の根源はもうひとつあると推測しているようでな。それで魔力の根源があったスピアマウンテンを管理する事になってしまった」

「魔力の根源が…」

「もうひとつ…」

「…で、でも、推測の範囲なんでしょ…?だったら必ずあるとは…」

「まぁ俺も最初はそうだと思ったよ。だが…確信を持てる出来事が過去になかった訳ではなかったんだ」

「過去に…?」

「あぁ。ミカとホワイトなら忘れた事のない出来事だろう」

「…まさか…お母…さん…?」

「…!あの時の…」


 ホワイトとミカは…リュンヌがジハに殺された時の出来事を思い出していた。


「御名答だ。あの時魔力の根源と同等の魔力の柱が現れ、その魔力の暴走を活かしてジハがリュンヌさんを殺害…」

「まさか…あの時既に魔力の根源が…嘘…」

「…ハンバ荒野に現れたもう一つの魔力の根源の力の一部でジハは膨大な魔力を手に入れた。それが…あの事件の真相の一部だ」

「そんな…」


 ホワイトが絶望した顔をする。


「そしてカルム師団は研究の末、その時の魔力とスピアマウンテンの魔力の根源の力が類似している事に気付いた」

「だったら、お母さんの…いや、ハンバ荒野を調べれば…もしかしたら…!」

「まぁ確かにハンバ荒野は奴等の管理から外れているな。だが…あの場所は依然俺達が手分けして魔力の根源を探した時…くまなく探したが結局見つからなかった。あの場所からはスピアマウンテンのような可能性は微塵もない。あれ以上の捜索は無駄だろう」

「そんな…」


 ホワイトが落ち込む。


「それで、つい最近魔力の根源が見つかったスピアマウンテンを更に調べるために今はカルム師団が管理している…という訳だ。奴等は戦闘力は兎も角、研究とかそういう分野に長けている団体だ。俺達のような戦闘や救助に長けている物とは訳が違う。奴等に任せた方が良いんだ」

「なるほどね…ならラッシュ師団が管理しないのにも多少だけど納得が行くわ…」


 ミカが腕を組む。


「まぁ、カルム師団に話を聞きに行く事くらいならできると思うぞ」

「…え?」


 ミカが疑問に感じる。


「これでも俺はラッシュ師団の団長だ。それに…当然と言えば当然だがあっちの団長のナギサとは面識がある。お前達が望むなら、あっちの団長に一緒に会いに行ってもいい」

「…本当?」

「あぁ。だが奴から何も話を聞けない可能性もある。それにもうひとつの魔力の根源に近付く可能性も高くなるし、もしかしたらジハの時みたいに再び危険な目に合う可能性もある。それでもいいなら…」

「それでも…私は行きたいです」


 ホワイトが拳を握る。


「…ホワイトが行くならあたしも行く」

「だったら俺も…!」


 ミカとジンもホワイトに続く。


「ならいいが、ホワイトの親父さん…ソレイユさんを探す事についてはどうする?」

「…元々今は手掛かりが何もない状態です。でも…もしもお母さんやお父さんが過去に魔力の根源を追ってたとしたら…もうひとつの魔力の根源の存在にも気付いていたとしたら…お父さんだったら…もうひとつのあるかもしれない魔力の根源を追ってまだ行動してる可能性だって…あるかもしれないから…」

「なるほどな。なら決まりでいいか?」

「…はい!」

「了解だ。そうなると…ナギサに連絡しなきゃだな」


 ランスはそう言うと、通信機を取り出す。


「え、連絡できるんですか?」

「向こうとは面識があるとさっき言ったが、実は連絡先も交換しててな」

「…それはいいと思うけど、連絡先を交換ってシェールさんが怒らないの?許可は取ってるの?一応団長は一人の女性の彼氏をやってるんだよ?」

「団長同士で連絡先を交換しているのは別に怒らないだろ。別にシェールに許可もいらないだろ?」

「許可なし…マジかよ」

「ランスさん…嘘でしょ…」

「あぁ…シェールさん…どうしてこの男の人を選んでしまったの…?」


 ジンとホワイトがランスに対して苦い表情をし、ミカが頭を抱える。


「なんだお前達?兎に角ナギサに連絡してみるぞ」


 ランスが通信を始める。


「もしもし、ナギサか?今会えるか?」

「いややっぱこれダメじゃない?言葉が完全に浮気じゃん」


 ミカがランスの方を見る。


「あぁ。そっちに俺と他三人の団員が向かう。あぁ、俺の団員の中で一番魔力の根源に近付いた奴等だ。あぁ、了解だ。今からそっちへ向かうぞ」


 ランスはそう言うと、通信を切る。


「これで良し。お前達、準備は…ってミカ、どうした?」


 ミカが通信機を使っていた。

 そして…


「もしもし、シェールさん?あなたの彼氏が浮気してる可能性があるんですけど」

「…は?浮気?は?」


 ランスが戸惑うと、食堂の扉が開く。

 そして、シェールが現れる。

 隣の部屋にいたのかと疑われる程に早く来ていた。


「…ランス君?ミカちゃんが言ってた事は本当?」

「待て、誤解だ。ていうか早くないか?」

「ナギサって人に連絡取ってました」

「ちょっ…ミカ…」

「…今ので確信が持てたわ。せっかく行けるかもしれなかったデートの準備をこっそりしていたのに」


 シェールはそう言うと、ランスに近付く。


「待てシェール、落ち着け――」

「覚悟!」

「ひぃっ…」






「と言う事で、私も行く事になったわ。宜しくね三人共」


 シェールがランスをヘッドロックしながら三人に話す。


「辞めろシェール、離すんだ…苦し…」

「シェールさん…そこまでにした方が…」


 ホワイトがシェールに近付く。


「ホワイトちゃん、彼氏が浮気してたらこうするのよ?」

「ふぇっ…!?」

「っ…!」


 ホワイトが驚く。

 シェールの言葉にジンも少し動揺を見せる。


「今ホワイトちゃんに彼氏がいるかは分からないけど、彼氏が浮気してたら…死ぬまでこうするのよ?」

「死ぬまでって…」

「そんな事…しない…!」


 ジンが大きな声を出す。


「え?」

「ジン…君?」

「あっ…いや…ホワイトは優しいし…結構美人だから彼氏ができても浮気されなさそうって言うか…その…」

「び…美人…!?」


 ホワイトが顔を赤くする。


「ジン君、何か勘違いしてるようだけど…」

「えっ…えっと…ごめんなさ…」

「美人で優しい女の子も浮気する可能性あるのよ?」

「…は?」


 ジンがシェールの言葉に疑問を持つ。


「女の子が浮気してた場合は、そうね…女の子を分からせるために」

「もう辞めろ、シェール」


 ランスがシェールの腕を掴む。


「懲りた?」

「懲りた…っていうか…そもそも浮気じゃないって言うか…ナギサはお前も知ってるだろ…?カルム師団の団長の…」

「過去に会ってるもんね。浮気じゃない事くらい知ってるよ」

「じゃあなんで俺はヘッドロックされてるんだよ」

「うふふっ」


 シェールが微笑みながらランスを離す。


「はぁ…はぁ…結構辛かった…」


 ランスは深呼吸をする。


「えっと…シェール…さん…?」

「あら、ごめんなさい。お見苦しい所を見せちゃったわ」

「…さて、話を戻そう。これからカルム師団の基地へ向かう。お前達の準備が整い次第向かうぞ」

「いや団長、首きめられかけてたけど大丈夫なの?」

「大丈夫だ、これくらい慣れている」

「慣れているって逆に怖いわよ…」


 ミカがランスの言葉に引く。


「…過去にネオカオスの下っ端にも首を絞められかけた事があってな。だけどシェールのと比べたらマシだ」

「…マシなんだ」

「さてと、ホワイトちゃん達、準備しておいで。もしかしたら長い旅になるかもしれないからね」

「あぁ…それなんですけど、正直準備はもう整っているっていうか」

「あぁ、そっか。元々はホワイトちゃんのお父さんを探す為の旅をする予定だったもんね。了解。行けるって、浮気者のランス君?」

「なんだその呼び方は。まぁ準備ができてるなら行くに越した事はないか。行くぞ」


 ランスがそう言うと、五人は部屋を出てウィッシュ城下町の駅へ向かう。





 ――数分後…

 電車の中にて。


「ねぇ、カルム師団の基地って電車でどのくらいかかるの?」

「そうだな、ザっと2時間程だ」

「…結構かかるのね」


 ミカが目を細める。


「距離の関係で奴等はネオカオスと会った事も殆ど無いだろう。スピアマウンテンの管理を任された連中はさぞかし大変だっただろうな」

「…まぁ、確かに。魔力の根源を研究するためには仕方のない事なんだろうけど…」


 ミカがホワイトの方を見つめる。


「…ホワイトは寝てるの?」

「あぁ。夜眠れなかったんだろうか」


 ホワイトがジンの隣で寝ていた。


「…そう。こういう時くらい、ゆっくり休んで欲しいわね」

「あぁ」

「それにしても、ミカちゃんとジン君って…元々結構仲悪くなかった?今って結構仲良いよね?」


 シェールがミカとジンの方を見る。


「別に仲良いなんて…」

「仲良いというよりかは…ホワイトのおかげでこうなっているっていうか」

「ホワイトちゃんのおかげ?」

「えぇ。…まぁ、俺はこいつのおかげで色々救われたって言うか…」

「へぇ」


 シェールが微笑む。


「大事にするんだよ、ジン君」

「…なんで俺に?」

「なんとなく?うふふ」

「…?」


 ジンが疑問に思っていると、ミカが窓の外を見る。


「…あれ」


 ミカが窓の外を見て何かに気付く。

 ミカが異質な魔力の気配を僅かに感じ取っていた。


「なんだろう、なんか感じた覚えがあるような魔力を…感じるような…」

「そういえば団長、カルム師団の団長ってどんな人なんだ?」


 ジンがランスに質問する。


「ん?あぁ…ナギサの事か。あいつはな…ヤバい奴だよ」

「…ヤバい奴?」

「そうだ。戦闘面は俺以上だ。でも、性格がヤバい」

「性格がヤバい?」

「かなり男勝りな奴だ。あいつを女として見るのは無理だ」

「…そんなに?」


 ジンとミカが疑問を持つ。


「あぁ。だから浮気なんて断じて有り得ない」

「ほんとかなぁ?」


 シェールがランスの腕をつつく。


「辞めろ、触るな」

「男勝りな女…なるほど、うーむ」

「ジン君、ランス君の言ってる事は無視していいからね?この人私以外の女性を見る目全くないから」

「失礼な」

「それにしても、着くまで暇ね。ジン君とミカちゃん、こんな感じで雑談するけど付き合ってくれるかしら?」

「…まぁ俺は別に。団長やシェールさんの事もっと聞いてみたさはあるし」

「あたしも別に。ホワイトが起きたらもっと話盛り上がりそうだけど。起こすのもホワイトに悪いし…」

「そう、ありがとう二人とも。うふふ」


 シェールが微笑む。

 電車内での会話は、カコウの街の駅に着くまで続いた。





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本編のスピンオフである
悪魔に堕ちて悪魔と結婚した太陽
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