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白と悪魔と  作者: りあん
第二部 可能と不可能の根源
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ep48.終わりと始まりと

 ……………


「という感じだ」

「という感じって言われても…」


 ミカがランスの目を見つめる。

 ランスの目には一点の曇りもない、嘘偽りのない物だった。


「…あたしの記憶については何もいじってなかったの…?」

「お前の記憶は見ようとしたけど黒い霧のようなものに覆われて見えなかった…こんな不安定な状態で何かを与えたり消したりするのは危ないと判断した」

「…なるほど。人の心はあったのね」

「その件は私も居合わせていたしちゃんと覚えてるから、この話に嘘はないよ」


 シェールが割り込むように話す。


「…で、俺の方はどうなんだよ?」


 ジンがランスの目を睨む。


「あぁ、ジンの記憶に関してはな…。お前あの後ラッシュ師団に普通に馴染めただろう?」

「…それがどうした?」

「お前の記憶に、ラッシュ師団の基礎的な記録を与えた、それだけだ」

「なんだよそれ」


 ジンがランスの言葉を聞いて呆れる。


「…いやでも確かに…すぐに馴染めたのは学んだかすら怪しい記録の数々のおかげだった…」

「あぁ。俺の魔力のおかげでジンは助かってるんだ。最も…俺が教育が面倒だから記憶にさっさと送ろうとかいう考えの元行ったと言われればそれまでかもしれないが…」

「…はぁ。案外団長もてきとうなんだな」


 ジンがため息を吐き、頭を掻く。


「そういえば…ホワイトに対しては俺の魔力の使用はしてなかったな」

「あ…そういえば…」

「どうする?何か不都合な記憶でも…――」

「…大丈夫です。嬉しい記憶も…悲しい記憶も…全部私の…今に繋がる物だから…」

「そうか。余計な世話だったな」


 ランスがそう言うと、ミカが話し始める。


「…じゃあ、あたしは何者なの…?」

「それは俺も知らないな。俺は瀕死のお前を助けただけだからな。どこから生まれどこで育ったかはお前やお前に関わってきた人しか知らないはずだ」

「っ…」


 ミカが絶句すると、団長室に別の団員が入る。


「お忙しい所失礼致します、ランス団長」

「お前は伝達団員の…どうした?言ってみろ」

「はっ、ネオカオスの残党を探している団員からの報告になります。ネオカオスを再び捕らえたと」

「そうか、ご苦労」

「そして…その残党から更なる情報を得ました。ネオカオスは四天王もボスも崩壊…遂に解散に陥ったという事を」

「解散…か」


 ランスが腕を組む。


「その後他のネオカオスの残党も同じような事を。シェール殿から借りた魔力により、この発言が真実だという事も確定です」

「…!」

「ネオカオスが…解散…」

「そうか、了解した」


 ランスがそう言うと、ランスがシェールの方を見る。


「シェール」

「えぇ、分かったわ」


 シェールはランスの方を見て頷く。


「ネオカオスの件は…これで終わりだ。ホワイト、ジン、ミカ…ここまでよく耐えてくれた」

「…終わり?どういう事ですかランスさん…?」

「ラッシュ師団とネオカオスの長きに渡る戦いは…これで閉幕だ」

「…!それって…」

「あぁ…俺達の…勝ちだ…!」

「…!」


 ホワイトが驚いた表情をする。

 そう…この言葉の意味は…ラッシュ師団の大勝利だった。

 そしてネオカオスとの長きに渡る対決が終了したという事だった。


「お前達に特別に休暇をあげてたが…これでようやく全員に休暇を渡せそうだな」

「良かった…良かったよジン君…ミカ…!」

「…おう」

「…ん」


 ミカが目を逸らす。

 ミカはランスの言葉に少し納得が行っていなかった。


「さて…今夜は晩餐だ。休暇をあげてたお前達も丁度ここにいる事だし、参加してくれると助かる」

「勿論!ジン君もミカも参加するよね?」

「俺はまぁ…お前が行くなら」

「…あたしも行くけど」

「よし!」

「助かる」


 ランスがそう言うと、晩餐の準備を始める。






 ――その日の夜、ラッシュ師団の団員が多く集まる。

 ウィッシュ城下町の広い酒場を借り、晩餐が行われた。


「ミカ、ジン君!」

「あぁ」

「こうして三人で一緒にいれるの…嬉しい」


 ホワイトが笑顔でジンとミカに寄る。


「本当はロキも来る予定だったんだが…あいつは暫く実家に帰ると言って話を聞かなかったからな」

「あはは…でもロキ君らしいや。でも…その前までロキ君は何してたんだろ?」

「あぁ、なんでも殺戮のデストのベースとなる人間を探せたとかなんとか」

「…!それってもしかして…」

「あの病室で寝込んでた見知らぬ男だろうな。大剣を持っていたし」

「なるほど…」

「まぁ…奴は奴でネオカオスに良い様に利用されてたんだろう…フェクトと一緒だな」

「…そうだね」


 ホワイトが持っているジュースを飲む。


「…ねぇ、ジン、ホワイト」

「ん?どうした?」

「…団長は結局…あたしに何も記憶に関する行動をしてなかったって事…?」


 ミカがコップを強く握る。


「…あいつがそう話すなら、そうなんだろ。あの場にはシェールさんもいた。嘘を言ってもシェールさんにはお見通しだった。だから団長の言う事は正しい…だろ?」

「…そうかもだけど…だったらあたしは一体…」

「…」


 二人が黙り込む。


「だとしたら…ミカが何者かについても、探さないとだね」

「…え?」


 ミカが首を傾げる。


「私のお父さんを探す旅と一緒に…ミカが何者かについても探す旅、しようよ」

「ホワイト…」

「それには俺も賛成だ。ラッシュ師団としての役目はひとまず全て終わったんだ」

「ジン…」


 ミカがそう言うと…

 ランスとシェールが三人の元にやってくる。


「ここにいたか、お前達」

「やっほ、二人とも」

「あ、ランスさんとシェールさん」

「ホワイトの親父さんについてだが、明日から一部の団員も協力してくれることになった」

「…!本当ですか!?」


 ホワイトが驚きと喜びの顔を見せる。


「あぁ。ただ明日から休暇に入るメンバーも大勢いる。一部のメンバーしか集めれなかったが許してくれ」

「それでも大丈夫です…!私達も…引き続き探したいと思います…!」

「あぁ。早く見つかるといいな」

「私も手伝うよ。見つけたらすぐ教えるね」

「はい…!」

「…」


 ホワイトが微笑む。

 ミカがランスの方を見る。


「ミカ?どうした?」

「…いや、あたしは団長にあんな事をしたのに、ケロッとしてるなって…」

「あぁ、記憶の件に関してのトラブルは日常茶飯事だからな」

「日常茶飯事って…もうその魔力、団員に使うの辞めたら?」


 ミカが少し呆れ気味に話す。


「うーん…一部を除いて俺から魔力を使うって事はないからな。奴等が望んで得た結果だ」

「…はぁ」


 ミカがため息をつく。


「兎に角、今日はこの晩餐を楽しめ」

「…えぇ、まぁ」

「じゃあ失礼する」

「二人とも、楽しんでねー」


 シェールが三人に手を振る。シェールとランスはその場を去る。


「…色々…謎ができたわね…」

「ミカ…」


 ホワイトがミカの方を見る。


「ホワイトのお父さんも…あたしの姉も…絶対見つけてみせる…!だからホワイト…ジン…もう少しだけあたしに協力してほしい…」

「勿論…!私も…協力して貰ってる側だし…!」

「ホワイトもミカも大事な仲間だ。俺も協力しよう」

「二人とも…!」

「よし…そうと決まれば明日から再び旅の開始だね!二人とも…頑張ろうね…!」

「おう」

「えぇ…!」


 三人が再び旅に出る事を決心する。









 ――とある森。

 誰かにとって、怨敵の声が聞こえた。

 誰かにとって、味方の声が聞こえた。


「…おのれ…おのれラッシュ師団…いや女神族…いや…ホワイト…!」


 ジハが下半身と左腕が斬り落とされている状態で倒れている。


 ――ジハはあの時、完全な存在となった。

 だが繋命に覚醒したホワイトの繋命剣によって下半身と左腕が斬られた。

 それが元に戻った身体にも影響していた。


「私は生きているぞ…ぐふっ…」


 ジハは残された上半身と右腕では立ち上がれない状態だった。

 辺りにはジハの物と思われる血が散乱していた。


「…この身体になってから止血で精一杯だ…それに数日も経って腹も減るし喉も乾く…有り余ってる魔力で命を保ててるが…それも時間の問題…このままでは…誰か…誰か…私を助けてくれ…」


 ジハがそう言うと、声が聞こえる。


「…見つけたわ」

「…!その声は…」


 ジハの目線の先にはルキがいた。

 ルキは腹部から出血していた。

 ルキの血が地面に垂れる。


「久しぶりね、ジハ…」

「ルキ…!生きていたのか…!私を…私を助けてくれ…!」


 ジハがそう言うと、ルキは不敵に笑う。


「ふふっ…いいわよ」

「本当か!足を失った私を運んでくれ。ネオカオスを再び作り上げる。再び魔力の根源を得て完全な存在に…――」


 ジハが言葉を続けようとすると、ルキは倒れているジハの左胸に目掛けてナイフを刺す。


「がはっ…何を…!?」

「…助けてあげるわ。生き地獄から」

「ごほっ…ルキ…貴様…ネオカオスを…裏切る…かっ…」

「自分だって、元より私達を利用してた癖に」


 ルキはナイフを強く押し込む。


「がっ…辞め…ろ…」


 ジハは残った右手でルキの右手を掴む。


「このまま死になさい」

「がっ…」


 ジハの手は力を失い…

 ジハはそのまま死亡する。


「…死んだかしら」


 ルキはジハの口に左手を当てて息を確認する。


「私も…早く…止血しないと…」


 ルキはそう言うと、ジハに刺したナイフに魔力を込める。


吸収刃(ドレインカッタ)…」


 ルキは少し経った後、ジハに刺したナイフを抜く。


「これで取れたかしら、ジハの魔力を…」


 ルキはナイフに付いている血を舐める。


「…ふふっ…少し力がみなぎってきたわ。ジハの魔力は…このナイフに籠ってる。今なら使えるかしら…?」


 ルキはそう言うと、自身の腹部に魔力をかけようとする。

 そして、ルキの腹部の出血が止まる。


「…成功ね。ジハの魔力を少し手に入れたわ。ふふふっ…」


 ルキは不敵に笑う。


「そしてこれをこうすれば…――」


 ルキは自身の腹にナイフを刺す。

 ルキの全身に痛みが走る。


「んぐっ…だけど…これで…」


 ルキは少し経った後、ナイフを抜く。

 ナイフを抜いた後、ルキの傷がすぐさま回復する。


「…こっちも成功ね。ジハの魔力…私の身体に染み付いてくるわ。ふふふっ…――」


 ルキがそう言うと…


「…!」


 ルキは何かに気付く。

 そして…ルキの中に魔力と同時に誰かが入り込んだかのような感触が走る。


「…誰?」


 ルキは右手で自分の顔を抑える。


「…なんだ、女の身体か」


 ルキがいつもの声よりも低めに喋る。


「っ…誰だか知らないけど…私の身体から…離れ…――」


 言葉の途中でルキは気を失い、倒れる。




 数分経った後、ルキが立ち上がる。


「…ふむ、これで所有権は私の手に行ったって訳か」


 ルキの身体が乗っ取られる。

 ルキを乗っ取った者が腕を見る。


「…魔力の許容がある身体はいささか不便だが、まぁいいだろう」



「――これから、根源の時代の…始まりだ」

後書き~世界観とキャラの設定~


『そもそも何故ルキは生きているのか?』

…現状不明。ただ、重傷を負っている事からネオカオス研究所の爆破に巻き込まれているのは確かである。遺体が見つからなかったのもどういう訳か逃げ延びたのがその理由。


吸収刃(ドレインカッタ)

…ルキの持つナイフの一つ。魔力が付与されており、刺した者の魔力や生気などを吸い取る事が可能。

そしてそのナイフを自身に刺し、自身の糧とする。


…が、ジハの魔力に宿っていたのか、何者かによってルキは意識が奪われる。

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本編のスピンオフである
悪魔に堕ちて悪魔と結婚した太陽
も連載中!
是非こちらも御覧ください!
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