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白と悪魔と  作者: りあん
第二部 可能と不可能の根源
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ep46.月神の族

 そして、三人がかつてソレイユが使っていた部屋に入る。


「ここがお父さんの部屋」

「…へぇ」

「お父さんは回復の魔力を扱えたからそれを更に活かせるように…実験みたいな感じでペットを飼ってたんだけど…」

「…ペット?」

「うん、小動物…だったんだけど、今はもういないみたい」


 ホワイトがカゴのような物を見つける。


「ここに飼ってたんだけど…もう2年経っちゃったし死んじゃったのかな…」

「…それか、主人が帰ってこないと察知して自ら檻から出た…とか」

「そうだといいけど…今も生きてたらいい…かな…」

「ちなみにその小動物って?」

「あぁ…小鳥だよ。お父さんは足を止めて鳥を眺めるくらいには鳥好きだから…」

「へぇ」


 ホワイトがカゴを揺する。


「…何も入ってないや」

「…そう」


 ホワイトがカゴを元の場所に戻す。


「…二人とも、こんなところまで付き合わせてごめん」

「…え、どうしたの急に」

「…私の実家に手掛かりがあると思って来たけど…全くなかった…実家はもう虚ろとなってた…」

「っ…」


 ミカが絶句する。


「この家みたいに…皆との時間も…無くなっちゃうのかな…」

「っ…無くなるだなんて…そんなの…」


 ミカは言葉を詰まらせる。


「…あたしは、ホワイトと一緒にいる時間を今後も大事にしたい。だから…ホワイトとはまだ一緒にいたい」

「ミカ…」

「…俺もだ。お前にまだ…あの時の恩返しをしきれてない。俺を殺し屋の呪縛から解き放ってくれたお前に…まだ返せてない…!」

「ジン…君…」

「だから…皆との時間を今後も…大事にしよう…?」


 ミカがそう言うと、ホワイトが喜びの涙を流す。


「…そうだね、ごめん…ありがとう…!」


 ホワイトがミカとジンに抱き付く。


「私…もう…ネガティブにならない…これから…前を向いて生きる…!」

「…そうね」

「だから二人とも…これからも私の傍にいて欲しい…」

「…勿論」

「…当たり前だ」


 ジンがホワイトの頭を撫でる。


「…ありが…とう…うぅっ…」


 ホワイトが涙を流す。


「とはいえ…手掛かりは殆ど掴めなかったわね…どうする?」

「これからどうしよう…」


 ホワイトがそう言うと、ジンが話し始める。


「…一旦ラッシュ師団に帰るって選択肢はないか?」

「え…?」

「これは飽くまで一つの選択肢ではあるが…ラッシュ師団の皆に協力を求めて総出で探す…とか」

「それは…」


 ホワイトが胸に手を当てる。

 確かに手掛かりがない以上、人手は多いに越した事はなかった。

 だが…ホワイトは皆に迷惑をかけるのが嫌だった。


「ネオカオスの残党の方も…もうすぐで全員捕まえれるくらいにはなるはずだ。そうなると…ラッシュ師団も暇になる。その機会に…皆にお前のお父さんを探してもらおう」

「でも…それだと皆に迷惑を…」

「…誰も迷惑なんて思ってねえよ」

「え…?」

「確かにネオカオスとの戦いの頃は皆ギクシャクしてたから怪しかったけど…今ならネオカオスの一件が大きく解決してる。今なら皆、聞く余裕もあるはず」

「…!」


 ジンがミカの方を向く。


「ミカ…団長に連絡頼めるか?」

「いいわよ。ホワイトのためだもの、アンタもホワイトのために動くとなるなら…あたしも動くまで」

「二人…とも…」

「団長は案外話が分かる奴だからな。ホワイトの頼みなら…尚更だ。何故か知らないが団長にはホワイトの両親と縁があるみたいだしな…」

「ジン君…」

「そうと決まれば、写真も撮ったし団長に連絡するわよ」


 ミカが通信機を使い始める。


「え…いつの間に…」

「もしもし?団長?」


 ミカがそう言うと、ランスの声が聞こえる。


「ミカ?休暇中に連絡とは珍しいな。もう仕事をしたくなかったか?生憎だがお前に仕事は…」

「逆よ。団長達に仕事を任せたいの」

「…何?俺に仕事だと?」

「…ホワイトのお父さんを見つけるのを、団員に手伝って欲しいの」

「ホワイトの親父さんを?」

「うん」


 ランスが首を傾げる。


「それは別に構わないが、急に改まってどうした?」

「よし」


 ミカが喜んだ顔をする。


「ホワイト、団長が構わないって」

「…!ほんとですかランスさん…!!」

「お…?おう…勿論だ。リュンヌさんには昔お世話になったし…ソレイユさんのその後の事も気になるしな。元々彼の事に関しては調査予定だったのだが…ネオカオスの件もあったしな。次なる目的はソレイユさんの捜索に決定…だな。ラッシュ師団の団員に伝えておく、ソレイユさんを探す為に世界中を駆け回れと。まぁお前達は再び休暇をしててもいいが」

「ありがとう、ランスさん…!」


 ホワイトが微笑む。


「おう。見つかったら連絡する」

「ん、ありがと団長」


 ミカが通信機を切ろうとする。


「…そういえば、伝え忘れていた事がある」


 ランスが話し始める。


「ん?」

「実は…」


 ランスが続けようとしたが、途中で言葉を止める。


「いや、何でもない」

「…え?」

「…ネオカオスの下っ端の方はまだ時間がかかりそうって事だけだ。では、良い休暇をな」


 ランスはそう言うと通信を切断する。


「…ランスさん、何か隠してた?」

「さぁ?それより…ホワイト、ジン。どうしよっか」

「…ランスさんの事も気になるけど…お父さんの捜索も続けたいし…どうしよう…?」

「…せっかくの休暇なんだし、俺達は引き続き旅の方を続けよう」

「…分かったわ。となると…ここの街も後にする事になるのね。もっと長居したかったわ…」

「え、ミカ…そんなに気に入ってくれたの?」


 ホワイトがミカの顔を見つめる。

 ホワイトの目には少し微笑みが浮かんでいた。


「ちょっと気になる事がいっぱいあるだけ…」

「へぇ、ミカにしては珍しいね」


 ホワイトが微笑む。


「…皆、手伝ってくれるの嬉しいな…」

「そうね。総出で探せばすぐ見つかる気もするわね」

「…あ、でも顔とか身体の特徴とか…言ってないような…」

「団長の事だしあなたのお父さんとも会ってるんじゃないかしら?だから特徴とかは把握しているはず」

「そっか、そうだった。じゃあ大丈夫かな…?」

「俺達は…引き続き旅の方を続けてホワイトの父さんを探そう」

「うん…!」


 三人は決断し、ホワイトの実家を後にした。





 ―その後、ホワイトはブランの元へ実家の鍵を預けに行った。

 ブランに別れの挨拶をし、再びラルの街を後にする事となった。


 歩いている途中、ミカがホワイトとジンの方を見て話し始める。


「ホワイト、ジン」

「ん?」

「どうかしたか?」

「…あたし、この街もう少し回っていたい」


 ミカが街を見渡す。


「え?うん、いいけど…どうしたの?」

「あたし…この街に行った覚えはないけど…過去にお世話になった覚えがある気がして…」

「お世話になった?」

「あっ…いや…リュンヌさんにお世話になったってのは記憶に残ってるんだけど…それ以外にも…誰かになんだかお世話になったような気がして…」


 ミカが頭を掻く。


「そっか、分かった。この街を出るのは少し後でもいっか。旅は気長でもいいもんね」

「一刻も早くあなたのお父さんを見つけたいのに、ごめん」

「ううん、それは大丈夫。お父さんも…きっと生きてるって…思えてきたし…」


 ホワイトが拳を弱く握る。


「そう。じゃあ少し別行動するわね。夕方に駅集合って感じでいいかしら?」

「分かった、ジン君もいい?」

「了解だ。俺はホワイトと行動してる。ミカも気を付けてな」

「ん。じゃあお願いね」


 ミカはそう言うと二人と行動を別にした。


「さて…残された俺達だが…ホワイトはどこか寄りたいところとかはあるのか?」

「うーん…実家は寄れたし…この街にいる知り合いにちょっと挨拶するくらい…かな…?」

「そうか、じゃあ俺達は俺達でゆっくり見て回るか」

「うん、ありがと」


 二人はラルの街を歩き出す。




 二人で行動するホワイトとジン。


「そういえば、ホワイト」

「どうしたの?」

「リュンヌさんって…ラッシュ師団と関わりがあったのか?」

「え?」


 ホワイトが疑問に思う。


「だって…ブランさんがラッシュ師団について知ってそうだったし、何か言うのを躊躇っていたような事もあったような…」

「…お母さんがラッシュ師団と関わりがあるのは正解だよ」

「やっぱりか」


 ホワイトの母リュンヌはラッシュ師団と関わりがあった。そして父のソレイユもまたラッシュ師団に関わっていた。


「お母さんとお父さんはラッシュ師団と連携を取ってネオカオスのジハの計画を止めようとしてた。…漸くジハの居場所を突き止めて、お母さんとお父さんがジハと対峙したの」

「ジハと…」

「…でも…ジハはその時にいたハンバ荒野の魔力の柱の暴走から魔力を得て…その魔力でお母さんを…殺したの…」

「………」


 ジンが黙り込む。


「今思えば…お母さんとお父さんがラッシュ師団やネオカオスに関わらなければ…今頃平和に暮らせてたはずなのに…」

「…いや、それは違う。関わらない事で得た平和でも…もしラッシュ師団にお前や俺が入らず…ジハの計画が進んでジハが魔力の根源を得てしまっていたら…一生終わらない地獄の始まりだっただろう」

「…そっか…」

「お前のお母さんとお父さんは…今の平和にまで繋いでくれた人達だ。その人達の頑張りを…無駄にしないようにするのが俺達の役目じゃないか?」

「ジン君…」

「…それに、お前のお父さんは生きてる可能性もあるんだ。今は…お父さんを探す事が大事だ。きっとお前のお父さんも…お前をどこかで待っているはずだ」

「…それも…そうだね…」


 ホワイトがそう言うとジンに抱き付く。


「ホワイト…?」

「…私、弱気になってた。正直…今死んであの世でお父さんを待っていた方が楽だと思ってた…だけど…今ので元気貰えた…」

「…そうか」


 ホワイトが涙を堪える。


「私…まだ生きる。お母さんやお父さん…お兄ちゃん…皆が繋いでくれた私の命だもん…寿命が尽きるまで…ずっと大事にする」

「…そうしろ。俺も…お前が死ぬのは嫌だからな」

「…うん。私も…あなたが死んじゃうのは嫌だ。ずっと…いて欲しい」

「あぁ、ずっとそばにいるさ。だって俺達は…仲間だろ?」

「ジン君…!」






 ―一人で歩いているミカ。


「…あの男の人…絶対…」


 ミカが一人で呟きながら歩いている。


「絶対…会った事ある…!」


 ミカがそう言うと、人とぶつかりそうになる。


「おっと…申し訳ない」

「…こちらこそ。って…!」


 ミカが顔を上げると、そこにはブランが立っていた。


「あなたは…確かミカって言ったような」

「…!ブラン…さん…と」


 ブランの隣には女性が立っていた。


「あら、この方が…ホワイトちゃんの」

「えぇ」

「わたくしはルーナ。確かミカちゃんって言いましたっけ?」

「っ…ルーナ…さん。さっきホワイトが言ってた人…か」


 ミカがブランとルーナから距離を取る。


「えぇ。ブランさんはわたくしの御主人様なのですよ」

「御主人…え?」


 ミカが疑問に思う。


「…簡単に言えば、俺達は結婚してます」

「あ…なるほど」


 ミカはルーナの顔を見る。

 ルーナの顔は若々しく綺麗だった。


「あら…ミカちゃんの顔…」


 ルーナがミカに近付く。


「20年以上前のあの子にそっくり…」

「っ…近…」

「ルーナさん?そう言われてみれば…確かに似てる…」


 ブランもミカに近付く。


「ちょっ…二人とも…近いですって…」

「あら、ごめんなさい」

「申し訳ない。それより…君にもしや兄弟姉妹はいるかい?」

「っ…!」


 ミカが言葉を詰まらせる。

 そして…ミカが衝撃の発言をする。


「…姉が…いたわ」

「姉…か。実はあの時言うタイミングが無かったのだが、君に似た少女に会った事があってね」

「あたしに…似た少女?」

「名前は…"ジーナ"って言ったっけな」

「っ…!」


 ミカが驚く。

 ジーナという言葉に…ミカは強く聞き覚えがあった。


「…どこで…その名前を…!?」

「…?もしや…知ってるのかい?」

「知ってるも何も…ジーナはあたしの…姉…」

「っ…!?」

「まさか…」


 ブランとルーナが驚く。

 そう…ジーナという名前こそ、ミカの姉の名前だった。

 ミカが驚いた表情をしていたが、ブランとルーナは少し感動しているかのような顔をしていた。


「…妹ちゃんはここにいらしたのですね。と言う事は…ジーナちゃんは…成功したのですね」

「成功…?何を…?」

「身体にある二つの魂の…分離に…!」

「魂の…?」


 ミカが疑問に思う。


「良かった…ジーナは成功…したんだな…」

「ちょっ…ちょっと待ってよ…」

「おっと、これは失礼。ミカさんの事についてのお話を聞いて…」

「そうじゃなくて…あたしの姉…ジーナは…」


 ミカの声が震える。


「もう…死んでるのよ…?」

「…え?」

「…は?」


 絶句する二人。


「死んでる…だと?」

「ははは…そんな…冗談付かないで下さいよミカちゃん。大人を弄んでは…」

「だから…あたしのお姉ちゃんは…あたしがラッシュ師団として命を吹き返した頃にはもう消息を絶ってるの…もうどこにいるかすらも分からない…ジーナの魔力も感じない…だから…」

「…は」

「え…」


 二人が再び絶句する。


「…あ…」


 ミカが再び言葉を詰まらせる。


「…ごめん…なさい…!」


 ミカが走り出す。


「ちょっ…ミカさん…?」


 ブランは走り出すミカを追おうとするが、ルーナが止める。


「…ブランさん、今は…」

「っ…そう…ですね」






 ――街を走るミカ。

 雷が鳴り、空が雲に覆われる。


 (…おかしい…おかしい…)


 ミカが走るペースを上げる。

 雨が降ってくる。


 (あたしの…姉…ジーナは…もうこの世にいない…もう…死んでる…)


 ミカが雨の中走り続ける。


 (なのにあの二人は…訳の分からない話を…)


 ミカが走り続ける。


「…あたしは一体…何者なの…?」


 ミカが走っていると、目の前にホワイトとジンが傘をさして立っていた。


「ミカ…?」

「っ…!」


 足を止めるミカ。

 ミカの身体は酷く濡れていた。


「ミカ…ずぶ濡れだよ…?早くこっちに…」


 ホワイトが言葉を続けようとすると…

 ミカがホワイトに抱き付く。


「ちょっ…ミカ…?」

「ホワイト…ホワイト…っ…!」


 ミカがホワイトに抱き付いて離れない。


「あたしは…あたしは一体…誰なの…?」

「ミカ…?」

「この街に来てから…色々おかしいの。太陽神の族と月神の族なんて…リュンヌさんとソレイユさん以外に会ってない…それなのに…あの二人には…会った事ある気がして…」

「ミカ…」


 ミカが涙を出しそうになる。


「それに…ブランさんとその奥さんは…あたしの姉についても知ってた…」

「ミカの…お姉ちゃん…?」

「…そう。名前はジーナ…ホワイトは聞いた事…ある…?」

「ジーナ…聞いた事…」


 ホワイトはその名前に聞き覚えがあった。

 そして…


「お母さんが…言ってた事がある…ような…」

「っ…!まさかあなたも…知ってるの!?ジーナの事…!」

「…!」




後書き~世界観とキャラの設定~


『ジーナ』

…ミカの姉の名前。

現状判明している情報は名前やミカの姉、既に故人である事。

そして…過去に何かしらの成功をしているという事。


ブランとルーナは「身体にある二つの魂の分離」と言っているが…?

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本編のスピンオフである
悪魔に堕ちて悪魔と結婚した太陽
も連載中!
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