ep41.月の母親と聖戦の決着
これは夢なのだろうか。
幻なのだろうか。
ホワイトの目の前に映る母親の姿。
――でもこれは、夢でも幻でもない。
現実だ。とても幸せな現実だ。
そして、ほんの一瞬の幸せ。
「正解!あなたの大好きなリュンヌお母さんです。まさか会えるなんて」
「っ…お母さん…お母さん…!」
ホワイトがリュンヌに泣きながら抱き付く。
「そんな嬉しい?」
「嬉しいよ…!だって…ようやく…ようやくお母さんに…会えたんだもん…!」
「そっか。あなたはやっぱ優しい子だね」
リュンヌが泣きつくホワイトを撫でる。
「きっとあなたの私に会いたいって気持ちが、私とホワイトを会わせてくれたんだね」
「…そっか…私…仇を討つとかそんな事よりも…ずっとお母さんに会いたかったんだ…」
ホワイトはリュンヌに強く抱き付く。
「それにしてもホワイト、私の存在を疑わないの?私一応死んでるし、あなたの夢の中に現れた亡霊みたいなものだよ?」
「っ…それでも…私のお母さんであることに…変わりはないよ…」
「…嬉しい事言ってくれるじゃん」
リュンヌが少し顔を赤くする。
「でも、ここで会えたのは偶然って訳ではないよ」
「…え?」
「あなたの魔力について話す時が来たみたいね。あなたには…触れた命に干渉する魔力がある」
「…触れた命に…?」
「そう。これは私の先祖から代々伝わる魔力のひとつでさ。今まで自分が触れてきた物だったら、対象が死んだ後も干渉できる力。『繋命』って言ってね」
「『繋命』…?」
『繋命』…それは対象が死んだ後も干渉できる力。
つまり、自分の魔力の中に死んだ者の命を繋ぎ止める。
そしてそれは…ホワイトの母親のそのまた母親…昔から伝わる魔力だった。
「私にもこの魔力はあったんだけどさ、これは本人に発現するまで話しちゃいけないっていう決まりがあったの。決まりを破ると…命の繋がりは絶たれてしまうから…」
「…え…どういう…事…?」
ホワイトが首を傾げる。
「おばあちゃんにあの後夢で会えた?」
「…会えてない…かも」
「そっか。…悲しい事を言うけどね、おばあちゃんは決まりを破っちゃったんだよ」
「え…まさか…」
「夢の中であなたに孫に命に干渉できる魔力が発現したってことをお母さんに宜しくねって、夢の中でおばあちゃんが言ってたでしょ?あれが原因でおばあちゃんとの繋がりは絶たれてしまったの…」
「っ…そん…な…」
そう、ホワイトの祖母はホワイトの夢の中に現れた。
そして…その夢の中に現れ、『繋命』を仄めかす事を言う事が決まりを破ると言う事。
今や『繋命』の中に、『繋命』の一部に祖母は存在しない。
「…でもおばあちゃんは、命が尽きた後もきっとあなたの事を思っていたはず。そしてあなたが幼い頃に見た夢が…あなたの魔力の発現のきっかけとなった。そう、おばあちゃんが出てくる夢を見たから魔力を得たんだよ」
「…なる…ほど…でも、どういう原理なのそれは…?」
「そうねぇ…私もよく分からないけど、死んでしまったはずの人が夢の中に現れるようになったら魔力が発現…って感じ…なのかな」
「そっか…」
ホワイトがそう言うと、リュンヌがホワイトの事を抱く。
「…お母さん?」
「…あなたを見つけるの、遅れちゃってごめん」
リュンヌが後悔の顔を見せる。
「そ…そんな事気にしないで…!私だって…この繋命の魔力を扱えなくて…ごめん…」
「大丈夫だよ。でも、まさかホワイトが癒しの神と会ってるとは思ってなかったよ」
「え…なんでそれを…?」
「ホワイトの身体から感じる魔力で分かるよ」
リュンヌには何でもお見通しだった。
『繋命』によって…いや、『繋命』が無くとも。
ホワイトをずっと、見てきたからだ。
リュンヌはホワイトの、母親だから。
「っ…でも…癒しの神様とは…喧嘩しちゃって…」
「ん、そっか。じゃあ呼んでみよっか」
「…え?」
ホワイトが疑問に思うと、リュンヌが大声をあげる。
「癒しの神ー!出てこーい!!」
「っ…!?ちょっ…お母さん…!?」
「早く出てこーい!ホワイトと仲直りしろー!!」
さっきまでのしんみりな空気は一瞬にして崩れ去る。
崩れ去るというよりかは…リュンヌが壊しているが正解だが…
「っ…恥ずかしいよ…」
「騒がしいですね…何事ですか」
声と同時に癒しの神がホワイト達の後ろに現れる。
「うわっ…!?」
「っ…本当に何事ですか…?」
癒しの神は驚いた表情をする。
リュンヌが小さく手を挙げ、癒しの神に挨拶する。
「やっほ、癒しの神様。私とは初対面かな?」
「…ホワイトと顔が似てる…もしやあなたが…リュンヌ…?」
「正解!いやぁ、喧嘩しちゃったんだって?」
リュンヌが笑いながら喋る。
軽々と喋っているが…目の前にいるのは人間ではなく神。つまり…格上の存在だ。
「…アレは喧嘩というか…というか、どうして私と対等に話そうとしてるのです?一応あなたより格上の存在なのですよ?」
「知らないよそんなの。上だとか下だとか。自分とは直接関係ない人間だったら話したくないの?」
「っ…あなたって人は…」
「それに…ホワイトに癒しの神様の魔力が発現したの、繋命も関係してるでしょ?」
「…!?」
そう、『繋命』は癒しの神などの女神族の魔力も関係していた。
そしてその力は女神族の一部でもある。
「…仰る通りです。あなた達に代々伝わる繋がる命の魔力…それは女神族の力の一部でもあります…」
「っ…そう…なの…?」
「やっぱり。女神族の力って基本的に命に干渉する力が多くてさ。だから繋命とも関係があると踏んでたけど本当だったみたいね」
「…それで…私は何をしろと…?」
癒しの神が首を傾げる。
ここでできる事など限られてはいたが、癒しの神なら何かできるのではないかと思うリュンヌ。
そしてひとつ考えに至る。
「うーん、現実世界のホワイトの回復をしてほしいかな」
「…それくらい造作もない事ですが…」
「っ…!」
ホワイトが現実の状況を思い出す。
今現実の世界は…自分が死にかけているだけじゃない。
多くの人間が魔力と魂を吸い取られ、復活しても何もできない状態だった。
「待ってお母さん…!今あっちの世界には…倒せるどころか傷付ける事すらできるか分からない化け物がいるの…!今私が身体を回復して戻った所で、結局アレをやる事はできない…!」
「アレ…あぁ、もしかして…ジハが…?」
「っ…そう…ジハが…魔力の根源を取り込んで…それで…」
「そっか、ジハの奴、魔力の根源を手に入れちゃったのか…」
リュンヌが目を逸らす。
ジハがきっと魔力の根源を手にし、世界の改変を行うのはリュンヌにも予想できていた事だった。
「っ…どうすれば…?」
「まさか。繋命がもしや、ただ単に触れたことがある命と干渉できるだけの魔力だと思ってる?」
「…え?」
ホワイトが疑問に思う。
そして、リュンヌがホワイトに光り輝く剣を渡す。
「…これは」
「『繋命剣』…これは今まで繋がってきた命の魔力が宿っている剣。私の魔力も当然宿ってるし、おばあちゃんの魔力も籠ってるよ」
「そんな剣が…でもここで手にしたところで…」
ホワイトが剣を見つめる。
そして、ホワイトの手にリュンヌが手を乗せる。
「現実世界に戻ったら、この剣を魔力で作れるように念じてみて。そしたらきっと…できるはず」
「っ…でも…私なんかにその剣…扱えないよ…今まで繋いできた命の魔力を…無駄にしちゃうかもしれない…」
「…ホワイト。今は、あなたにしかできないの」
リュンヌはホワイトの肩に手を乗せる。
「…お母…さん…」
「今現実世界の方はきっとジハによって世界の改変が進んでいる…このまま誰も歯が立たぬまま…世界が終わってしまう…」
「っ…それは…嫌だ…」
「…それに、現実世界にいるミカちゃんの事、救わなくていいの?」
「っ…!!」
ミカを救う。
今までミカに救われてきたホワイト。
そして今度は…自分が救う側だと言う事。
「他にも色々な人達があなたを待っている。あなたがここで立ち上がって…ジハを止めて欲しい…そして…世界を取り戻してきて…!」
「…分かった…!」
ホワイトは拳を握り締める。
リュンヌが再びホワイトに抱き付く。
「…会えてよかった、ホワイト」
「っ…私もだよ…お母さん…」
ホワイトが涙を流す。
「繋命の力は…今まで繋いできた命の数が多いほど、強くなる」
「…今まで繋いできた命の…数が…」
「そう。そしてあなたで………」
………
(…えっと?)
「何個目の命だろう?」
「え…分からないの…!?」
ホワイトが驚く。
「まぁ、教わってないし」
「っ…なんか重要な所だけ抜けてるし…本当にお母さんって感じ…」
「あはは、ごめんって。…でも、これだけは言える。繋いだ分だけ、力は強くなる。そして今の力は…魔力の根源にも匹敵する…!」
「魔力の…根源にも…!?」
「…この夢から目を覚ましたら…ジハを…私とお兄ちゃんの怨敵を…倒して…!!」
リュンヌがそう言うと、周りの空間にヒビが入る。
「っ…!お母さん…!」
今ある空間が保てなくなっていくようなヒビが入る。
「お願い、あなたしか…世界は救えない…」
リュンヌはホワイトの手を握る。
「…勝って…皆を…取り戻して…!」
「っ…!」
辺りのヒビはどんどん広がり………
――現実世界へと戻る。
「っ…!」
ホワイトが目を覚ます。
ホワイトの身体はボロボロながらも傷口が塞がっていた。
(傷口が塞がってる…でも…)
(身体中が痛い…完全には回復してないみたい…)
ホワイトが辺りを見回す。
後ろにジハが飛んでいた。
「っ…!見つけた…!」
ホワイトが走り出す。
「ジハ…!!」
『あぁ?なんだお前、生きてたのか?』
ジハが振り向く。
ホワイトを見下ろす。
「っ…」
『この巨体を前に、再び武器を握れるのか?この絶対的防御力と攻撃力の前に、再び立ち向かう気か?』
「…立ち向かうよ…だって…」
ホワイトは魔力で繋命剣を作り出す。
「…皆の思いは私が繋いだ…だから私が…助けるんだ…!」
ホワイトの背中に黄色い翼が宿る。
それはまるで天使の翼のように…
『翼…だと…!?』
「っ…この魔力は…!?」
ホワイトが疑問に思うと、ホワイトの脳内に言葉が流れ込む。
『聞こえますかホワイト』
「…!癒しの神様…!」
癒しの神の声がホワイトの頭の中に流れ込む。
声の正体、そして翼の正体は癒しの神の加護だった。
『あなたに女神族の力の一部を授けます。この力があれば飛行能力を手にしたジハにも立ち向かえます。あなたの意思で飛びたい時に飛べます。但し…あまり乱用しすぎないように…!』
「っ…ありがとう…癒しの神様…」
ホワイトが胸に手を当てる。
『そうか、お前の魔力と魂だけ吸い取れない理由が分かった。お前のその訳の分からない魔力のせいだ。人間の身で生まれながら女神族の力まで有している。本来この世界に存在しない生物の力を有してる故に吸い取れない…そういう事か…!!』
ジハがそういうと、ホワイトに対して攻撃を仕掛ける。
『ならばその女神族の魔力ごと、お前の身体を切り裂くまで!!』
ジハは爪で切り裂くように攻撃する。
「っ!」
ホワイトは女神族から貰った翼で攻撃を飛んでかわす。
『女神族の力を貰ったとはいえ、お前なんぞに魔力の根源を手にした私を止めれる訳がない!』
ジハはそう言うと、自身の翼からいくつもの魔力の弾を放つ。
「っ…あの数…いや、この剣なら…!」
ホワイトは繋命剣を構え、いくつもの魔力の弾を斬る。
『これも効かないか。ならば…!』
ジハはそう言うと、翼を強くはばたかせ強力な風を起こす。
「っ!」
『この風で吹き飛ばしてやろう!!』
ホワイトが風を受ける。
「っ…強い風…普通なら吹き飛ばされてた…でも…!」
ホワイトは風に立ち向かう。
「今の私なら…勝てる…!」
『なっ…!』
ホワイトはジハの目の前に羽搏く。
「ジハ…!絶対に…絶対に止める…!!」
『っ…無茶苦茶な魔力め…!』
ジハは爪でホワイトに攻撃する。
『そもそも何がお前をこんなに強くした…!?この一瞬で…何故だ…!?』
ホワイトはジハの攻撃をかわす。
『お前は…何者なんだ…!?』
「…私だって、分からないよ」
『っ…お前…ふざけるのも大概にしろ…!!』
ジハは魔力の弾を複数放つ。
ホワイトがそれを避ける。
「…だけど、私は…皆を守るために生きてるって…分かったんだ…」
『っ…!お前…!お前ェ!!』
翼を使ってジハに近付くホワイト。
ジハはホワイトに対して再び爪で攻撃する。
『女神に選ばれて運がいいだけの人間め…!!』
「っ…確かに…私は運がいいかもしれない…」
ホワイトは剣でジハの攻撃を押さえる。
攻撃を軽々と受け止めるその姿にジハが驚く。
『っ…!その小さい剣で…何故私の攻撃を…!?』
「…でも…この恵まれた力を…私は何のために持ってるか…今まで分からなかった…」
ホワイトは剣でジハを吹っ飛ばす。
『っ…!』
「…だけど、お母さんやお父さん…お兄ちゃん…ジン君もミカも…皆ずっと教えてくれてたんだね…」
『戯言を…!!』
「…私…この力で…皆を助けるよ」
ホワイトがそういうと、剣を構える。
そして…繋命剣は辺りを照らす程に強く光り輝く。
『なんだこの光は…女神族とは…訳が違う力の気配…何を…!?』
「皆、もう少し待ってて…!!」
ホワイトが剣をジハに向かって振る。
『だが…この圧倒的防御力の前にその程度の剣…』
ジハが腕で受け止めようとした。
だが…ジハの左腕は繋命剣に切り落とされる。
『っ…!?なっ…なんだこの…力は…!?』
「…皆を…助けるんだ…だから…!」
『辞めろ…』
ホワイトが剣をジハに再び振る。
『辞めろォォォォ!!!』
ホワイトの剣がジハに当たる。
断末魔と共に光り輝く世界。
辺りがまばゆい光に包まれる。
――気が付くとホワイトは真っ白な世界に立っていた。
「…ここは…」
ホワイトは自分の手を見る。
(そうだ…ジハを剣で斬って…それから…)
「…ホワイト」
リュンヌがホワイトの後ろに現れる。
「…!お母さん…!」
ホワイトがリュンヌに抱き付く。
「お母さん…もしかして私…」
「…えぇ。勝ったのよ…ジハに…!」
「…!」
ホワイトはジハに勝利した。
魔力の根源を手にしたジハすらも、繋いできた命の力で倒した。
繋がりが勝利を見出したのだった。
「そうだ…皆は…ジハに魔力と魂を吸われた皆は…!?」
「それの方も大丈夫みたい。アレを見て」
リュンヌが指を指す。
そこには現実世界の風景が広がっており、ジンやミカ、ランスが倒れていた。
「…!皆…倒れてる…!ジン君…ミカ…ランスさん…まで…」
「よく見て。あそこ」
リュンヌがそう言うと、ランスが起き上がる。
「…!ランスさんが…起きた…!?」
「ジハに奪われていた魔力も魂も、皆の元の場所に戻ってきてる。命は繋がったんだよ」
「っ…そっか…そっか…良かった…」
リュンヌがホワイトを撫でる。
「お母さん…」
「…ホワイト、あなたも今は眠ってる状態ではあるけど命に別状はないし、後少ししたら目覚める」
リュンヌがそう言うと、リュンヌの身体が光り出す。
まるで、時間が来たかのように。
「…!」
「…あら、もう時間みたいね」
リュンヌの身体が薄くなっていく。
「っ…!待って…お母さん…まだ話が…」
ホワイトがリュンヌの腕を掴む。
「…さっきの戦いで、繋命の魔力を使い過ぎたみたいね…あの力は強大だけど…それ故に代償もあるの…」
「っ…そんな…」
「だから…ここでお別れだね」
リュンヌが涙を堪えながらホワイトの方を見て微笑む。
「嫌だ…!」
ホワイトがリュンヌに抱き付く。
「嫌だよ…せっかくまた会えたんだよ…?今こうして繋がってるじゃん…それなのに…もうお別れなの…!?」
ホワイトが涙を流す。
「私…まだお母さんに何もできてない…何も返せてない…それなのに…」
「ホワイト」
リュンヌがホワイトの頭を撫でる。
「…お母…さん…?」
「あなたが生きてるだけでも…私に対しての恩返しになるんじゃない…かな?」
「っ…」
「あなたには色んな物を貰ってる。もう…何もいらないよ」
リュンヌが涙を零す。
ホワイトもリュンヌの身体を見て涙を流す。
「っ…だからって…そんなの…」
「強いて言うなら…別れる前にホワイトの笑顔が欲しいな」
「っ…笑顔なんて…そんなの…できな…」
「ホワイト、よく聞いて」
リュンヌがホワイトの肩に手を乗せる。
「ホワイトは…お父さんが死んでるって思ってるかもしれないけど…あの人は生きてるわ」
「え…!?」
ホワイトが驚く。
ホワイトはメタリーに「父親は死んでいる」と聞かされており、死んだものだと思い込んでいた。
だが、リュンヌの言葉はその思い込みとは違う答えだった。
「あの時…私が庇ったせいで私は死んじゃったけど、私が庇ったおかげであの人は生きてる。ジハの魔力で少し遠くの街に吹き飛ばされてしまったけれど…あの人の事だからきっと生きてるはず」
「っ…でも…お父さんが生きてる保証は…」
「…だって、あの人の事だもん。あの人がもし死んでたら、あなたの繋命の魔力によって…今頃ここにあの人はいるはずよ」
「…!」
繋命は死者と対話できる。
死者と会話できるならば、今頃命の繋がりが大きい家族であるソレイユとも出会うはず。
それなのにいないと言う事は………
お父さんが生きている事の証明。
「皆の大好きなあなたのお父さんは、きっと生きてる」
「…うぅっ…そっか…お父さん…」
ホワイトが涙を再び流す。
「…もしも…お父さんに会えたら私からの伝言、お願いできるかな?」
「…なに…?」
「私達の家族は、例え離れていても繋がっている。皆の中で生きてる」
リュンヌがそう言うと、ホワイトは驚いた表情をする。
「…!それ…おばあちゃんへの伝言の時と…一緒…」
「…お願い。私の可愛い…たった一人の…大事な娘」
「…うん…たった一人の…大事なお母さん…」
ホワイトは泣きながらも笑顔を見せる。
リュンヌの身体が段々と薄くなる。
もう時間は残っていない。
――本当にいなくなってしまうんだろうか。
「…さて、私はまたあの世に戻らないといけないからさ…ここらへんでおさらばだね」
「…そう…だね…。お別れ…だね…」
「ブラックと…あの世で飲んでくるわね」
「…そっか…お兄ちゃんも…」
「ホワイトはあんまり早くこっちに来ちゃダメだよ?」
「分かってる、お母さんに言われなくても…」
「大事な人達にあんまり大きな迷惑かけちゃダメだよ?」
「分かってる…皆には迷惑はかけない…」
「女の子なんだから、身体は大事にしなきゃダメだよ?」
「分かってる…」
「でも、一人で抱え込んじゃダメだよ?」
「…分かってる…よ」
リュンヌのお節介。仮にも彼女の母親である以上、自然にお節介はしてしまうのだろう。
そのお節介は、あまりにも優しいものだった。
ホワイトが涙を流す。
「…はい、私からは以上。じゃあ、達者でね」
リュンヌはホワイトに手を振る。
リュンヌを包む身体の光が強くなる。
「お母さん…!」
ホワイトの手からリュンヌが消える。
元気だった母親は天に行ってしまった。
それでもまた、繋命を使えば会えるかもしれない。
その時が来たら…また。
「…お母さん…私…絶対…」
ホワイトが涙を拭う。
ホワイトが、決心を固める。
「――皆を助けるから…!」
――その日、魔力の根源は繋がる命によって討たれた。
ネオカオスの危機は去り、世界は平和になった。
後書き~世界観とキャラの設定~
『繋命』
…それは対象が死んだ後も干渉できる力。
自分の魔力の中に死んだ者の命を繋ぎ止める力。
そしてそれは…ホワイトの母親のそのまた母親…昔から伝わる魔力だった。
だが、繋命が発現していない者に対しては伝えてはならない決まりがある。
そしてその決まりは…ホワイトの祖母が破っていた。
『繋命剣』
…繋命を持った者のみが扱える剣。念じる事で作り出す事ができるので、納刀する必要はない。
命を繋いだ分だけ、力は強くなる。そして今の力は…魔力の根源にも匹敵する。
『リュンヌ』
…ホワイトの母。ホワイトと同じく長く白い髪をしており、兎に角美人。
月神の族という種族の人間であり、右腕に闇の様な力を帯びている。また、左手の薬指には結婚指輪をしている。




