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白と悪魔と  作者: りあん
第一部 世界の改変
35/271

ep33.終わらない戦い

 ――真の完璧のフェクトとの戦い…

 その勝負に幕が下りた。


 勝敗結果は、ラッシュ師団に白旗があがった。




「っ…ここ…は…」


 フェクトが魔力の暴走から目を覚ます。

 フェクトの身体は腕が血だらけでボロボロになっていた。


「確か僕は…ジハさんに会って…話を聞いてもらって…その後は…」

「…どうやら戻ったみたいね」


 ミカがフェクトの元へ歩く。


「…!ラッシュ師団の…!」

「…その様子だと、もしかして今までの記憶、ない?」

「っ…いや…なんだか…長い夢を見ていたような気がした…君達はその夢の中に出てきて…それで…」

「ふぅん…」


 ミカが銃剣をフェクトに向ける。


「っ…!」

「完璧のフェクト、アンタを捕らえるわ」


 銃剣の銃口を見てフェクトが震える。


「ロキ…!」

「…おう」


 ロキはそう言うと、フェクトに銃を放つ。

 銃からワイヤーが出てフェクトに巻き付き、捕らえる。


「っ…!そうか…僕は…捕まったのか…」

「…フェクト」


 ジンがフェクトの元へ歩く。


「…ジン!君も来てたのか…」

「…その様子だと本当に記憶が飛んでるみたいだな。それで…俺に負けた後大切な物って奴は見つかったか?」

「…残念だけど…僕には見つけられなかった…。君に再び会う前に…大切な物を見つけ、それを守るために君と戦いたかった…」

「…そうか」

「…この様子だと、僕はジハさんに利用されてたみたい…だね。完全に操り人形と化していた…君達にはとんでもない迷惑をかけた…」

「…ほんと、とんだ迷惑よ」


 ミカがフェクトに再び銃剣を向ける。


「ジハは、平気で人を利用したり殺したりするわ。これまで色々な人が被害を受けてきた…アンタは…その利用された一人だったって訳よ…」

「っ…」

「…ここにいるホワイトだってそう。ジハによって母親を殺されている…」

「そうだったのか…」


 フェクトが落ち込む。


「…僕は…愚かだ…あの人に拾われたのが…そもそもの間違いだったのか…」


 フェクトが涙を流す。


「…馬鹿ではあるが、愚かじゃねえ」


 ジンが喋る。


「…!」

「…お前はお前なりにジハに尽くしてた…だろ?ネオカオスとしてより…一人の人間としてジハに尽くしてた…それだけのはずだ」

「っ…どうしてそれを…」

「…お前と会った時から色々察してたよ。だが…お前はジハが正しいと思ってた馬鹿であって、愚かではない」

「っ…そうか…そうかよ…意地でも僕を慰めようとするんだな…」


 フェクトがそう言うと、ロキがフェクトの腕を掴む。


「…さて、そろそろお前を連行する時間だな。ネオカオス四天王の一人…"完璧のフェクト"よ、基地までご同行願う」

「っ…」

「場合によっては…情報を吐いてもらう」

「…構わないさ」


 ロキがフェクトの腕を掴みながら歩き始める


「…ミカ、ホワイト、ジン。こいつは俺が連れてく。お前達はこのままスピアマウンテンにあるかもしれない魔力の根源を追ってくれ」

「…一人で大丈夫なのか?」

「大丈夫だ。もうフェクトに敵意はない」

「そうか。まぁそうだな」


 ジンがそう言うと、フェクトが思い出したかのように話し始める。


「…そうだ、いい事を教えてあげるよ」


 フェクトが喋り出す。


「…?」

「…ここにメタリーが来てる」

「…!?」


 ホワイトがメタリーという言葉を聞いて驚く。


「メタリー…"絶壁のメタリー"が…!?」

「…そうだよ。上に行けば会える…かもね。でももうひとつ教えてあげる」


 フェクトが不敵に笑う。


「メタリーは…僕やルキ、デストなんかより遥かに強い…」

「っ…!」

「あの暴走したデストや、魔力を解放したルキ…そして、さっきの暴走した僕よりも強い…ある意味ね」

「なんだと…」

「誇張だと思うなら…上に登って試してみればいいよ。…ごめん、待たせたね」

「っ…」


 ロキが絶句をしつつもフェクトを連行する。

 ロキとフェクトがその場から去り、ホワイト、ジン、ミカの三人が残る。


「"絶壁のメタリー"…」

「…名前は聞いた事あるわ。確か…団長や他の団員が本気を出しても勝てなかった相手…ホワイトは名前を知ってたのね」

「えっと…ランスさんが教えてくれて…――」

「…まぁ、そうよね。ジンは初知りかしら?」

「そうだな。…絶壁と言うからには、何か強力な壁のようなものが…あるのか…?」

「っ…どうすれば…」


 三人は迷っていた。

 完璧のフェクトとさっきまで戦っていた自分達にそれ以上の強さを持つ絶壁のメタリーに勝てるのか、不安になっていた。


「…フェクトの言い方からして…嘘とは思えなかった。となると…一旦引くべき…?」

「…だが、ここで引いたらネオカオスに先に魔力の根源を見つけられてしまう可能性だってある…」

「っ…!魔力の根源…!」


 ホワイトが大きな声を出す。

 ホワイトだけが知っていた。魔力の根源はこのスピアマウンテンにあり、早くしないとネオカオスに取られてしまう、そう思っていた。


「そうだ…このまま先へ進まないと…ネオカオスに…魔力の根源が取られちゃう…」

「…待って、急ぐ気持ちは分かるけど…この先必ずあるとは限らないわ。今は少し魔力や傷の回復に専念すべきよ。もちろん歩きながら…でも生存優先、確実に行くべきよ」

「っ…そう…だけど…」


 ホワイトが言葉を詰まらせる。


「…なんかあった?」

「っ…なんでも…ない…ミカとジン君の傷…治すね…」


 ホワイトはジンとミカに回復魔法をかける。


「ありがと」

「助かる」

「身体を休めながらゆっくり…でも急ぎめに行こっか」


 ミカが銃剣をしまう。


「そうだな」

「…そうだね」

「ひとまず…団長に報告しとくよ。さっきフェクトが出した電磁波も消えてるはずだし」


 ミカが通信機を取り出す。

 ミカの通信機にランスのホログラムが現れる。

 ランスのその顔は少し焦りを見せていた。


「もしもし、団長?そっちの方は…」

「あぁ…ミカか…!今こっちは取り込み中でな…」

「まさか…ネオカオスと…」

「そういう事だ…急ぎなら今はシェールに報告を頼む…!」


 ランスはそう言うと、通信を切断してしまった。


「ランスさんのあの様子…結構手こずってる…?」

「そうかも。…仕方ない、シェールさんに報告するよ」


 ミカは通信機でシェールに連絡する。

 ミカの通信機にシェールのホログラムが現れる。


「もしもし、シェールさん」

「…あら、ミカちゃん。どうしたの?」

「えっと…団長の方が大変そうだったのでシェールさんに報告を…」

「あっ、やっぱり…?ランス君の方連絡しようとしたら忙しそうにしてたから私達もどうしようか迷ってたところなの…。代わりに報告を聞くわ」


 シェールが頭を掻く。


「えっと…こっちでネオカオス四天王の一人、完璧のフェクトと対峙しまして…」

「っ…!まさか…誰か負傷者が…」

「…多少ダメージは受けましたけど、皆命に別状はありません。今はホワイトに治して貰ってます。そして…完璧のフェクトを捕らえました」

「あら…それは凄い事…」

「…今ロキに捕らえたフェクトを基地まで送ってます」

「そういう事ね、了解したわ」


 シェールが微笑む。

 シェールは四人の成長を見て少し嬉しそうな顔をしていた。


「…魔力の根源については未だ調査中です。それっぽい所にはもう少しで到着できます」

「了解。危なくなったらすぐ引き返して。私は一旦基地に戻るわ。完璧のフェクトから色々情報を聞き出せるかもしれないからね」

「…了解です」


 ミカが通信を切る。


「そういえば…また三人になっちゃったね…」

「そういえばね。ロキはこういう場合、ネオカオスを基地まで連行するの優先だからね」

「そう…だったんだ…」


 ホワイトが下を見る。

 ホワイトが拳を握る。


「…私も…強くならなきゃ…」


 三人が再びスピアマウンテンを登り始める。





 ―一方…


「…たった一人でのこのこと…いい気味だね。ブラック」

「メタリー…」


 メタリーとブラックがスピアマウンテンの上の方で会話していた。


「もしかしてさ…魔力の根源がここにあったりして?それを取るためにここにいるとか?」

「…そんな事、お前には関係ないだろ?」

「今この状況下でそんな言葉を吐けるなんて…強気ね」


 メタリーはブラックの横腹に銃口を向けていた。


「…君なんていつでも殺せる訳。このまま至近距離で撃って殺してもいいんだけどさ。せっかくだし君と色々お話をしたいな。そうすれば見逃してあげる…かもね」

「…お前に話す事なんてない」


 ブラックが表情を変えずに話す。


「うーん…じゃあ私から質問をしよう。ネオカオスに入ったのは何故?スパイ?」

「ジハに交渉された。ネオカオスが採取した魔力の一部を渡す代わりにジハのボディガードをしろと…」

「へぇ…パパに信頼されてたんだ。凄いね」

「…本当に信頼してたかは知らんがな」


 ブラックが青空の方を向く。


「じゃあもうひとつ。君は…どうなりたいの?」

「俺は…ネオカオスにもラッシュ師団にも属さず…ただ強くありたい」

「強くありたい…ねぇ。まあ単純だけどいい夢だと思うよ」


 メタリーが微笑む。

 ブラックはメタリーの微笑みを見て軽蔑するかのような目でメタリーを見る。


「さて、次の質問。ネオカオスの情報を誰かに喋ったりはした?」

「………」


 ブラックが黙り込む。


「黙り込んじゃうんだ。となると…裏切者確定でいいかな?」

「…俺が知ってる範囲で教えた、ただそれだけの事だ」

「そっか」

「…撃たないのか?」

「まぁ別にいいかなって。ブラック程度の地位じゃ、ネオカオスの真の目的までは理解してなさそうだし」

「…真の目的?」

「おっと、お口チャックだね」


 メタリーがそう言うと、ブラックに強く銃を突きつける。

 メタリーが更に質問をする。


「ひとまずこれで最後の質問だよ。君の妹ちゃん…ホワイトって子は…何者?」

「妹…さてはお前…」

「まぁ、ラッシュ師団の中でも特に危険な人物はこちらとしても色々マークしてるからね。ルキのナイフが効かない程に戦闘能力が高すぎる男の子や、デストの大剣に刺されても後遺症を残さず生き残る女の子。で、後は回復ができる子…が君の妹だね」

「分かってるじゃねえか。ホワイトは回復に長けている魔力を持っている、ただそれだけの事だ」


 ブラックがそう答えるが、メタリーは期待通りの回答が得られない故か再びブラックに強く銃を突きつける。


「回復にも限界ってあるじゃん?どうしてルキの魔力による猛毒を喰らった団員が生きてる訳?あの猛毒で助かった動植物は何一つなかったはずよ」

「…知らない。ホワイトがいつの間にかそれを解決するほどに強い魔力を得た…それだけの事だろう?」

「ここまで来て白を切る…いや、切ってる訳ではないか。そうなると…あの子は本当に厄介な存在だね」


 メタリーがニヤリと笑う。


「…お前はどうしたいんだ?」

「殺すに決まってるでしょ。パパの目的の邪魔なんだよ、あの子は」

「…俺が殺させねえ」


 ブラックがメタリーを睨む。

 メタリーが微笑みながら再びブラックに強く銃を突きつける。


「さっきも言ったけど、この状況下でよくそんな事が言えるね?私は今から君を撃ち殺してもいいんだよ?」

「…ふん」

「流石のブラックもさ、死ぬのは怖いでしょ?私も鬼じゃないからさ、情報を吐いてくれる逸材をすぐ殺したりなんてしないよ」

「…そうかよ」

「他にも色々聞かせてね」

「…じゃあ、俺からお前に問おう」

「ん?いいよ」

「…ジハはどこにいる?」


 ブラックがそう言うと、メタリーは微笑む。

 メタリーにはジハの場所が聞かされていた。

 他のネオカオス四天王には聞かされていなかったが、ジハの娘であるメタリーただ一人が知っていた。


「今は内緒だけど、もうパパは魔力の根源がある場所に確信を持ててるよ」

「…!」

「そう…そして…そろそろここにラッシュ師団の子達が来る事も…確信を持ってるんだよね」

「なんだと…?」


 ブラックが疑問に思う。


「あっちを見てよ」


 メタリーが銃を持ってない方の手で指を指す。


「…!」


 そこにはホワイトとミカ、ジンが走っている姿があった。


「ほら…予想通り…」

「…!ホワイ…ト…?」

「兄…さん…!?」

「ブラックさん…!?」


 ホワイトとミカがブラックとメタリーを見て驚いた表情をする。


「…!そこの女…ブラックさんを離せ…!!」


 ミカが銃剣をメタリーに向ける。


「ふふふっ………」


 メタリーは更に不敵な笑いを見せた。

 ――まるで、勝利を確信しているかのような不敵な笑いを。


後書き~世界観とキャラの設定~


『ホワイトとブラックの関係』

…ホワイトが妹でブラックが兄。お互い信頼しあっていて喧嘩も殆どしない、至って普通の兄妹関係。

ホワイトは兄の前では礼儀正しくありたいのか、ブラックの事を本人の前では「兄さん」と呼んでいるが本人の前以外では「お兄ちゃん」と言っている。

ブラックはそんなホワイトに対して、「お兄ちゃん」と言ってほしいみたいだが…?

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悪魔に堕ちて悪魔と結婚した太陽
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