ep27.研究所での戦い
研究所での戦いの始まり…
ルキとその手下達、そしてそれに相対するラッシュ師団のホワイト、ジン、ミカの三人………
「っ…!」
「…させるか!」
ジンは銃を撃ち、下っ端を次々と撃っていく。
「ぐあっ!」
「あたしも…!」
ミカが剣を振り、下っ端を次々と攻撃していく。
「ぐっ!」
「…ホワイト…!」
下っ端のナイフが掠り、ミカの身体に傷が付く。
「…!ごめん…!回復する…!」
ホワイトは咄嗟にミカに回復魔法を使う。
「…ごめん、ミカ…」
「…いいよ、あなたに無理はさせたくない。あなたを傷付けはさせない。あたしとジンが死なないくらいに、回復してくれたら助かる」
「…分かった…」
「死なないくらいに…ねぇ?」
ルキがそう言うと、ナイフをジンの方へ素早く投げる。
「ぐっ…!」
ジンの腕にナイフが刺さり、出血する。
「ジン君…!」
「このナイフに刺さったら、数秒後に死ぬけどね?」
「っ………」
「そのまま苦しんで…あれ…?」
ルキが疑問に思う。
ジンが毒に苦しむ姿を想定していたルキは、ジンの反応に疑問を持つ。
「っ…やはり…痛い物は痛いな…だが…」
ジンは腕に刺さったナイフを抜く。
床にジンの血が垂れる。
「…毒が効かないっていいもんだ」
「なっ…!」
「…流石はホワイトの作った薬だ、よく効く」
ジンは事前にホワイトから貰った薬を飲んでおり、毒に耐性を付けていた。
「私対策…ってところかしら…?」
「そんなところ…だな!」
ジンが銃を撃つ。
「っ!」
ルキは咄嗟に念力でナイフを浮かし、ナイフで銃弾を弾く。
「ジン君…傷口が…!」
「これくらいなら問題ない。けど、治してくれるか?」
「うっ…うん…!」
ホワイトはジンの腕に回復魔法をかける。
ジンの傷口はゆっくりと塞がっていく。
「…小賢しい。下っ端達も…使い物にならないわね…」
ルキは倒れている下っ端を見る。
「なら…私の魔力を最大に発揮する時…!」
ルキはそう言うと、大量のナイフを念力で浮かせる。
「…!」
「大量のナイフ…!」
「そしてこれを…!」
ルキは大量のナイフに魔力を付与する。ナイフに紫色の魔力が宿る。
そして、ルキはナイフの一本を倒れている下っ端に刺す。
「…!仲間を…!」
「刺した…!?」
刺された下っ端は刺された部分からみるみると蒸発するように皮膚が腐っていく。
「…!?」
「…な…なにあれ…」
「これが私の本気の魔力…厄災刃…!武器に様々な毒の魔力を付与する…どんな生物の適応力や薬の耐性であれ、追い付けない程の腐食…まさに厄災よ…!」
「っ…!」
「私一人でも…ここを守り切る事くらいできるのよ…」
ルキがそう言うと、ナイフを次々と投げる。
「っ!」
「ホワイト…ミカ…アレはまずい…避け続けろ…!」
「っ…!」
三人は飛んでくるナイフを避ける。
「…さて、いつ当たってしまうかしら?」
そして…ホワイトの肩にナイフが掠ってしまう。
「っ…いたっ…」
「ホワイト…!」
ホワイトの肩から血が出る。
掠っただけだが血が大量に出た。
「っ…これ…何……すごく…苦しい…」
ホワイトが肩を押さえる。
肩に触れた手に染まる赤い血。
「ふふっ…掠っただけでもこの効力…凄いでしょう?今のはきっと切った部分の血液の動きを乱す魔力ね…!」
「うぐっ………」
「ホワイト…!」
「この魔力にはあなたの薬は適応してないみたいね。そのまま多量失血で死になさい」
ルキの言葉の通り、ホワイトの出血が止まらない。
ホワイトの肩を押さえている手に血が大量に付く。
「っ…これくらい…」
ホワイトは出血箇所に回復魔法をかける。
だが、傷が全然回復しなかった。
「っ…出血が…止まらない…」
「あなたのその小さな回復魔力じゃ私には届かないわ」
「っ…てめぇ…ルキ…!」
ジンがルキに向かって走り出す。
「ジン…あいつに接近戦は危険…!」
「…そんな事言ってられるかよ…!」
ジンはルキに近付き、銃を撃つ。
だがルキのナイフによって銃弾が再び弾かれる。
「残念、この距離でも当たらないわ」
「くっ…!」
ルキはナイフを念力で動かし、ジンに当てようとする。
ジンはそれをかわす。
「この距離でも当たらないのは俺も一緒だ…全身ナイフ女め…」
「その呼び方、辞めなさい」
ルキが服に隠し持っていたナイフを取り出し、近付いてきたジンの腹を刺す。
「っ…!」
ジンの腹に深く入ってしまい、出血する。
「いい入り方――」
「ジン…!」
「あら…丁度毒を付与してなかったナイフだったわ」
ジンの身体に運良くも毒は入りこまなかった。
ルキが少し残念そうな顔をする。
「まぁいいわ、そのダメージだとホワイトの魔力無しじゃ動きづらいわね?」
「っ…くそっ…」
ジンはナイフを抜き、抜いたナイフを捨てる。
「がはっ…」
ジンがナイフを抜いた衝撃で吐血する。
「…無理矢理抜くんだ、昔と一緒…そんなんじゃすぐ失血するわよ」
「っ…!」
ミカがルキの方向へ走り出す。
「あら、さっき接近戦は危険って言ったのは…あなたの方じゃないかしら?」
ルキは両手にナイフを持ち換える。
「あなたも返り討ちに…っ…!」
ミカは剣を素早くルキに振る。
ルキは辛うじて避ける。
ミカの素早い動きにルキは回避をするしかなかった。
「っ…!危な…早すぎでしょ…」
「避けれるんだ」
ミカが一旦距離を取る。
ミカはルキの方へ剣を向ける。
「本当にあなた…人間?」
「…一応人間をやらせて頂いてるわ。アンタを生け捕りなんてこの際無理だと悟ったわ」
ミカが剣を持ち替える。
ミカがルキを強く睨み付ける。
「…だから殺す」
「…殺す…ねぇ。じゃあ私もあなたを殺してあげる…!」
ルキがそう言うと、再び大量のナイフを念力で浮かせる。
「私は一回でもこのナイフで少しでも切れば勝ち…でもあなたは私に近付いて攻撃しないといけない。そして…それが当たるとも限らない…この勝負…あなたに勝算はないわ」
「…勝ち?誰が決めたのかしら?あたしがアンタを殺して…この勝負は終わる…それだけの事…」
「勝つのは私よ…」
ルキはそう言うと、ナイフを複数ミカに投げる。
「ミカ…危ない…!うぐっ…」
ホワイトがミカの方へ向かおうとするが、痛みに耐えれず肩を押さえる。
「ホワイト…大丈夫。今はあなたと…ジンの傷を治すのに専念して…」
「でも…!」
「あいつはあたしが殺す。絶対に…」
ミカはそう言うと、ルキのナイフに向かって走り出す。
「ミカ…!」
「死になさい…!」
ミカが大量のナイフを剣を動かし、弾く。
「…それがどうしたのかしら?まだいっぱいナイフはあるわよ?」
ルキは次々とナイフを投げる。
ミカはナイフを剣で弾く。
「ふん…全部弾いて…だけど…!」
ルキが右手に持つナイフを向け、ミカに近付く。
「大量のナイフを弾く余り…隙ができたわね」
「っ…!ミカ…!」
「危ない…!」
「これで終わり…!」
ルキはミカの左胸を目掛けてナイフを刺す。
そして…そのナイフはミカの左胸を………
「…え――」
ルキがミカに刺したはずのナイフは弾かれた。
ナイフが弾かれ、地面に落ちる。
「…ふん…」
「っ…!まさか…」
ルキは何かに気付くが…
その頃にはミカはルキ目掛けて斬りかかろうとしていた。
「ぐっ…!」
ルキは咄嗟に避けるが、左腕の表面を斬られる。
「っ…!」
「…ミカ…?」
「…その程度のナイフで、あたしを刺せると思ってた?」
ミカが無傷でルキを睨む。
ルキの左腕から血が出る。
「馬鹿な…!ナイフ1本1本が銃弾すらも貫通させない硬さ…そして皮膚にすんなり通る程の切れ味…それを胸で弾くなんて…!」
「…その言い方…なんか嫌だな。あたしが使える自己強化の魔力…それだけの事よ」
ミカもまた、ロキと同じ自身を強化する魔力を持ち合わせていた。
ミカは自己強化で皮膚にナイフを通さないような身体になっていた。
「っ…まさか…あの時の戦闘団員みたいな魔力を…」
「…ロキの事?そういえばあいつもこんな感じの魔力使えたわね」
「っ…!」
ミカが歩いてルキに近付く。
「そのナイフ…当たってもちゃんと皮膚に入るか皮膚が切れなきゃ…効果ないんだね。…だから皮膚を守る力のないジンやホワイトにはすぐ効果はあったけど、逆に守る力のあるロキには効かなかった」
「っ…舐めるな…!」
ルキは大量のナイフを再び投げる。
だが…
「…だから、効かないって」
ミカの身体はナイフを全て弾く。
ナイフはまるで硬い鎧に弾かれているかの如く。
「っ…」
「…殺す」
ミカが再びルキにすぐさま近付く。
「っ…!」
避けきれない…ルキはそう悟った。
ルキはミカに剣で腹を刺される。
「ぐふっ…」
ルキは刺された衝撃で吐血する。
ルキの血が床に飛び散る。
「…ホワイトが刺された場所…刺してあげたわよ。次は…心臓かしら?」
ミカが剣を抜く。
ミカの剣にはルキの血が大量に付いていた。
「がはっ…」
「…首でもいっか。このまま切り落としても…いいよね?」
ミカがルキの首元に剣を向ける。
ルキは刺された腹を押さえる。
「っ…そうか…私はここで…死ぬのか…」
「ミカ…!」
ホワイトが肩を押さえながらミカの方へ向かう。
「…ジン…ホワイト…大丈夫?」
ミカがルキに剣を向けながら、ホワイトとジンの方へ振り向く。
「っ…なんとか…学習治癒で出血は止まったけど…傷口は塞げてない…」
「…そう。じゃあ…これ終わったら、基地で治そっか」
「っ…ミカ…」
ジンがミカの方を見る。
ミカの目付きがいつもと違う鋭い目になっていた。
「ミカ…怒ってるのか…?いや…それよりも…あの魔力…」
「…ごめん、待たせたわね」
ミカはルキの方を向く。
「っ…どうせ死ぬなら…ここで…」
ルキが瞬時に立ち上がる。
「っ!」
ミカはすぐさまルキの首を斬ろうと試みる。
だが、ルキにかわされる。
「がはっ…はぁ…はぁ…私をここまで追い詰めた事…褒めてあげるわ…」
ルキは吐血しながら話す。
ルキが後ろ歩きで後退する。
そして…黄色いボタンの方にゆっくりと近付く。
「…でも…私が死んだ所で…ネオカオスの計画に支障はないわ…。それにここはネオカオス研究所…ネオカオスの第二の本拠地…」
「…何が言いたい?」
ミカが疑問に思いながらルキに近付く。
「…私が言いたいのはね…私が死んだ所で現状は殆ど変わらないって事…そして…――」
ルキはメインルームの真ん中の壁に寄り掛かる。
ルキが血を吐きながらもニヤリと笑う。
「この場所が…ネオカオスにとって…足踏みでしかないって事…!」
ルキはそう言うと、壁にある黄色いボタンを右手で強く押す。
「っ…!」
ボタンを押した直後、大きな爆発音が聞こえる。
ルキの後ろから爆発していた。
「なっ…」
「…はは…見て分かるでしょ…自爆装置よ…」
「っ…!」
爆発が更に起こる。
辺りが煙に覆われる。
「ここにいる私は勿論…あなた達三人も…爆発に巻き込まれて…終わりよ」
ルキがそう言うと、床に尻餅をつく。
「ルキ…!すぐにこの装置を止めなさい…!アンタに聞くべき事が…」
「止める方法…私も分からないわ…このまま…研究所も終わり…研究データも既に…送信済み…」
「っ…!」
爆発が更に強くなる。
「地獄で…戦いの続きをしようじゃない。あははは…あはははははははははははははは…!!!」
ルキは高笑いをし、少しした後に気を失う。
気を失ったルキに爆発による影響で瓦礫が落ちる。
「っ…!ホワイト…ジン…!」
「分かってる…!」
「逃げるしか…ない…!!」
三人が迫る爆発から逃げる。
研究所のメインルームにまで続いた道を戻り、走り続ける。
「っ…!すぐそこまで迫ってる…!」
「あいつ…ここまで追い込んで最初からこれを…!」
三人が逃げ続けていると…ミカが後悔したかのような顔をする。
「っ…あたしが…躊躇ったからだ…」
「え…」
「…あたしが…ルキの首をすぐに斬れる状況だったのに…斬れなかった…あたしは…あたしは…」
ミカが走りながら後悔する。
「…今はそんな事言ってる場合じゃない…!早く逃げるぞ…!」
「っ…」
三人が走り続ける。
「…そっか…あたし…復讐…できなかったのか…」
ミカが呟く。ミカが拳を握りながら走り続ける。
「ミカ…!喋ってないで走らないと…!」
「…アンタ達…二人でも…」
「…ミカ…?」
ホワイトはミカの方を向きながら走る。
ミカの顔は後悔に溢れていた。
「…助かれば…!」
ミカがそう言うと…
爆発は段々と大きくなっていく。
研究所を全て喰らうような爆発が続き…
―地上に出るギリギリで爆発に巻き込まれた三人…
三人は地上にある倉庫の跡地に投げ出され、横たわっていた。
「………げほっ…」
ホワイトが咳をする。
「……生き…てる…の…?」
ホワイトは自分の右手を確認する。
ホワイトの身体はボロボロで、血も大量に出ていた。
「っ…服がボロボロ…血もいっぱい出てる…でも…生きてる…」
ホワイトは立ち上がろうとする。
全身に走る痛みがホワイトを襲う。
「身体中…痛い…骨折…はしてないけど…上手く動かせない…」
ホワイトは立ち上がれず、膝をつく。
「うぐっ…そうだ…ジン君…ミカ…」
ゆっくりと顔をあげ、左右を見る。
左にはジンがホワイトと同じく重傷で倒れていた。
「…!ジン…君…!」
ホワイトはジンの顔を左手で触った。
ジンの顔からは命のぬくもりを感じた。
「っ…良かった…あったかい…気絶してるだけ…か…」
ホワイトが安堵していると…
ホワイトは後ろで倒れているミカを見つける。
ミカも同じく、重傷で倒れていた。
「…ミカ…?」
ホワイトがゆっくりとミカの傍へ寄る。
「ミカ…大丈…」
ホワイトはミカの背中が一転集中で、自分以上に血だらけになっている事に気付く。
「っ…!ミカ…!!」
ホワイトはミカの口元に手を置く。
だが、ミカは呼吸をしていなかった。
「嘘…ミカ…しっかりして…!!」
ホワイトはすぐさまミカに回復魔法をかける。
だが、ホワイトの魔法が途中で弱くなる。
「ぐっ…こんな時に魔力が足りないなんて…」
ホワイトの魔力は戦いを経て弱くなっており、魔法の効力が落ちていた。
「っ…!早く…治って…!!」
ホワイトの目から涙が零れる。
今の自分に助けられるか分からない。けれど、助けないといけない。
「っ…ミカ…死なないで…お願い…!」
――ボロボロの倉庫の跡地にボロボロな姿の中…
ホワイトは必死にミカに回復魔法をかけ続けていた。




