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白と悪魔と  作者: りあん
第一部 世界の改変

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ep19.死の淵

 ルキのナイフからホワイトを庇い、猛毒を受けてしまったジン。

 ジンの命は猛毒によって…潰えてしまった。

 魔力で回復しないと行けないと思っていたホワイト。だが、効果はなかった。


「起きて…!」


 繰り返し回復魔法を続けるホワイト。

 ホワイトはジンの口に手を当てるが、既に息をしていなかった。


「………起きて…」


 ホワイトはジンの胸に手を当てるが、心臓の鼓動がなかった。


「…ねぇ…起きてよ…」


 ホワイトは…顔を赤くしながらもジンの唇に自身の唇を当てる。


「…お願い…………起き…て…」


 ホワイトは自分の身体から力が抜けたような感覚がした。


「っ………力…抜けてきた…ジン君が私の前で…死んじゃう…」


 ホワイトは絶望していた。

 だが。


「ゴホッ…ゴホッ…」


 ジンが息を吹き返したかのように咳をした。


「…!」

「………ホワイト…?」


 ジンが起き上がる。


「…!ジン君…?…ジン君だよね…?」

「あ…あぁ…」

「っ!」


 ホワイトはすぐさまジンに抱き付く。


「おい…どうしたんだよ…」

「…ジン君が死んじゃったと思って…それで私…うぅ…」

「…あぁ…そうだ…ルキに猛毒のナイフを2回刺されて…それで…」


 ジンがナイフを刺された場所を確認する。

 だが、刺されていた時は出血が酷かったが…何故か止血されていた。


「…出血が…止まってる…?」

「…!」

「…それに…さっきまで凄かった吐血も…もう大丈夫だ…」


 ジンが胸を押さえる。


「…もう…血…吐かない…?」

「あぁ…大丈夫だ。…ホワイトの魔力のおかげ…か?」

「っ…そう…なのかな…」

「それどころか…今身体が何ともないように見える…」


 ジンが立ち上がり、腕を振る。

 そして、少しだけ右手から炎を出した。


「…俺の魔力の方も問題ない…ホワイト…いつの間にこんな凄い回復魔力を…」

「…それは…そう…なのかな…あはは…」


 ホワイトが笑いながらも少しふらふらする。


「っ…大丈夫か?」


 倒れそうになるホワイトを受け止めるジン。


「…なんか…安心したのか…分からないけど…凄く眠気が…」

「眠気…?ホワイトも魔力切れか…?って思ったが、俺はちょっと出せるようになってるし…魔力を分け与える魔力か…?」

「…そんな能力、私持ってないよ…」

「そう…か」


 ジンがホワイトの頭を撫でる。


「ジン君…」

「こんな状態だが、ルキもいなくなってるし今は大丈夫なはずだ…すぐ城下町へ急ごう」

「…うん…でもごめん…眠気があまりにも酷くて…」


 ホワイトは目を細めていた。

 自分でも理解できない眠気がホワイトを襲う。


「…そうか、じゃあ近くの街で一旦休憩を取るか…」

「…うん…」


 ジンはホワイトを背負い始めた。


「…なんか、恥ずかしい…」

「…そういえば…俺の通信機…壊れちまったな…」

「あっ…私の使っ…」


 ホワイトが通信機を遣おうとするが、ホワイトの腕には通信機が巻いてなかった。


「あ…私の通信機も今なかったんだった…」

「…すまん…ホワイトの荷物…麻酔銃しか持ってきてなくて…」

「大丈夫…でも、ちょっと通信機ないってなると大変…だね…」

「…あと、さっきもちょっと言ったが…渡し忘れてたやつ…」


 ジンはそう言うと、ホワイトにブローチを渡した。


「…!…これ…持ってくれてたんだ…」


 ホワイトはジンから貰ったブローチを首にかけ、大切そうに見ながら服の中へしまう。


「…本当はホワイトが生き返った後に渡すべきだったんだろうけど…あの山で謎の揺れがあったからな…渡すの遅れてすまない」

「大丈夫…でも良かった。このブローチは、15歳の誕生日にお母さんとお父さんから貰った贈り物だから…」

「そうか、俺もそういう大切な物が欲しいな」


 ジンがそう言うと、ホワイトはあくびをする。


「…眠いか…?」

「…うん…魔力の副作用なんだろうけど…ごめん…ジン君さっきまで戦ってくれてたのに…更におぶってもらうなんて…」

「大丈夫だ…今は傷は何ともないしな」

「…私の魔力も、色々調べる必要がありそうだね…」

「…だな」


 ジンがそう言うと、ホワイトは眠りに付く。


「…お前が起きる頃には、ついてるはずだ。ちょっと待っててな…」





 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


 ――時は少し遡り、ジンとホワイトがルキとデストと対峙する前の頃…


「えっと…今は…」


 ミカがジンとの通信で話している最中、謎の刺突音がなった。


「っ…!?」


 ルキが投げたナイフがジンの通信機に刺さり、通信を切断してしまった。


「…刃物のような音…もしやネオカオス…!」


 ミカは急いでホワイトに通信を繋げようとするが、ホワイトの通信機はラッシュ師団の新しい基地にある事を思い出した。


「…ホワイトの通信機は…基地にあるんだった…この場合は…団長…?」


 ミカが急いでランスに通信を繋ぐ。


「ん?ミカか。新しい基地から颯爽と出て行って…俺にどの面を下げて通信してやがる?」


 ランスが少し怒り気味に話す。


「……ごめんなさい」

「いや、いい。今のは軽い冗談だ。それより、どうした?」

「あぁ…えっと…ホワイトの遺体って…今…どうなってますか…?」

「ホワイトの遺体…?…あぁ、それは俺も疑問に思ってたところだ」

「…え?」


 ミカがランスの言葉に疑問を抱く。

 ラッシュ師団の基地からはホワイトの遺体がなくなっていたのだった。


「綺麗さっぱりなくなっていた。誰かが魔力で隠したとかそういう訳でもないし…何か知ってるのか?」

「団長…あたしの言葉、信じてくれますか」

「なんだ、言ってみろ」

「…ジンの活躍で、ホワイトが生き返りました」

「っ…!?」


 ミカの言葉にランスが驚く。


「あいつ…何をしてやがる…自由行動を与えたとはいえ…自由にしすぎだ…」

「…あたしも少し信じがたいですが…ジンがあたしに連絡している時…通信越しにホワイトが映っているのも確認できました」

「なるほどな。ジンが俺に連絡を寄越さないのは、大方信じて貰えないとかそう言ったところだろう。それなのにお前には言われた。お前、信用されてるな」

「別にあたしは…ジンの事なんかちっとも…」

「お前もあいつを信用してるだろう?」

「………」


 ミカが黙り込む。

 ランスの言葉に少し動揺していた。


「お前、もしジンが気が狂ってホワイトが生き返ったっていう嘘を作り出そうとしてたらどうする?」

「…ジンはそんな事、するような奴じゃない…」

「その言葉が出てる時点で、お前はジンを信じてるんだよ」

「っ…」


 ミカもまた、心の中でジンを信じていた。

 最近になって…いや、仲間になった時から、ずっと…


「それで…ジンの方に連絡はつかないのか?」

「…連絡を取っている最中、謎の音が入ってから通信がつかなくなりました…もしかしたらネオカオスの奴に…」

「…そうか…もしかしたら…」


 ランスが言葉を続けようとするが、途中で辞める。


「いや、なんでもない」

「…?」

「今はあいつらが生きている事を信じよう。生きていれば、きっとウィッシュ城下町の方に戻ってくるはずだ。それまでにお前も帰ってこい。いいな?」

「…分かりました」


 ミカが通信を切ろうとする。

 だが途中でランスが言葉を挟む。


「それとミカ。お前には今後、更なる重要な仕事をしてもらうことになるからな、期待してるぞ」

「…?分かりました」


 ランスとの通信が切断される。


「敵討ちなんて…馬鹿な事考えてたあたしは…一体どうすれば…よかったんだ…」


 ミカがボソッと呟く。


 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


 ――ウィッシュ城下町とは少し距離が離れた街に着いたジンとホワイト…


「…ここは…少し栄えてるな…」


 ジンが看板を見る。

 看板には『願いを繋ぐ希望の街ホープシティ』と書いてあった。


「…願いを繋ぐ…ウィッシュ城下町の近くにあるからってこと…か…?」


 ジンがぶつぶつと呟く。

 ホワイトはジンの背中で眠りから目覚める。


「…あ…ごめん…寝てた…」

「…ホワイト、おはよう」

「おはよう。…って言っても…もう夜に差し掛かってるね…」


 街の中では既に街灯が付いており、空は夕焼けの影響か、青色と朱色が混ざった空になっていた。


「あぁ。今から宿を探す。ウィッシュ城下町でも宿を見たし、たぶんこの街にもあるはずだ」

「宿…お金とか、かかっちゃう…?」

「まぁ宿だし仕方ないだろう」


 それでも、この世界では宿代を旅人向けにとても安く設定されている事が多く、お金の問題は殆どなかった。


「…そっか、分かった。私も探す」


 ホワイトがジンの背中から降りる。


「案外あっさり見つかっちゃったりして」


 ホワイトが左側を見ると、宿があった。


「本当にあっさりあった…」

「でかした、ホワイト。そこに今日は泊まるぞ」

「うん、分かった」


 ホワイトとジンは宿へ入っていく。





 ――宿での受付を済ませるジンとホワイト。そして、部屋に入る。


「…もしかしてさ…二人きりは、初めて…かな…」

「そう…だな。いつもはミカも含め三人の部屋だったからな」

「…そっか。そうだったね」


 ホワイトが少し顔を赤くする。

 ジンが自身のボロボロになっていたはずの腕を見つめる。


「っ…今の俺は目立った外傷はないが…なんでないのか、よく分からないな…」

「…ねぇ、ジン君」

「ん?どうした?」


 ホワイトがジンの傍による。


「…実はさ…この前にもこういう事、あったんだよ」

「…え、二人きりの事か?」

「いや…そっちじゃなくて…さっきまであんなに戦っていたのに、今は目立った外傷がなくなってるってこと」

「…あったか?」

「えっと…ネオカオスに基地が燃やされた時の…」

「あぁ…俺がデストによって大ダメージを受けたあの…」


 ジンはそう言うと、自身の背中を触る。


「本来だったら、回復魔法をかけても多少は傷が残ってるはず…なんだが、こっちもやっぱり綺麗さっぱりなくなっている…」

「たぶんだけどさ…これが原因な気がする…」

「…これって?」


 ジンがそう言うと、ホワイトはジンの方へ顔を近付ける。


「近…」

「…ちょっと目瞑って」

「…?こうか?」


 ジンが目を瞑る。


 そして、ホワイトはジンの唇に自身の唇を当てる。


「…!」

「………うっ…ちょっと眠い…」


 ホワイトが再び眠気に襲われる。


「…眠気…さっきのといい…まさか…」

「そう…もしかしたら…私がその…キスしたら回復できるんじゃないかって言う魔力が…」

「なるほど…」


 ジンは疑問には思ったが、ホワイトの魔力についてはおかしいとは思わなかった。


「…前にジン君が背中を斬られた時も…寝てる間にこっそりしたら…その時も眠気がして…でも翌日、ジン君は完全に治っていて…」

「そうか。そうだったのか…」

「だから私の隠された魔力が…ある気がするの」


 ホワイトが再び顔を赤くする。


「今は外傷殆どないけど…さっきまで私を運んでたから、ちょっと体力は消耗してたと思う。今は…どう?」

「あぁ…そうだ…なんだか体力が回復してる気がする…。今はとても元気だ…」

「…そっか…良かった」

「…ホワイト」

「…なあに?」

「その力は、いざという時に人を救うために使ってくれ」

「…!」


 ジンはホワイトの肩を触る。


「…あんまり酷使するような力じゃない。この力は…完全回復という大きなメリットと…恐らく眠気と言った何かしらのデメリットがある。それに…他に方法があるかは知らないが、口付けをしないと効果が出ない以上誰にでも使っていい能力ではないはずだ」

「……うん」

「…だからこそ、俺じゃなくて俺以外の人を救うために…」

「…ジン君だから…するんだよ」

「っ…」


 ホワイトの言葉にジンが動揺する。

 ジンは恥ずかしいのか、ホワイトから目を逸らす。


「勿論…この力を皆に分け与えれるようになれば一番だけど…今はジン君にしか、この力は使いたくない…。ジン君は私にとって…一番大切な人だから…」

「…そう…か…」


 ジンが少し悩み始める。


「…俺も…お前が一番大切だ。お前は…俺に大切な物を教えてくれた、優しい奴だ」


 ジンはホワイトを抱き締める。


「だから、俺の傍を離れないでくれ」

「…!」

「もう…俺の前からいなくならないでくれ…そして、勝手に…死なないでくれ…」

「………うん…分かった。ジン君も…だよ?」


 ホワイトがそう言うと、ジンはホワイトの方を見る。


「…ありがと、ジン君」

「ホワイト、ありがとうは俺もだ」

「…うん」


 ホワイトとジンは再び口付けを交わす。



 ――その日の夜、ジンとホワイトは二人だけの夜を過ごした。

後書き~世界観とキャラの設定~


『死の淵から目覚める』

…息をしなくなり、回復魔法も効果がなかったジンだが、ホワイトが口付けした事によって蘇った。

生き返りを受けたホワイトの口付けには何かしら特殊な回復効果が宿されている可能性があると推測されている。

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本編のスピンオフである
しろあくものがたり
も連載中!
是非こちらも御覧ください!
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