ep118.禁忌を破る
「あぁぁぁ?カルム師団のぉぉぉ?」
キンキがルドを睨む。
「誰だてめぇ?」
「ルドだ…名前を覚えてくれたら嬉しいよ。君は?」
ルドがキンキを睨む。
「アタシはキンキ!ネオカオスの…次のジハだぁ!!」
「次のジハ…となると…ボスクラスの…!」
ルドが魔力を手に込める。
「ルドさん…キンキは時間を自由に操れると同時に人体錬成までできます…普通に戦ってては…勝てません…!」
「…なるほど」
「それに…ロキ君はさっき攻撃したせいで魔力を…ミカはキンキに左胸に穴を開けられて…今私が治したけれど…でも………」
「…大体分かった」
「うぐっ………」
ミカがゆっくりと歩く。
ミカの口から血が垂れ続ける。
「ミカ…!まだ身体が万全じゃ………」
「あぁ…キンキを引き付けるにはちょっと無理な身体ね………」
ミカが銃剣を構える。
「だけど…周りの雑魚なら…あたしがやれる………」
「ミカ…でも………!」
「勿論あたしだけではダメ…だから…ルドさんにお願いする………!!」
「俺に?」
「ミカ…?」
「ロキも…魔力が無くても銃なら扱えるでしょ…!?」
「っ…あぁ…行けなくはないが…」
ロキが銃を持つ。
ロキの腕は震えていた。ロキの身体は魔力不足だった。
「なら…あたしに協力して…!雑魚共をあたしとロキで蹴散らす…!!」
「っ…!」
「ルドさんには…銃弾を防ぐように盾を張って欲しい…!」
「盾…分かった。任せてくれ」
「ホワイトとジンは…ちょっと荷が重いかもしれないけれど…その間にキンキを足止めして欲しい………!」
「っ…キンキを足止め………」
「…分かった」
ジンが腕に魔力を込める。
「ジン君…どうやって足止めを…」
「…てきとうに…だ」
「てきとうって…」
「…細かい計画のある戦闘なんて存在しない。だけれど…大まかに目的が決まっていれば…動ける…!」
「っ…!」
ホワイトが拳を握る。
ホワイトが決心し、繋命剣を作り出す。
「…分かった…ジン君に…合わせる」
「あぁ?」
キンキが五人を睨む。
「なんか銃弾防がれたけどよぉ!アンタ達!もう一度やっちまいなぁ!!」
「御意!」
ネオカオスの下っ端が銃弾を撃つ。
「させるか…!」
ルドが目の前に巨大な盾を張る。
「ルドさん…!」
「助かります………!」
ミカが銃剣を持ち替え、瞬時に移動する。
「っ…!」
「取った…!」
ミカが下っ端の首元を斬り裂く。
「があああっ!!」
「あぁ?」
キンキがミカの方を見る。
キンキの目には下っ端を一瞬で斬るミカが映る。
「一瞬で斬られたぁ?」
キンキがミカの方へ移動しようとする。
「っ…!」
だがホワイトがキンキに向かって剣を向けて走る。
「女神族の…!」
「私が…相手よ………!!」
ホワイトが繋命剣でキンキに攻撃する。
「あぁぁぁ?」
キンキが腕でガードする。
ホワイトの剣ですら腕はに刃を通さなかった。
「っ………その身体…剣の刃を通さない………」
「そうだよホワイトォ!さっきも言ったがなぁ!アタシは禁忌の技を多く埋め込まれてんだよぉ!だから素手で刃物を掴めるし、瞬時に移動もできんだよぉ!!」
「っ…!」
「だが…アンタの魔力は別だ。触れると血が出る」
キンキの腕から血が出る。
「どういうカラクリだぁ?アンタのその剣…女神族の魔力と似て非なる物…何者だアンタはぁ?」
「っ…」
「まぁ殺しちまえば…関係ねぇよなぁ!!」
キンキがホワイトに拳を振るう。
「あ、いや…捕らえろって命令だったなぁ?」
「っ…!」
「ホワイト…!」
ジンが炎の魔力で応戦する。
「ジン君………!!」
「チッ!」
キンキが炎を浴びる。
「いてぇなぁ!火傷しちまっただろうがぁ!!」
キンキが腕で炎を振り払う。
キンキの腕が火傷する。
「っ…出力が足りんか………」
「あぁぁぁ?そうだなぁ?」
キンキが腕の火傷を自身の時間操作をして一瞬で回復させる。
「あはははは!アンタのその弱っちい炎じゃ、アタシを燃やし尽くすのは不可能だぁ!!」
「っ…!」
「ジン君………!!」
「そして、アンタには見せてない技を見せてやろう!!」
キンキがそう言うと、時間を操ってジンの背後に瞬時に回り込む。
「っ…!」
「ジン君…!」
「くたばれ!!」
キンキが不意をついて蹴りを入れようとする。
ジンがそれに対応するかのように腕を構える。
「っ…!!」
「あぁ?」
「っ……力…強すぎるだろ………!!」
ジンが瞬時に距離を取る。
「あははは!すげぇだろぉ!?でも驚いた。アタシの魔力についてこれるなんてよぉ!!」
「…これが…時間を操れる魔力…感じる違和感…時間停止してその間に移動してるって事か…!」
「そうだよぉ!アンタよく分かってるじゃねえか!これの意味も分かっていそうだよなぁ!?」
キンキがジンの頬を殴る。
「ぐっ…!」
「この魔力を使えるアタシには絶対勝てねえって意味だ――」
ジンが吹っ飛ぶ。
「ジン君…!」
「人の心配してる場合かぁ?」
「っ…!」
キンキがホワイトの背後に回り込む。
「また…時間操作を………!」
キンキが黒い電撃を拳に纏う。
「っ…!」
キンキがホワイトを殴ろうとする。
だがジンがホワイトを守るように瞬時にキンキの目の前に現れる。
「あぁ?」
「ジン…君…!?」
「何故アタシに殴られたお前が瞬時に前に来るんだぁ?」
「っ…!」
ジンが炎の魔力をキンキに浴びせる。
「あぁぁぁぁ?」
キンキの拳が止まる。
「チッ………」
「ジン君………!」
ジンとホワイトがキンキから距離を取る。
「…やっぱり…この魔力は………使える…!」
「魔力…炎の?」
「…いいや、『未来視』だ」
「『未来視』…?」
「ここ最近…戦闘中に相手の動きが分かるかのような未来が頭に浮かんでくる…」
「え…?」
「そして…その動きに対応した動きを取れば…或いは…!」
「まさか…あの時言ってたジン君の…秘められた魔力って事…?」
「そうかもしれん…!」
ジンが魔力を右腕に込める。
「あはははは!アタシの時間操作についていけるなんてすげえなぁ!!」
キンキが炎の中から出てくる。
「だが、ついていける程度でアタシに勝つことは不可能だなぁ!!」
キンキが身体中の火傷を瞬時に治す。
「っ…やっぱり時間操作であの傷を治すのは…ズルだな………」
「あははは!!どうよこの力!」
「…どうして人間の身で禁忌の力を宿してる…?」
「どうしてかぁ?そうだなぁ…アタシが――」
キンキが言葉を続けようとした瞬間、ミカがキンキの首に横から銃剣を刺す。
「ッ!?」
「ミカ…!?」
「ミカ…!!」
「ゲホッ…」
キンキが吐血する。
ミカの身体中には返り血が多く付いていた。
「っ……!」
「小娘ぇ!あの量の下っ端を蹴散らしたって言うのかぁ!?」
「その通りよ………キンキ…!!」
ミカが銃剣を強く刺す。
「ッ!!」
キンキがミカを振りほどく。
「っ…!」
ミカが受け身を取る。
「ミカ…!!」
「っ………ゲホッ…」
ミカが吐血する。
ミカの身体はまだ治り切っていなかった。
それどころか下っ端を相手する時に受けた傷も相まってダメージはかなり大きい物だった。
「ミカ………身体中に血が………血も吐いて…無理しすぎだよ…!」
「…これくらいどうってことない…下っ端は全員やった…ロキとルドさんの協力もあって…割とすぐ殺せた………」
「…あぁ」
「ロキ君…ルドさん…!」
「後は…キンキだけだ………!!」
ロキとルドがキンキの方を睨む。
ミカが銃剣を構える。
「あぁぁぁぁ…首を刺しやがったなぁぁぁてめぇぇぇぇぇ!!!」
キンキの首元から大量の血が出る。
「いてぇなぁぁぁぁクソがぁぁぁぁぁ!!!」
「っ…!」
「クソがぁぁぁぁ!!!」
キンキが首の傷口を回復させようとする。
「今…!」
一瞬だがキンキに隙ができた。
ロキが瞬時にキンキに銃弾を撃つ。
「グアアアアア…!?」
キンキの額から血が噴き出る。
「ロキ…!」
「頭をぶち抜いた………これで…」
「あぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
キンキが頭を押さえる。
キンキの身体から黒い電撃が迸る。
「脳がぁぁぁ!!脳が出血したぁぁぁぁぁ!!!」
「っ…!」
「なんで…生きてんだよ………!!」
ロキが銃を構える。
キンキは脳を撃たれても生きていた。
だがいくらキンキとはいえど、ただでは済んでなかった。
「うぐっ…」
ロキが腕を押さえる。
「やっぱりさっきの魔力消費が…身体に響いてる………」
「ロキ君…!」
ホワイトがロキの身体に回復魔法をかける。
「あぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
キンキの身体から出る黒い電撃が辺りに飛ぶ。
「っ…!!」
「脳がぁぁぁぁぁ!!いてぇよぉぉぉぉぉ!!!」
キンキの黒い電撃が更に強くなる。
「身体が巻き戻せねえよぉぉぉぉぉ!!!」
「っ…!」
「巻き戻せない…!」
「まさか………!!」
「脳にダメージが行ったから…魔力を扱えなくなってる…!!」
「っ…!」
キンキの魔力は例え不明点の多い強力な禁忌の力だとしても、脳を損傷していたら満足に扱える物じゃなかった。
「今がチャンス………!!」
好機が訪れたと思い、ミカが銃剣を構える――
「うぐっ…」
ミカが銃剣を落とす。
ミカの身体は既に限界を迎えていた。
「ミカ…!」
「はぁ…はぁ…危ない状態で動き過ぎて…身体が動かない………」
「っ………」
「…ルドさん、ホワイト…」
ジンが腕に魔力を込める。
「ジン君…?」
「ミカとロキを…守ってくれ。もしかしたらそっちまで爆風が行くかもしれない………」
「爆風って…何をする気…」
「…分かった」
「ルドさん…?」
ジンの言葉を聞き、ルドが理解したかのように頷く。
ルドが魔力を構える。
「…終わらせてくる。ホワイト…ミカとロキの回復を…頼む」
ジンがそう言うと、キンキに向かって歩き出す。
「ジン君………!!」
「あぁぁぁぁぁ!!!」
キンキが頭を押さえる。
「脳が脳が脳が脳が脳が脳が脳が脳が脳が脳が脳が脳が脳が脳が脳が脳が脳が脳が脳が!!!」
「脳がどうした?」
ジンが炎の魔力を貯めてキンキの元まで歩く。
「あぁぁぁぁぁ!!」
キンキの身体から出る黒い電撃が辺りに飛び散る。
「っ…すげえ電撃…魔力によるものか…近くにいると感電しそうだ」
「あぁぁぁぁぁ!!」
「…今、楽にしてやる」
ジンが炎の魔力を右腕に込めていた。
そして…それをキンキに向かって放つ。
「最大火力だ………!!!」
「ぐあああああああああああああああ!!!!!」
――ジンが炎の魔力を最大にして放つ。
辺りがジンの魔力による爆風で覆われる――
後書き~世界観とキャラの設定~
『脳に攻撃』
…ロキが咄嗟にキンキの脳天を撃ち抜いた事によってキンキの魔力が止まる。
そもそも本来魔力は脳を介して使うのだが、頭を強く打つなど脳が安定しない場合においては魔力を上手く使う事ができない。そして今回は脳を直接攻撃されており、魔力を使う事は当然できない。
そして心臓から使うという手法に関してもそこまでの思考が回らないキンキにはできず、例え禁忌級の魔力でも発動する事は不可能になった。




