ep117.禁忌の技
遂にキンキに対し、強力な一撃を与える事ができたロキ――
「っ………!」
「ロキ………!」
「ロキ君………!」
「今ので………倒れて…くれよ…?」
「あ…あぁぁぁ………」
だが、その願いは叶う事がなかった。
キンキが立ち上がろうとする。
「っ………」
「アレを受けて…立ち上がろうとするの………?」
「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
キンキが黒い電撃を身体に帯びる。
「っ…!まさか………」
「あぁぁぁぁぁ!今のは効いたなぁぁぁぁ!!」
キンキの負った傷が一気に回復していく。
「だがなぁぁぁぁ…負った傷は無かった事にすればいいんだよぉぉぉぉぉ!!」
キンキが魔力で自分自身の時間を戻し、傷がなかった状態に戻す。
「っ………!」
「クソッ………」
「あははははは!!禁忌の力を得たアタシを殺すなんて無理なんだよぉぉぉ!!」
キンキが三人を強く睨む。
「っ…!」
「はぁ…はぁ…嘘…だろ………」
ロキが腕を押さえる。
ロキの腕は魔力を使い切って限界だった。
「ロキ…!」
「ロキ君………!」
ホワイトがロキの身体に回復魔法をかける。
だがロキの疲労が治らなかった。
「っ………はぁ…はぁ…」
「っ…そんな…治らない………!?」
「…いや…治っている…だが…さっきので魔力を消費しすぎた………けれど…魔力がもう…尽きる寸前だ………」
「っ…!!」
「魔力と力を込めて殴ったが…それが通用しない………となると…!」
「っ…!」
「何喋ってんだぁ!?アンタら!!」
キンキが瞬時にミカに近付く。
「っ…!!」
ミカが銃剣で受け止める。
「ロキ…!さっきの一撃をもう一度…」
「無理だ………俺の魔力が………足りない………」
「ならあたしがアンタに魔力を…!」
「そんな暇ねぇだろぉ?」
キンキがミカの左胸を右手で刺す。
ミカの心臓に向かってキンキの手が伸びる。
「がはっ…!!」
「ミカ!?」
ミカが吐血する。
キンキがミカの心臓を掴む。
「ゲホッ………」
「最初からこうすれば良かったなぁ!このまま心臓を…握り潰してやる!!」
「っ………」
「ミカ………!!」
キンキがミカの心臓を握り潰そうとする。
「あぁぁぁ?」
だがキンキはミカの心臓を握り潰せなかった。
ミカが自己強化の魔力で心臓を守っていた。
「っ………魔力で…心臓に強化を施し――ゲホッ………」
ミカが再び吐血する。
「あぁぁぁぁ?ならその強化ごと潰してやるよぉぉぉぉ!!」
キンキが力を込め、握り潰そうとする。
「うぐっ…があっ………!!」
ミカが血を吐き続ける。
「ミカ………!!ロキ君…ミカが………」
「はぁ…はぁ…魔力が十分にねぇと…俺は動け…ねぇ………」
「っ………!」
ホワイトが咄嗟に繋命剣を構える。
「ミカを…離して………!!」
ホワイトがキンキに近付く。
「あぁぁぁ?」
キンキがミカの心臓を掴みながらホワイトを睨む。
「女神族の魔力がぁぁぁ…邪魔だぁ!!」
キンキがホワイトにもう片方の腕を振るう。
「っ…!」
ホワイトが腕をかわす。
「キンキ………!!」
「っ…!」
ミカが残った力を振り絞り、キンキに銃剣を刺す。
「あぁぁ!?」
キンキがミカの身体から腕を抜く。
「がはっ………」
ミカが吐血する。
ミカの左胸から血が飛び出る。
「ミカ………!!」
「うぐっ…ゲホッ………心臓…を…触られた………ゲホッ………」
ミカが左胸を押さえる。
「ミカ…今回復する………!!」
「あ…あぁ………」
ホワイトがミカの左胸の穴に回復魔法をかける。
「っ………うぐ………」
「傷口が深い………すぐには治しきれない………」
「あぁぁぁ!?」
キンキが二人に瞬時に近付く。
「っ…!」
「心臓を潰させろぉぉぉ!!!」
「ホワイト…やばい………!」
「っ………!」
キンキがホワイトの胸に右手を刺そうとする。
その瞬間――
「ッ!」
キンキが何かに気付き、距離を取る。
そして…炎が飛んでくる。
「っ…!!」
「この炎…いや…この魔力………!」
ホワイトが顔を上げる。
そこにはジンがいた。
「ジン君………!!」
「っ………!!」
ジンが炎の魔力を再びキンキに向ける。
「あぁぁぁ?誰だてめぇ?」
キンキが炎をかわす。
「あぁぁぁ?」
「ジン君…来てくれたんだね…!!」
「あぁ…救助は他の人達に任せれる所まで行けた…それよりミカとホワイト…無事か…!?」
「わ…私は大丈夫だけど…ミカが心臓を掴まれて………」
「っ…心臓を…掴まれた…?」
ジンがミカの方を向く。
「…大丈夫…あたしの魔力で心臓を守れてるから…命に問題はない…」
ミカが左胸を押さえる。
「私の魔力で傷口は塞いだけど…ミカはさっきキンキの攻撃で大ダメージを負って――」
「キンキ…それがあの変な女の名前か…」
ジンがキンキを睨む。
「あぁぁぁぁ?あぁ、思い出したぜぇ。確かえっと…ルキって奴の元仲間だっけかぁ?」
「…ルキの名前を出すな」
ジンが銃を取り出し、キンキに向ける。
「ジン君…!キンキは時間を操れる魔力を持ってる…」
「時間を…?」
「時間を操って瞬時に移動したり…逆に自分自身の時間を動かして傷を回復したり…隙がない…!」
「なるほど………」
ジンが引き金に指を持っていく。
「だから…何度も攻撃してもすぐに回復される…一気に叩かないといけない………!」
「…なるほど。でもロキは魔力が使えなくなったと………」
「っ…そうなの…」
「…分かった。俺にその役目をやれって事だな」
ジンが銃を腰に戻し、右腕に魔力を込める。
「でも…力を溜めている間に引き付ける役はどうする…?」
「っ…あたしが………」
ミカが銃剣を構える。
ミカの左胸から血が垂れる。
「っ…ゲホッ………」
ミカが吐血する。
「ミカ………!」
「うぐっ…身体が…思うように動かない………身体が…強く圧迫されているかのような…」
「っ………」
ホワイトが回復魔法をミカにかけ続ける。
「ミカ………」
「はぁ…はぁ…はぁ………」
ミカが胸を押さえる。
「あたしが………奴を止めなきゃ………」
「四対一かぁ?」
キンキが四人を睨む。
「ちょっと厄介だなぁ!!」
キンキがそう言うと、黒い電撃を虚空に飛ばす。
「っ…!!」
キンキの飛ばした電撃から…
黒い魔力を帯びた人間が現れる――
「は………!?」
「っ………!?」
「な…人間を………作り…出した………!?」
現れた人間はネオカオスの服を纏う。
「あははははは!できたできたぁ!!」
キンキが黒い電撃を飛ばし続ける。
「兄貴ィ!アタシにもできたぜぇ!!」
黒い電撃から人間が何人も現れ…ネオカオスの服を纏う。
キンキは『人体錬成』を…電撃を飛ばすだけで行っていた。
「っ…!!」
電撃から生まれた人間はネオカオスの下っ端となり、ホワイト達の方を向く。
「人間を…作り…出した………だと………」
「っ………」
「アンタ達ィ!ラッシュ師団の四人を殺せぇ!!」
「っ…!!」
ネオカオスの下っ端がキンキの呼び声に応じ、銃を取り出す。
「まさか…アレ全部…ネオカオスの下っ端…!?」
「っ………」
「一気に…ピンチ…ね………ゲホッ…」
ミカが吐血する。
ミカが口元を押さえる。
「ミカ………!」
「ホワイト…来るぞ………!!」
「え…」
ジンが魔力を構える。
「っ…!」
「このままじゃ…全滅だ………!!」
「っ………」
「あははははは!!まさかアタシが与えられた禁忌の技が『自由時間操作』だけだと思ったかぁ?」
「っ………!!」
「アタシは幾つもの禁忌の技を埋め込まれた存在…『人体錬成』なんてお手のもんなんだよぉぉぉ!!」
キンキが黒い電撃を身体に帯びる。
「っ………!アレも…ジハに埋め込まれた禁忌の技だって言うの………?」
「そうだよぉぉぉ!兄貴がアタシをこんな存在にしてくれたぁぁぁ!!」
「っ………!!」
複数のネオカオスの下っ端が銃を構える。
「っ………!!」
「アンタ達ィ!撃っちまいなぁぁぁ!!」
「御意!!」
「っ………!」
「絶体絶命………だ………」
ロキが腕を押さえる。
ロキの力は戻らず…絶体絶命の危機に陥る。
「ロキ君………!!」
「もう…終わりだ………」
「っ………!!」
ネオカオスの下っ端が複数人で銃を乱射する。
「っ………」
(もうダメだ………)
ホワイトはそう思った…
その瞬間だった――
「………あぁ?」
銃弾がホワイト達の目の前で何かに阻まれたかのように止まった。
「え………?」
「あぁぁぁ?」
「っ…!」
ホワイトが魔力を感じる。
そしてその魔力は…盾を模したような魔力だった。
「この魔力の感じ………守られている感じ………まさか………!」
ホワイトが後ろを見る。
「…!!」
「………ごめん…待たせてしまったみたいだね」
「あ…あ………」
ホワイトが涙を零す。
「ルドさん………!!」
ホワイトが向いた方向にルドが立っていた。
魔力でホワイト達の前に巨大な盾を設置し、守っていたのであった。
「遅れてごめんね…吹雪が突然止んだから何かおかしいと思って駆け付けたらこの有様だ…この多勢に無勢な状況…辛かったよな…」
「ルドさん…」
「ルドさん………!」
「カルム師団の………!」
ルドが魔力を腕に込める。
「でも…僕が来たからには君達を守れる。
ルドが四人の前に立つ。
「――俺も…戦うよ…!」




