ep115.荒々しき混沌
「ロキ君………!!」
「ロキィ?あぁ…アタシが成り済ました奴かぁ!?兄貴のデータにあった奴、本物はお前かぁ!」
「ホワイト…大丈夫か…」
ロキがホワイトの方へ寄る。
ホワイトの腕に血が付いているのを見るロキ。
そして、ミカが気を失っている事も確認する。
「うぐっ………はぁ……はぁ……ロキ君…ミカが………」
「…あぁ…なんとなく…察せてる。それに…お前が電撃を浴びすぎてボロボロな事も…な」
ロキが倒れているミカを遠目で見る。
「ミカは首を絞められて…それで………!」
「…そうか」
ホワイトが目から涙を出す。
「うぐっ…」
ホワイトが腕を押さえる。
「ホワイト…!」
「身体が…痛くて…痺れて…うぐっ…でもこれくらい大丈夫…それよりミカが…!」
「ホワイト!悲しんでる余裕はないみたいだ…ッ!!」
ロキがそう言ったその瞬間、キンキがロキに近付く。
「っ…!?」
「ラッシュ師団は全員殺さねぇとなぁ!?」
キンキがロキに殴りかかろうとする。
「っ…!」
ロキが自己強化の魔力を発動し、拳を押さえる。
「強そうな男ぉ!やり合おうぜぇ!?」
「ロキ君…!!」
「お前が…ミカをやったんだな…?」
「だったらなんだぁ!?」
「殺す…!」
ロキがキンキの拳を握り潰そうとする。
「ッ!」
キンキが拳を離そうとする。
「離さん…!」
ロキがキンキの拳を握り潰そうとする。
「はっはっは!そっかぁ、嘘だと思ってたけど本当だったかぁ!デストをタイマンでボコボコにしたっていう!!」
「それがどうした…?」
「ならアタシに勝てる可能性もあるって事かぁ!」
キンキがもう片方の腕に電撃の魔力を込める。
「…!」
「だけどなぁ、消し飛べ!!」
キンキが左腕に込めた魔力をロキに浴びせようとする。
「ロキ君…危な…い!!」
キンキの電撃の魔力をロキが浴びる。
「っ!」
「このまま感電死したアンタを――」
その瞬間、キンキの頬が殴られる。
「がはっ…!?」
キンキが横に吹っ飛ぶ。
「………っ」
ロキが身体に付いた電気を振り払う。
「ロキ君…!」
「…俺の魔力は物理攻撃だけじゃなく…魔力も受け付けない…数々の戦いを得て…俺も強くなってんだ」
「ロキ君…」
「…はぁ…アンタ…やるなぁ!」
キンキが瞬時に立ち上がる。
「気に入ったよ、アンタ!」
キンキが拳を構える。
「俺は気に入らないけどな。ミカの首を絞めた罪…重いぞ………!」
「あぁ?あの女が首を絞められたのはあの女が弱いからだ」
「ミカが弱い…だと…?」
「あぁ。あの女は弱い。だが、アンタは強そうだ」
キンキはそう言うと、瞬時にロキに近付く。
「アンタとなら本気で戦えそうだぁ!」
「…あぁ…そうだなッ!」
ロキがキンキの拳を受け止める。
「あはははは!」
キンキが拳に電撃を込める。
「っ…!」
「電撃とアタシの拳!アンタに受け止めれ――」
その瞬間、再びキンキの頬が殴られる。
「ッ!?」
キンキが再び吹き飛ぶ。
「………すぅ………」
ロキが息を吸い込む。
「…俺も副団長として強くなったんだ。問題児三人を守れるくらいに…強くなるって…決めたんだ」
ロキが拳を握る。
「それに…俺の仲間を馬鹿にした罪…重いぞ…!!」
ロキが倒れているキンキを睨む。
ロキが一瞬ホワイトの方を向く。
「ホワイト…ミカを…頼む」
「え…ミカを…頼むって………」
「俺があの女と戦っている間に…ミカをなんとか蘇生できないか…?」
「ミカを…蘇生…?」
「まだ回復できるかもしれない…お前なら…できるはずだ………!」
「っ………」
ホワイトは迷っていた。
ここでミカを助けている間にロキがもしキンキに負けたら…と思うと、加勢するべきだとも考えていた。
「でもロキ君は…!」
「俺が相手している間に頼む…ホワイト……!!」
ロキはそう言うと、キンキに近付く。
「ロキ君………!!」
ロキが拳をキンキに振るう。
「あはははは!おもしれぇ男だなぁ、ロキィ!!」
「そっちこそ…俺の本気を二度受けて何故頬が腫れる程度でいられる…?」
「あははははは!!」
キンキの頬は大きく腫れていた。
「アタシと一緒に戦おうじゃないかぁ!!」
「っ………!!」
――倒れるミカの傍によるホワイト。
「ミカ………!!」
ホワイトがミカの息を確認する。
ミカの呼吸は止まってはいなかったが…かなり浅くなっていた。
「っ…………ミカ…呼吸が浅い…しっかりして………!」
ホワイトがミカの身体に触れる。
「…私の魔力なら………」
ホワイトがミカに回復魔法をかける。
「ミカ…お願い…目を覚まして………!」
ホワイトが回復魔法をかけ続ける。
「っ…ミカ……ロキ君が………ロキ君が食い止めている間に………」
「ゲホッ…」
ミカが息を吹き返す。
「ミカ………!!」
「がはっ…ゴホッ………ゲホッ………」
ミカが胸を押さえながら咳をする。
「ミカ…しっかり………!」
「ホワ…イト………?」
「ゆっくり…呼吸を整えて………!」
「…あ………」
ミカがゆっくりと呼吸を整える。
「っ………頭が…クラクラする………」
ミカが頭を押さえる。
「ミカ…!」
「呼吸を…整えなきゃ………はぁ…はぁ………心臓よりも…頭が…ガンガンする………凄く…苦しい…」
「っ…私の魔力で…頭の痛みを和らげることなら………」
ホワイトがミカの頭に回復魔法をかける。
「…あ…ありがと………」
ミカが呼吸を整える。
「…すぅ…ふぅ…………うん…大丈夫………」
ミカが立ち上がる。
「っ…ホワイト………その傷…」
ミカがホワイトの傷だらけの身体を見る。
「っ…ちょっと電撃を受け過ぎただけ…これくらいどうって事…ないよ…」
ホワイトの身体中からは血が出ていた。
「ホワイト…」
ミカがホワイトの顔の血に触れる。
「ミカ………?」
「………」
ミカが指に付いたホワイトの血を舐める。
「アンタはもっと顔を大事にしなさい………」
「ミカ………」
「ほら…自前の魔力で自分を回復させなさい」
「あ…うん………」
ホワイトが自身に回復魔法をかける。
「ったく…アンタは自分の事を放っておきすぎ。もっと自分を敬っ――」
ミカが頭を押さえる。
ミカに頭痛が襲う。
「っ……!」
「ミカ…!まだ安静にしてなきゃ…」
「この状況で安静になんて…できる訳………!」
ミカが銃剣を持ち替える。
「ロキが戦っているんだから…あたしも………!」
ミカが銃剣をキンキの方へ向ける。
「ミカ…!」
「はぁっ…!!」
ミカがキンキの方へ飛び込む。
「っ…まだ…頭の回転が…回り切ってないんじゃ……!」
ホワイトがミカの方へ走り出す。
「あははは!アンタ…やるじゃないかぁ!!どっからその力湧くんだぁ?」
キンキがロキの拳を押さえる。
「…これくらいやらねぇと…副団長としての威厳がねぇからだ…!!」
「副団長…ねぇ!!」
キンキがロキを振り払う。
「っ…!」
「アンタが副団長って事は…ランスとシェール、どっちか死んだって事かぁ?」
「…違う。どっちも生きている」
「なら、辞めないと行けないくらいの怪我とかかぁ?」
「っ…!」
「図星だなぁ!」
キンキが身体に魔力を込める。
「アンタおもしれぇよ!アンタは面白くて小細工無しで戦ってみたが、アンタを殺すには小細工が必要みてぇだ!!」
「っ…!」
「あははは!」
キンキが笑っていると、ミカがキンキに飛び込む。
「ッ!」
「ミカ…!?」
「死ね…!」
ミカがキンキの首を銃剣で斬ろうとする。
「あぁ?」
キンキが瞬時に首元に手を持っていく。
「っ…!」
キンキが銃剣を掴む。
「ミカ…!!」
「小細工…使わせろやぁ!!」
「っ…!」
キンキがミカを叩き付けようとするが、ミカが瞬時に掴まれた銃剣から手を離す。
「あぁ?」
「っ…!」
ミカが銃剣を至近距離で撃つ。
「ッ!」
キンキの頬にミカの銃弾が掠る。
「てめぇ!!」
ミカが瞬時に距離を取る。
「うぐっ…」
ミカが頭を押さえる。
「ミカ………起きてからまだ時間経ってないだろ…安静にしろ………!」
「そんなのできない。アンタだけ戦わせて…あたしが寝てるなんてそんな事…!!」
「…そうかよ」
ロキが拳を構える。
「あははは!さっき首絞めて殺したかと思ったらなんで生きてんだぁ?」
「…ホワイトのおかげよ」
「ホワイトォ?あぁ、女神族の魔力所有者の女かぁ!」
キンキがホワイトの方を睨む。
「っ…」
「まぁ確かに今の時代、首絞めは大した殺傷能力はねぇもんなぁ?」
「ホワイト…奴に飛び込まれないように立ち位置に気を付けて。そして…ロキとあたしの回復支援をお願い」
「うん…分かってる…!」
「…ミカ、合わせれるか?」
「ふん、いつもアンタの無茶ぶりにあたしが合わせてるって事、忘れないで」
「そういえばそうだったな…!」
ロキとミカが武器を構える。
二人の表情は何処か微笑んでいるようにも見えた。
「あぁ?お喋り楽しいかぁ?」
「あぁ…仲間とのお喋りは最高だよ」
「そうかぁ!」
キンキが魔力を全身に込める。
「何か…仕掛けてくる…!」
「ミカ…ホワイト…警戒を怠るな…!」
「うん…!」
「ん…!」
「俺が奴を真正面で相手し………」
ロキが言葉を続けようとした瞬間…
空気に違和感が走る。
三人は違和感に気付く。
「っ…?」
「なんだ…?」
「え…?――」
そして次の瞬間…
「っ…!」
キンキの拳がロキの腹を思い切り殴る。
「がっ………」
ロキが大きく吹っ飛ぶ。
「ロキ………!?」
「っ…ロキく――」
ホワイトが言葉を続けようとした瞬間…
「がっ………」
ミカがキンキに思い切り腹を蹴られる。
「っ…!ミカ…!?」
ミカが大きく吹っ飛ぶ。
「っ…何…今の…動き………」
その瞬間、ホワイトの背後にキンキが回り込んでいた。
「っ…!?」
ホワイトは瞬時に反応して距離を取る――
「ふん――」
「っ…!?」
ホワイトの背後にすぐさまキンキが回り込む。
「しまっ…」
キンキがホワイトの背中に拳を振る。
「うぐっ…!」
ホワイトが雪に叩き付けられる。
「…あぁぁぁ――」
キンキが首を動かして鳴らす。
「やっぱこの魔力は最強だなぁぁぁ。気付かれないしぃぃぃぃ…気付かれても対応されづらいぃぃぃ…――」
キンキが腕を鳴らす。
「っ…まるであの動き………瞬時に移動しているというより…時間を止めているかのような感覚…」
ミカが立ち上がる。
ミカが腹を押さえる。
「…あぁ…ミカもやっぱり気付いているか…」
ロキが立ち上がる。
「…足の傷が瞬時に治っているあたりから…ある程度察しがついてる………」
「あぁぁぁぁ」
キンキが声をあげた後に息を吸い込む。
「この魔力はやっぱ、禁忌って言うだけあって最高だなぁ」
キンキが腕を広げる。
「――禁忌の力…『自由時間操作』よぉ」
後書き~世界観とキャラの設定~
『禁忌の女キンキ』
…黒いローブを羽織って長くて白い髪の女性でジハと同じ紫色の瞳を持つ。見た目は20代。
その正体はネオカオスのボスであるジハの妹でネオカオスの裏の切り札として存在している。
そしてゼッヒョウの地に吹雪を起こし、更には電波障害までも起こした犯人である。
普段は拳や足を使ったりの近距離戦と、電撃の魔力をメインに扱って戦う。
…そして、禁忌の力…『自由時間操作』を持つ。




