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白と悪魔と  作者: りあん
第三部 繋がる命と共存の悪魔

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ep109.揺らぐ判断

 エクストデスがミカの方へ襲いかかる。


「っ…!?」


 ホワイトがすぐさま繋命剣を作り出し、エクストデスの攻撃を受け止める。


「っ…!まさか…この魔物は…人間の女性を狙って…体内に子供を作らせるのが目的………!」

「恐らくそうね…」

「っ………!」


 ホワイトがエクストデスの攻撃を弾く。


「っ……」


 ホワイトが膝をつく。

 ホワイトの体力は吹雪でかなり持っていかれていた。


「この吹雪の中だと…体力がすぐ…」


 エクストデスが翼を広げる。


「っ…!翼を…」


 ホワイトが言葉を続けようとした瞬間、エクストデスが風を起こす。


「うぐっ…!?」

「きゃっ…!!」

「ぐっ……」


 三人は風に吹き飛ばされ、雪の中に倒れる。


「っ……うぐっ………」

「グルルル……」

「っ…!!」


 ホワイトの目の前にエクストデスが立っており、尻尾を突き出そうとする。


「っ…!」


 ホワイトは間一髪でかわす。


「あの尻尾から体液を………!」


 ホワイトが辺りを見渡す。


「サザナ先生…!ミカ…!」

「っ…ホワイトさん…私は平気よ…」

「先生…!」


 サザナが立ち上がる。

 サザナが腹を押さえる。


「ただ…お腹から落下して強く打ってしまって…」

「っ………!?」

「………げほっ…」


 サザナが咳をし、口を押さえる。


「先生………!!」

「うっ…おえっ………」


 サザナが嘔吐する。


「っ…!!」


 ホワイトが繋命剣を構える。

 ホワイトがエクストデスの方を向く。


「この魔物は…私が止めなきゃ………!」


 ホワイトがエクストデスに近付く。


「グルルル……」

「あの尻尾…長いけれど…長い分接近戦は厳しいはず……だったら……!」


 ホワイトがエクストデスの懐に近付く。


「グルルル…」

「この位置なら尻尾は当たら…」


 エクストデスがホワイトに前足で引っ掻こうとする。


「っ…!」


 ホワイトの剣がエクストデスによって弾かれる。


「しまっ…」


 エクストデスが尻尾を振り、ホワイトの腹を攻撃する。


「がっ…」


 ホワイトが吹き飛ばされ、雪の中に倒れる。


「っ………ゲホッ………痛……」


 ホワイトが口を押さえる。


「お腹…強く打っちゃっ――」

「グルルル…」


 エクストデスがホワイトに近付く。


「っ…!」

「グギャア!!」


 エクストデスがホワイトに尻尾を向ける。


「ひっ…」

「ホワイト…!」


 その瞬間、ジンが駆け付けた。

 炎の魔力でエクストデスを攻撃し、辺りに煙が舞う。


「ジン君…!?」

「ホワイト…!大丈夫か…!?」

「ジン君………来て…くれたの………?」

「…お前の事、放っておけねえよ…」


 ジンがホワイトの前に立つ。


「それより…どういう状況だ…何故エクストデスが…ミカが…そして…そこにいるお姉さんは一体…」

「っ…サザナ先生が…ミカの中にいる魔物を…消してくれて…でも…その魔力の…」

「…大体分かった」


 ジンが右手に炎の魔力を込める。


「そして…状況がまずい事も…」


 エクストデスが煙の中から無傷で出てくる。


「っ…無傷…!?」

「奴の鱗…簡単な魔力を通さない…!結構出力を出したが…この吹雪の中魔力が出しづらい…」

「っ…どうすれば…!」


 ホワイトがそう言うと、ジンが炎の魔力の出力を上げる。


「っ…ジン君…!」

「この火力であの魔物をぶっ飛ばす…!」


 ジンがエクストデスの方へ走り出す。


「ホワイトはこの吹雪の中…俺の回復を頼む…!」

「それって…」

「魔力の全てを攻撃に使う…それで…」

「っ…!」


 ホワイトがジンの方へ走り出す。


「ミカに精神的苦痛を与えた魔物…許さん…!!」


 ジンが魔力の出力を上げ、エクストデスに向かって手を開く。


「燃え尽きろ!!」


 ジンが炎の魔力を出す。


「グギギギ…!」


 炎の魔力でエクストデスが爆発する。


「っ…!」


 爆風で辺りに風が発生する。


「っ…!」

「これで…くたばってくれれば…――」

「ガアアア!」


 だがその期待は儚い物だった。

 エクストデスが無傷で煙の中から現れる。


「っ…!」


 エクストデスが前足の爪でジンに攻撃する。


「っ…!?」


 ジンが攻撃をかわす。


「馬鹿な…無傷…だと…!?」

「な…嘘………」

「っ…クソッ…!」


 ジンが右手の魔力が弱まっているのを確認する。

 最大火力を出すには、少しのクールタイムが必要だった。


「…あの火力をもう一度出すのは時間がかかるぞ…」

「ジン君…!」


 ホワイトがジンの傍に寄る。


「ホワイト…」

「魔物には勝てない…今は先生とミカを運ばないと…」

「っ…でも…俺等二人で担いで…あの魔物を前に逃げれるか…!?」

「っ…そんなの…!」

「ホワ…イト………」


 倒れているミカがホワイトを呼ぶ。


「ミカ………!」

「…アンタの先生を…運んで………」

「っ…でも…!」

「あたし達の目的は…遭難者の救助…もしこの状態でアンタの先生が殺されたら…あたし達の目的は完遂できなくなる…だから………!」

「っ…だからって…ミカを置いて…」

「最初っから命を捨てる覚悟はあたしにある…だから………!」

「っ………」

「ジン……!」


 ミカが顔を上げ、ジンを見る。


「っ………」


 ミカの目を見たジンが決心する。

 そして…倒れるサザナの方へ近付く。


「ちょっ…ジン君…何をして…」

「この状況下で取るべき行動は…ミカを犠牲にして…お前の先生を助ける事だ…」

「っ…!?」


 ジンがサザナを担ぐ。


「待って…ジン君…今…ミカを…ミカを犠牲にするって…」

「………無理だ…今戦える俺とホワイトではあいつに傷を付ける事すら不可能…あの薬と言うか爆弾というかも今はないんだろ…」

「っ…そうだけど…でも………!」

「なら…ここで全員死ぬ選択を取るか…?」

「っ…それは…」


 ホワイトの頭の中は迷いでいっぱいだった。

 全員を救う…魔物を倒す…先生を助ける…誰かを犠牲にする…誰かを………


「お前の先生…妊娠してるんだろ…人間の子どもを…でもミカは…無くせたとは言え魔物の子どもを一度身籠ってしまった…その場合…捨てる方はどうなる…?」

「っ………!」


 ホワイトが涙を流す。

 そしてホワイトは…自分がそうなるという事を決心した。


「ミカを見捨てるなんて…できない…!」

「っ…」

「ジン君…先生を運んで…!」


 ホワイトが繋命剣を握り締める。


「ホワイト…?」

「私があの魔物を抑え込む…私を身代わりにして二人を…運んで…」

「は…何を言って…!?」

「私の力じゃ…先生もミカも運べない…けれどジン君なら…ジン君なら運べる力があるから…だから…!」

「っ………そんなの…」

「お願い…!!」

「グルアアアア!」


 エクストデスが咆哮をあげながらホワイトに近付く。


「っ…!」


 ホワイトが剣でエクストデスの牙を押さえる。


「行って…!お願い………!!」

「っ…ホワイト………」


 ホワイトの目を見て、ジンが決心する。

 ジンがミカを先に担ぐ。


「…死ぬな………」


 ジンが涙を堪えながらサザナを担ぐ。


「っ…ホワイト…さん………」

「っ…重い………」


 ジンが二人を抱えて歩き出す。

 いくらジンと言えど、二人の重量は厳しかった。


「…あんた…ホワイトの…先生…ってホワイトが…言ってたけど…名前は…?っ…重い………」

「サザナ…あなたは…ホワイトさんの………」

「…仲間…です」

「…もしかして…恋人?」

「………」

「その無言は…図星って事で…いいのかしら…げほっ…げほっ…」


 サザナが咳をする。


「…喋らない方が…いいです。男の俺には分からないが…あんたは妊娠してんだから…!気持ち悪い時くらい…休んでくれ…っ…」


 ジンの身体から汗が垂れる。


「っ…あなた………」

「…あんたとミカを街の病院に運んで…すぐに戻ってホワイトを………」


 その瞬間、引き裂いたような音が辺りに響く。


「っ…!?」


 ジンが振り向く。

 ジンはホワイトがエクストデスの前足に切り裂かれる姿を視界に入れてしまう。


「ホワイト…!!」

「がっ……ダメ…こっち向いちゃ………」


 ホワイトの腹から血が出る。


「お願い…ジン君…先生は…私より子どもの…子を育てるって言う使命が…ある……か…ら…」


 ホワイトが剣を構える。

 ホワイトの腹から血が垂れる。


「っ…ホワ…イト……」

「行って…!!」

「っ…!!」


 ジンが振り向き、二人を担ぎながら再び歩き出す。


「クソッ………!」

「ホワイトさん………」

「俺は………俺は………!」


 その瞬間…

 ジンの頭の中に突如何かが浮かぶ。


 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


「…………は?」

「ミカ………?」


 ミカの手が震えていた。


「嘘………」

「ミカ………?」

「嘘…ホワイト………?」

「ホワイトは………どうしたんだ………」

「ホワイトが………」


 ミカが涙を流す。


「心臓が…止まってる………」

「っ………!?」


 ジンが口を押さえる。


「は…心臓が止まってる…って…な…んだよ………?」

「っ………嘘………ホワイト………?」


 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


「っ…!?」


 ジンが足を止め、頭を抱える。


「なんだ…今のは………」


 ジンが口を押さえる。


「ホワイトの心臓が止まってる………?なんだよそれ…」

「…?」


 サザナがジンの顔を見て疑問を抱く。


「っ…!」


 ジンがサザナとミカを置き、ホワイトの方へ走り出す。


「っ…何をして…」

「ホワイト………!!」


 ジンが走り出す。

 だが…時は遅かった――


「がはっ…」


 ホワイトがエクストデスの尻尾に腹を刺される。

 それは…ホワイトの体内にも魔物が入り込む事を意味していた。


「っ…!?」


 ホワイトが吐血する。


「あ……嘘………だろ………」


 ホワイトの吐血している所見たジン…

 ジンは…ミカの苦しんでいた顔を想像した。


「尻尾で刺され…たら…魔物…が…ホワイトの…身体の……」


 エクストデスがホワイトの身体から尻尾を抜く。


「ゲホッ………」


 ホワイトが再び吐血し、倒れる。


「ホワイト………!!!」


 ジンが走り出す。


「がっ…!」


 ジンが雪に足を取られ、転倒する。


「がはっ…」


 ジンが少しした後、顔を上げる。


「ホワ………イト………そん………な………」


 ジンが涙を流す。

 ホワイトは血を大量に流して倒れていた。


「お前も…魔物に………」

「グルルル………」


 エクストデスが動けないミカとサザナの方へ近寄る。


「っ…二人に…近付く…な………」


 ジンが立ち上がろうとする。

 だが…雪に足を取られて再び転倒する。


「っ………!」


 ジンが涙を零す。


「………もう………終わり………か………」


 ジンが口を押さえる。


「…もう…ダメ………だ」


 ジンが涙を零す。


「俺には…誰も…救えない…」


 ジンの涙が零れる。

 エクストデスが、サザナの方へ尻尾を向ける。


「…ふん、ホワイトの泣き虫はお前に移ったか」


 謎の男の声がジンの傍から聞こえる。


「…!?」


 ジンが顔を上げる。

 そしてその声と容姿は…ジンに聞き覚えと見覚えのある者だった。


「その声…その…背中………」

「やはりお前等には俺が必要みたいだな」

「そんな…何故………お前が………」


 謎の男の背中がジンを照らす。


「ランス………!!」


 右目に眼帯を付け、左腕が欠損している男…

 そう、そこにはランスがいた。

 不可能の災いを取り込んだ…『不可能の災いヴィ・ランス』が…

 或いは…『元ラッシュ師団団長ランス』と呼ぶべきか…


 ランスが青白い左目でエクストデスを睨み付ける。



「――俺の可愛い部下に…何しやがる」

後書き~世界観とキャラの設定~


『ランスの行方』

…ランスはシェールに団長の座を託してラッシュ師団を去った後、各地を回ってどうにか自分がこの世界に存在してもいいかどうかを判明させに旅をしている。

そしてその旅の途中、ホワイト達のピンチに駆け付ける事に。

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本編のスピンオフである
悪魔に堕ちて悪魔と結婚した太陽
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