ep103.氷の竜と混沌と
――アイスドラゴを見つけたロキとミカ。
そして天に向かって吹雪を吐く――
「っ…!奴が…吹雪を吐いてる…?」
「氷のブレスか…あの力で恐らく吹雪を作り…それで…!」
「っ…!やっぱり魔物が犯人なのね…!」
ミカがアイスドラゴの方へ走り出す。
「待て…!奴に近付くにつれて吹雪が…」
ロキが言葉を続けようとすると、ミカの横から吹雪が発生する。
「っ…!!」
「ミカ…!」
ロキがミカの方へ走り出す。
「うぐっ…!」
ミカが吹雪に吹き飛ばされる。
「ミカ…!」
ロキが宙に浮くミカの手を掴む。
「っ…!ロキ…!」
「手を離すな…絶対にだ…!」
「っ…ごめん…」
「絶対に離…」
ロキが言葉を続けようとすると、アイスドラゴが二人の方を向く。
「っ…!」
「グルル…」
アイスドラゴが口を開け、二人の方へ吹雪を吐く。
「ぐっ…!!」
「っ…!!」
二人が吹雪に吹き飛ばされる。
「がっ…」
ロキが雪の中に埋もれる。
「ゲホッ…ゲホッ…柔らかい雪で助かった…」
ロキがゆっくりと立ち上がる。
「ミカ…?何処だ…?」
ロキが辺りを見渡す。
「っ…!」
アイスドラゴがロキの方を向く。
「お前…さっきの吹雪…間違いないな…」
ロキが自己強化の魔力を使用する。
ロキがアイスドラゴを見て構える。
「お前が…この件の犯人だな…」
ロキが辺りに意識を向けながらアイスドラゴと対面する。
「ミカは…何処に吹っ飛んだ…?」
アイスドラゴが吹雪を吐く。
「っ…!」
ロキは自己強化の魔力故に吹雪を受け流す。
「俺の魔力がお前の吹雪ごときで吹っ飛ぶと思うなよ…!」
ロキがそう言うと、アイスドラゴの背後に回り込む。
「殺す…!」
ロキがアイスドラゴの首裏を殴る。
「ガ…!?」
アイスドラゴが倒れる。
「ミカ…!何処だ…!!」
ロキが辺りを見渡す。
「ミカ…返事をしろ…!ミカ…!」
アイスドラゴが起き上がる。
「っ…!早すぎるだろ…!」
「ガルル…」
アイスドラゴが尻尾でロキに攻撃する。
「っ…!」
ロキが攻撃を受け止める。
「…確かにルドさんの言う通りだ…」
ロキが距離を取る。
そして…勝利を確信していた。
「俺達の実力なら互角…いや、ほぼ勝てると…!」
ロキがそう言うと、アイスドラゴの羽に蹴りを入れる。
「ガ…!!」
「副団長になった後に編み出した技…お前に見せてやる」
ロキがそう言うと、魔力で自身を覆う。
「そして…」
身体を覆った魔力で手の爪に当たる部分を尖らせる。
ロキはまるで鎧のように魔力を纏う。
「お前の鱗…全部引き裂いてやる…!」
ロキはそう言うと、魔力を模した爪でアイスドラゴの身体を次々と切り裂く。
「ガアアア!!」
ロキが次々とアイスドラゴを切り裂く。
「うおおお…!!」
ロキがアイスドラゴの尻尾を切り裂く。
「ガァァ…」
「お前に教えてやる…ラッシュ師団二代目副団長は…人間の中でもトップクラスに強いって事を…!!」
ロキがアイスドラゴの頭を切り裂く。
「ガァァ!!」
アイスドラゴはロキの猛攻に耐えれず、その場に倒れる。
「………」
ロキが魔力を解く。
「俺の自己強化の魔力…結局名前を使わずに派生させちまったが、流石に名付けるか…。魔力鎧って名付けよう」
少しした後、ロキが辺りを見渡す。
「っ…そうだ…ミカ…!!」
「…ロキ…」
ミカがロキの後ろに立っていた。
「ミカ…無事…だったのか…?」
「…あの吹雪に吹き飛ばされて…雪に身体が埋もれて…動けなくなってた…」
ミカが服に付いた雪を払う。
「…そう…だったか…」
「…雪国は慣れてないから…雪の抜け方が分からなかった…だから…」
ミカが言葉を続けようとすると、ロキがミカに抱き付く。
「…は?何して…」
「…お前が無事で良かった」
「は…はぁ…別にあたしは大丈夫だから…そんなに…」
「…それでも…お前には………」
「………」
ミカがロキの身体に触れる。
ミカはロキの身体から高い体温を感じ取っていた。
「…身体、あったか。それに…やっぱりその魔力めっちゃ強いじゃん」
「あぁ。最強だろ?」
「うん、まさに副団長って感じ」
「ははっ…ちょっと照れるな」
「それにしても…」
ミカが倒れるアイスドラゴを見る。
「こいつが吹雪を起こしてた犯人…いや、…犯…竜?」
「吹雪の原因はこいつで間違いないだろうな。見ろ、吹雪が止んできた」
ロキがそう言うと、辺りの吹雪が少しずつ弱くなっていく。
「…ほんとだ。吹雪が弱くなってる」
「あぁ…これでホワイト達の方も救助にも集中できるはずだ」
「そうね。そうしたら…あたし達も救助を手伝いに行こう」
「あぁ…そうだ――な…!?」
ロキが何かを発見する。
「っ……!どうしてお前が…!?」
ロキが銃を構える。
ロキは怒りの表情を浮かべていた。
「ロキ…?」
ミカがロキの銃を向けた方を見る。
「…!?」
ミカとロキが見た方向には黒い服を着た謎の男が立っていた。
そしてその男の正体は…ミカにも見覚えがあった。
「アンタ………!?」
「ラッシュ師団のミカとロキだな。アイスドラゴの討伐、お見事だよ」
「ネオカオスの…下っ端…!?」
ミカが銃剣をネオカオスの下っ端に向ける。
「そんな…ネオカオスの下っ端は全員ラッシュ師団が捕まえたんじゃ…!?」
「そうだ…だからおかしいんだ…あの服に付いてるシンボル…ネオカオスのデストでもルキでもフェクトでもメタリーの物でもねぇ…」
ネオカオスの下っ端のシンボルはかつてのネオカオス四天王の下っ端の物とは違った。
そのシンボルは白い爪痕のような物が描かれていた。
「まさか…あの時みたいに…」
「あぁ…前の基地の爆破の件といい…ネオカオスは何かを隠し持ってやがった…!」
「っ…!」
ロキとミカの声を聞いたネオカオスの下っ端がニヤリと笑う。
「ククク…ラッシュ師団…まさかゼッヒョウの地の方までやってくるとはな」
「ネオカオス…また陰でコソコソ暗躍してたのね…!」
「ふん。ジハさんを失ったとて、誰かが生きていればネオカオスは存続できるんだよ。まぁ…フェクトやルキと言った裏切者はいるがな」
「っ…なんて奴…!」
ミカが銃剣を向ける。
「だが…何故今まで表に姿を現さなかった?何故お前らは…」
ロキが疑問を抱く。
「ふん。それは我々にも分からんのだよ。あの方の指示でな」
「あの方…?まさか…アイスドラゴに吹雪を命令したのもお前らか…!?」
「吹雪?命令?まぁたしかに奴は吹雪の力を持つが、命令は少し違うな」
「なにっ…?」
ロキが再び疑問を抱く。
ネオカオスの下っ端が腕を広げる。
「我々は…新たな力を手に入れたのだよ」
「新たな力…?」
「ジハさんは魔力の根源を手に入れる事は不可能だったが…ジハさん亡き後もネオカオスは魔力の根源にも負けず劣らずの力を作り出す事に成功した」
「っ…ミカ…!」
「えぇ…!」
ミカとロキが銃を撃つ。
「っ…!」
ネオカオスの下っ端が風を起こし、銃弾を吹き飛ばす。
「なっ…」
「防がれた…!」
「下っ端とて油断したか?俺達はあの頃のネオカオスとは違う」
ネオカオスの下っ端はそう言うと、銃をミカに撃つ。
「っ…!?」
ミカの右胸に銃弾が貫通する。
「ミカ…!?」
「がはっ…うぐっ………ゲホッ…」
ミカが吐血する。
「ミカ…!しっかりしろ…!!」
「ククク…苦しいだろう…?だがネオカオスでお前達に殺された奴はもっと苦しんでるんだよ…」
「っ…!貴様…!」
「ゲホッ…」
ミカが咳をする。
ミカの口から血が垂れる。
「っ…ミカ………!」
「更にダメ押しだ」
ネオカオスの下っ端が指パッチンする。
そして、ネオカオスの下っ端の近くに巨大な謎の生物が降り立つ。
謎の生物は黒い鱗を纏う竜のような生物だった。
「…!?」
「我等が手に入れた新たな力の内の一つ…『エクストデス』だ」
「っ…!あの魔物…!」
ロキがかつて同じ魔物に出会ったかのように驚いた表情をする。
「精々足掻いてみろ、ラッシュ師団!!」
ネオカオスの下っ端はそう言うと、風の魔力で何処かへ消えてしまう。
「っ…待て……!」
「はぁ…はぁ…」
ミカが胸を押さえる。
「グルルル……」
「っ…あの魔物…!」
エクストデスと呼ばれる魔物はミカとロキを睨み付ける。
「あの時俺が殺されかけた時の魔物とそっくり…色が違うが…間違いない…!!」
ロキが銃を上に向ける。
「ホワイト達…来てくれ………!」
ロキが合図を送るように、銃を上に撃つ。
「ミカ…呼吸を整えろ…!」
「はぁ…はぁ…」
「ガアアア!!」
エクストデスが翼を広げ、突風を起こす。
「ぐっ…!」
ロキがミカの前に出てミカを庇う。
「がっ…!」
ロキの身体が風で吹き飛ぶ。
「がはっ…」
ロキの身体が雪に倒れる。
「ロキ………!」
ミカが右胸を押さえながらロキの方を向く。
うまく身体が動かせず、ゆっくりと向かうミカ。
「っ…ゲホッ…ちゃんとしろ…あたしの身体…!」
ミカが自身の胸を叩く。
「ゲホッ…この程度の傷…いつもなら…」
ミカが唸っていると…
ミカの後ろにはエクストデスがいた。
「ガルル!!」
「しまっ…」
エクストデスがミカに襲い掛かる。
「クソッ……」
ロキがゆっくりと立ち上がる。
「奴の突風…なんて威力だ…頭がいてぇ…」
ロキが頭を押さえる。
「ミカ…?」
ロキがミカの方を見る。
「…!?」
ミカの腹にはエクストデスの尻尾が突き刺さっていた。
「ゴホッ…」
ミカが吐血する。
「ミカ!!」
ロキがエクストデスの顔に銃を撃つが、銃弾が弾かれる。
「は………」
エクストデスがミカの身体から尻尾を抜く。
「がはっ…」
ミカの血が辺りに飛び散る。
「っ………!!」
ロキがミカの身体の惨状を見て絶望する。
「ミカ……………」
「ロ………キ………ご…め………」
ミカが目を開けながら気を失う。
「っ………ミカ…………!!」
ロキが走ってミカに近付く。
ミカの身体に触れる。
ミカの腹から大量の血を流しており、今にも危険な状態だった。
「っ…ミ…カ………」
絶望しているロキに、エクストデスが近付く。
そして…ロキが怒りを露わにする。
その怒りは…エクストデスを睨み、見上げる。
「………おい………クソ野郎………」
ロキが魔力鎧を纏い、エクストデスを睨む。
「貴様…絶対………」
「――殺す…!!」
後書き~世界観とキャラの設定~
『ネオカオス残党』
…ネオカオスは解散した物だと思われていた。
だがネオカオスは未だ健在だった。
ネオカオスはその後も暗躍し、今回はゼッヒョウの地周辺に現れる事に………
だがジハを失っているという事実は変わらない。
果たしてジハに代わる統率者はいるのだろうか………?
『エクストデス』
…ネオカオスが「手に入れた新たな力の内の一つ」と称する魔物。黒い鱗を纏う竜のような生物で四つ足に加えて翼も持つ伝承に記されているような神の魔物のような見た目。
実力も非常に高く、実力者であるロキとミカの二人を相手取り、ミカに重傷を負わせた。




