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白と悪魔と  作者: りあん
第三部 繋がる命と共存の悪魔
111/271

ep99.極寒と奇襲と

過去編が終わって今回から再び本編開始です!

過去編終わって第三部後半開始という事で今回は少し長めにお送りします。

第三部後半もお願いします!

 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


「…あ………お母さん…」

「っ…!?」

「お兄ちゃんも………来てくれたんだね………」

「は…お前……何を言って……」

「漸く…私もそっちに逝けたよ…」

「っ…!しっかりしろ……………!意識を保て…!まだ…死ぬんじゃねぇ…!」

「…ずっと…会いたかった………の…」


「そして…謝り…たかっ………」

「っ…クソッ…こんな…の…!!」


「うあああああああああああああああ………!!!!」


 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


 ――電車の中…


「………」

「ジン君?」


 ホワイトがジンの目を見る。

 ジンが虚空を見つめていた。


「………」

「ジン君…!」

「…はっ…!?ど…どうしたホワイト…?」


 ホワイトがジンの手を掴んでいた。


「ジン君…ボーっとしてたから…」

「あ…あぁ…ちょっと…な…?」

「…?」


 ホワイトが首を傾げる。

 ホワイトとジンの会話にミカが割り込む。


「一ヶ月間ラッシュ師団としての仕事を休んでた訳だし、身体が鈍ってるんでしょ」

「っ…ミカ…」

「そう言うお前こそ…一ヶ月の間何処ほっつき歩いてたんだ?」


 ロキがミカに聞く。


「あ…私も気になる…」

「え?あ…あたしの事?」

「そうだよ。お前は正直掴みどころがない奴だからな…」


 ジンとホワイトがミカを見る。

 少し動揺したミカが話し始める。


「そ…そういうホワイトやジンこそ…何をしてたのよ?」

「私はお父さんを実家に帰して…その後お母さんとお兄ちゃんの葬儀を改めてやって…それから――」

「その後は俺の口から話そう」

「ジンの口から?ジンはホワイトと一緒に行動してたの?」

「あ…」

「あぁ…そうだよ」


 ジンとホワイトはエルの一件が終わってからゼッヒョウの地へ行く任務の前まで、一緒に行動していた。

 所謂…デートって奴である。


「…あ、まさか」


 ミカが察する。


「…そっか、おめでとう。ふふっ…」


 ミカがニヤリと笑う。


「っ…」


 ホワイトが顔を赤くする。


「…俺とホワイトは二人で行動してた。ホワイトが行きたかった場所…いくらでも行かせてやった」

「へぇ、二人で。いくらでも…ねぇ…ふふっ…」


 ミカが口を隠して笑う。


「…何がおかしいんだよ」

「いや?ジンが…あのジンが…ホワイトを…ふふっ…」

「…はぁ」

「ん…?どういうことだ…?」


 ロキが首を傾げる。


「副団長、分からないの?二人はもう、そう言う関係なんだよ」


 ミカが右手の小指を立てる。

 ミカの指を見てロキも察する。


「…あぁ、なるほど。そういう事か…」

「えぇ、そういう事よ」

「っ………」


 ホワイトが目を逸らす。目を逸らして、照れ隠しをする。


「例えば、何処に行ったんだ?」

「例えば…海とか公園とかカフェとか…ラッシュ師団をやってると行きづらかった場所を特に多く…な」

「案外ベターだな。というかデートスポットばっかりじゃねえか」

「まぁ…ホワイトが行きたいって言ってたから…従っただけだ」

「ほんっと…アンタってホワイトの事好きよねぇ…」

「背負う物が似てるだけだ」

「そう。ふふっ…」


 ミカが笑う。

 ジンがミカに聞き始める。


「…そう言うミカは?」

「あたし?あたしは――」


 ミカが言葉を続けようとすると…

 突如電車が大きく揺れる。


「っ…!」

「うわっ…!」


 四人が手すりに摑まる。


「…揺れたね」

「揺れたな」


 ジンがそう言うと、電車内でアナウンスが鳴る。


「この先、電車が揺れますのでご注意ください」

「おいおい、後付けかよ」

「…皆、外見て。雪が…!」

「…お」


 四人が窓を覗く。

 窓の外には雪原が広がっており、吹雪いていた。


「大きな雪原…そして…強い吹雪…」

「こりゃ…さっきの揺れが起こるのも、電車がゼッヒョウの地の駅の前で止まるのも納得が行く強さだな…」

「えぇ…そうね…」

「…この中で救助…か」


 ロキが腕を組む。

 強い吹雪故に危険な任務になるかもしれない、ロキはそう考えていた。


「命懸け…になるかもしれないな…」

「…ロキ君?」

「…お前達、絶対…集団行動を大事にするんだぞ」

「集団行動…?」

「あぁ…吹雪の中では普段できるような事ですら簡単にできないくらいには…厳しい環境だ」

「厳しい環境…」


 ロキの言う通り、吹雪の中の任務はかなり厳しい環境だ。

 吹雪で体力が持っていかれたり、最悪の場合は死に至る。


「だからこそ…集団行動は欠かさず…誰も遭難しない事が大事だ。助けに行ってる奴等が遭難なんてそんな馬鹿な話…と思ってほしくない。これは…お前達の命にも関わる」

「っ…命に…関わる…」

「体温の低下や…少しの怪我にも気を付けてくれ」

「…分かった」

「怪我の方はホワイトの魔力で…体温は…ジンの炎の魔力で対処できる。お前達二人は特に重要だ…頼むぞ」

「分かった…ありがとロキ君」

「…分かった」




 それからしばらくして…電車がゼッヒョウの地より少し前の駅に止まる。


 電車を降りる四人。


「着いたな」


 ロキがそう言って駅を出ると、強い吹雪が四人に襲い掛かる。


「っ…」

「強い吹雪…」

「っ…!」


 ジンが炎の魔力を出そうとする。

 ロキがジンの腕を掴む。


「待て、ジン…。この場所は一応駅だ…人もいる。今ここで魔力を出してみろ…ただでさえ強い吹雪で人々が混乱しているのに魔力を放ったら騒ぎになるのは当然だ」

「っ…だとしても…」

「ここは魔力を無理に使わず、吹雪に耐えてゆっくり向かう…皆…防寒具を深く着ろ」

「っ…」


 ジンが防寒具を深く被る。


「ミカ、ホワイト、お前達もだ」

「…分かったよ」

「ありがとう…」


 ミカとホワイトが深く被る。

 ホワイトが空を見上げると、黒い雲に覆われていた。

 強い吹雪と黒い雲は辺りの視界を奪っていた。


「っ…この吹雪…空も黒い雲に覆われてて昼なのにとても暗い…」

「…よし、俺についてこい。絶対にはぐれるな」

「おう」

「うん…!」

「…ん」


 四人が吹雪の中歩いて移動する。






 ――歩き続ける四人。

 だが…吹雪に巻き込まれながら歩いていたせいか、進んでいる気配が無かった。


「っ…強い吹雪だ…想像してたよりも…強すぎる…!」

「異常気象すぎるわね…」

「こんな吹雪…経験したことがねぇ…」

「はぁ…はぁ…」


 ホワイトが息を切らす。


「ホワイト…?大丈夫か…?」


 ジンがホワイトに手を差し伸べる。


「っ…さ…寒い……うぅ…」


 ホワイトの身体が震える。

 ホワイトの身体は吹雪にやられて冷たくなっていた。

 ホワイトの身体は熱いのには強いが、寒いのには弱かった。


「っ…ホワイト…しっかりしろ…!」


 ジンが魔力を使って小さな炎を作り出す。


「この魔力なら…」


 ジンが炎をホワイトに近付ける。


「っ…あ…暖かい…」

「ゼッヒョウの街に着くまでの辛抱だ…頑張るぞ…!」

「…ありがと、ジン君…」

「二人とも、何してるの?」


 ミカが振り向く。


「あっ…今行く…!」

「………」


 ロキが二人を見る。






「はぁ…はぁ…」


 ホワイトが再び息を切らす。


「ホワイト…!」


 ジンがホワイトに近付く。


「大丈夫か…!?」

「うぅ…ジン君…」


 ホワイトがジンに抱き付く。

 ジンが少しだけ照れながらも、抱き返す。


「っ…大丈夫…か…?」

「…身体が…ずっと震えて…それで……」


 ホワイトの身の危険を感じたジンはロキの方へ向く。


「…ロキ…!まだゼッヒョウの地には着かないのか…!?」

「…まだだ。まだ駅から街まで2割も進めてない」

「っ…なんでそんな…」

「何せ普段は電車で簡単に行ける道を、歩いて行ってる訳だからな…」

「っ…マジかよ……!」

「この吹雪じゃ…移動手段は歩きしかない…」

「…一旦休憩しないか…?このままじゃホワイトが…危ない…!」


 ジンが提案する。

 ジンの提案に乗り、ロキが辺りを見渡す。


「…そうだな。休憩できそうな岩場を探す。お前達は一旦この場にいてくれ。ミカ、火炎放射器を作ってくれ」

「…ん」


 ミカが魔力で火炎放射器を作る。

 ミカがロキに火炎放射器を渡す。


「…作った。けれど…この吹雪の中で果たしてちゃんと作動するかどうか…」

「構わない。岩場を見つけたらこれで合図する。それまで…身体を暖めてくれ」

「…分かった、助かる」


 ジンがそう言うと、ロキが休憩場所を探すためにその場から去る。


「ホワイト…」


 ミカが自分の手に息を吐き、その後ホワイトの頬を触る。

 ホワイトの頬も冷たくなっていた。


「っ…ホワイトの頬…とても冷たい………」

「…ごめん…皆…」

「大丈夫…でも…ちょっと厳しいわね…」

「…私…皆の足手まといだ…」

「そんな事…ない」


 ジンがホワイトの肩に手を乗せる。


「ジン君…」

「どの道こうなるのは割と目に見えてた…だからこそ俺はお前の傍を絶対に離れない…。俺の魔力でホワイトの体温を戻せるなら…」

「ありがとう…」


 ホワイトがジンの手を掴む。


「………ロキ」


 ミカが辺りを見渡す。


「…この場所…周りに誰もいない…吹雪のせいで通信機を使わないと方角も分からなくなってる…」


 ミカが通信機を操作する。

 通信機に表示されている地図の精度も落ちていた。


「っ…通信機の地図の精度も…かなり落ちてる…方角が…分からない…」


 ミカが頭を掻く。


「………ミカ…!」

「…何…?」

「アレ…ロキの合図じゃないか…?」

「…!」


 遠くで朱色に光る物を二人が目撃する。


「間違いない…あそこにロキがいる。恐らく…岩場を見つけたのね」

「…よし、ホワイト…立てるか?」

「…うん」


 ジンがホワイトの手を掴む。


「あの場所に行けば一先ずは大丈夫だ。もう少しの辛抱だぞ、ホワイト」

「…はぁ…はぁ…」






 ――洞窟に隠れる四人。


「まさかこんなところに洞窟があるとは…」

「これで吹雪は一先ず凌げるな」


 ジンが薪に火を付ける。


「これでひとまず身体を暖めろ、ホワイト」

「うん…!」


 ホワイトが身体を暖め始める。

 ロキが外を見る。外は吹雪が強く、とても出れる状態じゃなかった。


「…とはいえ、吹雪が止むのは時間がかかりそうだな。弱くなったタイミングで向かおう」

「…はぁ…はぁ…」

「ホワイト…大丈夫か………?」

「っ…大丈夫…皆に心配はさせられない…」

「…そう言わず、少し休め」

「…ごめん」

「………」


 ロキが二人を見る。


「…ねぇ、ロキ」

「…なんだ、ミカ?」

「…この吹雪、何かおかしくない…?」

「え?」

「だって…ほら…」


 ミカがロキに近付く。

 ミカがロキに通信機に備わっている雨雲レーダーを見せる。


「っ…」

「通信機…雨雲レーダーもあるんだけど、この周辺の場所…って聞いてる?」

「あ?あぁ…聞いてるよ…」


 ロキが目を逸らす。

 ロキはボーっとしながらミカを見ていた。


「…それで…この周辺見て…雨雲が…ないの」

「…は?いやでも…空にはあの通り雲がある…」

「そう…だからおかしいの…」

「何故だ…?」


 ロキが空を見上げる。

 空は黒い雲で覆われていた。


「…天気予報が外れただけか?」

「まぁ…多少誤差はあるけれど…でも…その程度の誤差じゃすまされない…!」


 そう、ミカの言う通り通信機にある雨雲レーダーには雲は殆どない。

 つまりこの雲は…何かしらの細工がされている可能性がある。そうミカは踏んでいた。


「…そうだな。ゼッヒョウの地周辺の救助と同時に調べる必要がありそうだな」

「…そうね…」


 ミカが白い息を吐く。


「…それにしても…異常な寒さね…ホワイトはお父さんの魔力を少し遺伝してるから体温が高い方って聞いてたけど…」

「…あぁ、この寒さに………この寒さ…?」


 ロキが一つ疑問に思い始める。


「ミカ…お前は逆に…寒くないのか…?」

「え?」

「…だって、この寒さにお前は平然と耐えている。何故だ…?」

「それは…」

「まさかお前…」


 ロキがミカの目を見る。

 ロキはミカを怪しむ。


「…いいや、それは違う。服の中に何個かカイロを仕込んでるだけ」

「…え?」


 ロキがそう言うと、ミカが魔力でカイロを作る。


「…!」

「これを何個も服の中に入れておけば、この極寒の地でも大丈夫。寧ろこれがないとあたしだって辛い…」

「…そうか。いや…そうだとしたら――」

「…あ――」


 ミカが「忘れてた…」という顔をする。


「…はぁ。そのカイロ…ホワイトやジンに分けてやってくれ。俺にも少し分けてくれると助かる」

「ん、勿論」


 ミカが魔力でカイロを多く作る。


「ホワイト…これを使って…!」

「ミカ…これは…?」

「カイロ。これを何個か服の下に仕込んで。そうすればある程度寒さを凌げる」

「あ…ありがとう…」

「…ん。あたしもこれの存在を忘れてた…ごめん…」

「………」


 ロキがミカの方を見る。


「…とはいえ吹雪は早々に止みそうにないな。まだちゃんと前も見えない…ある程度見えるようになるまで待つか」

「…そうね。それまでは…体温を上げる事を重視しましょう」


 ミカがその場に座る。


「…ごめん…皆」

「大丈夫。今は兎に角…身体を休めて」

「ミカ…ありがとう…」

「ホワイト…」


 ジンがホワイトの手に触れる。


「ジン君…」

「じきにこの寒さにも慣れてくるだろう…そうすれば救助も簡単に…」


 ジンがそう言うと…

 ジンの頭の中に、突如何かを思い浮かべる。


「っ…?」


 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


『使え。その力を使え。その子が死ぬ未来のままでもいいのか?』

「っ…!だけど…この力を使ったら…こいつは………」


 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


「っ…」

「ジン君…?」


 ホワイトが首を傾げる。


「…あ…あぁ…何でも…ない…」


 ジンが嘘をつく。

 ジンが自身の手を見つめる。


「そう?な…なら…いいんだけど…」


 ホワイトが息を整え直す。


「っ…なんだ…今のは…?」


 ジンが手を戻す。


「…気のせい…だよな」

「吹雪が止むまで…どうする?」

「一旦…シェールさんに報告だな」


 ロキが通信機を操作する。

 シェールに通信を繋ぐ。シェールのホログラムがロキの通信機から現れる。


「…シェールさん、こちらロキです」

『ロキ君…そちらの様子はどう?』

「…いえ、吹雪にやられてまだ目的地には着けず…申し訳ございません」

『そう…大丈夫よ。けれど…ゼッヒョウの地の人達がもしかしたらと思うと…ちょっと怖いわね』

「…はい、その点も考えて早く行きたいけれど…俺達も無策だとこの吹雪にはやられてしまいます」

『…そうね。ゼッヒョウには慎重に向かって欲しいわ』

「はい。それと…この吹雪に関して少しおかしい点がありまして…」

『おかしい点?』

「…ミカの作った通信機で見れる雨雲レーダーで…この位置に雨雲はないと表示されているのに…何故か吹雪があるんです」

『…なるほど…』


 ホログラムに映るシェールが指を咥える。


『その点について今から私達も調べてみるわ。例えば魔力で吹雪を操作されているとかもあるかもしれない…あなた達も気を付けて…!』

「…はい」


 ロキが通信を切る。


「魔力で吹雪を操作…か」

「まぁ…有り得なくはないわね」

「…誰が何のために…?」

「さぁ…?」

「そういえば、ホワイト――」


 ロキがホワイトに話し始める。


「あ…えっと…私…?」

「あぁ。お前の持つ…繋命ってやつ?アレ…どうなんだ?」

「え?えっと…どうって一体…?」

「例えば…あの後繋命によって新たな発見があったとか…」

「新たな…うーん……強いて言うなら…お兄ちゃんに会えてない事…かな…?」

「会えてない…?」


 ロキが首を傾げる。

 ホワイトはあの後、繋命を使ってしても死んだ兄に会えていなかった。それを疑問に感じていた。


「そう…死んでしまったお兄ちゃんが繋命で会えるか寝るときにずっと念じてみてたけど…全部失敗してるの…」

「なるほど…」

「…会えない理由はよく分からない…いつも毎晩…お兄ちゃんの事を考えて寝ているのに…夢に出てこないの…」

「そうか…ちなみに他の人とは会えるのか?」

「会えてるよ。生きてる人だと先生達やナギサさんとか…」

「なるほどな。お前の魔力って案外…便利なようで結構気分屋なんだな」

「…そうかも。うーん…」

「………」


 ジンがロキの事を妬ましい目で見る。


「…ジン?」

「お前…ちょっとホワイトと話し過ぎじゃないか?」

「え?何が?」

「ジン君…?」

「…いいや、何でもない」


 ジンが目を逸らす。


「…?変な奴だな」

「…ははーん、なるほど」


 ミカがジンの方を見てニヤリと笑う。

 ジンがロキに嫉妬しているのを察していたのだろう。


「…なんだよ」

「なんでも?」

「…吹雪もちょっとだが収まってきた」


 ロキが外を見る。

 吹雪は弱くなっており、視界が広くなっていた。


「…この吹雪なら歩けなくはないし、寒さにやられる事も早々にない。今のうちに行くぞ…!」

「そうね、行くわよ二人とも」

「おう…」

「うん…!」


 ホワイトとジンが立ち上がる。






 ――歩き続けること約1時間後…

 吹雪はかなり弱くなり、気温も少しずつ暖かくなっていった。

 日差しが四人にかかる。


「吹雪が晴れてきた…!」

「…あぁ。しかもこのマップの位置…もうすぐゼッヒョウの地だ…!」

「もうすぐ…!」

「ホワイト…大丈夫か…?」

「うん、大丈夫…!もう身体も全然平気…!」

「そうか、良かった」


 ジンが微笑む。


「ジン君…身体を暖めてくれてありがと」

「おう、礼には及ばん」

「ほら、そこそこイチャイチャしない」


 ミカが二人を指を指す。


「っ…イチャイチャしてない…!」

「嫉妬するならミカも恋人を作ったらどうだ?」

「…は?あたしは別に恋人いらないわよ…」


 ミカが腕を組む。

 ミカの言葉を聞いたロキが疑問を抱く。


「え、いらないのか?」

「え…なんでアンタが聞くのよ?」

「…いや、なんとなく…な」

「そういうアンタは…恋人作らないの?」

「…まだ作れてないだけだ。好きな人はいる」


 ロキが目を逸らす。


「へぇ、そうなんだ。その恋叶うといいね」

「…そうだな」


 ロキがミカの目を見続ける。


「…何?」

「なんでもねぇ」

「そう」


 ミカが腕を組む。


「見えてきた…あれがゼッヒョウの地だ」


 ロキが指を指す。

 指した方向には建物が何個か見えていた。


「…お」

「遂に着いたわね。ゼッヒョウの地…!」

「あぁ…ここを拠点に…」


 ロキが言葉を続けようとすると…ホワイトから怯えたような声が聞こえる。


「皆……」

「ホワイト…どうし――」


 ジンが振り向くと、謎の男によってホワイトの首元に剣が向けられていた。


「っ…!?」

「誰だ…!」

「…!」

「そっちこそ誰だ、貴様等…!」


 謎の男がホワイトの首を今にも斬ろうとしている。


「っ…ホワイトを離せ…!」


 ミカが銃剣を構える。


「武器を捨てろ…!」


 謎の男が大きな声を上げる。


「っ…!」

「さもなくば…この女を殺す…!」

「ホワイト…!」

「っ………」


 ホワイトが男を振り払おうとする。


「騒ぐな!殺すぞ女…!」

「っ…!ごめん…なさい…」


 ホワイトの身体が震える。


「っ…皆…武器を置いて…」

「…仕方ない」

「くっ…」


 三人が武器をその場に置き、手を挙げる。


「…そうだ、それでいい」

「…あなたの要件に答えるわ。あなたの要件は…?」

「貴様等が今回の犯人なのは分かってるんだよ…!」

「犯人…?一体何の…?」

「…まさか、ゼッヒョウの地の遭難者が続出しているって話の…」

「そうだよ…この異常気象…貴様等が仕込んだのだろう…!」

「は…あたし達はそんな事しない…!」

「言い訳をするな、クソアマ」

「誰がクソアマですって…?」


 ミカが男に近付く。

 ミカが怒りの矛先を男に向ける。


「近付くな!この女がどうなっても――」


 その直後…

 ミカが瞬間移動のように動き男の腹にすぐさま蹴りを入れる。


「がはっ…!?」

「っ…!?」

「ジン…!」

「っ…!」


 ジンが服に隠している銃を撃ち、男の剣を吹き飛ばす。


「がっ…!?」


 男の持っていた剣が雪に突き刺さる。


「っ…貴様等…」

「ふんっ…!」


 ミカが男の腹に膝蹴りをしようとする。


「っ…!」

「っ………!」


 ミカの膝が男の腹の前で止まる。


「………あれ…?」

「…降参しなさい、アンタ。ホワイトを人質にしようとした罪は重いわよ」

「っ……」


 男がホワイトから手を離す。


「あっ…」

「…ホワイト」

「皆…ごめん…私が油断してたばかりに…この人に捕まって…」

「…大丈夫。それより…アンタは誰よ?何故ホワイトを人質にしようとしたの?」

「っ…それは…」


 ミカが男を睨む。

 男はさっきの威圧的な態度とは裏腹に怯えていた。


「答えなさい、さもなくば――」

「待たんかい」


 突如謎の声が聞こえる。


「っ…!?」


 その声がした後、ミカ達の周りを囲うように銃や剣を持った男達が現れる。


「なっ…」

「囲まれた…!?」

「さっきの奴の仲間か…!?」

「っ………!」


 四人が背中合わせになる。


「…来てくれたか、教団の連中!」

「教団…!?」


 ミカが銃剣を構える。


「っ………」

「ウチらのゼッヒョウの地に、無断で入り込むとは…舐めたマネしてくれるやんけ」


 糸目の男がそう言うと、男の下っ端達が銃を四人に向ける。


「っ…万事休す…か…」


 ロキが拳を握る。


「っ…!!」


 ミカが銃剣を糸目の男に向かって撃つ。


「ふん…」


 だが糸目の男は銃弾を一瞬のうちに斬る。

 糸目の男にはミカの撃った銃弾の動きすら見えていたのだった。


「…!?銃弾を――」

「やれ」


 糸目の男がそう言うと、ミカの右胸から血が出る。


「っ…!?」

「ミカ…!?」


 ミカは下っ端によって右胸を撃たれ、その場に倒れる。


「ミカ…!!」


 ホワイトが倒れるミカに寄る。


「ミカ…嘘…嘘…!!」

「っ…てめぇ!!」


 ホワイトがミカに即座に回復魔法をかける。

 ジンが糸目の男に銃を向ける。


「まぁ安心しぃ、殺しはせん」

「っ…!?」


 糸目の男が三人に寄る。


「ただな、うるさかったさかい、ちょっと黙ってもろたんや」

「っ…?」


 ホワイトがミカの身体をよく見ると…

 ミカの身体から出血が段々とおさまっていく。


「出血が…止まっていってる…?しかも…私の魔力じゃ…」

「そういうこっちゃ。魔力を模した特殊な銃弾や。まぁ、説明電でも、おぬしらやったら分かるやろ?」

「っ…あなたは一体……」


 ホワイトが糸目の男の目を見る。


「…ふーむ」


 糸目の男がロキを見る。

 ロキの目は糸目の男を殺さんとする眼孔だった。


「っ………」

「まだ…殺気を感じるなぁ」


 糸目の男がそう言うと、ロキの右胸にも銃弾が撃ち込まれる。


「っ…!?」

「ロキ君…!?」

「がっ………」


 ロキがその場に倒れる。


「っ…!」

「これでも、まだやるつもりかいな?」


 糸目の男がホワイトの目を見る。


「っ………」

「ホワイト…無駄な抵抗は止した方がいいかもしれん…」


 ジンがホワイトの肩に手を乗せる。


「…そう…だね…」

「既に不意打ちを受けてしまった以上こちらが不利だ。数でも実力でも負けてる。一旦…奴等の指示に従おう。奴等に…殺そうという気配は感じない」

「…分かった…」


 ホワイトとジンが武器をしまう。


「お、判断速いなぁお嬢ちゃん」

「…あなた達に殺意が殆どないのは分かったので…」


 ホワイトの言葉を聞いて糸目の男がニヤリと笑う。

 だがホワイトは怒りを露わにする。


「でも…ミカとロキ君を撃ったのは…例え回復弾のようなものだったとしても許せない…!」

「ふむ…自分の信念は曲げへんタイプか、ええ子やなぁ」


 糸目の男はそう言うと、ホワイトの頭に手を乗せる。


「っ…?」

「ちょっ…ホワイトに気安く触るな…!!」

「あ?あぁ、悪いね坊ちゃん」


 糸目の男が剣をしまう。


「ほな、とりあえずウチらについてきてもらおか」


 糸目の男が開眼し、ホワイト達を見る。

 糸目の男の目…オレンジ色の瞳だった。


「………仕方ない」

「…あれ、あの目…何処かで…?」


 ホワイトが糸目の男の目を見る。


「なんや嬢ちゃん?」

「いや…なんでも…ないです………」


 ホワイトが目を逸らす。


「そうかい。ほな行こか。おぬしら、そこの倒れとる子ら、運んでやったって」


 糸目の男が下っ端に指示する。


「承知致しました、ソド様!」


 ソドと呼ばれた男は、ホワイトとジンの前に立って歩く。

 下っ端達がロキとミカを運び出す。


「っ…ソド…さん…でいいんですか…?」

「なんや嬢ちゃん?えらくワイに関心やなぁ。なんか気になることでも?」

「…いや…えっと…その…」

「まさか、ワイのお嫁さんになってくれるとか?」

「っ…!?お前なんかにホワイトが嫁入りする訳ないだろ…!!」


 ジンがソドを睨む。


「なんや坊ちゃん、怖い顔しよって」

「っ……なんでも…ねぇ…」

「…ソドさん…あなたさっき…あの男の人に教団って言われてました…」

「あぁ、せやせや。ウチらはな、『ゼトラ教団』いうんや」

「ゼトラ教団…?」

「まぁ細かい話はあとでな」


 ソドがそう言うと、ホワイトの手を掴む。


「っ…ちょっ…掴まなくてもついていきますから…」

「ん、そかそか。了解やで」


 ソドがホワイトから手を離す。

 ホワイトが黙ってソドについていく。


「ゼトラ…教団………ゼトラ………?」


 ジンが疑問に思う。



「――なんだか…聞いた事が…ある…ような………」

後書き~世界観とキャラの設定~


『回復弾』

…ゼトラ教団のソドが下っ端に撃たせた弾。一瞬だけ身体に痛みが走るが、すぐさま負った傷と既にあった傷が治っていくと言う優れ物。

身体に走る痛みの度合いは変える事ができ、麻酔弾みたいに眠らせる…もとい気絶させる事もできる。


『ソド』

…ゼトラ教団という謎の団体を統率する糸目の男。

剣術を得意とし、銃弾ですら剣で一瞬で斬る程の実力を持つ。

喋り方が独特で胡散臭さも漂わせているが、根からの悪い人と言う訳ではない。

そして何故か既婚者。胡散臭さを漂わせすぎな男である。

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悪魔に堕ちて悪魔と結婚した太陽
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